では、本編どうぞ.......
ナイフ。そう言うとみんなは納得するかもしれない。この銃剣。20cm弱のホルスターから出たのにも関わらず70cmの刃渡り。もう察しが着いているだろう。
ーーお前は間違ってない。ゲームは自分の持っているものを全て使ってやるものだ。ましてや、チートなんてしてないだろ?ーー
剣から声が聞こえる。もちろん、虚白だ。虚白の変形機能を使ったのだ。本来、"速度弱化"だけでここまで頭が痛くなることは無い。並列で使ったのだ。武器変形との同時利用。初めてやったからにはどんな副作用があるかは分からなかったが頭痛だけでよかった。
「さぁ.......ここからだ。」
結局まだ予選を勝っただけ。本番はこれから。それに違いはなかった。直に元の場所へ転送されるだろう。それまで待つだけだ。
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「っと、戻ってきたか。このまま現実に戻ってもいいんだが.......」
足を止めて後ろを見る。そこには誰も居なかったが気配だけする。何かが見ているという悪寒だけが自分の背筋を駆け巡る。それを察されないように言葉を紡ぐ。
「なぁ?ラフィンコフィン。いや、.......
殺気が彼に似ていた。陰から見てくるという点が共通。勝算が無ければかかってこない陰湿さ。
彼だ。
そう確信した。元に何も無いはずの空間の筈なのにその言葉に反応して何かが動く。光が歪む。
「そういう事か....トリックは分からないが.......またてめぇか?」
「.......お前、危険、殺る」
このゲームの利点である遠距離.......ではなく意外にもエストックという刺突専用武器を構えてくる。
「へぇ、どこで手に入れたんだ?」
「情報屋に、タダで、教える奴は.......居ないッ!」
その言葉を皮切りにザザが地面を蹴り距離を詰めてくる。
「おうおう、怖いな。あのイカした骸骨の仮面はもうしないのか?」
「.......」
無言だった。どんどん剣速が早くなっている。
「ふむ.....鍛えてたのか。」
「ッ.......」
なぜ捌けるかが疑問なのだろう。簡単だ。刺突武器の強みは攻撃範囲の小ささにある。捌きにくいのと同時に、空気の抵抗が少ないため動きを最小化、剣速の増加などが比較的なぎ払い武器よりも簡単に出来る点にある。だが簡単に成長できる武器には才能と限界がある。
「
特にエストックなどの色物武器を使う場合は特にだ。昔モルテとか言う奴がいたが、あいつがいい例だ。
「刺突相手には刺突で返す。同じもので返すのが俺の流儀でね。」
適当なことを言いながら先っぽと先っぽを合わせて捌いていく。
「いいぞいいぞぉー!もっとやれぇえ!!!」「す、げぇ.......」
様々な歓声。よく見て見たらその中にアルゴとシノンの姿も。キリトは試合中らしい。
「へぇ.......ああ、そうか。俺を殺そうとする理由.......うん。」
断片的なじょうひうをくみたてある仮説を立てる。
「お前が死銃か.......」
「良く、わかったな。半分、正解だ。でも。まだその時じゃ....ない。」
エストックを投げてくる。横からなぎ払って阻止するがそこにはもうザザの姿はなかった。
「なんだったんだ.......あいつ。」
「あなた、何者?」
シノンが声をかけてきた。あの監修の中からわざわざ抜け出してまで。その隣にはアルゴが。ユキはアルゴに肩車をしてもらっている。
「SAOサバイバー....だけど?」
「サバイバーって.......まさか、アルゴさんもキリトも?」
「そうだけど.......ちなみにあんなチャランポランだがキリトも俺と同じトップランカーだったぞ。」
「あいつが?!.......ぁ....コホン.......」
声を荒らげたあと周りの視線があるのを思い出したのか、か細く後悔の声を出し顔を赤くしながら咳払いをした。
「まぁ、とりあえずここは目を引くし.......」
「アア、離れた方がいいだろうナ」
ユキが俺の肩に乗り換え、皆で歩き出した。ちなみにその姿を見た周りの男性達は血走った目でハキを凝視していたと言う。
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「で....なんで席は足りてるのにあなたは膝にアルゴさんを載せてるの?」
そこには手に持ったフォークを握りしめて下を向きながら震えているシノンがいた。
「え?ダメ?」
「ッ.......周りから視線を集めてるって気づかないの?」
「だってアルゴが乗ってきたんだし.......」
「あなたから誘っていたでしょうが!!」
はぁはぁと息切れを強引に直しながらまくし立ててくるシノンに内心冷や汗が止まらない。怖い。怖すぎる。
「まぁまぁ、ハキは今に始まったことじゃ「あなたは抵抗しないの?!」」
食い気味に言ってくる。アルゴのフォローが玉砕した。俺の必殺土下座もアルゴが乗っている為できない。
「ああ....頭痛い.......」
「えっと....あはは.......」
おいキリトは笑ってないで何とかしろよ。
「はい。ご注文の品です。」
NPCが運んできたドリンク。シノンにはカプチーノ、アルゴはトロピカルジュース。ユキはりんごジュースだ。そして俺は.......おれ....は.......
「えっと、ブラックコーヒー頼んだはずなんですが.......」
「ええ、コーヒーでございます。」
目の前には綺麗なカップとその下にしかれている皿。カップの中に液体が入りながらも底が綺麗に見える。
「えっと、これコーヒ「コーヒーでございます。」.......」
それでもコーヒーだと一点張り。
「えっと、いつからコーヒーは透明に?」
「期間限定でございます。」
期間限定のコーヒーが物の見事に透明ってなんだよ?
「えっと、コーヒーの香りがしないんですが.......」
「周りのお客様も飲んでいらっしゃいますので、匂いが紛れているのかと.......」
おい、周りのコーヒーはどんだけ激臭なんだよ?期間限定激臭透明コーヒーってか?ふざけんな
「色の着いたコーヒーひとつ。」
「品切れでございます。」
ッ.......こいつ.......プレイヤーだな?
「お前.......はぁ.......わかった。」
指を鳴らす。コップの中の液体は見る見る間にいらのついたいい匂いのする液体になった。脳内操作だ
「なっ.......ご、ごゆっくり.......」
ざまぁみろだ。ちゃっちな嫌がらせをするからこうなる。そう。俺が勝ったのだ。でもこんなに虚しいのは何故だろう。頭痛い.......ああ、このせいか.......
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「っと.......戻ってきた?」
目の前にアルゴ、朋の顔があった。それどころかユキの顔もある。.......なんで?
「へっ?」
そんな間抜けな声をあげた朋達。理由は簡単。俺が抱きしめたからだ。ユキはタブレットだが.......
「いやぁ、積極的だね〜.......」
と余裕をかましている朋を愛おしく思いながら情報を整理する。
「....赤目のザザ...........それに死銃。カマかけたけど見事にハマったなぁ。」
「ザザ、ね。あいつが今回の黒幕なの?」
「だと思うよ。もしかしたら生き残ってるラフィンコフィン全員がグルかもしれない。」
「そこは要観察だね。」
「お父さんのアミュスフィアのデータ....と、キリトさんから貰った音声....データ。比較しても喋り方、違う.......」
「ん〜.......グルはほぼ確定か、それとも犯人はラフィンコフィンでは無いか.......」
考えれば考えるほどドツボにハマっていく。第1、択達は情報屋であって探偵では無い。よって推理は得意ではない。
「ああ!もう!.......飯だ飯!」
「ぷッ、.......おじさんみたいになってるよ?今作るから待ってて。」
これだから朋には頭が上がらない。というか、夫婦みたいなもんだろ。こんなん.......幸せすぎて死にそう。
「あ、そういえば私も出るから。本戦」
「ッブゥ!.......は、はぁ?!」
口に含んでいたコーヒーをぶちまけてしまいそうになる。それほどの爆弾発言を朋はなんでもないように言ったのだ。
「だからさ?守ってね、あ・な・た?」
大きめのニットを着てキッチンでエプロンをつけるために腕を後ろに回している。そしてその姿のままこちらを向いて笑いかけてくる。もちろんほっぺたは赤い。
「ッ.......」
瀕死になった。死にそうになった。言うだけでは簡単だが、正直この可愛さに勝てるものは他にないだろうと思う。自分の彼女だから補正がかかってる?お前ら、その言葉はこの姿を見てから言え!
「あ、ああ.......守るよ.......」
男は弱い。特に惚れた相手には。その事実を知らしめられた。くっ.......可愛い.......
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「兄さん.......この人を殺せるんだよね?俺と一緒になれるんだよね?」
「ああ.......勿論だ。たの、しみだ........」
暗闇での会合は誰にも知られずに空へ溶けて行った
スランプ故の3000文字.......短くてすまん、とりあえず書き上げたからあげる。これからの更新は不定期でやります。結末が見れずに終わるなんてことはないので根気強く待っていただければ.......
外伝を書いたあとの燃え尽きが尾を引いてる.......