本編をどうぞ。m(_ _)m
さて、今回俺らが参加する本戦。一緒に行動するのがこいつらだ。俺、キリト、アルゴ、シノン。.......これ、チーミングじゃね?って思ったわけ。それをそのままキリトたちに言ったら
「2人組で行動すればいい。俺とシノン、ハキとアルゴで。鉢合わせたらそれぞれ無視で。」
そう言ってきた。それの方がマシとはいえチーミングには変わりない。そしてチーミングが2組居るとなれば過去一の泥仕合間違いなしだ。
「合図は.......あー.......まぁ何とかしよう」
「「「適当(なの)かよ?!」」」
思わずズボラなキリトにツッコミをみんなでしたところで強引に話題を戻す。
「マップって事前にわかるのか?」
「ええ、マップはメールに添付されてたはずだけど.......」
見てみるとそこには1枚の画像があった。見落としてたとは俺としたことが........
落ち込みながらもそれに目を通し、案を出す。
「一旦ここで落ち合おう。敵がいたら殲滅で。できるな?」
「そこはキリトにおまかせで。」
「オイラはハキに働いてもらおうかナ」
女性陣は俺らに任せると....まぁいいけども。
「ユキ、いい子で留守番してるんだぞ。」
頭を撫でながら言うと気持ちよさそうに目を細めて返事をしてくる。
「うん。お兄ちゃんも頑張って。」
さて....と。では行こうか。
ザザ、てめぇはここで消す。
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《転送開始》
自分の体が光に包まれ、ポリゴンのプログラムデータの数字と共に存在が薄れていく。ホルスターから銃を取り出し、剣を構える。
「よっしゃ、暴れるか。」
久しぶりのバーチャル世界での命のやり取り。戦闘狂ではないが、少し心が踊るものがある。普段のゲームでは味わえないこのスリル。
「って心情になれればいいんだけどなぁ」
.......そんな考えはすぐに消えた。言い聞かせなきゃやってけない。こんなゲームなぞ。とりあえず合流が先だ。幸い俺は比較的合流場所に近いようでマップを開くと地形とぽつんと光る俺の位置が目に入った。
「おお....ん?」
近くで音が鳴った。ガサッ.......そんな異音。すかさずハンドガンを握りしめて
「ちょ、ちょっと、やめて!」
そこに居たのは水色....いや、ライム色の髪を持つシノンその人だった。
「あ〜、.......まじか。」
スナイパーというポジション故に移動速度が早い彼女は一直線に集合場所に来たのだろう。
「困ったわね、まさかあんたと同じ場所を集合場所にしてたなんて.......」
「仕方ねぇ.......とりあえずお互いパートナーと会えるまでツーマンセルだな。」
「それしかないわね。」
そう言って背中のでっかい銃を担ぎ直す。
「はぁ....シノン、動くな。」
そう言ってシノンの肩越しに後ろの敵に数発発泡した。新調したハンドガン。調子はいいみたいだ。それだけで相手は怯み逃走を図るが伊達にあのデスゲームをクリアした訳では無い。あの時に培ったVR世界の動き方をフルに活用して一瞬で移動して見事に剣で一閃。
「....驚いた。あのキリトより早いんじゃない?」
「ステータスのおかげでもあるけどな。まぁ多分、技術はあっちが上だろうけど速さでは勝ってるとは思う。」
キリトは効率重視の動きに対して俺は無駄のない流れる動き。似て非なる思想の元導かれた我流の剣術である。もっと詳しく言おう。キリトはピンポイントで弱点をつける。俺はどこを狙おうと一定のダメージ量を与える。技術ではキリトの方が上だが、手数の多さは俺の方が上だろう。
「さて....と。シノン姉ちゃん、囲まれてるようだぜ?」
「ね、ねぇちゃッ.......ああ、もう!ほら、さっさと行ってきなさいよ。」
「ねぇ、扱いが雑なのはいいけどバックアップはしてね?」
「はぁ.......了解。」
そんな呆れた声出さなくても.......
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「早く合流しないと.......」
絶賛キリトは走っていた。つまり、.......
「なんでこんなに集合場所が遠いんだッ!」
そんな愚痴を吐きながらどんどんスピードを上げていく。敵の攻撃を避けるように木々を避けてすり抜けるその姿はもう人外の一言だった。そしてそんな走り方をしたら.......
「っ.......敵かッ!」
人とのエンカウントも避けようがない。
「っ、急いでるのニッ!」
「っ、ち、ちょっ、あぶっ!」
見事にぶつかり合いました。はい。それはそれは見事な放物線を描いてお互い吹っ飛びました。それだけで終わればいいものの、キリトは今までの経験を生かして相手に剣を振るいに行こうとする。相手は起き上がる速さは凄かったものの、反撃の銃を構えない。
「なっ.......き、キー坊?!」
「っ.......アルゴか.......驚かさないでくれよ.......」
「こっちのセリフダ!」
速度的にはアルゴが上。速度重視のステータスなので当たり前だがその速度で当たっていたらダメージは免れなかっただろう。
「参ったなぁ.......」
「知らない仲じゃないだロ?」
アルゴの方からツーマンセルを申し込まれる。それを快く了承したキリト達は移動を始めた。
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「....キー坊。」
自信無さげにそう呼ぶアルゴ。いつも元気でからかってくる彼女を知っている身としては違和感が拭えない。
「ハーくんは.......」
「アルゴらしくもない。どうしたんだ?話なら聞くぞ?」
そう声をかけたのがいけなかったのか、それ以降何も喋らなくなった。躊躇している表情を浮かべ1人で一喜一憂している。紛れもなく彼が彼女を変えた結果だ。
SAOのベータテスト時代、SAO製品版の序盤の頃は取り繕った仮面を決して外そうとしなかった彼女だ。彼と関わるようになって少しづつ自然体だとわかるような行動が目立つようになった。情報屋として休みなく働くアルゴに彼がひとつ『休め』と言えば休む。『愛してる』と言われれば頬を緩まし、嬉しそうにからかう。典型的な仲のいいバカップルだった。今は落ち着いたが、その分、彼女の素の部分が露見している。万人と一定の距離を保っていた彼女は1人.......いや、2人にその内側に入ることを許している。
「(アスナがいなかったら俺も惚れてたかもな....)」
今はそれくらいに魅力的だった。そうしたのは誰でもない彼なのだ。だから応援したい。仲違いなどありえないと分かっているが、それでも気には掛けたい。最近、彼らを見ているとふとそう思う。
「ハーくんは優しいよナ....」
ポツポツと語りだす。その声は消えそうな自信の無い声だった。
「それに強いし、かっこいいし.......」
この時点で察した。自身の価値が分からないのだろう。当たり前のように寄り添ってくれる彼に疑問を持っている。アルゴも人間だ。どれだけ才能があろうが努力しようが自信をつける前に彼の方に目がいってしまう。追いつけない気がする。相手のいい所はわかっても自分のいい所が分からない。誰しも経験したことのある感情だ。
キリト自身も経験したこと。有能なアスナに劣等感を感じ、なんで俺なんかと.......と考え続けているうちに不安が膨らんでいくのだ。
「不安、なんだろ?」
そう問いかけるとアルゴは小さくコクンとうなづいた。それを見て助けようと思った。昔、キリトも同じような事で悩んでいた時、ハキに助けられたからだ。言葉を選んでゆっくりと音を出す。
「昔、俺もハキも同じような事で悩んでいた。お互い相談しあっていたんだ。その大半は傍から見るとただの惚気にしか聞こえないかもしれないけど.......」
そうキリトが言うとアルゴは驚いたのか少し目を見開いた。ハキも同じことで悩んでいたとは思わなかったのだろう。あいつはアルゴの前で弱く見せるのが嫌らしいからな。
そこからはたんたんとその頃のことを喋った。
妖精の国の上空に浮かぶ高い塔の中で彼は唐突に声を出した。
「なぁ、キリト。お前ってベータテストの頃からアルゴのこと知ってるんだよな?」
「ん?まぁな。世話になってたよ。」
戦闘が終わり、キリトとアスナの家でゆっくりしていた頃のことだ。アスナはキッチンで料理を作っていてますます夫婦みが増してきている。
「あの、さ。俺ってアルゴと釣り合ってるのかな?」
「.......初めてだな。俺に面と向かって弱音言うの。」
「初めてじゃねぇよ。.......多分。だけどな、今回、アルゴが夜な夜な電気をつけて色々と何か紙に書いてるのを見つけてな。夜、トイレに起きた時に見たんだよ。そしたらな。びっしりと情報が書き込まれてた。死銃の声の特徴、被害にあった人達の共通点。」
まとめていたのだろう。今までの情報でなにか掴めないか、手探りで。デスゲーム時代にもやっていたのを何回か見た。
「それ見て自分は何呑気に寝てんだ?ってな。自分の大切な人が身を削って努力してるのに無関係じゃない俺は頑張ってる気になって全部アルゴに押し付けてんるんじゃないかって思った。」
「自己嫌悪か?」
ハキは黙った。顔は下を向き目元は見えない。アスナには秘密の内容だが、正直キリトは自分よりアスナの方がこの悩みは適任だと思った。だからアスナが戻ってきた時にはもう所々を隠して事情を話していた。
「.......ハキくんは今までアルゴさんに何を貰ってたの?」
「ぇ.......?」
「好きとかそういう言葉だけでなく、行動でも行為を伝えてくれていたと思うの。」
静かにそう淡々と話すアスナは紳士にハキの目を見て向き合っていた。
「それどころか、好意を通り越して愛すらと貰っていたと思う。好意は見返りを求めるものだけど愛は見返りを求めない。アルゴさんから求めてきていないのならそれはもう愛だよ。」
ハキの脳裏に今までのアルゴが再生される。
「ハーくん、ありがとう」はにかんだ満遍な笑顔で
「さすがハーくんだナ!」何故か自慢げな顔でにしし.......と笑いながら
「たまにはオネーさんに甘えてもいいんだゾ?」慈愛に満ちた、俺の事を心配するような顔で
『なんで?』
そんな疑問が頭に浮かぶ。全てはアルゴから貰っていた献身的な愛だった。ハキを愛する一人の少女だったから。だからその疑問が深くなった。俺のどこがいいのか?俺はそれに何を返せているのだろうか?そんな疑問が頭の中で暴れる。
「これで悩みが晴れないなら.......多分、ハキくんは自分を騙してるんだよ。例えば....自分に自信がないだけとかね。」
ここぞと言うようにアスナは言葉を並べてハキを追い詰めていく。
「自分は仕事をしていない。自分では釣り合わない。これってさ、自信の無いだけだよね?」
「ち、ちがッ.......」
理由も考えも何も無く反射で否定しようとしてしまう。
「一言で言うね。ハキくんの悩みは贅沢だよ。」
「ッ.......」
「普通の人だったらそんなふうには考えない。貰える好意や愛は貰って返すなんて考えない。その関係を維持しようと考えてそのまま時を過ごす。でもね、ハキくんはそれを問題だと捉えた。すごいよ?尊敬するし偉いと思う。」
アスナは少し微笑みながら話した。
「その性格を繊細だと言う人もいるけど、私はそうは思わない。相手を真剣に考えて、自分から変わろうとしてる証拠だもん。」
1呼吸置いて少しお茶を飲む。
「男の人は分からないけど、女の人が愛を示すのは怖いし勇気が要るんだよ。この人は大丈夫、信じても大丈夫って確信がないとダメなの。」
アスナはキリトをちらっと見る。
「それに、アルゴさんもそういうハキくんの優しい所も好きだと思うよ。1番は話し合ってみることだけど男の人って変なところで意地っ張りだしね。」
「いてっ.......」
アスナは隣にいるキリトの脇腹を小突いた。
「うん。ありがとう.......」
少し楽になったかもしれない。自分なりに接すればいいとわかっただけでも良かった。
「..............」
「..............」
「ん?どうしたんだ?」
「いや、泣くとは思わなくて.......」
アスナが困った顔をしてキリトはただ単に驚いている。そして問題のハキは.......
「あれ、ほんとだ.......ッ.......アスナ、ありがとう。キリトお前、いい嫁持ったな.......」
「よ、嫁ッ?!?え?あ、いや.......////」
「だろ?自慢のパートナーだ。」
そんなふうに惚気も見れたところで俺はある疑問を提示する。
「ところで料理はどうしたんだ?」
「「あ.......」」
「ってなことがあってな。まぁ、ハキは自分にはもったいないって思うくらいにはアルゴの事大切に思ってるし感謝してた。」
「そう.......そう、なんだ......」
あからさまにほっとした顔で胸の近くに手を固く握るアルゴの姿を見て力になれたか?と少しキリトもほっとした。
「所で.......そんなこと思ってたなんてナ。ハーくんのやつ、オイラが魅力のない相手を好きになる位軽い女だと思ってたのカ.......説教だナ」
一瞬で悟った。やらかしたと。
元々ハキに口止めされてた内容だけにアルゴがハキを怒ることはキリトにも被害が行く。
「そ、それは勘弁してあげても.......」
「ン?もう1回言ってくれるカ?キー坊。」
「い、いや、なんでもないです.......」
アルゴの背後に見える黒いスタンドから目を逸らしながらハキにエールを贈る。
さて.......作者の今までのあらすじ。
ある日、先生から告げられた。「就職先を決めろ」残酷なお告げに俺は撃沈!学生を辞めたくない!でも未来を考えればやるしか無い!会社を選び、志望動機を書くッ!リテイク!リテイク!リテイクリテイクリテイクリテイクリテイクリテイクッ!計25リテイクだああああああああぁぁぁ!!!これにて文を描く気力が失せたッ!なんだこれはッ!小説とは違い自分の考えを書くなんてなんか、めっちゃムズい!
次回!どうもすいませんでしたああああッ!〜だけたけ、死す。デュ○ルスタンバイッ〜
あとがきをノリだけで書いたこと。伏して謝罪します