「土台作り?」
「まぁ.......資格得たって言ってもその力は体に結構負担かけるからな、その力に耐えれるように、って感じ。」
「なぁ.......その力ってなんだ?後、性格変わってないか?」
「.......記憶..... 記憶だよ。前世の。後、作ってたに決まってるだろ?それともあれが良いか?」
「いや、そのままでいい。」
真面目な顔で言うもんだから笑い飛ばす訳にも行かず.......
「えぇ...と、、、俺の前世はなんだったんだ?」
「ん?それは.......受け継いだ時に知るからいいだろ。」
胡散臭いが.......自分だからだろうか?なんか嘘ついているような感じはしない。しかも、懐かしい.......客観的にじゃない.......自分のものだった気がする。自分は.......俺は何者なんだ?
「始めるか。」
自分じゃない自分は剣を構える。俺は自分の腰にさげてる剣を抜こうとした。が上手く抜けない。真っ直ぐ引っ張ってるのに抜けないのだ。
「な、なんで抜けない!!」
「はぁ.......よく見ろよ。直剣じゃなくて刀だろうが」
耳を疑いながらも見てみた。そしたら俺の初期装備...ではなく刀身の曲がった刀が出てきた。
「そいつは持ち主にあった姿に変わんだ。ほら、あれだαテスター特典ってやつだ。」
「そうなのか.......ってえぇ?!メッチャ強いじゃん!」
「そんなんいいからかかってこいよ」
テンション上がってるとこにそう言われるとさすがにイラッとする。
「.......シッ!!!」
「おら!!!もっと早く!!おせぇ!!」
そう言うと自分じゃない自分は俺の背中に目に捉えられないほどの速さで一太刀入れる。
「グアッ.......なんでそんなに強いんだ?.......自分のはずだろ?.......」
「はぁ.......まだ気が付かねぇのかよ。俺は前世のお前だよ。」
心底めんどくさそうに言う。
「ほらかかってこいよ。こっちではあっちの時間の2倍ぐらいあんだ。要はこっちで2日なにかしてても、あっちでは1日しかたってないんだ。時間はある。俺に一太刀入れろ。器としてはそれで十分だろ」
地獄が始まった。簡単に言うとアルゴよりスパルタだ。うん、これは剣を振る暇もない。これは気が遠くなるだろう。だがやり遂げる。絶対にあの娘を守れるようになるために。
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「お!アーちゃんじゃないカ!」
「あ、アルゴさん、ご無沙汰してます。ハキさんは.......まだ気が付かないんですか.......」
アルゴの顔が歪んだのを見て察したアスナは務めて明るく接した。
「あ、最近あっちの方にラーメンもどきが出る店を発見したんです!!行ってみませんか?」
「アーちゃんは相変わらず食いしん坊だナァ?ニシシッ」
苦笑とも取れる笑いにアスナも微笑みながら案内をする。
「そう言えばアーちゃん、恋人とは上手くいってるのカ?」
「だ、だだ.......誰のことですか?!」
「ニシシッ.......その反応.......いるのカ.......あ、もしかしてキー坊カ?」ニヤリ
しっかりとカマに引っかかったアスナは必死に取り繕おうとする。身振り手振りで説得を試みようとするが....
「ち、違っ、、、違いますよ!!!断じて違います!ぜ、絶対に!!!」
「アハハッ.......思いどうり過ぎて笑いが止まらないゼ....アハハ.......ありがとナ、アーちゃん」
「え?なんのことです?」
「んヤ?なんでもないヨ〜」
そんなこんながあってアルゴはホームに帰ってきた。相変わらずホームに入った途端に気分は暗くなる。最近わかってきた。オイラ.......いや、私はハキのことが好きなんだと.......でもそのハキは意識がないまま。こっちでは何も出来ない歯がゆさに耐えられなくなり、なるべく一緒にいる時間が増えた。情報は集められなくなり、収入はあまりない。簡素な部屋に色々と家具を詰め込みあまりスペースはないしハキはベットを使ってるため、アルゴの寝るところは同じベットになる。
いつもどうり、ハキはベットの上で寝っ転がっていた。
「いつもの事とはいえ、は、恥ずかしいナ....////」
そそくさとベットの中に入り寝ようとした。
「ねぇ?ハキ?.......もう1年だヨ?早く戻ってきてクレヨ.......お願いだから.......ねェ....」
涙をこらえるためにハキにしがみつく。その温もりを感じながらアルゴは今日も眠りについた。
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「はぁはぁはぁ.......やったぞ.......2年かかった.......やっとだ.....」
「フゥ.......ついにやったな、おめでとう。」
前世の俺は手を差し出してきた。俺はそれを掴んで起き上がる。
「あっちでは1年たってるんだっけ?アルゴは無事なのかな?はぁはぁ.....」
「ああ、問題ない。別の人が守ってたみたいだな」
前世の俺は安心させようとしたのかもしれないが、今の俺からしたら逆効果だった。
「ナッ?!誰だ?!そいつ!もしかして.......アルゴの.......うわぁぁー!!!過去の俺!早く返してくれ!!!あの世界に返してくれぇー!!」
「お、落ち着け!とりあえず力を.......」
「そんなの知るか!!いてもたってもいられん!!」
これが全く聞こえてない.......一切聞こえてない。ので手刀を打ち込んだ......はずだった。というのも受け止めたのだ。死角から襲ってくる気配を頼りに。
「成長したな.......あーぁ...これでお別れか.........拓、お前は守りきれよ?絶対にだ」
そう言うと過去の俺は光となって俺の中に吸い込まて行った。多分これが力の継承なんだろう。
ズキッ.......
「ッ.......頭いてぇ.......これは..過去の俺の記憶か?.......」
フィードバックしたのは血だらけの女の子。アルゴではない。だが昔、愛おしく思っていた子.......
『ぅぁ.......うっ....うわぁぁー!!やめろ!!辞めてくれ!!俺から何も奪わないでくれ!!お願いだ!!!』
容赦なく流れていく血の海。
『うわぁぁー!!やめろぉぉー!!!!やめてくれ!!!もういいだろ!!俺から奪わないでくれ!!!』
俺の頭の中に入ってきたのは悲しい物語と才も無いのに剣で戦い抜いた男の物語。
「そうか.......そうだったのか.......過去の俺.......いや、虚白、お前は.......わかった、守り抜く絶対にだ。だから安心して眠れ.......」
右目だけから涙を流しながら、決意を新たにする。
血まみれの少女.......アルゴに似た少女を見据えながら出口へと向かう。
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「はっ.......戻ってきたのか?」
久しい風と色。景色何もかも考え深い。そして甘い匂い..........ん?甘い匂い?ギッギギィィ.......という音がなりそうなほど恐る恐る右横に顔を向ける。何もなかった。
「フゥ.....」
安心したのもつかの間。起き上がろうとすると体に何かがしがみついているような感覚があった。うん?なんだ?これ.......
「え?」
黄色い何かが見えた。アルゴだ.......ってぇぇぇぇー?!?!待って?!え?!アルゴさん積極的ぃー!!.......じゃなくてだな!!!え?どういう状況?!ってか離してくれないんだが?!
試行錯誤していると...
「んんー.......ハー坊.......」
アルゴの目は涙で濡れていた。抵抗する気も無くなり、一言だけ声をかけた
「ゴメンな、ただいま、アルゴ」
終わりが.......ぐだったぁー............................いやね?俺はこんなつもりじゃなかった。うん。でもね、こうなっちゃった。うん。まぁ、最後まで見てくれてありがとう!