特に今回はオッドアイ少女の動きが難しく、上手く書けませんでした。
「【
「...誰?」
昨夜の美少女に会ったと思ったら、急に知らない人の名前を出された。
...いやマジで誰?
俺の記憶にそんな名前の人はいないぞ。
記憶の奥底を探ってみても、【クラウス】なんてカッコいい名前は出てこない。
「有名人なのか?」
「はい」
短い言葉で返されたが本当に誰だが分からない。
なのに目の前の少女は、知っていて当たり前みたいなオーラをこちらに向けてくるのだが....
「...悪い、知らない」
「本当に知らないのですか?」
俺の答えが信じられないのか、疑うような言い方で少女が聞いてくる。
...本当に知らないぞ。
「期待に応えられなくて悪い。そのクラウスって名前は初めて聞いた」
「そうですか」と風に消されてしまいそうな小さな声、悲しそうな表情。
別に俺が悪い訳ではないのに罪悪感が圧し掛かる。
「あー...その、手伝おうか?」
「...」
「そんな表情されて『はい、さようならー』ってもの夢見が悪いしな」
言ってなんだが、臭い台詞に恥ずかしくなって頭を掻く。
そんな姿を少女はじっと見つめ、俺は顔を逸らす。
「「...」」
時間にして数十秒。
互いに一言も話すことなく時間が進む。
「...お願いします」
「お、おう」
まさか本当に頼むとは思わず、驚きながら返答した....のだが、次に出てきた少女の言葉で吹き飛んだ。
「ですが、その前に___
___私と戦ってください」
「...は?」
少女が構える。
足を開き、拳を構える少女は妙に様になっているが...
「なぁ、普通いきなり戦ってくださいとか言うか?」
「普通でないと理解しています」
「なら」
なら、何で戦おうなんて言うんだよ。
そう言いたかった、でも言えなかった___
「__行きますッ!」
「ちょっ、まっ!」
___否、言わせてもらえなかった。
少し離れて構えていた少女は、気が付けば俺の懐で拳を振りかぶって
「__ハァッ!」
勢いをそのままに拳を突き出した。
「あが...ッ!」
拳が空気を切り裂く音と聞こえたと思えば、ズッシリとした衝撃と痛みが身体を襲った。
足が地面から離れ、吹き飛ばされて地面に叩きつけられてから、やっと彼女に殴られたのだと自覚することが出来た。
「ゴホッゴホッ...クッソ、いきなり何すんだよ!」
理解できない。
いきなり殴りかかって来た少女も、あの細い腕から出る馬鹿力も全く理解できない。
いや、今はそんな事を考えている場合じゃない。
痛みを我慢して立ち上がる。
「__イイーッ!?」
立ち上がった自分の目の前には拳。
身体を無理やり逸らして回避する...が
「ま、待て! もう無理! 死ぬ死んじゃギャ"ア"ァ"ァ"ッ"!」
その日、清々しい朝の公園に、全く似合わない鴉の様な叫び声が響いた。
...
..
.
「...何処だよ。ここ」
見たことのない部屋に部屋中にあるトレーニング器具。
見覚えのない部屋で目覚め、混乱する自分を深呼吸して落ち着かせる。
...なんか、似たようなことがあった気がする。
そんな事を思いながら、体を起こした。
「痛ッ!」
身体...特に腹が痛む。
あの少女に殴られたからだろうが__
「___もう少し手加減をしてくれても良かっただろ」
「すみません」
「...い、いたのか」
「はい」という短い返答。
愚痴を聞かれ、少し恥ずかしくなる。
「あー、そのだな...」
目を逸らし、頭を掻く。
そんな俺を少女はじっと見つめ、言葉を待つ。
無関係な俺が、彼女の事情に顔を突っ込んでもいいのだろうか?
...いや、もう無関係ではないか。
俺は手伝うと言ったんだし、殴られたんだ。答える答えないは関係なしに、聞く権利はある。
「どうして俺と戦ったんだ?」
「それは...」
少女が口を開いた少女の表情に迷いが見えた。
きっと、話すか話さないかで迷っているのだろう。
「...」
「別に答えたくなければ答えなくていいぞ?」
「いえ、手伝ってもらうのですからこれくらいは」
...変なところは律儀なんだな。
〈フンス〉といった感じで気合を入れた少女の表情からは、迷いが消えていた。
「...私は、強くなりたいのです」
「今でも十分強くないか?」
「この程度ではまだ足りません」
これ以上強くなるとか、どんな化け物を目指してるんだよ。
「大会での優勝でも目指してるのか?」
「...違います」
「んじゃあ、【覇王】とかってのか関係してるのか?」
「はい」
短い返答。だが、強い意思を感じさせる返答を少女はした。
「過去、諸王戦乱の時代。【オリヴィエ・ゼーゲブレヒト】と言う武技において最強を誇った王女がいたんです」
そこから始まったのは、古代ベルカとか言う聞いたことがない国の聞いたことのない昔話。
オリヴィエと言う王女と、クラウスと言う王の悲しい過去。
正直、理解しているかと言われれば半分も理解していないのだろう。
何せ、俺はこことは違う世界から来た異世界人。彼女の話す【古代ベルカ】と言う魔境と比べ平和な世界で育ったのだ。故に【聖王のゆりかご】なんてトンデモ兵器知らない。
「弱かったせいで。強くなかったせいで、彼女を救えなかった....守れなかった。
そんな数百年分の【彼】の後悔が私の中にあるんです」
「__っ」
少女の目から涙が流れていた。
「だけど、この世界にはぶつける相手がもういない。救うべき相手も、守るべき国も世界も...!」
頬を伝った涙が、少女の手の甲に落ちる。
「...」
ただ、時間だけが進む。
でも、俺には彼女になんて声をかければいいのか。どう行動すればいいのか分からなかった。
.
..
...
「...ぁ、すいません」
落ち着いたのだろう。
少女は、まだ涙の残る赤い瞳を裾で擦りながら言った。
「急に言われて、信じられないですよね」
上目遣いで少女が言う___そう
...って、違う違う。
少女は何を思って俺に話してくれたのだろうか?
彼女が話した【古代ベルカ】の、彼女に残る彼の
自分の記憶以外を持った少女が今までどれ程大変な日常を送って来たのか、それは俺には分からない。でも、一つだけ分かることがある。
「信じるさ」
「...信じてくれるのですか?」
てか、泣きながら話したことが嘘だったらびっくりだわ。
「あぁ。と言っても、俺にも人には話しにくい事情があるから信じられるんだ」
頬を人差し指でかく。
「俺たちがあった公園。俺、気が付いたらあそこに居たんだ。
だから、お金も土地勘も無し! おまけに何でそこに居たのかも分からない。
お前と同じくらい...じゃないかもしれないが、信じられないだろ?」
「気が付いたら? 記憶喪失なのですか?」
「あ、そういう訳じゃないんだ」
言葉が足りなかったか。
「記憶も常識もしっかり覚えてる。
ただ...こう、バスに乗ってたら途中で寝ちゃって、起きたら知らない場所だったー、って感じ?」
...?
説明してる自分でも何言ってるか分からんぞ?
「ま、まぁ。記憶はあるから! ダイジョーブ!」
親指を出して、グッドとやる。
「なら良いのですけど、これからどうするんですか?」
「え゛?」
一言。
少女の言葉一つで、俺の思考に氷河期が訪れた。
「お金、無いんですよね?
何処かに泊まるにしてもお金が必要になりますし、また公園で野宿するつもりですか?」
「そのつもりだけど」
出来ればバイトをしたい。
だが戸籍がない=履歴書が書けない という現状で雇ってもらえる店は無い。
あったとしても【THE☆クロノ組織】と言わんばかりの方々がお出迎えする職場だろう。
バイトをしない→金が手に入らない→飯が食えない→そして☆死ぬ☆
「...」
泣きたくなった。
現状の救いのなさに
「...泊まりますか?」
「マジ?」
「はい、私の家で良ければですが」
年端のいかない少女の家で厄介になる。
冷静であれば断っていたであろう誘い___
「お願いしますッ!」
___そう、それは冷静であればの話しだ。
アイン何とかさんに秒殺された人(名前決定)
一発殴られたのに動ける一般人(?)
転生特典なんてないはずなのにこの性能はおかしくね? と作者に思われながら書かれた。
【拾われた】× 【気を失って連れてこられた】〇 と言うストーリー。
地味にタイトル詐欺じゃね? と思ってしまうが、深く考えても仕方がない。
PS.仁王2のせいで遅れるかもしれません。おのれ蛇ィ