魔法先生ネギま!大空、来る!!   作:カツ丼55

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 お待たせしましたーーー!!第2話どうぞ!
 京都弁難しい!!


第2標的 ネギま!side 来る!

 

 「ふんふん、ふふ、ふんふふ~ん♪」

 

 カードを切る音と共に少女の鼻歌が部屋に木霊する。この少女の名前は近衛木乃香。茶色がかった黒髪に前髪を一直線に切った姫カットが可愛らしい、大和撫子。少々物騒なとこも有るが(汗)

 ここ麻帆良学園の学園長、近衛近右衛門の孫娘である。

 

 「おニューのタロットカード~~~」

 

 ご機嫌の理由は新しく購入したタロットカードのようだ。占いグッズに目がない彼女らしい。

 どうやら同居人であり親友の神楽坂明日菜と10才の少年でありながら木乃香達の担任であるネギ・スプリングフィールドは不在のようだ。

 普段はネギと明日菜で賑やかな部屋だからか一人でいると少々寂しいらしい。ついつい独り言が増えてしまう。

 

 「何占おうか悩むな~~♪勉強?天気?運勢?うーん…………」

 

 新しく開けたのは良いが何を占うか悩んでいるようだ。

 

 「そや!出会いを占おう~~!」

 

 年相応の乙女らしいものに決まった。

 

 タロットカードを正しい手順で準備し終えると、三枚のカードをクロスを引いた机に並べる。

 結果は………………

 

 

 「運命の出会い有り、や。きゃ~~っ!」

 

 いやんいやん、と興奮し紅潮した頬に手をあて頭を左右に振る。

 

 良縁が来るとでたようだ。

 

 「ネギくんも無事試験合格出来たし、幸先ええな~♪」

 

 ネギの試験というのはまあ正式な教員になるためのものであり、その内容がかなり困難なものであった。麻帆良学園女子中等部2-Aをビリからビリから脱却させるというもの。

 こういえば簡単そうに見えるが、2-Aにはバカレンジャーという不名誉な称号を与えられた5名が存在する。

 成績上位者の貯金を使いきるほどの猛者たちだ。これによりビリを脱却させるのはかなり困難なことになる。

 ちなみにさっき紹介した木乃香の同居人で親友の神楽坂明日菜もその1人、バカレッドだ。

 

 何だかんだで明日菜達、バカレンジャーと担任であるネギが試験当日まで行方不明になるなどの事件もあったが無事ビリを脱却するどころか初の1位に輝くことが出来た。

 

 結果オーライと言えよう。

 

 と2年最後の3学期を思い返していると携帯から着信が来た。

 

 開いて確認するとそこには『お爺ちゃん』と出ていた。

 

 「もしもし~」

 『おお、木乃香。いきなりですまんが学園長室に来てくれんかの~』

 「ホンマ急やね。どうしたん?」

 『頼みたいことがあっての~、構わんか?』

 「ええ~(ちょっと、いやかなり嫌な予感がするな~。お爺ちゃんが頼みたいことをぼかす時は大抵厄介なことが多いし。お見合いとか)」

 

 『頼む~!老い先短い爺のためを思って~!』

 

 「んも~、またそんなこと言って。まだまだ元気やないの。わかった。今からそっち行くね」

 

 しゃーないな~、と溜め息を一つ吐く。こういうときの近右衛門は頑固なのだ。

 

 『おお!ありがとう!まっとるぞ♪』

 「ついたらトンカチな♪」

 

 『フォ!』

 

 ちょまっ、という焦った声を聞かず電話を切る。哀れなり近右衛門。

 

 「明日菜達そろそろ帰ってくる時間やったけど、入れ違いやね。書き置き残しとかんとなあ」

 

 さらさらっと書き置きを残すと制服に着替え部屋から出ていった。

 

 

 

 

 

     

 

 

 

 

 

 

 

 机に置かれた大空とデフォルメされたライオンのタロットカードが一瞬光ったように見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 「ええ~、また見合いやの~~」

 

 学園長室に着いた木乃香は想像通りの頼みごとに不満の声を上げた。

 

 「この前も凄い年の離れた人とのお見合いやったやんか~」 

 「許してくれ木乃香!ほら、年上の包容力とか魅力的じゃと思ったんじゃ!」

 

 トンカチを取り出すと、慌てて弁明をするが全然弁明になっていない。包容力云々は分かるがだからといって一回り二回り年が離れた奴を持ってくるな。そいつロリコンだろ!全然安全じゃない。明日菜のようにオジコンではないから当然木乃香の好みから外れている。

 

 この今にもトンカチで小突かれそうな老人こそ、麻帆良学園学園長 ぬらりひょ、間違えた。ル○将軍、違う。近衛近右衛門その人だ。「ひどくない儂泣いちゃうよ…」こいつ本当に人間か?と思うくらい伸びた後頭部が特徴だ。

 木乃香に見合いをさせるのが半ば趣味になっており、その度木乃香を困らせている。(木乃香はその度トンカチで小突いているのだか懲りない)

 その正体は関東魔法協会の理事長を勤めている学園最強の魔法使いである。孫を大切にしているのは確かであり、見合いを進めるのもとある事情があるからだ。

 

 「もう、お爺ちゃん!私ももう子供やないんよ!好きな人くらい自分で見つけれるて言いよるやん!」

 

 頬をプクっと膨らませ不機嫌そうに近右衛門に言う。怒ってます!といった感じだか、可愛らしい。

 

 「分かっておる」

 

 と、近右衛門は突然顔を引き締め、噛み締めるように同意する。

 

 「ど、どうしたん?」

 

 祖父の変わりように驚く木乃香に近右衛門は続けて話す。

 

 「分かっておるんじゃ、じゃがどうしても心配なんじゃ……。何か、あったらと」

 「儂も長く生きとるがいつ死ぬか分からん。儂が死んだあと、木乃香を守ってくれる者を探したいんじゃ」

 

 普段の飄々とした態度は鳴りを潜め、慈愛と焦燥を混ぜたような眼を木乃香に向ける近右衛門。

 何だかかんだで近右衛門のことを慕っている木乃香は安心させるように「大丈夫やよ」と言葉を放った。

 

 「私には、親友の明日菜が居るし、クラスのみんなも居るし。まだ小さいけどネギくんもおるやん。セッチャンモ、それに不安そうなこと言うとるけどトンカチで小突いても死にそうにないお爺ちゃんも居るやん!大丈夫やって」

 

 

 そう、少しも不安なんてないとふわりと微笑んだ。お日さまのように暖かくて包み込むような笑顔を。

 

 それにつられて近右衛門の剣も和らいだ。

 

 「やから、見合いしなくていいやね~」

 「ふぉ!」

 

 が、自然に見合いを断ろうとする木乃香に焦ったものに変わる。

 

 

 「待っとくれー!後生じゃ~!爺、一生のお願い!」

 「お爺ちゃんの一生は何回あるんよ、この前も言うてたやん」

 「本当に、本当にお願いじゃ!この通りっ!」

 

 と取りつく島がない木乃香に土下座を敢行する。威厳もなにもない。

 

 「また、年の離れ過ぎの人とかやろ~。嫌やで~」

 「今回は違うぞい!木乃香と同い年の子じゃ!」

 

 予想外の言葉に一瞬、木乃香の思考が止まる。オナイドシ?

 

 「ホンマなん?」

 

 と再度確認する。疑っている、無理もない。

 

 「本当じゃ!これが今回の相手の写真じゃ!」

 

 近右衛門に1枚の写真を渡される。今だ訝しく思いつつ、写真を見る。

 

 

 

 そこには

 

 

 

 

 

        

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 原っぱで同い年や年上、年下の人たちと笑いあう明るい茶髪の少年が写っていた。

 

 少年は髪が重力を逆らうように逆立っており見方では爆発しているようにも見える。

 転んだ状態で写っているが無様には見えず、何であろうか、少年のことを何も知らないというのに、らしいというか、少年の人柄が伺えるようだ。

 彼の日常を見事に切り取った、写る人たちも心から笑っているのが分かる。1人、離れてブスッとしているが、見てる者の心にも幸福が訪れそうな1枚。

 

 「わぁ……」

 「優しそうな少年じゃろ?」

 

 写真を見て心がほんのりと暖かくなるのを感じた木乃香。

 

 近右衛門も思わず声を上げる木乃香にそう問いかける。

 

 「うん、ホンマに優しそうな人やわ~」

 「木乃香よ」

 

 また、飄々とした態度を消し真剣な表情で何度目かの返事を問う。

 

 「頼む、受けてくれんか」

 

 木乃香はお見合いとか関係なくこの優しそうな少年に会ってみたいと思った。

 

 「ええよ~、受ける」

 「おお、本当か!では早速先方にも連絡するわい!」

 

 いそいそと準備に取りかかる近右衛門。

 「じゃあ、帰るなぁお爺ちゃん」

 「おお、気を付けてな」

 

 扉に向けて踵返そうとして、ふと手に持ったままの写真に眼を落とす。

 

 「なぁお爺ちゃん、これ貰っていいん?」

 「フォ?おお、良いぞ良いぞ」

 

 ありがとなぁ、と微笑み今度こそ踵返すと学園長室の扉から出る。不思議と持っていたくなったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 木乃香が部屋を出てから暫くしてから、近右衛門ははぁ、と一息ついて椅子にドカッと座りこみ体中の力を抜いた。

 

 そして

 

 「すまん、木乃香」

 

 

 と噛み締めるようにように呟いた。

 

 「ともあれ、彼と合流させるのは完了じゃ。次に移行せんとのぅ」

 

 続けてそう溢す近右衛門の顔は苦渋に満ちていた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 「もうそろそろ来るぞい」

 「はあ、緊張するなぁ」

 

 木乃香はドキドキと高潮する胸に手を持ってきて当てる。何気に同い年の人とのお見合いは初めてであり、流石に緊張しているようだ。

 

 そう、時は過ぎお見合い当日となっていた。

 

 梅の花をあしらった綺麗な着物に着飾っている木乃香はとても愛らしく仕上がっている。

 

 そんな緊張している木乃香を近右衛門が微笑ましく見ていると、スッと障子が少し開いた。

 

 「!(来たっ!)」

 

 少々崩れた姿勢をピンと戻す。と、突然

 

 

 ドカッ!

 

 

 とした音とともに件の写真の少年が転がり込んで来た。

 

 

 「うわぁ!」

 (わあ!)

 

 

 少年と一緒に驚くが、いてて、と溢す少年に慌てて手を差しのべる。

 

 (写真と同じやぁ…)

 

 と、クスッと笑みが漏れる。

 

 

 

 

 

 

 

 「大丈夫?」

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 





 女性キャラ書くの初めてで戸惑った。ちょっと可笑しいかも知れませんがご容赦を!

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