鬼滅の刃 人と記憶の物語   作:雷電風雨

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第弐拾柒話 那田蜘蛛山戦開始、護柱隊も活躍(?)

「カァー!カァー!護柱隊二通達ゥ!

那田蜘蛛山ヘ向カイ威力偵察ヲ行エェ!遭遇シタ場合戦闘モ許ス!

負傷ハ許スガ死亡ハ許サン!」

 

那田蜘蛛山、既に何十人もの隊士が行方不明となっている山。

十二鬼月が存在する可能性が高く、

その調査のために護柱隊を向かわせるとの事。

既に太一と水葉が先に山に向かっているが、鬼の情報はまだ無い。

 

「じゃあ、行ってくる」

 

虎咲、真菰、陽菜、風華が蝶屋敷の門の前に立つ。

 

「えぇ、恐らく私も後から行くでしょう。その時まで持ち堪えてください」

 

「何だ、俺が死にかけるって言ってんのか」

 

虎咲は不機嫌そうにしのぶを見る。

 

「実際、虎咲君何回も死にかけてるでしょ」

 

陽菜のツッコミが虎咲に刺さる!虎咲のメンタルはボロボロだ!

 

「ソレハベツダロイシカワサン」

 

虎咲の声が極端に小さくなる。相当なダメージを受けているようだ。

 

「もう行こうよ、こんなとこで駄弁ってても意味ないでしょ?」

 

真菰が急かす、陽菜も風華も賛成のようだ。

 

「じゃあ行くか〜」

 

「はーい」

 

間延びした声とは裏腹に、

とんでもない速さで四人は那田蜘蛛山へと向かったのだった。

 

〜那田蜘蛛山〜

 

「た、助けて…」

 

ある一人の青年隊士が山道に倒れていた。

そこに箱を背負った少年と猪の頭を被った少年と金髪の少年が駆け寄る。

 

「大丈夫か!どうした!」

 

箱を背負った少年は心配になり声をかける。

だが青年隊士は、何かに引っ張られるように空中へ投げ出される。

 

「あああ!繋がっていた!俺にも!助けてくれぇぇえええ!」

 

青年隊士はそれ以上言葉を発する事もなく、山の奥へ消えていった。

その後残ったのは、三人と風になびく木々の音だけだった。

 

〜那田蜘蛛山西部〜

 

既に山に入った虎咲と真菰は、西側から警戒にあたった。

 

「なぁ真菰、なんかおかしくないか?」

 

「虎咲もそう思う?おかしいよね。

鬼がいないのに隊士が行方不明になるなんて」

 

虎咲は何かに気づいたように抜刀する。

 

「こういう風に上に隠れてる奴がいるからか」

 

ー翼の呼吸、伍ノ型、集翼九連ー

 

虎咲は真上に弾幕を放ち、その場に立ち続ける。

しばらく経って落ちてきたのは、

木の枝と驚いた顔で固まった女の鬼の首だった。

 

「何で…わかったの…」

 

「殺気だ、それを隠せなければ自分が死ぬ。覚えとけ」

 

「殺気…ね…まぁいいわ…私は死ぬから…」

 

鬼はそう言い残しこの世を去った。

 

「ねぇ虎咲!」

 

先行していた真菰が虎咲を呼ぶ、

真菰が指差す先には人の大きさはある繭だった。

その繭に何が入っているかははみ出ている刀の鞘で分かる。

 

「あの鬼がやったのか…そりゃあ大勢行方不明になるわな」

 

真菰はいつの間にか繭に向かって合掌している。

虎咲もそれに合わせて繭に一礼し、その場を後にしようとする。

 

「真菰もう行くぞ、俺達の仕事は死体回収ではない。だからー」

 

虎咲はそこで一回言葉に詰まるが、そのまま言葉を続ける。

 

「繭を吹き飛ばそうとするんじゃありません」

 

そこには一心不乱に繭を斬ろうとしていた真菰がいた。

 

「やっぱダメか〜…あんまり強く斬っちゃうと

中の死体も斬っちゃうかも知れないからなぁ」

 

「まぁそこは隠の人達に任せよう、俺らの仕事じゃない」

 

「そうだね」

 

二人はさらに山の奥へ向かう。

そこには箱を背負った少年と、猪の頭を被った少年が何かと戦っていた。

その相手は、何かに操られているような鬼殺隊士が数名だった。

虎咲と真菰は瞬時に抜刀、

二人は何かに操られている隊士に目掛けて突入する。

 

ー翼の呼吸、壱ノ型、雲煙過眼ー

 

ー水の呼吸、壱ノ型、水面斬りー

 

「クソッ!何だこの状況は!」

 

「落ち着いて虎咲、操られているようにしか見えないから鬼の仕業ね」

 

比較的落ち着いている真菰は、1人の女性隊士に声をかける。

 

「貴女、名前は?」

 

「尾崎…早く逃げて!みんな殺してしまう前に!」

 

尾崎が刀を横に振るうが、真菰は仰け反って回避。

 

「うっわ危ない」

 

「階級が上の人を連れてきて!早く!」

 

尾崎の腕があり得ない方向に曲げられ、

ゴキッという音と共に尾崎が悶える。

 

「もう大丈夫よ、虎咲!背中を!」

 

「ああ!わかった!」

 

ー翼の呼吸、全翼無連・避人ー

 

無数の弾幕が尾崎達に向かって飛翔するが、

その弾幕に人を傷つけることはできない。

糸が切れたように尾崎達が倒れ、真菰に抱えられる。

 

「真菰、下山して隠に引き渡せ。その後は蝶屋敷に直行だ」

 

虎咲に催促されて真菰は尾崎ら三人を抱えて下山しようとする。

 

「わかったわ、炭治郎君によろしく」

 

「え?誰だって?」

 

「あの箱を背負った子よ、私の弟弟子」

 

「あぁ、わかった」

 

真菰はそのまま虎咲の元を離れ、一直線に下山する。

 

「真菰さんっていうんですね、強い方でよかったです」

 

尾崎は真菰の背中で礼を言う、真菰はここである事を伝える。

 

「ねぇ尾崎さん、護柱隊って知ってる?」

 

「いえ、知りませんが…何ですかそれは」

 

「私達が所属しているんだけど…

簡単に言うならなら柱と同等の隊士集めた部隊かな」

 

それを聞いた時、尾崎の顔は固まった。

 

「それってつまり…真菰さんって柱なんですか?」

 

「まぁね、護柱隊は私の他に五人。

さっきの虎咲は護柱隊隊長兼翼柱なの」

 

「もう柱が来たって事でいいですか?」

 

「うん、難しいと思うからそれでいいよ。

もう喋らない方がいいと思う、傷に響くよ」

 

「お気遣いありがとうございます」

 

その後尾崎は意識を放棄し、次起きたのは一週間後であった。

 

〜那田蜘蛛山〜

 

「あー鱗滝さんの弟子の炭治郎って君かい?」

 

「そうです!階級癸の竈門炭治郎です!」

 

(元気いいな)

 

虎咲は炭治郎から視線を横に動かす。

 

「で、そこの猪は?」

 

「嘴平伊之助だ!お前は何者だ緑野郎!」

 

(お、ぶっきらぼうな野郎だな)

 

「翼柱、戸山虎咲だ」

 

「こさく?小作人か?」

 

「違えわ猪、全国の小作人に謝ってこい。虎に咲くで虎咲だ」

 

虎と聞いて伊之助が少し怯むが、すぐに立て直す。

 

「俺はもっと上の警戒をしてくる。お前らもしっかり戦えよ」

 

「戸山さん!ありがとうございます!」

 

虎咲は炭治郎に手を振って応えた。

 

〜産屋敷邸〜

 

「そうか、お疲れ様。もう下がっていいよ、太一、水葉」

 

「「御意」」

 

報告が終わった二人は産屋敷邸を後にした。

 

「どうやら十二鬼月がいるのは本当みたいだ、

柱を行かせなくてはならないようだ。義勇、しのぶ」

 

「「御意」」

 

「人も鬼もみんな仲良くすればいいって姉が言っていたんですけどねぇ…」

 

「…無理な話だろう、鬼が人を喰らう限り」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〜おまけ〜

 

「冨岡さん、姉とはどこまで行ったんですか?」

 

「お前も聞くか、何もしていないぞ」

 

「嫌われてるからですか?」

 

「しのぶ、あれはどう見ようと嫌われているとは思えないが」

 

 




原作突入!いやー早かった!
ネタ切れした私が悪いんですけどね!

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