#IF·FUTURE   作:冠龍

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※sは全長、hは体高、wは体重



ワニ目>クロコダイル亜目>リンドヴルム科…

 《リンドヴルム科》

 

 ―概要―

リンドヴルム科は1億年後の地球において、大繁栄を遂げたワニ類の一派。先祖譲りの卓越した適応力や、完成された身体能力でもって度重なる環境変動を生き抜いてきた。やがて人類紀から7500万年後頃に気候が整い、さらに陸上生態系に空白が生まれると、積極的に陸へと進出し、瞬く間に生態系の頂点へと登り詰めた。

 

適応放散の具合は凄まじく、2足歩行を行う種もいれば4足歩行を行う種もおり、食性も虫や果実を含む雑食から大物狙いの肉食までと幅広く、加えて全長1m未満から9mに迫る種さえ存在する。代表画の1種が肉食性の大型種リンドヴルム/s4.5m,h1.2m,w350kg―で、本種はヨーロッパを手中に収めている。他にも、脚に蹄を進化させた変わり種のレウクロッタや、2足歩行のグライアイがユーラシア大陸全土へ分布を広げている。なおレウクロッタは走行に適した草原を好むが、リンドヴルムとヴィーヴルは環境を選ばない。そんな両者が棲み分けていられるのは、歩行形態とそれによる獲物の違いによる所が大きい(前者は四足、後者は二足)

 

リンドヴルム科は3科に分けられる。

・Ⅰリンドヴルム亜科

・Ⅱヴィーヴル亜科

・Ⅲレウクロッタ亜科

これ以外にも数種類の原始的な仲間が存在するが、九割五分が上記3科に属している。明確な先祖は不明で、現状は小型のクロコダイル亜目から進化した事しか分かっていない。ⅠⅡⅢの中ではリンドヴルム科が初期に登場し、レウクロッタ亜科やヴィーヴル亜科は後発である。だが最大勢力はⅠで、ⅡとⅢを合わせた属数の1.5倍を誇る。

 

 ―形態―

 

・頭部

多くのクロコダイル亜目が横に平らな頭部をしているのに対し、リンドヴルム科は縦に厚みのある頭部をしている。これは抵抗の弱い空気中で激しく悶る獲物を安全に攻撃するためで、獲物を咥え留めるのではなく、一瞬にして息の根を止めるか肉を噛み切るのに使われる。(詳しくは生態で後述)

 

歯は先端が全て鋭い。形状自体は骨を砕く円錐形であったり、肉を切り裂くナイフ状であったり、その中間であったりする。それらには明確な鋸歯が存在するので、どの種が獲物を食べたのかを食べ残しから特定できる。雑食性の種では奥歯に相当する臼状の歯も見られる。

 

知能は爬虫類の中でも高く、単純な序列や数量を認識し、狩りでも群れを成して行うことがある。考えうる中で可能な戦術(待ち伏せ、追跡、etc)の多くを使用するため、獲物のバリエーションに富む。繁殖期や縄張り争いでも聴覚や視覚に訴えかけるディスプレイを盛んに行い、例えばリンドヴルムでは5つの鳴き声を使い分ける。

 

五感はどれも優れている。

とりわけ視覚は先祖よりも大きく進歩し、眼窩が斜め前を向いているおかげで立体視が可能。この特徴は系統に関係なく大型種ほど顕著で、小型種は側方寄りの視野を残している。一部の種では吻部が視界を妨げないように削れており、ワニ類よりもティラノサウルス類や猛禽類に近い顔立ちである。

 

聴覚や嗅覚は先祖と変わらず鋭敏。空気中から音を聞き取る能力はもちろん、下顎や足裏から伝わる超低周波音を感じ取る能力も依然として保持している。ただし哺乳類のように高周波の音を聞き取る能力は低い。嗅覚について先祖から変化したことは少ないが、一部には開放鼻孔を獲得した種もいる。また嗅覚は獲物を探すためだけではなく、マーキングによる仲間内でのコミュニケーションにも使われる。

 

全身が鱗に覆われているため触覚は比較的弱いが、口先の圧力センサーや下腹の熱センサーは高性能である。圧力感知は対象に噛み付く際や子供を持ち運ぶのに役立てられ、熱感知は陸上での体温維持に役立てられている。

 

味覚は基本的に塩味、旨味、刺激(苦味と酸味)の4つを持ち、過食部位を判別するのに使われる。例外ながら小型種には甘味を感じる種も存在し、彼らは果実なども好んで食べる。しかし水中の魚類や両生類を狙う種は少ない。

 

下顎の付け根には先祖から引き継いだ一対の臭腺がある。ここから意思表示に使う匂い物質を空気中へ放出するか、もしくは周囲の物へ擦りつけて臭いを残す。これは哺乳類のように糞尿でアピールできないため、その代用として進化した。

 

 

・四脚

最基盤の数種類や初期のリンドヴルム亜科の2種では、後肢のみが直立状態で、前肢は中腰に近い。これらの少なくない種は地下に巣穴を築くため、あえて直立させていない可能性がある。それでも大半は哺乳類のような直立姿勢で大地を闊歩している。前肢と後肢では後肢のほうが太く長い。走り方はギャロップのため、どこか先祖の走り方を彷彿とさせるものがある。

リンドヴルム亜科やヴィーヴル亜科は足先にイヌ科のような先の鈍い鉤爪を持ち、これをスパイク代わりに使う。異質なのがレウクロッタ亜科で、彼らは足先に有蹄類そっくりの蹄を進化させた。過去にも肉食動物で蹄を進化させた種は存在したが、レウクロッタ亜科は数としても分布としても、以前の有蹄肉食動物を凌ぐ繁栄を遂げた。これは1億年後の地球では、走行性能の高い捕食動物が有利に立つ条件が整った事が要因らしい。

前肢は形態の差が著しく、中には鋭い鉤爪で木に登る種類も存在する。とはいえ樹上では、トカゲ類(例はヤクルス)や哺乳類(例はネコ科)がニッチを強固に治めているため、そこで繁栄している種は少ない。

 

・胴体

背びれを備えた種類や皮骨性の鎧を残した種類もいるとはいえ、その殆どが皮骨を退化させている。中でもレウクロッタは、一見せると背中に一列の棘が走っているようにしか見えない。

ダックスフントよろしく胴長の種類もおり、それらは下生えや地下のトンネルで獲物を探す。

 

・尾部

半水棲の祖先とは打って変わり、陸棲オオトカゲのような丸い断面の尻尾になっている。付け根に尾大腿筋が発達していて、後肢を効率よく動かしたり、敵を思い切り弾き飛ばすことができる。リンドヴルムの場合、その威力は小動物が即死する程。

 

 ―生態―

本科は内温性(中温性)のため、非常に活動的な陸棲動物である。だがⅠⅡⅢでは狩りの方法が大きく異なるため、順にそれぞれ記述する。

Ⅰリンドヴルム亜科

リンドヴルム亜科は亜科内部でも形態や習性の違いが激しい。いうなれば人類紀の食肉類(ネコ目)で、ネコ科のように獲物を奇襲するものもあれば、イヌ科のように群れで団結するものもある。そうかと思えばクマ科のように力と持久力で獲物をねじ伏せたり、イタチ科よろしく万能のものもいる。

リンドヴルム亜科は親指に大きな鉤爪を持つものと持たないものがおり、代表格よリンドヴルムは持つ種類。大爪は相手を取り押さえるのに使われる。(ネコ科の親指に似ていなくもない)

リンドヴルム亜科は全長1m〜9mと大きさも幅広い。そのため狩りの方法も前述の通り幅広い。

 

Ⅱヴィーヴル亜科

ヴィーヴル亜科は、さながらテタヌラ下目の獣脚類(例はアロサウルス)を思わせる姿をしていて、狩りの戦術も似ている。彼らは2足歩行を利用して獲物へ素早く追い縋り、無防備な背中目掛けて強烈な一撃を叩き込む。初撃は上下の顎で繰り出されることもあるが、上顎だけを振り下ろして行われることもある。やがて酷い裂傷を負った獲物は倒れ、襲撃者は食事にありつく。

ヴィーヴル亜科は多くが全長3mを超える大型種で構成されているため、狩りの方法に大きな差異はない。(細かな顎や前肢の使い方は別)

 

Ⅲレウクロッタ亜科

プリスティカンプススやメソニクス目(無肉歯類)のように特殊化した足先のおかげで、大地を縦横無尽に駆け回ることができる。

狩りでも獲物を疎林帯や草原で物色し、ひたすら追い回して弱らせる。バテたところを一気に攻め立て、顎と歯だけで獲物を噛み殺す。派生的なレウクロッタおよびその近縁種では、歯が無根歯(齧歯類の切歯のように一本の歯が一生伸び続ける)となっているため、鋭利さを保ちながら、獲物を乱雑に噛み砕く荒業が可能である。

レウクロッタ亜科は全長1m〜4mとややや幅があるものの、多くが疎林や氾濫原、そして草原で暮らすため狩りの方法に大差はない。(狙う獲物の大きさだけが異なる)

 

《内容は随時更新予定》

 


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