ハリーポッターと忘却のハルピュイア   作:カネナリ

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昨日は予約投稿をミスって投稿出来ていないけど気にせず投稿だ!


08

彼と彼女は昼食を食べ終わった

先程まで寝ていたためかあまりお腹は空いていないようだ

彼も同様心が満腹なのでそこまで空腹感はない

 

午後の授業は「変身術」だ

彼はそこに向かう前に彼女と教科書を取りに寮に行った

彼はまだ授業が始まって一日目なのに寮を行き来するのを億劫に感じている

何度も急な螺旋階段を昇り降りするのは良い運動になりそうだ

レイブンクローにデブが居なくなるだろう

 

しかしいちいち取りに戻るのも面倒だし時間も食う

その為か上級生のなかに手提げ鞄やバッグを持ち歩いている人を見かけた

彼のように教科書を持ち歩いているのだろう

彼は自分しか居ないと思っていたが意外と存在した

大量に収納できる物は案外珍しいものではないと世間知らずの彼は知った

 

螺旋階段を昇り寮につながる扉の前に立った

彼はドアノブに手をかけるが開く様子は見られない

 

「どうしました?レンくん」

 

彼女が彼に近づいて尋ねてきた

彼が扉が閉まっていると彼女に言おうとしたとき鷲のドアノッカーが喋りかけてきた

 

「問おう、解錠魔法(アロホモーラ)の呪文を最も使用する者は誰か」

 

「…アロホモーラ?何ですか、それ」

 

鍵を開ける呪文だ、と彼は言った

 

「へぇ、泥棒さんに悪用されそうですね」

 

「正解だ。入って良いぞ」

 

泥棒が答えだったのか扉が開いた

どうやら寮に入るには毎回問いかけに答えなければいけないようだ

なんというセキュリティーだ

勉のないものには入ることは許されないのか

 

「…開きましたね」

 

そうだな、となんとも微妙な顔で彼女に言葉を返した

彼と彼女は扉を潜りレイブンクローの談話室に入った

 

「それでは私、教科書を取ってきますね」

 

彼は行こうとする彼女を呼び止めた

渡すものがあると彼はトランクから肩掛けのポーチを取り出した

このポーチはトランクの中に入っていたが正直使いどころが無く何も入れていない

これもトランクと同じく魔法がかかっている

小さいが教科書ぐらいなら入るだろう

 

トランクが重いならそれを使えという話だがトランクにしか入らないものがある、とだけ言っておこう

 

「私が貰っても良いんですか。こういうの、結構貴重な物では?」

 

彼はトランクしか使いそうにないしトランクの中で肥やしにしておくのは勿体ない

それに彼女は初めての友達だ

お近づきの印にもってこいだろう

 

彼はそこまで貴重な物では無いさ、と言い彼女に手渡した

 

「ありがとうございます。……何気に友達からプレゼントされたのって初めてです。大切に使いますね」

 

彼女はポーチを大事そうに胸に抱えて教科書を取りに行った

それでは肩に掛ける紐の意味が無いのだが

 

彼は談話室に置いてあるソファーに腰掛け彼女が戻ってくるのを少し待つことにした

そこにタイミングを見計らっていたのか上級生らしき人が彼に話しかけてきた

 

凛とした出で立ちにいわゆるお嬢様ヘヤーと呼ばれる髪型と相まっていかにもな人だった

身長は高く彼の頭二つ分ぐらい差があるだろう

まだ十代であるのに少女と言うより女性と呼称した方が合っている

そんな人がその誠実で清らかな瞳を彼に睨み付けるかのように向けている

 

「君がレーニン=ヒートニーか?」

 

彼は自分がレーニンであることに同意した

 

「私の名はカリスタ=コルーダ。好きに呼んでくれて構わない。早速だが、君のことが噂になっている。さっきの子を医務室に連れ込んだと」

 

あれから二時間程度しか経っていないのに噂が出回るのが早いなと彼は思った

弁解として彼は連れ込んだのではなく友達である彼女の体調が優れなかったので連れていったことを話した

彼はやましいことなど何もしていない

ただ頬を撫でたり唇をなぞったりしただけだ

 

「ほう、友達が、か。だが君は?体調を悪くしたのではないのだろう?あの子を医務室に連れていったら君は教室に戻れば良いじゃないか。それなのに君は戻らず医務室に居た。一時間と十数分の間、何をしていたんだい?」

 

随分と彼を疑っている

その容姿通り厳格な性格のようだ

その瞳をより一層吊り上がらせ彼に問い質している

彼が教室に戻らなかったのは彼女が帰らせてくれなかったからだ

もちろん彼も彼女と一緒に居たかったのもあるがこれらを目の前の人に言ったら確実に面倒なことになるだろう

 

そこで彼は医務室に居た女医さんに彼女の看護を手伝って欲しいと頼まれたから、と言った

別に彼は頼まれた訳ではない

女医さんに「この子の事、ちゃんと見ててあげなよ」とかそんなニュアンスで言われただけだ

まあ面倒を見るという点では看護というのはあながち間違いではないだろう

 

「なに、女医さんだと?ということはマダムが医務室に居たのか。……あの人が噂のようなことを許す訳が無いな。すまなかったなヒートニーくん、疑って悪かった。私としたことがマダムのことを失念していたよ」

 

吊り上がっていた目尻を下げて何故か不満そうな顔になった

額に手を当て首を振りながらため息をついた

何がそこまで残念なのだろうか

 

「はあ、なんだ、ただの友達か。噂は消しておくから安心したまえ。マダムが居る限り無理だとな」

 

彼は疑いが晴れて嬉しいことを伝えた

 

「それはそうとして、だ。先程からあの子が扉に隠れてこちらを窺っているが、本当に友達か?」

 

彼女は人見知りの気がある

きっと知らない人が彼と話しているのを見て出てくるのを躊躇っているのだろう

彼は貴女を怖がっているのでは、と言った

かなり失礼である

 

「ぬぅ、そうか。ならば私は離れることにするよ。どうしたものか、髪にリボンでも着ければ良いのだろうか

 

ぶつくさ検討違いのことを呟きながら去っていった

リボンを着ければ愛嬌は出るだろうがイメージがぶっ壊れるので止めておいた方が良いと彼は思った

 

何はともあれ去っていったので彼女がやって来た

とてもぎこちない動きで彼の前に立った

一体どうしたのだろうか

 

「あの、レンくんと話していた方は誰なんですか?なんの話をしていたのですか?」

 

友達が奪われるとでも思ったのであろう彼女は不安げに彼をを見つめている

これは下手なことは言えないなと彼は思った

なので彼はあの人は上級生でとても親切な人であったと言った

彼が迷っていると思ったようで場所を教えるよと話しかけられたと彼は嘘をついた

 

……それなら、まあ、大丈夫かな?そうなんですか。親切な人も居るもんですね」

 

取り敢えず納得したようだ

彼はこの話題を話続けるのは得策ではないと思いポーチの使い心地はどうか彼女に聞いた

 

「あ、そうでした。このポーチすごく便利ですね!教科書を全冊入れたのにまだまだ入りそうです。それに重さを感じません」

 

そのポーチはそういう物だ

彼女は気に入ったようだ

だがまあそのポーチは肩に掛けるタイプなので彼は彼女の手からポーチを取り彼女の肩に掛けた

彼は彼女にこっちの方が似合ってる、と言った

 

「そ、そうですか。じゃあこっちの方で使いますね」

 

彼女はモジモジしながら嬉しそうにはにかんだ

彼は左手でうなじをさすった

その可愛らしい姿はずっと見ていられるがそろそろ時間だ

「変身術」の授業に間に合わなくなる

 

彼はソファーから立ち上がり彼女の手を取って扉を潜った

「変身術」の教室は一階の中庭付近だ

 

彼と彼女は教室へ向かった

 

 

 




罪悪感さん誤字報告ありがとうございます。助かります。

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