一般人でも弾幕ごっこはできると証明したい!   作:ルーラル

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 そろそろ終盤に近づいてきましたね。
 原作で言うところの四面です。
 そして第十五話でございます。


第十五話『三人姉妹の騒霊演奏隊』

 

 

 

 

「まさか結局一人で行くことになるとは……」

 

 僕はそう言ってため息を吐いた。

 魔理沙さんも霊夢さんも、行動の脱線が過ぎるきらいがあるように思える。魔理沙さんは友人との喧嘩に脱線して、霊夢さんは迷い家の略奪に脱線して……。

 

 あんな人達で本当に今回の異変が解決できるのか、甚だ疑問である。実際に、異変の黒幕の手掛かりは何一つ得られていない状態だし。

 

 ——だが、一つだけ。

 手掛かりとまではいかないが、異変の調査に役立つような情報があるのだ。

 

「確か霊夢さん、上空に行けば行くほど暖かくなってるような気がするって言ってたよな……?」

 

 霊夢さんの勘というか、直感。

 しかしその正確性は舌を巻くほどであり、今までの修行中に何度も驚かされてきた。そんな霊夢さんの勘が、()()()に目をつけているのだ。

 

 そんな彼女の直感を信じて、さっきから僕はどんどん上空へ飛行の高度を上げ続けている。以前までの僕なら真っ青になる高さだけど、意外に慣れたものだ。

 

「一度魔理沙さんに雲の上まで引きずられたことがあったからな……」

 

 博麗神社で修行を始めてから数ヶ月ほどの頃。

 元気な声で遊びに来た魔理沙さんは、僕を雲の上まで連れて行ってやると言って、物凄いスピードで僕を引っ張り飛ばしたことがある。危うく高所恐怖症になりかけたものだ。

 

「あれは本当……ん……? 何か——」

 

 そこで、僕は周りを見渡す。

 

 ——チラチラと舞う、いくつかの()()()()()

 

 思わず飛行を中止する。

 周りに桜の花びらがフワフワと飛んでいるのだ。

 

 何でこんな上空に桜の花びらが舞っているのか。

 幻想郷は依然として冬の雪景色に包まれている状況で、桜なんかどこにも咲いていない筈だ。

 

「……な、何が——……雲の、上?」

 

 僕はそう言って上を見上げる。

 視界に映るのは、()()()()()まばらに降り注いでくる桜の花びらである。

 

 一体なぜ雲の上から……?

 まさか雲の上に桜が咲いているとでも言うのか。地上にすら咲いていない桜の木が。

 そして、同時に思い出すのは霊夢さんの言葉だ。

 霊夢さんの直感が言うような——雲の上に何かがあるかもしれない、という感覚。

 

「上空に行けば行くほど暖かくなってると霊夢さんは言ってたよな……」

 

 つまりは、雲の上に春があるという事。

 正直どういう事なのか分からないし、自分で何を言っているのかも分からない。

 だが、異変の重要な手掛かりがあるのは確かだ。

 

「……よし、行くか」

 

 僕一人で行くのは少し緊張するけれど。

 フゥ、と息を吐いて腹を括る。

 

 そして、飛行角度をグンと上に向けて、雲の先へ進み始めた。まるで霧の湖のように視界が真っ白になっていく。

 霊夢さんの言う通り、だんだんと外気温が暖かくなっているのを感じる。防寒具を付けていては暑いくらいだ。

 

 ——やがて、雲の上まで突き抜けた。

 

「!!」

 

 雲の上は幻想郷の地上とは真逆の光景だった。

 冬の真っ白な雪景色などはどこにも無く、春の暖かな日差しと気温に包まれていた。

 

 特に異様なのは、周りにたくさん舞う桜の花びら。

 雲の上から降り注いでいたと思っていた桜の花びらは——更にその上の、真っ暗な闇の入り口から降り注いでいたのだ。

 

「何だアレは……結界か?」

 

 それを見て僕はそんな感想を呟く。

 まるで、幻想郷とは異なる世界へと繋がっているような——言うなれば、幻想郷と隔てていた結界が開かれたように、異界への出入り口が存在していた。

 

 どうやらそこから桜の花びらが降っているらしい。

 霊夢さんの言っていた雲の上よりも、更にその上にある異界への出入り口に、異変の重要な手掛かりがあるように思えた。

 

 いや、手掛かりというか……。

 これもう答えでしょ。

 

「恐らく、あの結界の向こう側に異変を起こした黒幕の本拠地がある、のかな……?」

 

 異変を起こした黒幕の本拠地。

 延々と春が訪れない異変——即ち、幻想郷の春をどこかへ持っていった黒幕は、多分この結界の先に居るのだろう。

 

 どうする、霊夢さん達を呼んでくるか?

 しかし、その間も幻想郷から春がどんどん奪われてしまっているのだ。あまり悠長にしている時間は無いように思える。

 

 先に僕が敵の本拠地へ潜入しておくか。

 一人だけで黒幕の腹の内へ潜り込むのは危険だけど、この状況では仕方ないのかな……?

 

 

 こんな風に、優柔不断な僕はそんな二つの選択肢を決めきれないでいた。

 そんな時。

 

 ——不意に、楽器の音が聞こえてきた。

 

「……ん?」

 

「こんな所に人間が……?」

「アレじゃない、姉さん? 私達の他にもお花見に呼ばれた人じゃないかしら?」

「冥界に人間が呼ばれるの?」

 

 目の前に現れたのは、楽器を持った三人の少女。

 全身を黒で統一した金髪の少女が一人。

 また、全身を薄桃で統一した水色の髪の少女が一人。

 また、全身を赤で統一した茶髪の少女が一人。

 

 三人がそれぞれ多彩な音色を奏でながら、宙に浮いている。見たところ人間の気配は感じないけど……妖精か何かの類なのか? 妖怪ではなさそうだけど。

 

「君達は?」

 

「私はルナサ」

「その右がメルランで〜」

「そしてその左がリリカだよ!」

 

 プリズムリバー三姉妹——と自己紹介をしてくれた三人の少女達。名前じゃなくて種族的なことを知りたかったんだけど、とにかく僕も自己紹介をし返した。

 

「僕は古谷日向だ。君達はこんな所で何を?」

 

「私達は騒霊演奏隊で、お呼ばれに来たの!」

「これからお屋敷でお花見をするのよ。それで私達は音楽で盛り上げるの」

 

 僕の問いにはリリカとメルランが答えた。

 騒霊——幽霊とはまた違うのだろうか。精霊のような立ち位置の女の子達なのかな。名前の通り、楽器を持って演奏しているけれど……。

 

 しかし、お屋敷でお花見か。

 物凄く怪しいな。恐らくはこの結界の先にある()()()とやらでお花見をするんだろうけど。リリカが『冥界』って言ってたか?

 

「冥界には今、桜が咲いてるってこと?」

「そういう事だ。……けど、私は貴方が気になるな」

 

 すると、ルナサが細い目でそう言った。

 

「冥界に人間が呼ばれるとは思えない。だからこそ気になる——一体何でここに居るのか教えて欲しい」

「……えっと」

 

 ルナサの問いに、僕は必死に頭を回転させる。

 まずいな、この子は存外鋭いみたいだ。

 

 そもそも冥界というのがよく分からないけど、死んだ霊魂達が行き着くあの世みたいな感じの世界なのかな。冥土の世界という言葉があるし。

 あの結界は顕界と冥界を隔てるためのものだったのか……そして、恐らくは異変の黒幕が住んでいる所。

 

 冥界の人物が幻想郷の春を奪ったという事だ。

 一体どういう理由でそんな異変を起こしたのかはまだ分からないけど、情報はしっかりと得られた。霊夢さんの勘はバッチリ当たっていたらしい。

 

 あとはこの三人をどう言いくるめるかだな。

 冥界に人間が招待されるのは考えにくいのだとすると、どんな言い訳をするべきか。

 

「——僕は作庭業を営んでいてね。桜の木を引き立てる様なお屋敷の庭の作庭に関わっていたから、それで呼ばれたんだ」

 

「白玉楼にもちゃんと庭師は居るぞ」

「そもそも貴方みたいな人間が呼ばれてるなんて、私達は聞いてないよ?」

 

 ルナサとリリカが僕の言い訳をバッサリと切り捨てた。うーむ、機転を利かせた言い訳を考えるのは難しいな。

 

「実は僕も音楽の演奏ができるんだ。お花見を盛り上げるために、君達の他に僕もお呼ばれしたんだ」

 

「今さっき作庭がどうのこうのって言ってたじゃん」

「何だか怪しいわね、この人間」

 

 僕の言葉を聞いて、リリカとメルランは怪訝そうな表情を浮かべて言う。隣のルナサも、眉を顰めて僕を疑わしげに見てくる。

 

 どうやら言いくるめるのは無理らしい。

 というか、この状況において適切な言い訳を考えるのは難しすぎるだろ。何を言っても彼女達に怪しまれる選択肢しか存在しないようだ。

 

「この人間はお花見を邪魔するかもよ、姉さん」

「分かってるメルラン、彼は見るからに怪しい」

「雑音は消さないといけないね」

 

 そして、ルナサとメルランとリリカの三人はそう話し合うと、こちらに敵意を向けてきた。先ほどから奏でていた音色は厳かなものに変わり、彼女達の周りに楽器が浮遊し始める。

 

 ——そろそろ本格的に戦闘が始まるようだ。

 

 魔理沙さんや霊夢さんはいまこの場に居ないから、二人の時のように一瞬で決着がつくような終わり方にはならないだろう。僕一人の力で、しっかりと撃退しなくてはならない。

 

「僕としては君達と一緒にお花見に行きたいんだけど」

 

「それは無理だ。貴方はお呼びじゃない」

「そもそも演奏もできないでしょう?」

 

 三人がそれぞれ配置に着き始める。

 見たところ、三人で一緒に『弾幕ごっこ』を始めるようだけど……果たして実力の程はどうだろう。

 本当に僕一人で勝てるのかどうか。

 

 背後に魔法陣とマジックアイテムを用意する。

 彼女達の最初のスペルカードは、できればボムを使わずに様子見でいきたいかな。終盤に手強い弾幕を放ってくる可能性もあるし。

 

「でも……ここで貴方が死んじゃったりしたら、結局は私達と一緒に冥界に行くのよね?」

「ハハ、怖い事は言わないでほしいな」

 

 何やら恐ろしい事を言って首を傾げるメルランに、僕は苦笑いのみで返した。

 

 

 ——そして、ルナサがスペルカードを宣言する。

 

「騒符『ライブポルターガイスト』!!」

 

「ご、合同のスペルカードなのか……!?」

 

 発動したのは合同スペルカード。

 まずルナサを筆頭に、三人が音符の形をした弾幕を撃ち出してきた。メルランとリリカがルナサの後ろに着いて、赤い小玉の弾幕を放射状にバラ撒いていく。

 

 それと同時に、ルナサが赤黄青緑の四色の音符を薙ぐように撃ち出していき、それらはやがて鱗型の弾幕となって僕をホーミングしてきた。

 こちらに迫ってくる弾幕を眺めながら、僕は思考する。

 

 ——さて、まずは気合避けだ。

 勘頼りの避け方については、魔理沙さんの教えや霊夢さんの修行のおかげで身体に染みついている。

 弾幕を全体的に把握するのは難しいから、目の前の弾幕を一つずつゆっくりと躱していく事が大事なんだっけ。

 

 『弾幕ごっこ』の重要なポイントを頭の中で整理しながら、目の前の弾幕を躱していく。

 

「初っ端から手強いな……!!」

 

 まず何と言っても、自動追尾してくる鱗型の弾幕が鬱陶しいのだ。スピードはゆるりとしているが、ただでさえ密度の高い赤の小玉に加えて、寸分狂わずこちらを狙ってくるホーミング弾がかなり厄介である。

 

 ルナサの自動追尾弾幕を誘導して躱しつつ、メルランとリリカの弾幕に注意を向けるのは至難の技だった。

 ——だが、霊夢さんとの修行がここで活きてきた。

 

「よっ、と……!」

 

 死角からこちらに迫ってきた弾幕を、僕は反射的に身をのけ反らせ、紙一重で回避した。

 

 反射的に体が動くのはかなりやりやすい。

 霊夢さんの弾幕を目隠しで避けるという、虐めとも言える過酷な修行は——良くも悪くも、僕の体の芯まで本能的な恐怖を植え付けたらしい。

 

 あの無茶苦茶にキツい修行が無意味では無かった事を実感し、戦闘中ではあるが思わずホロリと涙が出てきた。

 

「わ! あの人間何か泣いてるよ!?」

「私達の弾幕に怯えてるんだわ……!」

 

 ギョッとしたリリカと勘違いをするメルラン。

 そして、前線に居るルナサはと言うと。

 

「……くっ…………!」

 

 僕が撃ち出している弾幕をくらい続けているせいか、着実に体にダメージを積み重ねていた。

 

 基本的に『弾幕ごっこ』は移動をあまりしない方が良いため、開始から僕はずっとルナサの前に位置していた。火力面ではあまり自信が無いけど……それでもずっと集中砲火をしていれば、嫌でもダメージは積み重なる。

 

「メルラン、リリカ! 次のスペルカードの準備をしろ! 私が時間を稼ぐ!」

「! 分かったわ姉さん!」

「私達に任せて!」

 

 すると、一枚目のスペルカードが終了する。

 何とかこちらもボムを使わずに攻略できたらしい。そこそこギリギリだったのは事実だけど。

 

 そして、メルランとリリカが後方に退避。

 前に出ていたルナサが通常弾幕を撃ち始めた。

 

「これもこれで厄介だな……!」

 

 ルナサの通常弾幕は、青色や赤色の楕円型弾を列状に繋げた弾幕を、いくつかに分けて複雑に交差させながら撃ち出すというもの。

 

 しかし、慎重に避け道を見極めればそう難しくはない。密度こそ高いものの、スピードはゆっくりなので落ち着いて弾幕の軌道を読むことができる。

 弾幕を躱しつつ、僕はルナサに話しかけた。

 

「そろそろキツいんじゃないのか!? こんな戦いは終わりにして、僕をお花見に行かせてくれ!」

「……っ! まだ終わりなんかじゃない! 偽弦『スードストラディヴァリウス』!!」

 

 そう言ってルナサが個別スペルカードを発動。

 

 またもや音符を場にバラ撒くと、赤色と青色の自動追尾弾幕を交互に放ってきた。いくつもの小玉弾が至近距離でジワジワとホーミングしてくるため、依然変わらず油断はできない。

 

 しかし、これもゆったりとしたスピードのため、比較的避けやすい弾幕だ。レミリアさんのように、速度の速い弾幕の方が僕は苦手だったりする。

 

 そして、着々と体にダメージを負っていくルナサ。

 彼女を叩けば、プリズムリバー三姉妹の合同スペルカードは一気に崩れる。三人の内の一人——つまりはルナサをを集中して攻撃するべきなのかもしれない。

 

 すると、思いの外早く準備を終えたメルランとリリカが、ルナサの後ろに戻ってきた。

 

「姉さん! いつでもいけるわよ!」

「よし、いくぞメルラン、リリカ! ——騒葬『スティジャンリバーサイド』!!」

 

 そして、ルナサが再び合同スペルカードを発動。

 

 まず螺旋状にルナサが色とりどりの米粒型の弾幕を放っていく。正直これだけでも手強そうな弾幕だけど。

 それに続けて、今度は自由に飛び回り始めたメルランとリリカは、ルナサの弾幕に目がけて光線を放っていく。

 

「……? 一体何をしてるんだ?」

 

 ルナサの弾幕を躱していた僕は、メルランとリリカの行動を見て怪訝そうな表情を浮かべた。

 

 そして、思わず顔を歪める。

 二人が放つ光線に触れた米粒型の弾幕は、結晶型の弾幕へ姿を変化させ、軌道が曲がり始めたのだ。

 ただでさえ螺旋状に迫って来る弾幕だけでも厄介なのに、軌道を変えて不規則に弾幕を飛ばして来る。

 

 控えめに言って、とても面倒な弾幕だった。

 これは、普通に避けるのはかなり難しそうだ。ボムを出し惜しみしていれば、あっという間に弾幕に呑み込まれてしまうだろう。

 

 そう判断した僕は、覚悟を決める。

 首にかけてあるパチュリーさん特製の改良型ペンダントを、片手で握った。

 

 ——力を貸してください、パチュリーさん。

 

「魔符『ドレインマジック』」

 

 そう言って僕はスペルカードを宣言した。

 その瞬間、ペンダントの中心に埋め込まれてある紫色の宝石が妖しく輝き、膨大な魔力が流動する。

 

 発動されるのは結界魔法。

 相手の弾幕を魔素に分解する結界を広く展開し、こちらに向かってくる弾幕を全て無力化していく。

 

「げっ!?」

「何よその魔法は!?」

 

 メルランとリリカがギョッとした顔をした。

 

 それもその筈。自分達の合同スペルカードである強力な弾幕が、結界を通り抜けると同時に魔素へ分解され、無力化されていくのだから。

 そして、その大量の魔素は全て僕が吸収する。

 

「一体何を……!?」

「ごめんね、君達の弾幕を()()()

 

 自分達の弾幕が僕の体に吸収されていく光景を見て、ルナサは驚きに満ちた表情を浮かべた。

 

 ——ところで、さっき僕は自分の弾幕は火力に欠けていると説明した。

 だけど、相手の弾幕を吸収した場合はそうではない。吸収したエネルギーを全て使って、僕が持ち得る最高火力の弾幕を撃ち出すことができるのだ。

 

 これが、パチュリーさんの考えた僕専用のボム。

 僕の特殊体質を利用した、ハッキリ言えばズルいぐらい強力なスペルカードだ。

 

「悪いけどくらってくれ!」

 

 魔法陣に莫大な魔力のエネルギーを込める。

 恐らくは、魔理沙さんの持つミニ八卦炉による『マスタースパーク』に匹敵する火力が出せる計算になっている。

 

 そして、僕は紫色の光に包まれた数個の大玉の弾幕を、ルナサに向かって撃ち出した。

 

「————!?」

 

 ドォンと、大きな爆発音が鳴り響いた。

 

 全ての大玉弾に直撃したルナサは、プスプスと全身を黒焦げにしながら落下する。

 弾幕を放つのを中断し、急いでメルランがルナサの体をキャッチした時には、ルナサは目を回して気絶していた。

 

「ああっ! 姉さんが!!」

「や、やられちゃったの!?」

 

 メルランとリリカは顔色を変えて、敗れた自分達の姉に向かって必死に声をかけ始める。

 

 やはり、三人だと手強いけど……一人が崩れるとスペルカードは形を成さないようだ。このプリズムリバー三姉妹の場合は一人倒せば充分であるから、三人全員を倒す必要なんて無いのだろう。

 

 そう考えながら、僕は彼女達に話しかける。

 

「君達のお姉さんはもう再起不能だよ。君達はもう満足に戦えない……ここを通してくれるかな?」

 

「何だったのさっきのスペルカードは! あんなチートみたいな魔法はルール違反だよ!」

「リリカ、よしなさいったら」

 

 リリカが僕のボムに文句を言ってくる。

 残念ながら、このスペルカードの苦情は僕は受け付けていない。このペンダントの製作者であるパチュリーさんに問い合わせると良い。

 

 というか、チートみたいな魔法って。

 やっぱりエグい魔法を考えたよな、本当にパチュリーさんは……。その時はアリスさんも目を丸くしてたよ。

 

「それで? 貴方の目的はお花見ジャックなの?」

「いや、そんなことはないけど……」

 

 メルランの問いに対して、僕は返答に困った。

 そんなことは……あるのかな。冥界のお花見を速やかに中止させて、幻想郷に春を返して貰うのが僕の目的なわけだし。

 

「春を探してるんだ。どこかに無くなっちゃって」

「春ならお屋敷にいっぱいよ」

 

 そう言ってメルランは、冥界の方を指差す。

 

 やはり、そうなのか。

 目的地とやるべき事がハッキリしてきたな。

 このプリズムリバー三姉妹を倒した事だから、後から霊夢さんや魔理沙さんも冥界に行きやすくなるだろう。

 

 いや、ルナサが復活したら再び霊夢さん達に『弾幕ごっこ』をふっかけに行きそうだけど。一瞬でやられないよう祈るばかりである。

 

「教えてくれてありがとうね。それじゃあ」

 

「食料にされないようにね〜」

「あんな奴はいぬにくにされたらいいんだ……」

 

 犬肉って。

 僕は人肉だ——人肉になる気もないけど。

 


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