平和の隠し子のヒーローアカデミア~勝利の象徴~   作:悪・猫

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04.元アメリカNo.1ヒーローの実力

夢を見た―――――――――――そうまるで他人の過去をのぞき込んでいるような悲しい夢。

 

燃える町、夢のはずなのに焦げ臭いにおいが充満し、肺が焼き焦げそうになりながらも必死で僕は走っていた

黒煙から抜けると―――――――――そこには腹に穴が開いた女性とその女性の子供だろうか?4歳ほどの子供を膝においていた

 

「助けてくれてありがとう…ホント、最後はもうあなたに頼らないって言っちゃったのに、頼っちゃった…」

 

黒いダイヤモンドような長い髪を力なくかき分ける女性…その女性の前に立っていたのはまるで戦国時代の鎧を身に纏い、漆黒のマントを羽織った謎の男が倒れかけた女性を支えた

 

「逝くのか?」

 

「うん…もう助からない、あなたを【召喚】するためにすべての生命力を使ったの、こうしてあなたと話せるなんて…思ってもなかった」

 

女性は弱々しく笑いながらも膝においた子供の頬についている埃を優しく拭い取った

 

「馬鹿な女だ、私は警告したはずだ、あいつについてゆくと身を亡ぼすことになると…」

 

「でも”あなたたち”が死ぬ運命は逃れた…そして、今までなかった"もの”が沢山できた、幸せだった」

 

「それがおまえの幸せだったのか?たった数年の幸せのために、この先の未来を捨てるほどの価値だったのか?」

 

女性は漆黒の鎧の男に対し、静かに頷いた…すると、鎧の男は少々、呆れながらも彼女と向き合った

 

「ねぇ、最後にお願いあるの…?」

 

「……聞こう」

 

「もし、この子に命の危険が迫ったり、怪我したりするようなことがあったら…助けて…私の宝物なの」

 

「承知した、ロータスよ、安らかに…安心して眠れ」

 

「うん…ありがとう…”お父さん”」

 

 

 

 

 

 

「ロータス…おまえの最後の願い―――――――聞き届けた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!!」

 

緑谷出久は大量の汗を流しながらも眼を覚ました―――――――――――――――。

 

初めて見る夢…まるで誰かの過去をのぞき込んでいるような感覚に僕はちょっとした恐怖を抱いた

それに…女性の前に立っていた漆黒の鎧の男は………

 

言葉に出そうとした瞬間、胸に強烈な痛みを感じ、ベットにうずくまる…

 

 

痛い―――――――――――――――――――――

 

 

そんな時、僕は気づいてしまった―――――――このことを知らせてはいけない…言葉にしてはいけない、さもなければ…殺されると――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(いったい、何だったんだろう、あの夢は?それにあの【ヒーロー】は…」

 

僕はブツブツと頭の中に考えながら雄英の1年A組に入った、しかし、そこにはちょっと意外な風景が眼に映った

 

 

「緑谷……やっと来てくれたか?」

 

「ジャ…ジャスティス君!?」

 

教室に入った瞬間、そこにはちょっとバテ気味のジャスティス君がそこにいた。

まわりには同級生がたくさんいて、彼に質問攻めしていた

 

「どうしたの!!なんか人気そうだけど!?」

 

「口を滑らせた…個性言ったら、アメリカのヒーローだとバレた…」

 

「当たり前だよ!!!!」

 

初対面の時とは違い、ちょっと天然ぽい側面を見せる彼に思わずツッコミを入れてしまう僕。

当たり前だ、初対面、彼は【完璧】そうに見えた…雰囲気も、何もかもがプロヒーローと言って過言ではなかった

 

しかし、今ではその面影はない、今の彼は何というか、慣れない環境でバテている転校生のようにも見えた…

その時、オールマイトの言葉はやっと現実味を増してきた

 

(そうだった…ジャスティスは…)

 

青春も…友達と遊ぶことがなかった…つまり、それは親と以外との人とコミュニケーションを余り取ってこなかったと言うことだ。

そんな彼にとって、いきなりの学校生活は彼にとって、かなり酷なのだろう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャスティス視線

 

(最悪だ……個性を今、ここで話すべきではなかった)

 

俺は自分の馬鹿さにあきれてものがいえなかった、それもはずだ、帰国して、1年間、バイク免許所得とカウセリング力を入れていたせいか、自分が元アメリカのNo.1ヒーロー【ジャスティス・ヴィクトリー】と言うことをすっかり忘れていた

個性も世間に公表していたこともすっかりと忘れていて、うっかりと個性の名を口にしてしまった結果…俺が【ジャスティス・ヴィクトリー】だと言うことがバレてしまった結果…同級生の質問攻めに遭う羽目になってしまった。

 

そんな時、親父の紹介で昨日出会った、緑谷出久がこの教室に入ってくるところ見て、すぐさまSOSを送った

 

「緑谷……やっと来てくれたか?」

 

「ジャ…ジャスティス君!?」

 

緑谷はちょっと驚いた様子で俺に言った、そんなに老けているように見えるのか、とても動揺しているに見えた

 

「どうしたの!!なんか人気そうだけど!?」

 

「口を滑らせた…個性言ったら、アメリカのヒーローだとバレた…」

 

「当たり前だよ!!!!」

 

緑谷にツッコミを喰らった俺、正直、すまないと思いながらもとにかく彼にSOSを向けた。

そんな時、何名かの生徒が緑谷への方へ目線を向けた、その瞬間、緑谷は硬直した

 

「えっ…えっと…」

 

「おはよう!俺は私立聡明中学の飯田天哉、よろしく!」

 

「えっ…あっ、僕、緑谷出久…よろしく」

 

(おい…緑谷!!助けろ!!おいコラ!!)

 

一時的に視線は緑谷に向いたものの、まだ一部の生徒は俺のほうに注目を集めていた。

 

そこから追加で緑谷の知り合いらしき女性もやってきて、とても助けてもらえる様子ではなかった、そんな時だった…緑谷出久の後ろに横たわる…長い黒髪に無精髭の男…

その姿を見た俺は少々苦笑しながらもその男の正体に苦笑を浮かべるしかなかった

 

まず一言で表すなら親父にとっても、俺にとっても、緑谷出久にとっても【最悪】のプロヒーローであり、教師である

 

「お友達ごっこしたいんならよそへ行け…」

 

「「「!?」」」

 

その一言で緑谷出久と飯田、そして、その女性はやっと後ろにいるプロヒーローの存在気付く。

プロヒーローはブツブツと何かを言いながらもカバンから謎のスーツを取り出し、外へ出ろと生徒たちへ指示を出した

 

(親父……どうすんだよ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体操着に着替えた俺たち一年A組…まさか、かなり手練れのプロヒーローが教師だとは思ってもみなかった

 

【イレイザーヘッド】…オールマイトとは違い、あまりメディアに出回らないプロヒーローである。

 

その理由は仕事に差し支えるためであり、彼の個性【抹消】の能力を十分に発揮するためでもある

イレイザーヘッドは個性【抹消】で相手の個性を一時的に消し去りつつ、相手を拘束する『奇襲特化型のプロヒーロー』である

世間に知られていないのはそんな事情もあるのと合理主義の彼にとってメディアこそ最大の敵なのかもしれない

 

そんな彼が何をしようとしているかはすぐにわかった

 

「個性…把握テスト?」

 

「あぁ、おまえらだってやったことあるだろ?個性使用禁止の『体力テスト』、まあ今回は『個性使用ありの体力テスト』と言うことだ」

 

合理的ではないとかブツブツと言いながらも簡単に説明すると一般入試トップの『爆豪勝己』に個性を使って、ボールを投げてみろと言いつつボールを渡した

 

「死ねや!!」

 

明らかに物騒な声かけと共にボールの爆風を乗せ、かなり遠くへボールを飛ばした。

言葉はヒーローらしくないが、さすが一般入試トップと言えるだろう、記録は705m

 

(705m…か、だが、あんなのがヒーローになっていいのか?しかも死ねって…)

 

正直、あまりいい印象が持てなかった俺は爆豪勝己に対し、そう思ってしまった。

そんな時、イレイザーヘッドは次に俺にボールを渡した…

 

「さて、さっきのが一般入試トップの実力だ…次は元No.1アメリカプロヒーロー『ジャスティス・ヴィクトリー』にお手本を見せてもらおう」

 

「えっ…?俺?」

 

「あぁ…お前のことは既に親御さんに聞いている、お前の個性…今、フルで使えないんだろ?だったら、ここで自分の実力を確かめる必要性あるだろ?」

 

親父の奴、どんな心配性なんだよ…と心の中で不満を吐きながら、俺は丸い円の中へ入った…

 

「【ヒーローソウル】発動…」

 

手をかざし、俺は心に力を入れた……その瞬間、俺の手から真紅と金色の装甲が装着されてゆく…

 

「アイアンマンソウル…Mk.3…」

 

アイアンマンに変身した俺に生徒たちの注目が集まった……

 

【ヒーローソウル】、正義の心のエネルギーで映画や特撮に登場するヒーローへ変身する個性。

正義の心が強いほど、その力は力を増し、性能が上昇してゆく…しかし、俺の心はあの事件のせいでズタボロ状態…せいぜい、原作と同じ程度の性能しか出せないであろう

 

それでも十分だ…俺は両腕掌底部のリパルサー・レイを起動させ、投げたボールに対し、高出力の光線でさらに遠くへ飛ばした…

ボールは明らかに爆豪勝己が叩き出した705mなど簡単に超えて見せた…

 

「結果は?」

 

「900mだ」

 

俺の記録に生徒の皆は驚愕の眼差しを俺へ向けた―――――――――――――

 

「全力ではないとはいえ、これが【アメリカのNo.1プロヒーロー】の実力だ…これで分かっただろ?おまえらとプロヒーローの差が……そうだな、トータル成績最下位の生徒は除籍処分とする」

 

(あっ…やぺ…手を抜くべきだったか?)

 

イレイザーヘッドの言葉に凍り付く緑谷出久を見て、ちょっとまずいことしたかな?と思う俺…

しかし、手を抜けばイレイザーヘッドにバレることは目に見えている、しかし、緑谷出久にとって絶望的な状況にしてしまったのは確かだ

 

なぜなら、あの様子を見る限り、緑谷出久は【ワンフォーオール】を出力制御ができていないつまり個性発動=負傷と言うことだ

だから最初、緑谷出久が親父の継承者と聞いたときは驚いた、なぜなら器はまだできたばかリなのだから…そんな奴が親父の個性を100%の出力で使用すれば…体を壊すに決まっていた

 

(まぁ、親父の見込み違いだろうとは思っていたからな…まあここらで緑谷出久の実力をみるのもいいか)

 

と何かと現実逃避する俺…俺のせいではない!と心に言い聞かせていると…何やら俺へ目線を感じた

なんだろうと恐る恐る後ろを向くとそこには心配そうな眼差しを緑谷に向けつつも「余計なこと!」と俺を睨む親父がいた

 

(いやいや…無理無理!!!手加減したら下手したら俺が除籍処分にされるかもしれないんだぞ!!あのくそ親父!!)

 

文句言いたげの親父に対し、『知るか!』と言いながらも50m走に臨む俺。

俺は再びヒーローソウルを発動させ、あるベルトを呼び出した

 

『ゼロワンドライバー!』

 

『ジャンプ!』

 

「えっ!?」

 

緑谷は俺のベルトを見た瞬間、思わず、その周りいた生徒たちを慌てて後ろへ下げた…

 

『オフライズ!』

 

空から突然降ってくる巨大なバッタ…その巨大なバッタは運動場の地面を滅茶苦茶にしながらもはねまくる

 

「あれも…ヒーローなのか?」

 

「ジャスティス君!!みんなの運動場を穴まみれにするつもりか!!」

 

委員長顔の飯田が叫ぶ――――――――しかし、そんな余裕はない。

俺たちは篩に掛けられている、運動場や他の生徒のことを気にする余裕はない、そんな悠長なことをしている奴らは今後のプロヒーロー生活で生き残ることはできない

 

「変身…」

 

『プログライズ!』

 

 

飛び上がライズ!ライジングホッパー! "A jump to the sky turns to a rider kick."

 

令和最初の『仮面ライダー』…仮面ライダーゼロワンに変身を遂げた俺はバッタの能力をフルに生かし、50mを速攻で駆け抜けた

 

「仮面ライダーゼロワン、令和最初の仮面ライダー…」

 

「もう何でもありだな…あいつ」

 

生徒たちは苦笑しながら、数々の種目を首位で独走する俺を見て言った…

その光景を見た、緑谷は心配しながらも俺を見ていた

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…」

 

全ての種目をこなした俺はペットボトルの水を口に含みながらもため息を吐いた。

すると、あのイレイザーヘッドが俺の隣に並んだ…

 

「まさか、あなたが俺の担任になるとは思ってもみませんでしたよ…『イレイザーヘッド』」

 

「それはこっちのセリフだ」

 

 

イレイザーヘッドとは海外のある『事件』で共に仕事をしたことがあった。

だが、やはり、親父と同じく粗利は合わなかったが、親父と同じく尊敬できるヒーローなのは確かだった

 

「傷の具合はどうなんだ?前の事件…お前も結構重傷だと聞いたが…」

 

「体の傷はどうにもなります…問題は知らぬ間に負った心の傷です」

 

ヒーローソウルは正義の心のエネルギーでヒーローへ変身することができる個性、しかし、あの『プロヒーロー惨殺事件』以降、俺は100%の実力を使えなくなっていた。

 

「やはり、自覚ないのか?」

 

「えぇ…個性はいつも通りの感覚で使えます、ですが力は半分以下と言ったところです」

 

「そうか…なんとなく、オールマイトがおまえをここに任せた理由はわかった。まあ気楽に行こうと言うことだな、おまえはずっと、戦いの中にいたんだ、少しは羽を伸ばすんだな」

 

緑谷出久のボール投げの番……イレイザーヘッドはトコトコと俺の場から離れていった。

 

 

「まあ…心あたりは…あるんだけどな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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