FGORTA逸般人ルート   作:レベルを上げて物理で殴る(強制)

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読まなくても良い話なので初投稿です


とある戦乙女の独白

『――素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公』

 

 煌々と燃え盛る赤い炎、一片の光も落とさぬ曇天、面影残さぬほど崩壊した町並み。

 

『――汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に』

 

 あらゆる生命は断絶した、地獄という言葉が相応しい光景。

 

『抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――――!』

 

 そんな希望のない世界で私は――

 

『ワルキューレ──個体名、オルトリンデです。え……あなたは人間、ですか……?』

 

『でき、た……?』

 

『召喚成功です、勇さん!』

 

『やったぞ、勇!』

 

 私達は、驚き座り込む(運命)に出会った。

 

□■□■□■□■□■□■□■□■

 

「ん……」

 

 心地の良いまどろみの中から意識を浮上させる。上体を起こして割り当てられた自室に備え付けられた時計を見れば丁度日が昇り始めるだろう時刻である事を教えてくれる。

 

 サーヴァントにとって睡眠という行為は必要ないが、それでも人間の生命維持に必須な行為と言うだけあってやはり一度味わえば中々止める事はできないでいた。

 

「なにか、少し卑怯な感じがしますね」

 

 一度霊体化し、再び実体化することで乱れた衣服や髪を瞬時に整えた後に誰に言う訳でもなく呟いてしまう。シルビアさんなどの女性職員の方たちが時間を掛けて整えていることを考えると自分も自力でそういう事を出来る様になった方が良いのだろうか。

 

「……明日からは頑張ってみましょう。はい、ブリュンヒルデお姉さまと大神に誓って」

 

 

 

 

 

 言い訳がましい言葉を残して礼装作りに勤しんで数時間、そろそろ良い時間となってきたのでマスターを起こしに行くため廊下を移動する。

 

「あ、オルトリンデさんおはよう」

「はい、おはようございますカヤンさん。朝早くからご苦労様です」

 

 すれ違う皆さんに挨拶交わしながら私は歩いていく。霊体化して移動したほうが確実に早くマスターのマイルームへは辿り着くだろうけど、今の私でそれはだめだ。

 

 人理を守るサーヴァントとして私は信用はされているけれどカルデアのマスターを心から任せられるほど信頼はされていない、悔しいけれどそれが紛れもない事実だ。だからこそ、しっかり一人一人の方と僅かでも言葉を交わして私の事を知ってもらうしかない。

 

「おはようございます、マスター。起きていますでしょうか?」

 

 マイルームの前で扉をノックし、言葉をかける。小さい事だがそれが人との関係では大切だと言う事を私は学んでいる。

 

「……仕方ありません、失礼しますマスター」

 

 待つ事数分、返事も動きもない。仕方ないとケーナズのルーンを使用して私は鍵を開けて部屋に入る。

 

「そろそろ起きる時間でっ――!?」

 

 ――そして、絶句した。

 

「この時代、家主の断りも無く侵入するのは犯罪らしいぞオルトリンデ?」

 

 セイバー、アルトリアがマスターと同じベッドに入っている。だが、それは良い――いやまあ全く良くは無く、相対的に考えたらマシであると言うだけで決してマシではないのだが。

 

「あっ、アル、トリア? その服は……?」

 

「男と女が二人同じ閨を共にしたのだ、熱くなるのは当然だろう?」

 

 動揺しているこちらを嗤う様に、薄手のネグリジェを着込んだ彼女はかけている布団に肩まで埋まらせる。……マスターに寄り添うように。

 

「――術式駆動」

 

 私は思考よりも先に、ベッドに仕込んでいた眠りのルーンへ魔力を走らせていた。

 

「フッ、無駄だ。私の対魔力のランクはB、いくら神代の魔術基盤から繰り出されるルーンと言えども一工程(シングルアクション)は一工程、私の守りを貫く事などできはしない」

 

 だが、通用しない。彼女の言う通りルーン魔術は一工程の魔術、入念準備などを行っていればともかくマスター相手に用意したルーンではその耐性を貫けるはずが無かった。

 

「というよりも貴様、マスターの布団に何を仕込んでいる。……まさかっ!?」

 

「いいえ、いいえ。他意はありませんそれはただストレス等で寝付けないマスターがしっかりと休息を取れる様に用意した私なりの気遣いという物であって決してやましい事など考えてなどいませんええ、考えていませんとも!」

 

「とか言いながら自分に忘却のルーンをかけているではないか貴様!?」

 

 そうだ、私はそんな事を考えてなどいない。仕込んだ時の記憶はたった今忘れた(抹消した)が。

 

「とにかくです、今すぐそこを退いてくださいアルトリア。そうしないと言うならばこちらも実力行使を行う他ありません」

 

 武装である偽・大神宣言を持ち、神鉄の盾を構えて戦闘の態勢を取る。

 

「良いのか? こんな所で騒げばマスターも飛び起きるぞ」

 

「ご心配ありがとうございます。ですが、マスターにはルーンは通用しているので起きるかどうかという心配は結構――ですっ!」

 

 言い切ると同時に大きく踏み込み、彼女の眼前に向けて槍を突き立てる。 

 

「チィ! 良いだろう、起き抜けの運動として丁度良い!」

 

 が、それは大きく跳躍して回避された事でベッドを半壊させるだけに留まった。

 

 甲冑を纏い、こちらに向けて聖剣を構える姿を見れば彼女も戦闘する事を決めたのを見て取れる。

 

 私たちはお互い武器を構え、同時に相手へと駆け出した――

 

 

 

 

 

「――で、何か弁明はあるかい?」

 

『この人(こいつ)が悪い』

 

「君達は子供か!? 勇君が寝てるのにマイルームを吹き飛ばすなんて……」

 

 呆れと怒りが混じったドクターの声が響く。盛大に部屋を吹き飛ばせば叱責を受けるのは自明の理だった。

 

「今回は厳重注意で済ませるけど、次は無いからね?」

 

「フリですか、ドクター?」

 

「違うよ!? おかしいなぁ戦乙女ってもっとこう……機械的なイメージをボク持ってたんだけどなぁ!」

 

「まあ、そのイメージは間違ってませんね……」

 

 個でなく群。性格という名の特色は持たされたがあくまで逸脱せず大神の命令を遂行する存在、それが北欧の戦乙女というものだ。

 

「では、そろそろ失礼しますドクター」

 

「うん、できるだけ騒ぎは起こさないように頼むよ」

 

「安心しろ、起こすにしても上手くやろう」

 

「騎士王様!?」

 

 呼び止めるドクターの声を背中に浴びながら私達は廊下に出る。

 

「では、私はこれで」

 

 彼女にも同じように別れを告げる。そもそも、問題を起こしたから一緒に居たわけであり、それが終われば分かれるのは必然だった。それは向こうも同じだろう。

 

「ああ、ではな」

 

 彼女も文句はないようで肯定の返事を返す。そして、私達は同じ方向へ向かって足を出した。

 

「……おい、別れるんじゃないのか?」

 

「はい。ですが私はこちらに用事がありますので」

 

「奇遇だな、私もこちらのほうに用事があるのだ。絶対に外せない大切な用がな」

 

「……そうですか」

 

 そこで会話は終わり、ただただ無言で歩き続ける。

 

 とても広い館内となっているカルデアだが爆破による損傷と実際に使われる施設の数から移動する範囲はそこまでではなく、経路によるが大体は三、四回曲がれば目的地に着く事ができる。とはいえ、今回の私の、おそらく彼女の目的も特定の部屋ではない。

 

「フォウ、フォーウ」

 

「ん、アルトリアにオルトリンデか、何か用か?」

 

 だから、二つ目の分かれ道を曲がったところでフォウを連れた、目的であるマスターと出会うことができた。……見つけた時にクラウソラスを投げながら移動していたのは気になったが。

 

「はい。実はですね、マスターに――」

 

「私が剣を教える、付き合えマスター」

 

「……アルトリア?」

 

「順番など決めてないのなら、お行儀良く待つという事も無いだろう?」

 

 私の言葉など意に介さず朝の時と同じ様に、得意げに彼女は笑みを浮かべる。

 

「……では、私はそのあとマスターにルーン魔術を教えましょう」

 

 正直、言いたい事が無いわけではないが既に一度怒られている身ではあるし、何より下手に口論を行ってフォウを刺激するわけにはいかない。

 

「待て、やるとは言ってな……」

 

 マスターが慌てた様にそこまで言った所で足元の床が大きく罅割れる。理由は単純、アルトリアが聖剣を地面に、カルデアの廊下に突き立てたからだ。

 驚きで目を見開いて硬直したマスターの顔をアルトリアは片手で掴んで向かい合わせる。

 

「私が、剣を、教える。いいな?」

 

「……好きにしてくれ」

 

「ザコフォーウ……」

 

 威圧感を隠さず放たれた言葉に抵抗することなくマスターは頷いた。

 

 

 

 

 

「ええい貴様、本当にやる気があるのか!?」

 

「あるに決まってるだろう」

 

 白い雲に澄み渡った青空、空に高々と太陽が浮かぶ草原という綺麗な景色にそぐわぬ怒声が木霊する。

 

「はぁ……私はいつまで待てば良いのでしょうか、ねえフォウさん?」

 

「フォァ……」

 

 先客二人(クーフーリンとアキレウス)を復旧して間もないシミュレーターから追い出し数時間、フォウを撫でて手慰みしながら幾たびも繰り返されたやり取りを眺める。

 

「くっ、もう一度だ! 教えた通りやってみろ!」

 

 アルトリアの声に応え、マスターは黒白の炎を迸らせるクラウソラスを正眼に構える。そのまま、剣身に魔力送り込めばそれに比例して炎も燃え盛り、その力を高めていく。

 

「そうだ、そのまま一気に魔力を放出しろ!!」

 

 指示に従いクラウソラスに溜め込んだ魔力が一気に解放され――

 

「……やっぱり無理だろ、これ」

 

 一飛沫の水を生み出して、剣身が纏っていた炎は跡形もなく消え去った。

 

 しとどに濡れた草花を眺めてマスターがそう言うのも無理は無い。アルトリアが設定したメニューの最後である魔力放出の実践的応用、それに時間の八割は消費している。

 

 最初に行われていた基礎のメニューはあっという間に終わり、後半の応用も本当に最後まではノンストップでクリアしていただけにやはり落胆、というよりもモチベーションが下がるのも無理は無いだろう。

 

「諦めましょうアルトリア。大体、炎の魔剣に水の魔力放出を使用するとか無理があったんですよ」

 

「ンキュ」

 

 フォウを膝から降ろして、私はマスター達の元へと向かう。

 

「しかしだな……教えると言った手前、技の一つくらいは習得させるべきだとは思わないか?」

 

「最初に剣術を教えて……」

 

「型を半分ほど崩され習得されたというのに教えたなどと言えるものか!!」

 

「……すまない、本当にすまない」

 

 マスターに抗議の念を籠めた視線を向ければ謝罪の言葉が返ってくる。マスターが身に着けていた武術に教えられた技術を合わせたのはわかるが、せめてそれは彼女の居ない所でやってほしかった。

 

「だとしても、意義の無い鍛錬を行う理由にはならないでしょうアルトリア。貴女もそれはわかってるはずです」

 

「それはそうだが……」

 

「君の教えを崩した事は心から謝る。だが、俺はその教えだけで十二分なほど感謝している。責任感じて君が意固地になる必要はない」

 

「……仕方あるまい」

 

 あっさりと引き下がったあたり彼女も無茶だという事は理解していたのだろう。それでも頑なに続けていたのは負けず嫌いな性格が悪い方向に出たのだと思う。

 

「だがマスター、これだけは忘れるな。これからも先の特異点でのように剣を取るのならそれは自殺にも等しい。……貴方には戦わないという選択も」

 

 言葉の最後、一瞬だけ彼女は目を伏せる。

 

 きっと彼女はわかっている。その言葉も思いも何の意味もない事を。

 

「――選択だというなら、俺は戦う事を選ぶ」

 

 答えはすぐに返っていった。

 

 迷いの無い、真っ直ぐな言葉。純粋で、淀みなく、狂気的なまでに。

 

「そう、か。……それが貴様の道というのなら私は何も言わない」

 

 甲冑を解いて漆黒のドレスを身に纏ったアルトリアはマスターに背を向け歩き出す。いつもと変わらない声色だが、その表情を窺う事はできない。

 

「そいつの魔術は応用力が要るが使いこなせばその用途は限りない。一句残らず学び取るといい」

 

 その言葉を残して彼女はシミュレーターから姿を消した。

 

「オルトリンデ、俺は返答を間違えたか?」

 

「……いいえ、間違えてませんよ。間違いな訳がありません」

 

 そうだ、間違いの筈がない。

 

『――ああ、届かなかった』

 

 たとえ覚えてなくとも。それがどれだけ歪であっても。

 

『――始まりに戻れるなら俺は』

 

 助けたいという願いは、決して間違いでは無い筈なのだから。

 

「さあ、今度は私との時間です。しっかりお教えしますのでよろしくお願いしますね?」

 

「ああ、よろしく頼む」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 煌々と揺らめく人の魂。その輝きは何よりも強く、何よりも儚い。

 

 故に、私は貴方に付き従いましょう。

 

 光が届かない暗闇を貴方が歩くと言うのなら、底無き絶望の内で貴方が止まらぬと言うのなら。

 

 その優しく美しい輝きが潰えるまで、その残酷で儚き願いを忘れるまで。

 

 私は貴方だけの戦乙女として導いてみせましょう。

 

 それが、(ワルキューレ)(オルトリンデ)をくれた貴方への――




一部スキル説明

投擲

文字通り物を投げる時に効果が発揮されるスキル。投擲時に様々な補正を得る。また、物を投げる事でスキルが成長する。

アンケート締め切るので失踪します。

これからの小説パートとRTAパートの割合について

  • ああ~(今の割合が丁度)いいっすね~
  • 小説パート増やして、ホラホラホラホラ
  • RTAパート増やすんだよ、あくしろよ
  • 更新までまーだ時間掛かりそうですかね~?

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