ら・ま・ミュウのネタ置き場   作:ら・ま・ミュウ

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Fate/Grand Order
藤丸立香♂は妊娠しちゃいました!?


『フハハハ!誠に珍妙な事よ!立香っ貴様の性別はどうなっておるのだ!』

『本当にそうだよ立香君…否、立香ちゃん!キミは男女の変化へ当たり前に対応してみせるが、本当は女の子なんじゃないのかい?』

『おっマーリンどうした?まさか女体化立香ちゃんに欲情しちゃった!まぁ是非もないよね!俺って可愛いし!』

『何だとぉ~女体化の可愛さなら私も負けていないとも!ほいっ!』

『『――変わらねぇwww』』

 

それは、ギルガメッシュとマーリン。二人と酒を飲みあかし、立香の一発芸となっている女体化で盛り上がっていた……あくる日の朝。

 

 

「グスッ…どうしよう俺、妊娠しちゃった」

 

ぽっこりと浮き出たお腹をさすり、半べそをかく藤丸立香。

ダ・ヴィンチはカタカタとコーヒーカップを揺らしながら、何とか冷静さを繕ってみせ――問う。 

 

「父親は、誰だい?」

「たぶん……ギル」

 

立香の話では、ギルが王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)から取り出した霊薬を飲まされてから記憶がないという。念のため膜を確認したら破れており、パニックになって男に戻ろうとしたら偶然鉢合わせたメディアさんに止められ、こうしてダ・ヴィンチの前に現れたというわけだ。

 

「成長の呪いが掛けられてる―――せる時期は過ぎてるわ。」

「マジかー」

 

この状態で男に戻れば、お腹の子は立香の内でぐちゃぐちゃになる。かといって受精してから成長するスピードが異常だ。もう“その”時期は過ぎている。産むしかない。

その事実には幾度も危機と死線を乗り越えて来た立香と云えど、容易に飲み込める事ではなく……何より、密かに想いを寄せていたマシュが知ったら何と思われるか。

 

ごちゃ混ぜとなった彼の心は深く傷つき、とても話を聞ける状況ではない事は明らかだった。そんな彼に変わり付き添いのメディアがダ・ヴィンチと話す。このカルデア最古参にして絆マックスは伊達ではないというわけか、話からは立香を労る彼女の思いが真摯に伝わってきた。

 

「ギルガメッシュは今何処に?」 

マシな方(賢王)子供の彼(子ギル)が締め上げてる。霊薬がもたらす成長の効果は、あくまで母体内で過ごす間だけみたいだから、早死にするなんてことはないけど。この子の心の問題よ。」

 

「グスッ…ヒクッ…」

 

酒を飲んで…気づいたら孕まされていた。

 

完全に事案である。立香は十八歳とまだ若く、特異点攻略というストレスを緩和させる為、仕方なく英霊達の酒盛りに参加することを許可してしまった…とはいえ、古き時代の魔力供給を行う不の遺産がこのカルデアにいたとは……。

 

「……いや、まて!英霊との性的接触で孕む訳がな」

「そういう宝具を使ったみたい」

 

眉間にシワをよせるダ・ヴィンチ。彼女にはカルデアスタッフが手を出していない事実を喜べばいいのか。特大戦力を失うことを悲しめばいいのか分からなかった。

 

「取りあえず……だ。急いで対策は考えるから藤丸君とメディアは部屋に戻っておいてくれ。くれぐれも見つからないように」

「…ウン」

「……分かったわ」

 

退室する二人を見送り、ドカリと椅子に腰かける。

 

「……これはカルデア史上、最大の危機だぞ。」

 

 

これから起こる混乱を思い、ダ・ヴィンチは胃薬を手に取った。

 

 

 

 

カルデアの廊下を歩く立香とメディア。

 

「…………」

 

ダ・ヴィンチの居た研究室から立香の部屋まではあまり離れていないが……痛いほどの沈黙が、時間を何倍にも感じさせる。

 

普段優しい人間が怒れば怖いと言うが、その逆も然り。悲しんでいれば不安になるのだ。特に藤丸立香という人間は、陽気と勇気が服を着た…自分みたいな日陰者の魔女ですら照らしてしまう太陽のような存在だ。

 

このカルデア。マシュを除けば彼のサーヴァントとして一番付き合いの長い私は柄にもなく、彼を元気付けられないものか考えてしまう。

 

「(男の身で子宝を授かるなんて中々出来る事じゃないわ……なんて、慰めにもならないわよね。むしろ傷口に塩を塗るような行為だわ。)」 

 

良案は浮かばず、もやもやとした感情が募るばかり。メディアは何度かのため息を溢した。

 

その不意をついたかのように、張り巡らしていた探知魔術にサーヴァントの霊基が引っ掛かり、流れるような手つきで姿隠しの魔術を唱える。このカルデアに私以上の魔術師はいないと自負しているが……念をいれ杖を構えた先のT路地から現れたのは――イアソンである。

 

「全く~ヘラクレスが俺が居ないと本当にダメだな!急に呼び出すなんて、本当に俺が居ないとダメなんだからよぉ!」

 

私達に気付いた様子もなく、意気揚々と彼が向かった先にあるのは戦闘シミュレーションルーム。

この時間だとケイローンがパンクラチオンの稽古をつけていたのではないだろうか。参加者はアキレウスとアスクレピオス――そして、ヘラクレス。

 

十中八九騙されたに違いない。

 

ざまぁないわね。頬を緩ませ思わず笑ってしまいそうになるメディアだったが「……ハハ」背後から放たれた小さな笑い声を耳に拾い、あんな救いようのないクズでも役に立つことはあるのだと少しだけ見直した。

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆ダ・ヴィンチside

 

ダ・ヴィンチちゃんは頭を悩ませていた。性別次第では使役することの出来ない英霊に対応出来るよう、随分前に開発した性別変更の礼装が最悪の結果を生み出したからではない。あれはむしろ、起きるべくして起きた悲劇というだろう。

 

問題は母体内限定での赤ん坊の異常な成長速度。

そして、父親が英雄王ギルガメッシュ……か、マーリンのどちらであると言う事。

 

どうもあの二人……

立香と同じ酒を飲んでから記憶が飛んでいるらしかった。

 

前者においては藤丸君の心傷的な問題だ。最悪、記憶を消して子供は我々が秘密裏に育てる……なんて最終手段も取れようものだが、父親が分からない。それは不味い。

 

片や最古の英雄にして半神、片や人類史最高の魔術師にして夢魔。母親はあらゆる英雄と縁を結び、また様々な加護を受けてきた運命力に恵まれた存在。どちらにしろ、生まれてくる子供がありふれた範疇に収まる訳がない。

 

仮に私が魔術師として生前を生きていたなら何を捨て置いてでも求めたに違いない、其ほどまでの極上の素材。

魔術協会からすれば格好のモルモットだ。

 

「どうしたものかねぇ~」

 

いっそのことホームズに丸投げしてやりたい難題である。

 

「私だけでは、考えても仕方ないかな。」 

 

ダ・ヴィンチは自作した通信機に手を伸ばしかけ――工房の魔力探知アラームが点滅し、どさりと大きな物が落ちるような音が後方から響いた。

そこは正にダ・ヴィンチの頭痛の種であったマーリンが尻餅をついて目を回している。

 

「……あたたた」

「これはこれはァ♪我がダ・ヴィンチちゃん工房へようこそ!」

 

妖しい笑みを浮かべる彼女は杖を取りそれに気付いたマーリンは冷や汗をかきながら後ずさった。




メディア・リリィのえげつない作戦その1
竜牙兵を透明化させて背後からブスり。

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