東方世変物語 〜lay one's own path for the future〜   作:凱奏

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最高最速風神少女

 

 

 

 試合開始の合図と共に、二人は一斉に地面を蹴る。

 

 

先に仕掛けたのは文。

 

 

「早々に決めさせてもらいます!」

 

 

言葉と共に、弾幕を放つ。

 

 

「うおっ⁉︎ 早えって!」

 

 

隼は頭に気を付けながら、弾幕の隙間を縫って躱す。

 

 

「広い場所は不利か、、よしッ!」

 

 

そのまま隼は方向を変えて、近くに生えていた木を蹴った。

 

木を踏み台にして加速し、木々に囲まれている所目掛けて吹っ飛ぶ。

 

途中、文に手で挑発を入れながら、

 

 

「ついて来いってことですか?いいでしょう。天狗の力、見せてあげます!」

 

 

挑発に乗っかり、黒い羽を羽ばたかせて追跡する。

 

それを確認した隼は、先程のように木を蹴飛ばしながら移動していく。

 

 

「乗ってきたな、、とりあえず距離を、いッ⁉︎」

 

 

距離を開けようと考えたその瞬間、文が既に真横に迫っていた。

 

 

「はァァ⁉︎ ちょっ!待っ!」

 

「これで、トドメ!」

 

 

すかさず、文は弾幕を放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっぶねー!」

 

「今の避けれるんですか⁉︎」

 

 

弾が当たる直前、隼は身体を晒して躱して見せた。

 

文は完全に頭の上の標的を狙っていた為、身体への被弾も無かった。

 

 

「驚く方が逆だ、、君早すぎるって。」

 

「どうです?天狗の力と速さは?」

 

「ああ、よーく見せて貰ったよ。」

 

「そうですか。・・・どうします?ここで降参してもいいですけど。」

 

「降参?何だってそんなこと、」

 

「別に、この状況は誰にも見られてない訳ですし、勝負は貴方が勝ったってことにしてもいいってことです。」

 

「はあ?それ君に良いことある?」

 

「その代わりに、少し天狗の任務を手伝ってくれないかなーって。」

 

「・・・。」

 

 

少しの間、辺りは沈黙に包まれた。

 

別に悩んでいた訳ではないが、状況に隼は困惑していた。

 

 

「さあ、どうします!断ったら容赦なく的を撃たせて貰いますよ!」

 

「・・・確かに、俺にも、君にも良い話だ。」

 

「そうでしょう?さあ、降参で」

 

 

言い終わる瞬間、隼は後ろに向かって地を蹴り、飛び上がった。

 

 

「これが返答。」

 

 

数秒遅れて、文も羽を動かして飛び上がった。

 

 

「・・・良いんですか?先程天魔様との話は聞いていましたけど、負けたら侵入を断られるんじゃ、」

 

 

「・・・そうだなぁ。負けたらここは立ち去る。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だけどさ、、

 

 

「俺さ、昔ある戦場で、相手に向かってこう言ったんだ。二度と負けないって決めた、ってね。」

 

 

「あれは、あの時の勢いで言ったことだけどさ。今はこう思うんだ。」

 

 

 

 

 

 

戦わず逃げて負けたのなら、

とっととテメェの心臓に刀を突き刺せ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから戦う。戦友に、恥じることないように、ね。」

 

 

隼は、右手で拳銃の真似をして、それを左手で支え、文に向けた。

 

拳銃とは、隼にとって最も苦手なものであり、最も憎いものである。

 

 

 

「だからさ、もう少しだけ付き合ってくれないか?」

 

 

「・・・分かりました。では、私が勝たせて貰いますから。」

 

 

「ありがとう、文。」

 

 

 

 

瞬間、両者同時に地面を蹴る。

 

文はすかさず弾幕を放ち、隼の標的を撃ちに行く。

 

 

それを、木々を蹴りながら躱していく。

 

その時、両手はまだ拳銃を構えたままに。

 

文の弾幕は、どんどん激しくなっていく。

 

だがそれも、木々を蹴りながら、躱し切っていく。

 

 

「流石に躱してきますか!でも、速度は私の方が上です!」

 

 

木々を移る隼に、猛スピードで文は追いつきに行く。

 

 

 

そして、追いつくと思われたその瞬間。

 

 

 

「このまま!押し切って」

 

 

「そう来ると思ってたぜ!」

 

 generate comannd!

 

 

瞬間、巨大な剣を具現化し、ほんの少し前に突き刺した。

 

 

「な⁉︎ 何を⁉︎」

 

 

隼はその剣を踏み台にし、方向転換をした。

 

途中、文の標的に拳銃の標準を合わせながら、

 

 

文は、隼はもう少し先で追いつくつもりだったため、勢いが殺し切れていない。

 

反応しきれず、ほんの少し、止まるのが遅れる。

 

 

「そ、その能力は⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

止まった頃には、既に遅く。

 

 

「チェックメイト。」

 

 

構えていた手の拳銃の人差し指から、圧縮された隼の弾丸が放たれた。

 

その弾丸は、文の標的のど真ん中へ、吸い込まれるように、、

 

 

バシュンッ!

 

 

 

 





技解説
 圧縮された弾丸
  ・いつもの弾丸を、指の太さぐらいまで圧縮した物。
  ・より精密に狙うことが出来る。
  ・威力は変わらない。

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