RASのマネージャーにされた件【完結】 作:TrueLight
「
「おめでとうございまぁす!☆ おめでとうございまぁす!☆」
ついに始まったガールズバンドの大イベント、『夢を撃ち抜け!BanG Dream! Girls Band Challenge!』。通称ガールズバンドチャレンジ。
最初の予選ライブを終えたRASの面々はdubの控え室、イベントページの得票数を見て喜びを分かち合っていた。
「Roseliaが約1100、RASが1300……そう差は無いけど、RASが今のとこ一位だな」
「Roseliaは明日も予選に出るみたいだし、油断は出来ないね……」
「得票数が少なくても、回数こなせばいくらでも増えるしなぁ。あたしたちは集まれる日全部ライブに回さないと、結構キツイぞ」
無邪気にはしゃぐ年少二人組に対し、俺とレイヤ、それにマスキングは神妙に頷き合う。いやまぁ、それでも三人して口元によによしてるけどね。やっぱり嬉しいし。ロック? まだ一位の実感が無いらしく、スマホ見て固まってるぞ。
しかし実際、RASは学校もバラバラだから帰りに気軽には集まりづらい。対してRoseliaのメンバーは、以前たえちゃんを送った合同文化祭、協賛した二つの学校に分かれて通っているそうな。立地的に言えばライブハウスCIRCLEと学校をそれぞれ頂点とした三角形を模しており、ライブ会場で合流するのにさほど時間はかからない。RASに比べれば予選ライブの回数をこなすのは楽な方だろうな。
でもまずまずの結果だ。イベントページを見てRASを知らなかった他バンドのファンも認知するだろうし、興味を持ってくれるかもしれない。俺が投稿した応援動画がちょっとでも結果に繋がってればなお良しなんだが……。ちなみにRASのMVが投稿された時点で消した。なんせ本家のMVが最強だからな!
ま、すべては積み重ねだ。ひとまずはチュチュの思い通りに事は運んでいる訳だ。前哨戦なんて言ってるが、RoseliaがRASと勝負している自覚があるのかは知らんが。
「ふふっ、今頃ユキナはさぞ悔しがってるでしょうねっ!」
「そうかなぁ?」
あ、やべ。思わず口に出てしまった。
「なによソース。私たちはあのRoseliaに勝ったのよ? 票数も200近く離れてる! 誰がどう見たって私たちの圧勝じゃない」
「そこに文句がある訳じゃないって。ただ、RoseliaはRASをライバルと思ってくれてるかなーって。別に、面と向かって『勝負だ!』って言った訳じゃないんだろ?」
「言ったに決まってるじゃない」
「マジかよ」
めっちゃ当然みたいな顔されたわ。いや、たしかに俺も四六時中チュチュと一緒に居る訳じゃないし、近場に出かけるって時はわざわざ車出したりついてったりしないけど……。いつの間にやらRoseliaにケンカ売ってたらしい。
「私たちが……一位? し、しんじられん……!」
おや、ロックが再起動したようだ。その呟きを耳に留め、チュチュはにんまりと笑みを浮かべた。
「信じられない?
その言葉に俺は、いやRASの全員がロックに視線を向けた。パレオちゃんは全てを肯定するように。マスキングは『しょうがないヤツだ』と言わんばかりに。レイヤは不安を取り払うようにどこまでも涼し気に微笑む。
俺も……ただただ皆と同じ気持ちだと、笑顔を浮かべ。追従するように大きく頷いた。
「……っ、はい!! 私も
「
チュチュはロックに発破をかけた後、ぐりんと勢いよくマスキングへ顔を向けた。テンションたっかいなぁ……気持ちはすっごい分かるけどね!
「それにマスキング! 予選ライブの参加回数なら心配する必要はないわ!」
「何でだ? 実際シビアだろ?」
「いいえ、むしろ私たちの為にある大会形式と言っても過言じゃないわよ!
マスキングの疑問によくぞ聞いてくれたとばかりの声色で、チュチュは大仰に俺へ手を向けた。
「RASには優秀な専属ドライバーが居るもの! ライブハウスのスケジュールによっては一日で会場をハシゴするのも不可能じゃないわ!」
ああ……確かに。もともと
「どうも、君たちを武道館へ導くカボチャの馬車でございます。安全運転第一なので
レイヤが『良いんですか?』と今にも言いそうな様子だったので、ならばと先手を打っておく。チュチュのように俺を顎で使うのは心苦しいだろうしな。慇懃な態度でふざければ、みんなしてクスリと笑ってくれた。
うむ、ここで遠慮なんぞされたらマジで俺の存在意義が無いからな。ポリスメンに目をつけられるような爆走は致しかねるが、予選会場周りの地理やら混雑する時間帯を把握して、可能な限り多くのライブに参加できるよう力を尽くそうじゃないか。