RASのマネージャーにされた件【完結】 作:TrueLight
「チュチュ様! 今週末、夏祭りに行ってください!!」
ソースさんがお買い物に出ていらっしゃる隙を見て、パレオはレコーディングスタジオのコントロールルームでRoseliaのライブ映像を見ていらしたチュチュ様に声をかけました。
「
案の定ですが眉を寄せていらっしゃるチュチュ様。ですが時間は限られています! 申し訳ありませんが手短にお伝えしなくては……!
「チュチュ様はソースさんがお好きですよね? もちろんLOVEの方です!」
「……はぁ? 何を言ってるの? パレオ」
……あ、あれれ? おかしいですね……思っていたより淡白な反応です。最近交換したL〇NEのメッセージではソースさんのことを伺えばすぐにお返事くださいますし、チュチュ様から話題を切り出すことも少なくありません。普段からソースさんの言動に目を向けていらっしゃるのは間違いないはずですが……。
胡乱なものを見る目をお向けになるチュチュ様に少し勢いが削がれたものの、ここはチュチュ様のために! ……そして、私のために。突っ込んだ質問をさせていただきます……!
「こ、これは大事な話なのですチュチュ様! どうか誤魔化さずに! ソースさんのことを、恋人のようにお思いなのではないですかっ?」
パレオの質問に、チュチュ様は……。
「べっ、別にそういうのじゃないわよっ。ソースは……その。Bro、じゃなくて、そうっ。か、家族みたいな感じよ!」
「そ、それは本当の家族になりたいというような……!」
「
あ、あっれれ~? おっかしいですね~……。頬を赤くして目をそらしているチュチュ様は大変お可愛らしいのですが、表情や言葉のニュアンスは嘘を言っているようには思えません。ほ、本当にソースさんに、そういうお気持ちは無い、のでしょうか……。
困惑して続く言葉が出てこず、口をわぐわぐさせている私をジッと見つめて。チュチュ様は不機嫌そうにこう仰います。
「……それってむしろ、パレオ。あなたの気持ちじゃないの? L〇NEでもよくソースのこと聞いてくるじゃない」
「そっ! それ……は……」
否定はせず、けれど肯定も出来ずに俯くパレオに。チュチュ様はチェアから立ち上がって、私の頬に手を当てられました。
「……パレオ。私はそれを応援しない。でも、
「私の、気持ち……」
チュチュ様の小さな手の温もりを頬に感じながら、胸に手を当てて考えます。……私の、気持ち。
「……わ、わたしは……」
思わず口元が震えます。けれど、チュチュ様の澄んだ瞳が、その先を促すのです。そんなおかしな錯覚が、さも現実に起こっているように私に襲い掛かりました。
チュチュ様は、望んでいません。私の気持ちをパレオが認めれば。パレオのRASでの活動に私の想いが影響してしまえば、それが不協和音になると、そう考えていらっしゃいます。
でも……否定はしない、と。
「私は……ソースさんが、好き……」
「……そ。あなたがどういうつもりでナツマツリ? ってヤツの話をしたのか知らないけど。それはあなたが行ってきたらいいじゃない」
私の言葉を聞いて、ちゆは興味無さそうに、再びチェアに腰を落ち着けた。それきりライブ映像に目を向けて……この話は終わりだ、と態度で物語っていた。
だから私も、これだけ伝えて……この話題は、おしまいにしよう。
「……ありがとう、ちゆ」
その言葉にちゆは、フン、と。一度だけ鼻を鳴らしたのだった。