色々感想でもUSJ編に関してコメントしている方が見受けられましたね
エネル無双で終了だとか
はてさて、どうなるでしょうか。それでは本編どうぞ
16話:強襲
「んじゃ、朝っぱらからだけど予告通り訓練施設行くから、さっさとコスチューム着替えてグラウンド前集合、バス用意できてるからなる早でね」
いつになくソワソワしているA組一同。単純に、今日の訓練内容についての興味というのもあるが、それよりも気になることが一つあった。
「相澤せんせー、エネルは?」
相澤にエネルのことを尋ねる上鳴。いつもなら、身長の都合上席が一番後ろのくせして存在感満々の彼の姿が見えない。彼に限って学校をサボるなんてことはないだろうが、いったいどういった理由だろうか。
「…詳しくは分からんが体調不良らしい。病院行ってから学校来るから、まぁ訓練中に途中参加かもしれんし、そのまま欠席になるかもな」
体調不良。あの元気溌剌、毎日が絶頂期みたいな人間でも、身体を壊すことがあるのかと、少し衝撃を受けるA組の面々。上鳴や八百万、その他昨日のエネルの様子を見ていたクラスメイト達は少し気になる様子でエネルのことを案じていた。特に蛙吹は昨日あまり良いとは言えない別れ方をしたために、気が気でなかったのだが、特段その胸中を誰かに打ち明けるわけでも無かった。もっとも、その落ち込み具合は簡単に見て取れるのだが。
「梅雨ちゃん?大丈夫?なんか暗い顔しとるけど…」
「…大丈夫よ、なんでもないわ、お茶子ちゃん、ありがとう。さ、いきましょ?」
そう言って席から立ち上がって、他の生徒に紛れて更衣室へ移動していく蛙吹。そんな彼女の背中を、心配するような視線で眺める麗日であった。
「…どうだい?少しはマシになった?」
「………ん、んん、……あぁ、もう大丈夫だ。じゃあ…」
「ば、バカバカ!まだフラフラでしょ!もうちっと寝ときなさいって」
そう言って、眼の下に絵具でも塗ったのかと思うほどの隈をつくって目を充血させるエネルをベッドに押し付ける。
「あんた、そんなに神経質な人間だったんだねぇ。はじめてだよ、あんたのこんな様見るのは…」
「……………………」「あ、寝た」
はぁ、と、ため息を漏らしてベッドに横たわる我が子を眺める。死んだようにピクリとも動かないエネルを見下ろしながら、朝のやり取りを思い出す。
―――――――――――――――――――――――
『……今し方目覚めた、父はもう出たのか?』
自室から出て階段を降り、リビングの扉を開けてパジャマ姿のままエネルが母親に声をかける。エネルに背を向ける彼女は、なんとなくいつもよりも自身の息子の声のトーンが低い気がして頭にはてなマークを浮かべるが、まぁ特段気にすることもないかと背を向けたまま朝食の準備を進める。
『おはようさん、父さんならもう仕事行ったよ。あんたもその個性だし時間の余裕があるのは分かるけど、早起きは心がけなさいな。はい、朝ごは………あんた、どうしたの?それ』
炊飯器にしゃもじを突っ込み、丼サイズのお椀にご飯をついで後ろを振り返りテーブルに座る大食漢を見ると、目を真っ赤に充血させ、目の下を黒く塗りつぶして真顔で椅子に座っていた。
『………?どうした、とは?』
言葉を聞いてからの返事が遅いことにも少し心配して、ご飯を並べながら質問を続ける。
『いや、あんたそれ、目。真っ赤よ、真っ赤。隈も凄いし、初めて見たわよ、あんたのそんな顔』
『…あぁ、少し、寝不足でな。なに、心配はいらないとも。飯さえ食えば元通りだ』
そ、そう?と、言葉を漏らしながらいつも通りにエネルの前に朝飯とは思えないほどの量の飯が置いたあと、少し心配そうにエネルの様子を気遣いながら、椅子に座って膝をつきテレビを眺める。エネルがご飯を食べている間もチラチラと様子を伺うが、いつもよりも食う速度が遅く、なにより肉親であろうとジロジロ見られるのは嫌う彼の性格上何か言ってきそうなものだが、無心でご飯に目線を落としていた。昨日の今日でなにがあったんだと困惑しながら、テレビとエネルに交互に視線を移す。
と、ここで、エネルが呟く。
『………美味かった、ご馳走様でした』
あ、なんだ、食欲はあるんだと、いつも通りの時間で食事を平らげたエネルの様子に少し安心して、テレビに向けていた視線をエネルに戻す。そして、驚愕。
『………え、いや、いやいや。あんた、どうしたの!全然食べてないじゃない!』
『……すまん、常日頃、食い物は残すなと言われているのでそれは百も承知。多少の無理はしてでも食う。だが、すまん。今日は、食べる気が、というか、これ以上、腹に、入らんのだ……ハァ…・』
それって無理ができないほど疲弊してることやんけ!と、いよいよエネルの異変に気づき始めてエネルの隣の椅子に登り、高すぎる座高に身長を合わせて額をくっつけて熱を測る。
『………熱じゃないようだね』
『生まれてこの方病気になどなったことないわ』
だから心配なんだろうがと言葉をかけようとすると、エネルが立ち上がりトイレの方へと歩いていく。足元がおぼついておらず、酔っていないにも関わらず千鳥足でヨタヨタと歩いていくあとを追いかけて声をかけるも聞こえていない様子。ヤバイぞこれはと、焦って止めようとするも、まぁトイレくらいはとエネルがトイレの扉に手をかけるのを眺めていた。すると、突然。
…………ガチャ………………パタン…………
『は?』『…………………』
何故か、エネルがトイレの扉を開けたと思ったら数秒固まり、用も足さずに扉を閉めてUターンしてリビングの出入り口の扉へと歩いていく。ただでさえ普通でない様子なのに、意図が理解できない奇怪な行動に本当に心配になってくる。と、ここで、エネルが一言。
『…………階段はこっちだったか…』
『寝ろッッ!!!もうあんた寝とけッッ!!今日はッッ!!!』
普段ならば使うことのない階段の手すりに頼るほど疲労困憊な状態のエネルを階段から無理やり引っ張りおろし、一階の寝室へと連れて行く。本来なら自分が引っ張ったところでピクリとも動かない巨躯が、抵抗力を失ったように流されるままであるのを、困惑しながら実感する。
『ほら!はいはい寝た寝た!!!学校には連絡しとくから、さっさと寝てろ!!!』
『いや寝不足程度で学校休んだらいかんだろ『黙って寝てろ!!』
―――――――――――――――――――――――
「(……にしても、昨日の悩み事の延長と、クラスメイトのことについて考えてたら、一晩マルマル眠れなかった、ねぇ………)」
ベッドに眠るエネルを見つめながら、彼が吐露した寝不足の原因について考える。他人を突っ張り払って、誰一人寄せ付けない孤高の存在、を目指してるのかと思ったら、妙に他人へ気遣いのできる、何がしたいのかよく分からない自身の子。母親である自分でも分からないことはあるもんだと、部屋の電気を消して、音を鳴らさないようにゆっくりと寝室の扉を閉める。
でも、私だって息子の体調が悪いくらいで家で寝かせてるし、普段はきつく当たっといて、結局は我が子に甘々なところはあるし、人間誰しも矛盾は抱えてるもんかしらと、顎に手を当て、廊下を歩いてリビングへと戻っていく。
「私って案外、世間一般でいうところの"もんすたーぺあれんと"ってやつなのかしら…」
自分の、少し度がいきすぎた我が子への過保護に対して、そんなことを考えるエネルの母であった。
「なんか静かだなー、一人いないだけなんだけど」
バスの座席に背中を預け、手を後頭部に回して欠伸をしながら瀬呂がそんなことを呟く。その言葉に芦戸が反応して声を上げる。
「体調不良って言ってたけど、エネルくんも体壊したりするんだねー、なんだか意外」
「言わんとすることは分かるが、まぁあいつだって人間だしな…」
バスの中ではこれから始まる授業の内容ではなく、たった一人のクラスメイトの話題で持ちきりであった。視覚的にも聴覚的にも印象に残りやすい彼が居なくなって、なんだかいつもとは違う空気に変な雰囲気で盛り上がるA組。
「そだ、ちょっと聞きたいんだけどよ、上鳴ってなんでエネルとあんなに仲良いの?」「は?」
唐突に瀬呂に話を振られた上鳴が気の抜けたような声を出す。別に俺じゃなくても結構みんなエネルと会話してるじゃん、と思うのはどうやら上鳴だけのようで、全員とは言わないが周囲の視線が集まる。
「言われてみれば、上鳴、あんたウチと戦闘訓練でコンビ組んでたときもエネルに意見仰いでたりしたけど、なんかあんの?エネルと」
「あ、あと八百万ちゃんも!女子の中では割とエネルくんと話す方じゃない?こう言ったら失礼だけど、なんだか、それもよりにもよってエネルくんみたいな性格の人に初見でガンガン行くようなタイプとも思えないし!なんかありそー!」
え、私もですの!?っと、芦戸に話を振られた八百万が、チラッと視線を上鳴に移す。相手もどうやら同じ考えのようで、うーんと喉元を唸らせていた。
「……すまねえけど、これは言えねえな。まぁエネルと何かあったのはあったんだけども、あいつに、他人には言うなって言われてっからなぁ」「私もですわ…」
そう言って腕を組んで渋い顔をする上鳴、別にそんなヤバイ内容ではないのだが単に「お前たち二人だけでも面倒見るのが負担であるのに、これ以上増えたら困る」という理由から個人的に指導してもらっていることは黙っていろと言われているだけなのだが、エネルに口封じされているとだけ聞いたらなんだかまずそうなことをしている雰囲気がぷんぷん匂ってしまう。
「エネルのやろぉぉぉ…オイラの知らないところで八百万に人に言えねぇようなことしやがって……」
「み、峰田さん!!誤解を招くような発言はやめて下さい!!」
「てかその理論でいくと俺もいかがわしいことされたみてえじゃねえか!!!」
「上鳴……お前…いや人の趣味にとやかくは言わねえけどよ…」
「いやんなわけねぇだろうが!!違えよ!!」
切島が迫真の顔で上鳴を見つめる。エネル本人のいないところで彼に関するよからぬ疑惑を面白おかしく立てる彼の級友たち。いつもなら彼の目の前で変なことを言えば即座に断捨離されるために、逆に本人がいないからこそ好き勝手言い放題なところがあるのだろう。
「とにかく!言えねーもんは言えねーんだよ!人に言えないことの一つや二つくらいあるだろうが!てか秘密は守る主義なんだよ俺は!!」
「真相は闇の中、か……」
ボソッと呟く常闇の言葉に、そゆこと!っと腕を組んでのめり出していた体を引っ込めバスの座席シートに背を預ける。その後もバスはエネルの話であったり、爆豪が弄られるのを緑谷が驚愕して眺めていたり、これから行われる訓練への話であったり、とくに問題なくバスは訓練施設までの道のりを辿って行くのであった。
「すっげーーーッ!!?USJかよッ!?」
その言葉通り、彼らの眼前に広がるのは、もはや一高校の施設とは思えない大型ドームの中に展開される、大規模な訓練施設の数々。彼らの立つ目の前にある大型の階段を下った先、中央の広場を囲むようにして燃え盛る火炎に包まれた建造物や、一面に水を貼った広大な湖、建造物だという人工性が全く見てとれないほど見事に作られた土砂崩れの跡等々、災害訓練用の設備が整えられていた。
「水難事故、土砂災害、他にも火災・洪水、etcetc……
あらゆる事故や災害を想定して、僕が考案した演習場…それがここ!
名付けて―――
彼らがその光景に圧倒されて目を奪われていたところ、視界の外から何者かの声が聞こえる。彼もまた相澤と同じく現役のプロヒーローであるために、その声だけで誰か理解できた生徒もいたかもしれない。
―――名付けて、"
「「「「(本当にUSJだったーー!!)」」」」
大丈夫なのかその名前!!?と、少々不安になる者もいる中、声の主が姿を表す。事前に担当教諭の名は聞いていたために大方の予想はついていたが、やはりプロヒーローを目の前にして冷静でいられるほど彼らも大人では無かった。スペースヒーロー、13号である。
本物だ!やら、ファンです!やら、様々な反応が飛び交う中、13号がみなの言葉が鳴り止むのを手を立てて軽く流しながら待ち続ける。一向に口を閉じる気配のない自身の生徒に相澤が視線をとばせば、軍隊のようにタイミングを揃えて閉口する様子に若干苦笑いの13号であった。
その後、13号が何やら相澤と言葉を交わしたのち、生徒たちに向き直り口を開く。
「はい!というわけで、今回、相澤先生と一緒にみんなの授業を担当することになりました!みんなにはスペースヒーロー13号で通ってるだろうけど、ここでは生徒と先生って立場を忘れないように!気軽に、13号先生とでも呼んでくださいね」
先ほどまでプロヒーローを目の前にして騒ぎ立てていた彼らに軽く釘を刺す。その言葉に意識の低さを自覚して少々こっぱずかしそうにする生徒一同。
「では、早速ですが訓練を始める前にお小言を一つ、二つ……三つ………四つ………」
小言の数に比例して13号の折り曲げる指の数が増えていく。右手がグーになったところでようやっと13号の話が始まる。
「まず、皆に今回、この災害訓練を通して学んでほしいことですが、それは個性の使い方です」
誰かが、個性の使い方?っと、小さく呟くとそれに呼応して13号が首を縦に振る。
「そうです。皆さんも知っている人もいると思うけど、僕の活躍する現場は主に災害救助を専門としています。ですが、そんな私の個性は"ブラックホール"、簡単に人を殺せてしまうとても危険な個性です」
「そのため現ヒーロー社会ではヒーロー免許等の資格制度を用いて厳格に管理し、一見成り立っているように見えます。その者が高等教育等において十分な実績を積み、ヒーローとしての心構えや精神を作り上げて、そして試験により認定されれば、そこで初めてプロヒーローとしての第一歩が許されます、いわばそれだけの段階を踏んで初めて個性の使用許可が出るということ。それほど個性というものは危険な代物です。皆さんの中にも、そういった、容易に人を殺めてしまう個性持ちの方もいるでしょう」
爆豪がハッとしてばつの悪そうな顔をして少し視線を逸らす。あの日実際に人を殺めたわけではないが、あの時、撃ったあとに気づいた、緑谷が動けそうもないことに。もしかしたら殺っていたかもしれないという実感と、なんで俺がクソナードに気を使わなきゃいけねぇんだという二つの相反する感情が渦巻き、なんとも形容し難い心中にあった。
「相澤さんの個性把握テストで自身の力が秘めている可能性を知り、個性を他人へと向けるその危うさを、オールマイトの対人格闘で十二分に理解できたのではないでしょうか?
この授業では心機一転!
人命のために個性をどう使うかを学んでいきましょう。
―――――君たちの個性は、人を傷つけるためにあるのではない。助けるためにあるのだと心得て帰ってくださいな!
――以上、ご清聴、ありがとうございました!」
お小言が終わり13号が一礼すると、生徒達から拍手喝采が浴びせられる。飯田が少々過激とも思えるほどに大声で、ブラボー!っと、叫んでいるが、彼の性格上仕方のないことだろう。
「それじゃあ、まずは…」
そう13号が呟くと、こちらを向いてセントラル広場に背を向ける13号と相澤のはるか後方、施設中央付近に黒いモヤが発生する。生徒たちがそちらに視線を移して、なんだろうか、アレもUSJのギミックの一つか?などと考えていると、相澤と13号が、生徒たちの視線の向く先が自分たちでないことに気付いて後ろを振り返る。瞬間―――
―――お前ら!一塊りになって動くなッ!!!」
相澤の怒号が鳴り響く。自分たちの担任がこれほど声を荒げるのを初めて聞いて、何か尋常でない事態が起こっていることを理解しながらも、未だに状況が把握できない生徒達。
その後も相澤が13号や生徒たちに指示を出していると、黒い渦巻状のモヤから一人の男が現れる。全身を黒い布切れで覆い、顔面や腕に手の形状をした何かを装備して、いかにもといった雰囲気である。
彼に続いて多くの人間が現れる。見た目に統一性は無いが一つだけ彼らに共通して感じられること―――――ドス黒い"悪"。
彼らの通ってきたワープホールのような渦が収束し、異形型だろうか?首回りに金属製のガードを身につけ、スーツを着こなし、その頭部を形成するのは暗紫色の霧。眼光を黄色く輝かせながら彼が―――存在しないのだが―――口を開く。
「ふむ…13号にイレイザーヘッドですか。
先日いただいたカリキュラムによれば、オールマイトを加えての3人体制であったはずですが…」
「やはり先日のはクソどもの仕業だったか…ッ!」
そう相澤が悪態を吐いている間にも中央の広場に集う憎悪の集団がこちらに歩を進めてくる。異形型も交えた、まさに百鬼夜行といった雰囲気の暴力の塊が、一歩、また一歩と距離を詰めてくる。
「な、なんだ?また入試んときみてぇに、もう始まってるパターン?」
そんな、状況を飲み込めていない生徒の甘い考え方を打ち消すように、相澤が自分の後方に控える生徒たちに真実を告げる。
「違うッ!あいつらは"ヴィラン"だッッ!!」
その言葉にやっと、ことの重大性を理解して一瞬頭が真っ白になる者、恐怖を顔に浮かべる者、気を引き締めて指示に従う者。ただ、誰一人としてパニックに陥って慌てふためく事がなかったのは幸いであった。
「ハァ!?ヴィラン!?バカだろ!ヒーローの学校に入ってくるなんてアホすぎるぞ!?」
彼らの前方に並ぶ無数のヴィランを眺めながら切島が疑問を浮かべるが、その言葉を轟が否定する。
「違え、逆だ。この襲撃が俺たちだけを狙ったものか、学校全体が被害にあっているのかは分からねえが、この隔離された空間。それに侵入者用のセンサーが反応してねえってことは、どちらにせよ相手にそういうことができる奴がいるってことだ。それに俺たちは生徒っつっても雄英高校の名は知れてる。すなわち強個性の集団。加えてプロヒーローの管理体制下にあることは当然知ってるだろ。………そんな俺たちを、ただのごろつきの集団を集めて襲撃なんてするわけがねぇ。相手方は、俺たちを確実に殺す手段があるってことじゃねえのか?
…なんにせよ、これは用意周到な奇襲ってことだ。あいつら、バカではあるがアホじゃねえ」
不安を煽る意図があったわけでは無いが、轟の言葉が絶望となり周囲の生徒にのしかかる。命がけ、これがヒーローの立つ世界。つい先ほどまで中学生であった彼らには重すぎる重圧。そんな彼らに追い討ちをするように、暗黒色に身を包むヴィランの一人が気怠そうな声を上げる。
「……どこだよ……せっかくこんなに大衆引き連れてきたのにさぁ…
……オールマイト……平和の象徴……いないなんて……
――――――子供を殺せば来るのかなぁ?」
楽しそうに、声色を高くして独り言のように呟く。その一言を皮切りに、どこか実感を得ていない様子であった、いや、現実逃避をしていたクラスメイト達も含めて、全員が理解する。本気だと。本気で殺しに来ていると。
「先輩は!?」
そう言って13号が相澤へ顔を向ける。見れば、すでに相澤はゴーグルを装着して戦闘準備を整えていた。
「13号、生徒達を頼む、俺は―――
そう言って首回りにマフラーのように巻いた捕縛布をほどき、髪を逆立たせる。ゴーグル越しの彼の瞳が赤く輝き、個性発動の合図を告げる。
――――――本業開始だ」
はい、というわけで初っ端からエネルくん出撃制限かかりました
ごめんなさい、彼を冒頭から出したら勝った!ヒロアカ完!になっちゃうから…まま、そう焦んないで。まだUSJ編始まったばっかだし、どうなるとも言ってないから、少しだけ次のお話をお待ちいただければと…
それではまた次回
どちらにしましょう。
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続行。
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リメイク。