ヒーロー名"神(ゴッド)・エネル "   作:玉箒

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こちらは改訂版の第一話です
ちょっと手直し入れるのが早すぎるかもしれませんが、今見ても古い方の1話の出来が酷かったのでもう全部書き直しました
他のも少し気に入らないところが有れば手直し入れていきます
その際はこんな感じにタイトル訂正しますね
あ、あと旧番のストーリーと改訂版のストーリーで変わっていることに関して、これ変えると後々のストーリーで矛盾が生じない?という場合があれば感想等で教えていただけると幸いです

あと基本改訂版を主軸としてストーリーも合わせていくのでよろしくお願いします



入学〜ヒーロー基礎学
改訂版:1話:神・エネル


 「・・・どうした貴様ら、私に個性を使ってきたからには敵対行動とみなしていいものかとも考えたが、これではあまりにも・・・おおよそ歯向かっているとは言い難い脆弱さなのだが、どうかね?」

 

 そう言いながら、横たわる4、5人の、いかにもチンピラといった風貌の人間をつまらないといった表情で見下すのは、おおよそ中学3年生とは思えない身長266cmの大男。彼の身体の輪郭をなぞるように、青白い雷光が音を立てて走り回っていた。

 

 「・・・・・はぁ、これでは私が個性を使っても客観的に見て正当防衛とは言わんのだろうな。だがまぁ、君たちの許可があれば話は別だ。どうかね?私は理不尽な暴力に抗ってもいいだろうか?」

 

 指先に電気を迸らせながら、彼ほどとはいかないまでもガタイの良さげな男たちに問いかけると、蜘蛛の子を散らすように去っていく。彼にとっては見慣れた光景であるのだが

 

—————退屈だ。これほど、退屈だとはな、この個性。いや、()()()は。

 

 

 

 彼の容姿を説明するならば、先も述べたように身長266cmの大男、特徴的な長い耳たぶに、ぱっちりとした綺麗な下まつげを伴う仏頂面、そしてどこか自然体で他者を見下すその言い回し。

 そう、彼はエネル。本名、(ゴッド)・エネル。外見に関してはその人で間違いはない。ただ違いがあるとすれば————中身だろうか。

 

 ————エネルにしてくれ。エネルで始めたい。エネルとして、冒険がしたい。そう望んだのは、魂の輪廻転生といった仏教的な考え方をすれば、今エネルとしてこの世界に立つ人間の、前世にあたる人間が望んだことである。

 いわゆる、神様転生。徳を積んだのか、はたまた何の因果かは説明がつかないが。彼の夢は叶った。いや、叶えてもらった。おそらく神である、あの世で見た神々しい御神体、彼の夢を叶えたその人。

 

 なぜそんな夢を願ったのかと言えば単純だった。()()()()()()。その一言に尽きる。正直、本編で出すのが早すぎた部類の敵の中でも、その最上位に位置する。何より、彼のあり方が好きだった。周りからすればたまったものでもないし、彼が一読者であったからエネルの起こす暴虐の数々を客観的に見れたのだろうが、それでも彼に魅せられたことに違いはない。

 そしてそんな彼は、主人公、モンキー・D・ルフィに敗北を喫し扉絵に登場。彼のその後の活躍はついぞ皆無であった。

 

 だから俺が再現してやる。別の世界で、といっても彼に他人への暴虐等の趣味は無いためにエネル本人には到底成り切れないが、彼になる。だが自分自身の意思も貫く。そういった様々な葛藤の中で生まれた一つの彼の妥協案はすなわち、最強であること。

 どこがどう転じてそれが妥協案になるのかは分からないが、要は強いのならば正しい、誰にも文句は言えない、ただそれだけ。付け加えるなら、弱いくせに偉そうな発言は不格好であるし、そもそも彼にとって最強であることとは、エネルの必要十分条件のようなものであった。

 

 そして彼はこの世界に降り立った。個性という超能力だかよく分からない力を宿した一般人が世に蔓延る舞台へと、

 

 ・・・余談であるが、今ここにいるエネルの元となった人間はこの世界を知らない。どこでもいいから漫画の世界に飛ばしてくれとは願ったものの、どこかは限定しなかった。エネルの強さを証明するために、例えどんな世界線だろうが戦えることの証明のために、敢えて。

 

 そして飛んできたのがここである。すなわち、僕のヒーローアカデミア。だが彼は知らない、この舞台を。少し聞いたことがあるから舞台が何なのかは理解できた。だがそれ以上を知らない。誰が悪役で誰が味方で、基本的にどこが舞台でどこにいればこの世界の主人公達と会えるのか。

 だがとりあえず、向かうべき場所は決めている。おそらくあそこ、雄英高校ヒーロー科。偏差値79、倍率にしておよそ300倍という頭のおかしい数字を誇る今や日本の金字塔。

 おそらくではあるがあそこだ。今のところ世間では何か大事件が起こっているということは無い、少なくとも私が関与して何かできるといった事態にはなっていない。一瞬この世界に来たはいいが主人公達の活躍する時代とは別のタイミングで送られたかと心臓がドキッとしたが、そうではない。おそらく私は彼ら——と言ってもこの作品における主人公達の顔ぶれなど分かるはずも無いのだが——と同期になる。来年度からヒーローランキング1位、オールマイトが教員として雄英高校に勤めるとのこと。そして来年は私の受験年。タイミングが良すぎる、おそらくそこが事件の始まりだ。

 

 雄英高校ヒーロー科。在籍する教員は多くが現役のプロヒーロー。この世界で主役となるヒーロー達の日本一の専門育成機関。おそらく、主人公達の身を置く主舞台。そこを晴れて卒業すれば、取り敢えずがプロヒーローとしての第一歩を踏み出せる。そうすれば、度々テレビやネットに上げられるプロヒーローとヴィランの壮絶な戦いに参加することができる、時には命を奪い合う規模の。私もあれほどのぶつかり合いがしたい。

 

 そう、()()()()()()()()()()()()()()()

・・・・冒頭に戻る。彼は今大変退屈している。弱すぎるのだ、周りの人間が。十五年間彼はこの静寂に耐えてきた。強個性なんてレベルのものではない全知全能、ゴロゴロの実の能力を持っておきながら、公に使うこともできず、こうして突っかかってくるここら近辺の不良やヤンキーのクソガキ共を追い払うためにときたま使うこともあるが、もはやその程度で満足できない。

 

 ここが漫画の世界ならいつか起こる、私も巻き込む大事件がいつか起こるはず。そういった漠然とした希望を胸にして、ついに来た。速報、オールマイトが来年から雄英勤務。別にオールマイトに憧れがあるわけではない。大切なのは彼が来たという事実。つまり事件が起こる。原作で言うところの第1巻が始まるのだろう。

 

あぁ、待ち遠しい。最強がこれほどつまらないものとは思わんかった。やはり私はエネル自身にはなれない。私に必要なのは孤高ではない。崇拝である。なればこそ、私には周りの人間が必要だ。私の力に目を見開き、驚嘆して(こうべ)を垂れるような。そこにあるのは友情か、尊敬か、はたまた恭順か。・・・なんでもいいが、これではただの宝の持ち腐れ。

 試したい。早く試したい。試験だとか、そんなのではなく何者かと競い合いたい。一方的な蹂躙ではなく、少しでも我が喉元に喰らいつく勇者と出会いたい、あわよくばライバルなんてのも欲しい、それは高望みかもしれないが・・・

 

 「・・・ふぅ、いかんな。やはりこういう思考に陥ってしまうか・・・。もう少しの辛抱だ、耐えるしかないか・・・うむ!!!そうだ、そうだな!ヤハハハ!!そう、この形こそオレらしい。さっさと帰るとするか、ヤハハハハハ!!!」

 

 夕焼けに、高らかな、そしてどこか悲壮感ただよう笑い声が響くのであった

 

どちらにしましょう。

  • 続行。
  • リメイク。

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