次回から鈴が転入してくる予定です。
更識簪は、日本の代表候補生である。
演算処理能力や情報分析力、空間認識能力、整備能力は他国の代表候補生を大きく突き離し、また近〜遠距離の戦闘も難なくこなすオールラウンダーだ。
そんな彼女に向け、専用機が用意されることになる。
名前は打鉄弐式。倉持技研が開発した日本純国産『打鉄』の後継機。防御力に重きを置く打鉄とは異なり、機動性に特化したカスタム機…となるはずだった。
代表候補生として専用機を与えられる手はずで、倉持技研は簪のIS学園入学に合わせて納入予定だったのだが…
突然現れた、男性操縦者の専用機開発、またそのデータ取りに人員を割かれ、開発プロジェクトは凍結。更識簪は、代表候補生でありながら専用機を持たない身となってしまう。
しかし彼女は未完成だった打鉄弐式を引き取り、IS学園の整備室に安置。独力での完成を目標に、日々整備室に篭る日々を始める。
それは、幼少期から比較されてきた姉へのコンプレックスか…
はたまた、そんな自分を救ってくれる存在を無意識に求めていたのか。
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「…?…し!簪!」
「あ、れ?」
「考え事か?」
「あ、うん…」
「疲れたなら休んでいいんだぞ?」
「ううん。大丈夫。」
休日。他の生徒達が外出したり自主練に精を出したりする中、二人がいるのは整備室。打鉄弐式の調整の為だ。
簪を思考の海から引き上げると彼は、そうか、と頷いて簪に向けていた顔を前に戻す。
少し陰りが見える白銀の装甲。その一部を展開させ、無数のコードをつながれた自身の相棒を見、簪は病人みたいだな、とそんな感想を抱いた。
他の専用機がアリーナを飛翔している間、整備室という病室の中から空も見られないまま、完成を待っている。
ホロキーボードを叩く手は止まらないが、その思考はぐるぐると回り続ける。
なんでも出来る姉が、更識の当主に選ばれた時のこと。
そんな姉から、才能が無い、と告げられた(実際には楯無が簪を心配して全く違う事を言ったのだが)時のこと。
姉が機体を一人で完成させた、と聞いた時のこと。
そして、自分の専用機が未完成のまま放り出された時の…
「簪。」
「うんっ!?」
「すまない。そこにあるキーボードとコードを取ってくれないか。」
「あ、分かった。」
自分を呼ぶ声に、素っ頓狂な声を上げてその主を見る。
体の上下をアナハイムのツナギで包み、少し困ったようにこちらを見つめる二人目の男性操縦者。
はい、とキーボードとコードを渡しながら、簪は彼との初対面を思い返す。
眉間の皺を少し和らげ、ありがとうと返す彼との出会いも、この整備室だった。
マルチロックオンシステムについての話から、食堂での夕食。
上級生から簪への皮肉から始まった、先輩との模擬戦。
部屋に帰ると彼は姉に襲撃を受けるし、織斑先生に怒られるその理由は、姉が自分の事を溺愛していたこと。
それを知り、溜まった不満が爆発し…そんな時、彼が言った言葉は妙に実感が篭っていた。
姉が壊した扉の片付けも黙って済ませるし、シャワーから戻った自分の姿を見ても冷静に対処してくれた。
模擬戦では3対1で不利な状況にもかかわらず、出会ってすぐの自分にオペレートを任せてくれた。
姉との関係はまだぎこちないものの、以前より良くなっていると感じている。
クラス代表を決める模擬戦に消極的な彼。
アリーナの観客席で姉と共に一夏とセシリアの試合を眺めていた彼女は、所々聞こえてくる悠への嫌悪感の声に耐えられなかった。
彼はそんな人間じゃない、と声を上げたかったが、彼女には無理だった。逃げるようにアリーナから飛び出すと、そこには彼が立っていた。
いつも無表情というか、表情が硬い彼だったがその時は違った。どこか、年不相応の空気を纏っている。
彼は、泣きそうな顔をしていた。それでも自分を心配する彼は、お人好しだった。そうでなければ、出会って数時間のルームメイトの為に嫌いな模擬戦などしまい。そして、彼自身その理由を分かっていなかったから、簪はほんのちょっとだけ自分の気持ちを打ち明けることにした。
簪の言葉でどこか吹っ切れた彼は、アリーナで颯爽とセシリアに打ち勝ってくれた。しかも、二次移行という現象も伴って。
その日の夜、テンションが上がってずっと話し続けていた簪を、彼はただ微笑ましげに眺めていた。
そんな彼に、簪は…
「…すごいスピードだな。」
「ふぇ!?」
どうやら無意識の内にタイピング速度が上がっていたようだ。
「どうだ?マルチロックオンシステムの改良は出来たか?」
「…あ、えと…終わったはず…」
今までキーボードを叩き続けた成果を見せようとして、簪は動きを止めた。
「どうした?」
「…………やっぱりまだ。」
「ふむ、分からないところでもあるのか?」
(ダメ!見ないで…!)
ひたすら彼のことについて書き綴った原稿用紙十数枚分の文章を本人に見せる?とんでもない!未だにヘタレて、彼の事を心の中でしか名前で呼べない簪ちゃんなのだから。
「あ、う…」
IS操縦者としても一流の腕を持つ彼だが、アナハイムでは技術屋みたいな事をしているらしく、簪の打鉄弐式の完成に向けた手伝いをしてくれることになった。
その腕たるや簪は言うに及ばず、たまたま通りかかった布仏姉妹でさえも負けを認めるレベル。簡単に言えば学園内で一番の腕を持っている。そのせいで彼に師事を請う生徒が後を絶たず、教室に出待ちされるほどであったが、
『すまない、彼女の機体を完成させる約束なんだ。』
と人波に揉まれる簪の腰をホールドしながら言われては、誰も反論できなかったらしい。
その事を思い出すと余計に恥ずかしい。
「…じ、自分でなんとかできるもん…!」
色々キャパオーバーの簪が頰を膨らませ、顔を赤らめて言うものだから彼——悠は少したじろいだ。それもそのはず、彼は前世合わせて約30数年…一度も恋愛というものを経験したことがないからである。厳密には二度目のような気もするが、いかんせん彼はこういった事に耐性が無い。
「そ、そうか…すまない。(なんだこの感情は…)」
だから簪の表情に何か感じてもそれが何か分からないのだ。
「…じー…」
だから、二人だけの空間を作り出していてその他の人間のことを考えることなどないのだ。
「…あの、お嬢さま…」
「じー…」
「かんちゃん…真っ赤だねぇ…」
だから、簪は顔を真っ赤にしながら、悠は困惑しながら、それぞれ作業を続けるのだ。
外野の視線に気づくことなく。
◇◇◇
「…できた!」
「どれどれ…うむ、いい感じじゃないかな。」
「本当?」
「ああ。よくやったものだ。」
「…えへへ…」
時刻はそろそろ夜と呼んでも遜色ないほどになってきたが、二人は未だに整備室に籠っている。
学生の休日の過ごし方としては異色だが、この二人にとってはさしたる問題など無いらしい。
…これだけ二人の世界を作っておいて何だが、二人以外にも整備室には滞在している。この瞬間は他に数人ほどしかいなかったが。
「…ああ。本当によくできている。これならそのまま弐式に転用できるだろう。」
悠は簪が示すホロウィンドウを見て、少し表情を緩める。それは、一般的には笑顔と呼ばれる類のもので…
その瞬間、世界がピシリ、と音を立てた。
笑顔、とは人が浮かべる表情の中で最も他人に安心感を与える表情であるが、いつもニコニコしているだけが人間では無い。喜怒哀楽、とあるように他の感情によって表情が変わることもしばしばある。悠は、軍人仕込みということで基本的に仏頂面か無表情であることが多く、眉間に皺が寄っているのがデフォルトだ。
だがこの時は違った。悠も簪も休日、朝からずっと連続して作業していたこともあり疲労が溜まっていた。
だから、悠が珍しく…いや、初めて見せた笑顔に簪だけでなく、偶然居合わせた数人も動きを止める。
唯一動けたのは黛薫子、二年の新聞部の生徒だった。瞬時に携帯を取り出し、カメラを起動。しっかり無音でその光景を撮影し、学内掲示板に投稿。一連の動作を数十秒で終え、顔を上げたその瞬間…
——そこに広がる光景に、脳までフリーズした。
「…はふぅ…」
「まったく、何をねだるかと思えば…」
「えへへ…」
いや、疲れててもそう(頭撫で)はならんやろ——
その場に居た人間の思考が一致した瞬間であった。
◇◇◇
「…ぁっ——」
「お、お嬢様!?」
「おおう…大胆だねぇ…」
◇◇◇
「…実は束さんさ、ゆーくんの笑顔見るのってこれが初めてなんだよね。」
「う、うん?」
「えっと…」
「は〜無理無理無理無理何あのイケメン黙っててもイケメンだし仏頂面でもこっちの気持ちを読んでるみたいに動いてくれるし束さんが疲れてぶっ倒れてたらベッドに運んで毛布掛けてくれるし束さんの助手を自称して良いくらいの腕前持ってるししかも笑ったら爽やかになるとか何?何なの?束さん死んじゃうよ?人間って尊さだけで死ねるんだよ!?」
「はぁ…」
「…確かに悪くありませんね…」
「まあな…私もそう思う。」
◇◇◇
「…で、こうなってると。」
その日の夜、諸事を終えて後は寝るだけ、となった二人の部屋には、珍しく人が集まっていた。
部屋の主、簪と悠。そして生徒会組の三人である。
「ああ。誰だか知らないが飲み物に細工でもしていたらしくてな…食堂を出たあたりから『こう』なんだ。」
「……(ぎゅ)」
三人の眼前に広がるのは悠にしがみ付いて離れない簪の姿だった。
「…会長…」
「「お嬢様…」」
「し、仕方ないじゃない。簪ちゃんが石黒君とイチャイチャしてるのが悪いのよ…」
「いや、そういう問題でh …むぐっ!?」
「「「はぁ!?」」」
「…ぷは。」
「…会長。後で織斑先生の所に行きましょうか。」
「…お嬢様。これは本家に報告するべき案件と考えますが。」
「はわわわわわ…かんちゃんのファーストキスが…」
「 ;@え、v ヘァ?」
…事は、少し前に遡る…
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「…ごちそうさまでした。」
「うん。ごちそうさま…」
整備室から、所変わって食堂。男性操縦者の片割れと日本の代表候補生が共に食事をするのは珍しいのか、所々から視線が向けられていた。
「落ち着かないか。」
「あ…う、うん。」
何処か余所余所しい簪の態度を察したのか、なるべく早く食堂から離れようと席を立った悠だが——
「ちょっと、よろしくて?」
そんな二人に歩み寄る一人の女子生徒がいた。名前はセシリア・オルコット。イギリスの代表候補生であり、悠と同じクラスに所属する専用機持ちである。
「…オルコットか。」
「…ええ。少し、お話ししたいことがございまして。」
簪にアイコンタクト。了解の返事を受け取ると、悠はセシリアに座るよう促した。
「いえ。このままで…大丈夫ですわ。」
「そうか。」
僅かに迷いを見せ、悠はセシリアと向かい合う。簪には座っておくよう手で制し、彼はセシリアを見た。
「…私は謝罪しなければなりません。あなたの事、そしてクラスでの態度を。本当に、申し訳——」
ああ、その事か、と悠は内心頷いた。本音を言うと、謝罪というものが悠は嫌いである。軍人時代に散々見たからである。…無論、自分が謝罪する側に回ることも多かったが。
「いい。それよりもあの時。」
「…は。」
「君は何を思っていた。」
「それは、どういう…」
「結果論だが私の古傷を抉り、また自らのクラスでの地位を貶めた。さらに代表候補生としてあるまじき振る舞いに、アメリカ企業の機密漏洩、そこから生まれる米英間の軋轢と、それがIS関連産業に及ぼす影響…例えば、イギリスへの武装供給の停止——その可能性を考慮しなかったわけでもあるまい。そうまでして、君はなぜ私や一夏にあんな言葉を吐いた?」
「石黒君…?」
「オルコット。君の過去がどうだったかは知らないし、それを知ろうとも思わない。だが、代表候補生である事を忘れるな。君は国を背負って、ここに立っているのだから。」
「…はい。」
少しシュンとしたセシリアを見て、言いすぎたかな、と後悔する。心なしか特徴的な縦ロールも項垂れているように見えた。
「謝罪は受け取っておく。…あ、あと。」
「なんでしょう?」
「アナハイムの社長はえらくご立腹だったぞ。『イギリスに貸し一つ』とかなんとか言っていた。」
サアッ、と音を立てんばかりに顔を青くしたセシリアだが、悠の隣に座る簪を見てまた顔色を変えた。
「ちょ、ちょっと大丈夫ですの?」
「む、どうしたオルコット…簪!?どうした!?」
そこには、顔を赤くして机に突っ伏す簪がいた。
「す、すまないオルコット。これで失礼する。また明日!」
「え、ええ…」
バタバタと慌てて去って行く二人の背中を見ながら、セシリアはこの後本国から掛かってくるであろう電話に心を馳せ、頭を抱えるのだった。
またその後、メンタルブレイクされたセシリアが一夏の部屋に突撃し、箒と修羅場になるのは別の話だ。
「だ、大丈夫か簪…顔が赤いし…熱っぽいぞ?」
「う、ん…」
(風邪…ではなさそうだ。オルコットとの会話で
簪の顔は依然赤く火照っており、少し意識も朦朧としているようだ。自力で歩くのは厳しそうだ、と悠は結論付ける。
「すまない。少し急ぐぞ。」
埒が明かない、と悠は簪を抱き上げる。膝と背中を抱えた、所謂姫抱きで。
「捕まっていろ。」
そのまま自室に向け、簪に負担が掛からない程度に走り出す。
「あ、石黒君d…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「あれ、清香…どうしたn…」
「えっっっっっっっっっ!?」
通り過ぎる道すがら、幾人もの生徒の悲鳴(ただし幸せそうな)が聞こえるが、悠はそれらを一切無視。簪を抱えて走り続ける。
「…あ、ふ…ゆう、?」
「無理をするな。今はじっとしていろ。」
そうして部屋に駆け込み、ベッドに簪を寝かせた時に生徒会の三人が部屋を訪れた、という訳なのだが——
◇◇◇
「…ん?」
一般人より少し鋭敏な悠の嗅覚が何かを感じ取る。それは、前世で何かと口にした『アレ』の匂いだ。
「これは…酒?」
「………(ギクッ)」
簪からのファーストキスを受けても尚、冷静な悠が感じたのは酒の匂い。彼がそう口にした途端、楯無の肩が一瞬だけ揺れたのを見逃さなかった。
「会長。」
「…お嬢様?まさかとは思いますが…」
「あわわ、わわわ…」
悠と虚(未だ混乱している本音は放置だ)が楯無に無表情のまま詰め寄…
「行かないで…やぁ…」
ることは叶わなかった。悠の服をがっしり掴んで離さない簪の手によって。
「…会長。黙っているなら構いませんが…」
「織斑先生を呼びましょうか?お嬢様がしっかりお話できますように。」
「………………(ダラダラダラダラダラダラ)」
楯無の計画では悠のグラスにほんの少しのアルコールを混ぜ、簪に何かしでかすよう仕向け、その瞬間に颯爽と助けに入る…はずだったのだが…
(まさかセシリアちゃんが邪魔するとは思わなかったw)
「会長?」
「「「ヒィッ!?」」」
そんな思考も、かつてないほど冷めきった悠の声によって遮られる。
何度言っても返事がない、かつ各種の反応からほぼ犯人だと確信している楯無が未だ反省の色を見せず、そっぽを向いて扇子で顔を隠している、とあればいくら普段冷静な悠でも我慢の限界というものは来る。
「あ、あのね石黒君…」
「…布仏さん、でしたか。」
「は、はい。」
「この会長を少しお説教してもよろしいでしょうか?」
「はいどうぞどうぞ喜んで差し上げます」
「あ、え、虚ちゃ…」
「そこに、正座。」
「あ、あの…」
「黙って座るッ!!!!」
「は、はいぃ!」
◇◇◇
…石黒の部屋が騒がしいと聞いたんだが…あいつめ、一体何を…
「あれ、千冬ね…織斑先生。」
「どうしたのですか?」
「厄介事に巻き込まれたような顔をしていらっしゃいますが…」
「…ああ、お前達か。石黒の部屋が騒がしいと聞いてな。」
「悠の?あいつ、騒ぐようなタイプでもないだろ?」
「ああ。教室では静かに話しているイメージがあるな。」
「ええ。どこか大人びている、と言いますか…ともかく、あのお方がそんな事…」
「あなたはいつもいつも…」
「「「「ん?」」」」
「妹の…考えて…い……す!」
「…千冬姉。ついて行っても良いか?」
「…ああ。許す。むしろ一緒に来てくれ。」
((えっ))
まさか、な。あの石黒が…
「入るぞ。」
「「「(コクリ)」」」
私は妙に静かな扉を叩き、開いた。
◇◇◇
「学生でしかも未成年な妹に、飲酒させる姉がどこにいると言っているんです!」
「それは、その…」
「聞こえないとさっきから言ってるでしょうが!」
「あの、えっとぅ…」
「はっきりしなさい!それでも生徒会長ですか!」
「それは、そうだけど…」
「そこだけ反応するな!私は妹に酒を飲ませた理由を聞いている!」
「それはぁ…」
「ええいまどろこっしい!はっきり言えと何度言えば分かる!未成年が飲酒する事の危険性が分かっているのか!」
千冬、一夏、箒、セシリアが扉を開けた瞬間、中から言葉の圧が飛び出て来た。あまりの事に、生徒三人の顔は一瞬で青ざめるどころか、蒼白となってしまった。千冬でさえも、その気迫に気圧されてフリーズしている。
それもそのはず。悠の前世は軍人…それも筋金入りの。当然部下を叱責することはあったが、ここまで怒ったことは無い。
四人はなんとか部屋の状況を把握しようと中を覗き込む。そこにいたのは過去最悪に怒っている悠と、その前に正座させられ涙をポロポロ流す楯無。そしてそんな悠に怯えて姉妹で抱き合っている布仏姉妹に——
「ふみゅう…」
悠の背中にしがみ付いて眠る簪だった。
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翌日。
「…一夏よ。なぜか皆が私を避けているように感じるんだが…」
「さ、さあ。なんでかな?」
「おはよう、しょくん゛ん゛っ」
『『『おはようございますっ!!!』』』
「…なあ一夏…本当に、どうしたんだ?」
「な、なんでもないと思うぞ?なあ箒?」
「(な、一夏!?)あ、ああ。そうだ。気のせいだろう!なあセシリア!」
「(箒さんっ!?)そ、そうですわね!オホホホ…」
「ふうむ…?」
「「「「「ピィッ!?」」」」」
「ほ、本音ちゃん?」
「うっぐ、えぐっ…」
「よしよし、怖かったんだねー…」
((((((彼(悠)を怒らせるのはやめておこう…))))))
「あ、生徒会長…」
「…………………ガタガタガタガタガタガタ…」
「えっ?」
「会長。こちら紅茶になります。」
「あの、虚さん?これめんつゆだと思うんだけど…」
「…………失礼しました。」
「…虚ちゃん、何かあったの?」
「……………ブンブンブンブン(それには触れるな、の意)」
「あ、そう…」
「更識さーん…」
「…どうしたの?」
「顔、真っ赤だよ?」
「ふぇ!?」
きっと人生経験的にIS学園の誰も悠には勝てないと思うんですよね。