IS〈インフィニット・ストラトス〉永久の護   作:Aikk

33 / 54
三笠さん紹介回ラストです


第十二話 ミカサ・Ⅿ・ルーデンドルフ

あの日 村神三笠は、龍也達が見守る中その姿をこの世界から消した

残された人間は、彼女の捜索に当たるも彼女の魔力反応は、完全にロストし

彼女が飛ばされた世界の座標すら掴むことが、出来ず

彼女もまた、行方不明として扱われる事となった………。

 

永久がこの世界に来る一年少し前

ドイツ南西で謎の光が、そこに落下した

その日近くを訪れていた マクシミリアン・ルーデンドルフ氏は、その光を目視

車をその場所まで発進させた

そこで彼は、体を怪我し意識を失った

              村神三笠を発見した。

 

 

ーーーーーー

 

ーーーー

 

ーー

 

 

それからの一年はあっという間だった

この世界に身よりが無く身分も保証されない自分をマクシミリアンは一時的に保護し

暫くしたのちに自分を養女として迎え入れたのだと

 

当初は、困惑はした、家族の存在が彼女にはトラウマのような物だったからだ

しかし親身になって自分を手助けする彼を見ている内に昔亡くなった父の面影を重ねていたのだと

後に承諾し 無事にルーデンドルフの姓をへ ドイツで暮らす事となった

 

それからは、彼の補佐として動き 技術開発をサポート

戦争の道具だけではない 様々に人を支える事の出来るものを彼らと共に発明していった。

 

その間も元の世界への帰還方法も探したが、目途が立たなかった

自分と同じく巻き込まれた 装置や部品で、通信装置なども作って見たが

結局の所この一年の間は、誰とも連絡は取れないのだと 彼女は教えてくれた。

 

「マックス あぁ 義父さんの事ね それでマックスは、中々子に恵まれず 悩んでたらしくて そんな時に私を助けて

『君のような天使を探していた』って言うのよ

 最初は何言ってんだろうと思ったわ」

 

べーと舌を出し 苦い表情で当時の自分の気持ちを再現している

ただすぐににかっと笑って見せとる話を続けた

 

「私の実の父さんもそんな変わった人でさ、その人といるうちに父さんと重ねてたのよ

だから私は言ったの『色々とご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。』って」

 

誰も知る人間がいない この世界で自分を家族としたその人に彼女は、最大の恩を感じた

浮かべるその満面の笑みもとても微笑ましかった。

 

そして父の仕事の付き合いで今日本に来ていると教えてくれた

内容までは、彼女は知らされておらず、完全に観光になっているらしい

自分を付き添いに選んだ、マクシミリアンさんの計らいなのか

『別の世界の日本でもいいので、たまには里帰りも良いだろう』と言う事らしい

 

「気が利くと言うか、何というか楽しめる時は楽しむ、彼の信条なのよね」

 

「良い人ですね マクシミリアンさん」

 

「うん いい人過ぎて騙されないか心配になるかな」

 

心配だ言う彼女その表情は真剣だ

本当にマクシミリアンさんを大切に思っているのだ

その姿はとても心温まるものだ。

 

「同じ 意味では彼もお人好しでしょ永久君」

 

「そうですね 義父さんは凄く良い人ですから」

 

僕も彼女と同じだ

正式に引き取られるまでの間

僕は、彼が怖かっただが、僕を守ろうとするその姿は本当で

『頼まれた』だけじゃなく本当に自分を大切に思ってくれたから自分を息子として引き取ってくれたのだ

ある意味では、僕らは似た者同士なのかもしれない。

様々に変化する世界で変わらない家族の優しが確かに存在するのだと彼女言う

だからこそ 高宮哀の事も諦めないのだと

『この世界で出来る事は確かに限られるだから楽しめるぶん楽しんで出来る事を全力です』

 

「僕も出来ますかね」

 

僕の言葉を聞くと彼女は、きょとんとした表情になっている

 

「永久君は既にやってるよ 全力で千冬ちゃんだっけ? 君はその子の為に全力じゃない」

 

「でも これは、善吉さんに言われた事とは」

 

「そう言う事じゃないの 君のやるべき事は『目の前の誰かを救う』それが今の君のやるべき事 彼の跡を継いだんでしょ? ならそれで良いのよ 先ずは織斑さん達を救いなさい 高宮永久!」

 

何処か清々しく言い放つ目の前の女性

僕は少し気圧されていた

 

そして気づかされた 自分の中で分別がついていたと思っていた事

千冬ちゃんと一夏君の事 でも全然だったようだ

未だに迷いどうすれば良いのか、きちんとした答えも見えて無かった。

 

この人言われやっと自分自身 この世界でやるべき事が見えた

 

「僕は、彼らを救いたいです お節介だと思いますけど、それが今の僕のやるべき事です」

 

「うんうん そうだよ その顔が私の知る 高宮永久だよ!」

 

 

ある程度自身が付いた僕は、改めて目標を掲げた

自分の事のように喜んでくれる三笠さん

 

 

「高宮永久ですか………未だに慣れないんですよね」

 

「今も永見で通してるんだったよね まぁ何時か慣れるよ それに苗字が変わるからって忘れろって事じゃないと思うよ?」

 

 

自然に呼ばれていたが、高宮永久と呼ばれるのは、やはり慣れない

高宮に引き取られ今日の今日まで永見の姓を名乗ってしまう

『気にするな お前が永見の姓を大切にしてる証拠』と義父さんは言ってくれた

高宮の姓が嫌なのではない やはり僕には義父さんと同じ姓を名乗る勇気が湧いてこないのが一番の理由かも知れない

三笠さんも気にはしないが、『いつかきっと慣れるよ』と背中を押してくれた。

 

 

ーーーーーー

 

ーーーー

 

ーー

 

 

僕の来た目的と三笠さんを探していた理由 そして今いる織斑姉弟の話を全て教えた

特に織斑姉弟の事は彼女もずっと気になっているようで

暫くしたのちに考えがまとまったのか、何処かに電話をしだした

何か、あったのだろうか? 表情をころころと変える三笠さん

少しの後電話を切り

僕に他に聞きたい事は、無いか教えてくれた

聞かなければ、行けない事は聞いたつもり

この世界でやるべき事それは、『織斑の問題』今はこれだ。

そしてこの世界の探索と言うか、この世界事態に敵対する存在がいないかどうかなど

うーーんと少し考えた後

はっとその場で思い出し 自分がかけている眼鏡ディアーズについて聞いてみた

目の前の彼女が、この万能眼鏡を製作したのだ、善吉さん以上に詳しい筈だろう

 

「あぁー その子ね 元々は魔導士じゃない人間の為に作ったデバイスの試作品だったの」

 

「試作品でも凄いですよ 体をカモフラージュ出来たり 自分の位置把握とか」

 

「でも まだまだ改良の余地があるかな、それにまだ君にも言ってない事もあるし」

 

十分すぎる働きを見せる この万能眼鏡なのだが、

どうやらこの人は、まだまだ隠し機能があるようで唇の前に人差し指立て

『今は秘密』と小さく呟いた

それから席を立つと会計を済ませる

 

色々と収穫はあったし僕も考えが纏まったと思う

三笠さんも『悩める時には悩め』と背中をぽんぽんと優しく叩き

何か困った事があれば名刺に書いてある電話番号に掛ければと教えてくれた

そして このまま一度別れ別行動するのかと思ったが、何やらまだ話がるようで

帽子の鍔とぎゅとにぎり 右手で僕を指さすと彼女は、言い放つ

 

「あなた達には明後日 ドイツに来てもらうわ! 決定事項だから」

 

 

………………………………

えっ……………?

思考が停止した

僕の聞き間違いなのだろうか

このカジュアルな服を着こなす女性は何を言い出すのだ?

けどここは冷静に聞き返そう

焦ってはだめだ 彼女は何と言った

そう 明後日ドイツにと言った 分かった

けど重要な部分がもう一つあったのだ

恐る恐る手をあげれば『質問を許可するよ』とノリノリである

 

「気のせいじゃなければ『あなた達』って言いましたか」

 

「言ったよ 言ったわよ」

 

「二回も言わなくて良いですよ つまり あれですか、千冬ちゃん達も」

 

「Genau!」

 

如何やら聞き間違いではない

純日本製のドイツ国籍を持つこの人は笑顔で頷いている

僕は、魔術で飛んでいけば、行く事は出来る

だがあの二人には、身分を証明するものはない

パスポートも何もないのだ。

にも拘らず明後日いきなり 知らない人とドイツに来い言うのか

中々無茶な問題だ

ただ彼女にも考えなしで言うようなタイプではない 確証がなければ答えない

それが彼女だ。

 

「詳しい事情また後で話すけど あの二人の書類諸々は、永久君は心配しなくても大丈夫 お姉さんに任せなさい」

 

「凄く不安になるんですが………………」

 

「まぁーまぁー 大丈夫 それとね 今から千冬ちゃん達の家に行くから」

 

「えぇ ただでさ僕のような半居候がいるのに更に見知らぬ人を」

 

「明後日急に出会うより 今のうち会っておいた方が、いいでしょ?」

 

何んでこの人は、自信満々なんだ

その自身は何処からわいてくるのだろう?

 

「そんな顔しないよ せっかくの顔が台無しだよ さて行こうか織斑宅に」

 

「ここでダメですと言える雰囲気じゃないのは分かりました。連れていくだけ連れていきますただ、千冬ちゃんの意見も聞いてくださいね」

 

「そこは、きちんとするから安心して それじゃ出発よ」

 

 

龍也さんが言っていた

三笠さんとはブレーキの効かない人間だと

確かにその通りだ 何と言うか凄くパワフルな人である。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。