四角き力を持つ刺客   作:祈然町

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ちょいちょい過去話は修正してます。見てね!(宣伝)


第6話 耳郎(じろー)さんと作戦

「始めようか有精卵共!!!戦闘訓練のお時間だ!!!」

 

グラウンドβにて戦闘訓練の始まりが告げられる。

念願のコスチュームに身を包めたこと、これから行われることが戦闘訓練であることが彼らをソワソワさせていた。

 

「(わかりやすいなぁ出久くん…)」

 

いかにもあの人物を意識してる出久くんのコスチュームはさておき、真面目ないーだ君が今回の訓練についてオールマイトに問いかける。

というか超カッコいいないーだ君のコスチューム。動く度にガション!て音の鳴るロボは男子全員一度は憧れる物だ。

 

「市街地での戦闘?いいや!もう二歩先に踏み込む!屋内での対人戦闘訓練さ!!」

 

彼曰く敵退治は統計で言えば屋内の方が凶悪敵出現率は高いとのこと。

まぁ、そりゃそうだよね。監禁とか軟禁とか裏商売とか色々あるし…昔を思い出す。

で、おれたちにはこれから敵組、ヒーロー組に分かれて2体2の屋内戦を行なってもらうのだとか。

というか、2対2…?

思わず「このクラス21人なんですけどどう分けてやるんですかー?」と聞いてしまう。

それを皮切りに

「勝敗のシステムはどうなります?」

「ぶっ飛ばしてもいいんスか」

「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか…?」

「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか?」

「このマントヤバくない?」

と質問攻めになりオールマイトが聖徳太子ィィ!!!と唸る。

青いジャージ姿の人が頭に浮かんだので頭を振り払って消す。

 

「では設定状況の説明だ!敵がアジトに核兵器を保有し!ヒーローはそれを処理しようとしている!」

 

アメリカンな映画でありそう、こんな設定の映画。

 

「ヒーローは制限時間以内に敵を捕まえるか核兵器を回収する事!敵は制限時間以内まで核兵器を守るかヒーローを捕まえる事!」

 

勝利条件は互いに同じ。だけどこれはヴィランの方が圧倒的に有利な気がする。

試してみたいこともあるし取り敢えずヴィラン役をやってみたい。

 

「コンビ及び対戦相手は…くじだ!」

 

「適当なのですか!?」

 

おもむろにクジの入った箱を取り出すオールマイト。どこから取り出したんですかそれ。

 

「プロは他社の事務所と急造チームを組む事が多いらしいから…つまりそういう事じゃないかな?」

 

「そうか…先を見据えた計らい…失礼しました!」

 

絶対オールマイトを意識したであろうスーツを纏う出久くんから説明を受け、納得したように頷くいーだ君。これで全員がルールを把握した、なら

 

 

「いいよ!さぁ始めよう!一人ずつクジを引いてくれ!」

 

チームメイトを決めるくじ引きの時間だ。

しかしこのままなら1人余ってチームが組まれることになる。何らかの措置を取るのだろうか?

 

「ちなみに、1組だけ3人のコンビが出来るが、勿論ハンデが設けられる!そのチームは2人捕らえられた時点で敗北だ!!」

 

「成る程。数的有利を得るのと同時にデメリットも背負うことになるのか…」

 

各々がクジを引き終わる。

 

「よし!全員引いたな!それじゃあチームごとに分かれてくれ!」

 

バラバラと別れていくチームの面々を見てオールマイトは頷く。

 

「おれはGコンビか」

 

「お、あんたが同じか。ウチは耳郎 響香よろしく」

 

「敵チーム同士仲良くヒーローをボコボコにしようね」

 

「候補生とは思えない発言するねあんた」

 

「ロールプレイだよ じろーさん」

 

「兎に角、作戦練ったりお互いの個性の把握しとかないとかなりキツくなると思う」

 

「確かに。何しろ相手は__」

 

切島くん、瀬呂くん、上鳴くんのヒーローチームことJコンビ。接近攻撃兼壁役、捕縛役、範囲攻撃役という強力な個性を持つ彼らに数で攻められるのは相当キツくなるはずだ。コンビネーションが良ければ更にキツくなる。

だからおれたち敵チームは彼らを完封するための作戦立案と5分間でそれを整えなければいけない。

 

「完封?」

 

「そう、耳郎さんの個性とおれの個性を組み合わせれば完封できる」

 

お互いの個性の把握が終わる。

じろーさんは耳から伸びるプラグを挿すことにより心音を爆音に増幅させて攻撃できるらしい。

しかも、コンクリートくらいなら簡単に破壊できるのだとか。それを聞いておれの中で最高の作戦が浮かんだのだ。

 

「言い切れる程自信があるんだね。是非聞かせてその作戦」

 

「りょーかい」

 

 

「相手は沙函か」

瀬呂。

「アイツの個性…というかアイツ自体よくわかんねぇんだよなぁ。個性把握テストでは瞬間移動したり箱型のスライムで死にかけたり持久走で飯食いながら無限に走り続けてたり…優秀なのか莫迦なのかわからねぇ」

切島。

「わかるのはあいつが八百万と仲良しなことだけだわ……実は付き合ってんのかな?」

上鳴の3人も同様に作戦会議をしていた。

題は沙函について。個性が強力である彼を敵チームの驚異とみなすのが前提だ。

こういう頭を使うことに疎い切島と上鳴が、瀬呂の筋書きに助言をしていく形で作戦は徐々に組み立てられていく。

 

「上鳴、それも滅茶苦茶気になるけど、あいつの個性対策してないと人数差覆されて負ける可能性あるぞ。手数が多いのは人数差カバー出来るって意味でもあるし。まだまだ手を隠してるっぽい」

 

「同じ会場に居た芦戸から聞いたんだけどよぉ、あいつ木を生やしたり爆弾を置いたり出来るっぽいぞ。遠くから見えたらしい」

 

「マジかよ!…でも核あるんなら爆弾は流石に使わないんじゃね?」

 

「瀬呂、お前の個性で全員上から侵入すんのはどうだ?」

 

「無理だ。人間1人引っ張り上げれる程、俺は個性を使いこなせてない。

行くなら1人になるが待ち伏せで捕縛されたらヤバくなる。正面から数を利用して順当に潰していくのが一番良いと思う」

 

「成る程なぁ、頼りになるぜ瀬呂!なら、それさえ出来れば__」

 

「こっちの勝ちって訳か!」

 

上鳴が興奮し立ち上がる。

 

「よし!おれたちヒーローチームの恐ろしさ、見せつけてやろうぜ!」

 

「「「おぉ!!」」」

 

しかし、彼らは驚異として見るべき相手を間違えていた。この判断がいずれああいう結果に繋がるとはこの時誰も思っていなかったのである。

これさえ敵チームの思惑通りであることも。

 

 

「出久くんすごかったなぁ…おれも負けてられないや」

 

「で、あんたはなにポコポコやってんの?見た感じ壁を作ってるっぽいけど」

 

「そ、今回おれの個性は"破壊した物をブロック化して再度設置出来る"ことに強みがある。だから無い壁を元からあったみたいに偽造して置くことが出来る。ちなみにこのブロックは隠した通路の壁から拝借してるよ」

おれは屋内フィールド廊下を塞いでいくようにどんどん自然な壁を築いていく。今回の作戦は核兵器の防衛ではなく、率先して相手を潰していくことにする。初めはアイアンゴーレムやマグマ、サボテンなどを使った防衛システムもといトラップを築いてガン待ちしようと思ったのだが、アイアンゴーレムの反撃は人を殺しかねないし他も同様に加減が出来ない可能性があるため、なるべく致死率が低いこの作戦を取ることになったのだ。そのためにもこの壁を使ったあるポイントへの誘導が重要になる。

 

「そうやって核兵器へのルートを自然に絞り込ませて吊るし上げる訳ね。けっこういい作戦じゃん。あと、あんたトランシーバー持ってなかったっけ?今回はそれ使ってくの?」

 

「いや、今回通信機は使えない。

上鳴くんの個性でトランシーバーの信号を感知されたら居場所がバレるからね。索敵はおれと耳郎さんでやるとして、それを伝える手段は後で言うね」

 

「わかった。思ってた以上に念入りに組まれた作戦だね。気に入った!」

 

彼女もこの作戦に納得してくれたらしい。

クールでサバサバした性格なのもあってか打ち解けるのは早かった。

だが、そんな彼女に命令して利用するのはどこか胸が痛かった。

 

「今回の作戦は別行動を取る耳郎さんが鍵を握ってる。悪い言い方だけど、ヒーローチームのみんなはおれを率先して狙ってくる筈だよ。同じ試験会場に居た芦戸さん経由でヒーローチームにおれの個性が割れてる可能性があるからね。だからおれの存在で彼らを引き寄せて__」

 

戦闘訓練の開始数分前を知らせる放送が鳴る。

 

「そこをウチが叩くわけね。あ、あとさぁ」

 

ん?耳郎さんがこちらに振り返る。

 

「別に気負わなくていいよ。ウチはこの作戦が良いと思ったんだ。なら乗るのが当然でしょ?」

 

「!…耳郎さんが相方で良かったよ。ありがとう」

 

「はは!でも、それをウチに言うのは勝ってからね!じゃ、私はポイントに向かうから!」

 

 

「「グッドラック」」

 

 

 

『屋内対人戦闘訓練開始!!!』

 

俺は1人、シャベルを抱えて足を進めた。

 




流石に鬼畜クラフターがやるような鬼畜トラップは作らない主人公。尚、それでも鬼畜に見えるトラップを作ってしまう模様。次回へ続く!

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