『闇の落とし子』が動き出す時—   作:アレの依存症

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『闇の落とし子』が動き出す時—

 その少年は幼い頃から、ある組織によっておよそ幽閉といった形でこの世と隔絶しているかの如く生活することを余儀無くされたのである。組織は彼を『闇の落とし子』とし、彼を幽閉する組織の手により陽の光を浴びることなく育てられたのであった。

 

 感情というものを一切教えられることもなく、ここにいる間彼は後天的な喜怒哀楽の感情を覚えることが無かった。どんなことにも無感情で、その一切に気持ちを揺さぶられるという事は無かった。

 

 また痛みという概念は自らのエゴによって生まれるものであり、痛みを苦痛と思うような捉え方の一切を消し去ることが出来るとされた。彼はたとえ生皮を剥がれようともどれだけの血を流す惨事になろうとも、痛みという感覚は一切合切消し去ることが出来ると、洗脳じみた教えを承けることとなった。

 

 一体どうしてこうも偏極的な教えを彼は受けているのか。それは先程に挙げた『闇の落とし子』というものが何なのかという事の答えでもあった。闇の落とし子と言うのは天地開闢以来気の遠くなるような周期で生まれるとされる者であり、彼らは放っておくといずれこの世をも滅ぼすとされる災厄を起こすとされているのである。

 

 幸いにも、未だに彼らの手によって何かしらのことが引き起こされたことは一度もない。闇の落とし子による災厄は彼らの不安定な感情により引き起こされるものである。そして彼らを幽閉してきた組織は私たちが生まれる遥か昔から秘密裏に暗躍していたのであった。

 

 ここの組織の目的は、彼らによって引き起こされるとされる災厄を抑え込むことであった。と言うのも闇の落とし子というのはある一定の年齢まで育つと自然と消滅するのである。その年齢は決まってはおらず、10歳にも満たない子もいれば、私たちの感覚で言う中学生くらいの子もいたという。この現象については組織の中であっても一切メカニズムなどは解明されておらず、彼らの『特性』と位置付けられているのであるため、別に消滅はイレギュラーな出来事とされなかった。

 

 この組織は客観的に見れば非人道的なやり方で一方的に、落とし子とされる何も知らない子どもたちのアイデンティティを否定し続け、最終的には消滅を起こさせるというあまりにも儚く、そして残酷な生涯を送らせるのである。当然私たちには全く与り知らない場所で。そして今もこの組織はどこかに存在しているのである—

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、ある日事件が起きたのである。この世の転覆を図った組織の人間の一人が、あろうことか落とし子の少年を外の世界に解き放ったのだ。現世に一切まつろうことなく生きてきた少年はあろうことか突然世間に放り出されてしまったのである。この後どうなったのかは想像に難くないことだろう....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!このワンちゃんめっちゃかわいいぃぃぃぃぃ!」

 

 

 

 何か知らないけど、僕はずっと闇のなんちゃら?って呼ばれて育てられてたらしいんだけど、正直よく覚えてないんだよねー....今はこうして普通に生きてるワケだし。え?世界を巻き込む災厄?そんなもん知らない知らない!大体僕みたいな普通の人間がそんな大それたこと引き起こせるわけないじゃん!

 

 何かそこの組織は僕がいなくなって『地球が守られた』とか言ってるって軽~く耳にはしたけど、現にこうやって普通に生きてるわけだし、ちょっと犬好きが過ぎるって周りの人から言われることもあるけどね(笑)




 









 この作品を通して私は『拍子抜け』という感覚を味わってもらいたかったんです(?)


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