次回オーク戦です。
皆に新たな装いを作るため全員の採寸を図っていたシュナ達裁縫班。最後に残ったキトラの採寸を終えた頃にはもうすっかり日が落ちて虫の音がなっていた。
先日の作戦会議トレイニーがもたらした情報により想定していたオークの脅威を上回った事をシュナは不安に感じていた。
「気を付けるんですよキトラ。」
「気を付ける。そう言わねえと満足しねえんだろアンタは。なァヒメサマ。」
「はい。」
「俺が豚どもに負けると思ってんのか?」
「そう侮った同胞達は皆喰われました。父様もです。」
「チッ。」
皆から慕われオーガとして最高の戦士だった父を思い出し顔を伏せるシュナ。悪態しかついてこなかったが両親が死んだあと自分の面倒をみ我が子のように扱ってくれた族長に最後まで勝てなかったまま別れた事をキトラは悔やんでいた。
「私はもう嫌です、仲間を失うのは。」
「……。」
「リムル様に名前を貰って、村のみんなもとてもよくしてもらっています。」
箱入り娘であり里にいた時は皆から一歩引かれた態度で接せられていたシュナにとってリムルが治めるこの村はとても居心地の良いものだった。
「俺は負けねぇ。俺は最強だ。」
「キトラ……。」
あくまで侮りを捨てないように愉悦の笑みを浮かべるキトラに涙目になるシュナ。
「文句があんなら俺に命令しろ。誰も死なせるな死ぬなと、ヒメサマ。」
「……キトラ。」
「おう。」
「兄様やリムル様達をお願いします。どうか誰も死なせないで。」
本質は気弱なただの少女なのだろう、だが、声を震わせながらも真っ直ぐにキトラを見つめる目にキトラはオーガの誇りを見た。
「ハ!了解だぜヒメサマ。」
「はい、お願いしますねキトラ!」
「任せとけ。」
そう言って二人で笑うキトラと微笑むシュナ。それは鬼人の戦士や姫の面持ちは無くただの年頃の男女のようであった。
「なぁ、なんかイイ感じじゃね?あの二人。」
「そ、そうですね。」
そんな二人を陰から見ていたのはリムルとベニマルである。まったくもって偶然なのだがたまたま通りかかった二人は先程のやり取りを聞いてしまい出るに出れなくなってしまっていたのだ。
「お兄ちゃんとしてどういう気持ちなの、こういうの?」
「どうといわれましても…。」
妹に恋人が出来るのは決して嫌なことでは無い寧ろ祝福すべきなのだろう。だが相手はあのキトラだ、強い戦士であるとはいえキトラに義兄と呼ばれる事を目を閉じ想像して何故か胃が痛くなるベニマル。
「ぐぅ…。」
「なんだよ、アニキとでも呼んで欲しいのかァ若サマ。」
「いやいやそういうワケではないんだがな……。」
そこまで言って気づく、先程まで話していたリムルの声ではないと。その事実に嫌な予感を抱きながら目を開ける。そこに死神が立っていた。
「盗み聞たァヘボいことしてんじゃねぇか。若サマ。」
既にリムルは頭をつかまれ確保されている。
「ま、待てキトラ!!誤解だ!偶然通りかかっただけだ!!」
「言い訳なんてらしくねぇなァ!」
「ま、まて落ち着けキトォッ!!」
ベニマルの顔面にリムルを投げつけるキトラ。
「ぎゃあああああああ!!」
「ヘブッ!!」
顔にリムルをへばりつけたまま走って逃げるベニマルにそれを追いかけるキトラ。
「待てやこらァ!!」
そんな様子を少し呆気に取られるも笑ってしまうシュナ。
戦い前の束の間の平穏をリムル達は過ごすのだった。
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あくまで参考に、ヒロインを誰にするべき?未登場キャラ含めて。
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かかあ天下 シュナ
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喧嘩ップル シオン
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無邪気な暴力に襲われる ミリム
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殺し愛 ヒナタ
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上記以外のキャラクター