インフィニット・ストラトス 正義と日食の騎士 作:どこかのシャルロッ党
「さすがだな翔真!」
「何がだよ」
「あだだだ!?力・・・力入ってるって!?」
「お前が余計な挑発さえしなければこんな事にはなってなかっただろ」
放課後。教室に二人残された翔真と一夏。翔真は一夏にアイアンクローをお見舞いするも一夏はなんとか退ける。翔真はため息をつきながら鞄からサンデーを取り出すとページを開く。
「けど、あんな言い方されて怒らない奴なんていないだろ」
「時には大人な対応しなきゃいけない時だってあるんだ。あんなオルコットの挑発簡単に聞き流せば良かったんだ」
「翔真お前、あんな事言われて悔しくないのかよ?だって『あ!織斑君と綾崎君!』山田先生」
会話を遮った声は真耶だった。真耶は二人にそれぞれ寮の部屋の鍵を手渡す。翔真はそれを握りしめて教室を出る・・・すると真耶が制服の袖を引っ張る。
「あ、綾崎君!」
「はい」
「・・・私も織斑先生から色々聞いてます・・・でも、皆の輪に入らないとこの先きっと苦しいですよ・・・」
「・・・・・・」
真耶は千冬から翔真に関して色々聞かされていた。翔真の過去も知っている真耶は今日1日授業の傍ら翔真を見ていた。誰とも話す訳でもなく、決して誰にも近寄らせない雰囲気を出している彼に真耶は心の底から心配する。
「ご忠告どうも先生。でも俺は・・・」
「!・・・ま、待って綾崎君!」
「(翔真の奴・・・なんであんな態度なんだ?やっぱり昼間の件怒ってるのか・・・)」
一夏の考えとは裏腹に翔真はひたすら寮へと向かう。やがて寮へ到着し、指定された部屋の扉の前に立つ。
「(はぁ・・・なんか疲れた。寝よ)」
「はぁい♪お帰りなさいあ・な・た♥️お風呂にする?ご飯にする?それとも・・・わ・た・し?」
「――――チェンジで」
「酷くない!?」
「なんであんたがここに?"更識生徒会長"」
「織斑先生から頼まれたのよ。貴方を守るようにってね・・・けど、だからといってチェンジは酷いと思うんだけどな~」
「そりゃ、部屋の入り口にエプロンだけの変態がいりゃ誰だってそう言うだろ」
「変態認定されたの私!?・・・私は変態じゃなくて、たっちゃんよ♥️」
「何処の変態くノ一メガネだよ・・・」
翔真の部屋には水色の髪が特徴的な少女"更識楯無"である。このIS学園の生徒会長である楯無は千冬から短期間という条件で翔真の護衛の為に一緒に住むことになっておりハニートラップなどを考えて、楯無を相部屋のパートナーにすることでハニートラップなどを回避出来るという理由だ。
「んで、生徒会長『たっちゃんよ♥️』はぁ・・・たっちゃんよォ、別に俺は構わないがアンタは俺と一緒でいいのかよ」
「なにが?」
「だって俺、男だぜ?それに―――『それはさほど心配してないわ』なに?」
「貴方が男でも、私は貴方が襲って来ないと確信出来る・・・何故だか分かる?」
「是非とも知りたいな」
「―――――懐にある物騒なそれを持つからじゃ、理由にならない?」
楯無は翔真が十手を持っていることに気付く。しかし翔真は楯無にそんなこと言われてもお構い無しにベッドへと腰を掛ける。
「こいつは護身用だ。持っておいて損はないだろ・・・」
「十手なんて、また古風な物を持ってるのね」
「趣味でね。まあ、しばらくの間頼むぜたっちゃん」
「こちらこそ!」
「それと・・・ほれ」
「え・・・」
翔真は自身のベッドに置いてあった羽織りを楯無に着させる。突然の翔真の行動で楯無は思わず顔を赤くする。
「いつまでもそんな格好してると風邪引くぜ」
「・・・う、うん・・・意外と・・・優しいのね・・・」
楯無は寝巻きに着替え、軽く翔真と会話を交わして眠りに着く――――しかし、翔真は眠れそうにはなかった。
「(・・・なんでこんなことになっちまったんだろうな・・・まさかまた楯無と相部屋になるとは・・・)」