妹がいつの間にか人気Vtuberになってて、挙句に俺のお嫁探しを始めた   作:はしびろこう

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十一話…!


十一話『保護者会配信』

 保護者会配信。

 それはトライアングル所属のVtuber達の保護者が一堂に集まる会である。

 保護者と言っても、多岐にわたり、仲良くしている他のVtuber達やキャラを描いてくれた絵師、通称ママ……。が参加する予定の配信に何故か俺も参戦していた。

 

 SNSの公式アカウントに参加者名として、秋風幽香の保護者としてお兄ちゃんという文字が書かれており、そのリプ欄はお祭り状態だ。

 

 ・お兄ちゃんがガッツリ配信するって? 

 ・有能かよ……運営……

 ・お兄ちゃんへの質問箱も開設されてんねぇ! 

 ・お兄ちゃんへ、俺と結婚してください。

 

 いや、本当の保護者が参加してどうすんのさ……。とも俺は思ったが、萌香に押し切られ、そのまま配信に参加することに……。

 

 配信会場は会社の設備を使い、その場で集まってするみたいだ。そうやって大岩さんから連絡が来た。

 お金も発生するらしく、俺はこの配信の事を仕事だと考えるようにした。お金を貰っている以上半端なことは出来ないので、初心者なりに頑張ろうと思う。

 

 てなわけで、トライアングル本社へ再び足を踏み入れた俺である。勿論、萌香も一緒だ。今日は萌香自身に収録やその他の予定はないらしく、ただ俺を待つことになるらしい。勿論、家にいたら良いんじゃないか? とも言ったが、「お兄ちゃんに何かあったら私が守らなくちゃね!」と言っていた。

 まるで、前とは別の立場だな。

 

 ロビーで待っていると、大岩さんが走ってやってきてくれた。

 

「すみません、お忙しい中参加していただきありがとうございます!」

「いえ、妹に押し切られてしまいまして……迷惑をかけるかもしれませんが……」

「大丈夫です。今回は私が司会を務めさせていただくので、リードしちゃいますね」

 

 大岩さんがサムズアップをし、俺に大丈夫だと告げる。

 ならば、大人しくリードされよう。下手に動くよりかは良さそうだ。

 

 そのあと打ち合わせ室に案内され、今回の参加メンバーと顔を合わせた。

 

 筋肉質な男性や背が俺より高い女性など、個性的なメンバーが集まっている。

 

「おお! 初めまして! お会いしとうございました!」

「初めまして、今日はよろしくお願いします」

 

 俺は筋肉質な男性と握手を交わす。良かった、かなりフレンドリーな人だ。少し緊張がほぐれた。ありがたい。

 

「わしは、【かわの】という者です! イラストレーターをやっとります! トライアングルのキャラクター制作担当しとります!」

 

 いきなりの大物だった。

 かわのさんは自己紹介してもらった通り、トライアングルのキャラクター制作を担当している方であり、そのほかにもラノベやカードゲームなどのイラストも手掛けている超一流イラストレーターだ。

 まさか、こんなムキムキの方だったなんて……。

 

 緊張の波がまだ押し寄せてくる。なるほど、妹が度々俺に助けを求めてくる時の感情はこんなのだったのか……? 

 

 そう思っていると、横から肩を少し突かれた。

 

「あの……初めまして…………わたしは……【桜乃まも】……といいます…………」

「え? ああ、初めまして」

「……ふふ、ありがとうございます……」

 

 このゆっくりとした喋りが特徴的な背の高い女性は他企業Vtuberの桜乃まもさんだ。

 アバターはピンク髪の少女であり、容姿も落ち着いた雰囲気を漂わせ、リスナーに人気のVtuberだ。他企業と言っても所属しているのは桜乃さんだけで、実質個人だと本人は言っている。リスナーからは『たった一人でトライアングルに立ち向かう女』と称されている。

 繋がりは、トライアングル全員とよくコラボしており、特に冬花旭と繋がりが深い。基本的に敬語で話す冬花旭ではあるが、この桜乃さんを前にするとラフな表情が出て、時折甘える姿が見れるという。

 

「おや、あと一人来ておりませんね」

「ああ、クロアちゃんならさっきお手洗い行っとりましたよ」

「…………待とうか……」

 

 クロアって……ああ、確かてるみんと同じ二期生のアーベントロート・クロアだったか。

 

「いや〜すまない、待たせたな!」

 

 ドアをバンッと勢いよく開け、中に入ってくる女性。背が小さくて小学生にしか見えない人だった。

 

「おや! 貴方が噂に聞く幽香先輩のお兄さんか! 我はアーベントロート・クロアじゃ! 今回は響の保護者枠として来た!」

 

 両手を腰に回して、ふんぞり返る少女。

 少し、俺は口調とかのギャップで混乱してしまう。

 

「は、初めまして、えっと……兄です。よろしくお願いします……」

「おや、口調に戸惑ってるようじゃな、これは、こうでもしとかないと、すぐにキャラ崩壊を起こしそうで怖いのでな! 仕事に入る前は必ずこのような口調にしているのじゃ! 許せ!」

 

 と、話す幼女……。ふむ、これはこの配信……一波乱起きそうだぞ……。

 

「そろそろ、配信を開始しましょう、皆さん準備をしましょうか」

 

 俺はあらかじめ用意されていた、PCの前に座り、大岩さんからスマホを渡される。使い方を説明してもらったら、俺のアバターが特別に用意されているとのことだった。

 イケメンのアバターが用意されPCの方でも表示される。

 俺の動きに合わせて、アバターが動いたり表情が喜怒哀楽出るので見ていて楽しい。

 

「おお……」

「はっは! リアクションが新鮮で面白いですなぁ!」

「……初めての……快感は……忘れられなくなる……」

「うむ! 我も初めていじったときは一日中遊んでたのぉ!」

 

 確かに、これは少しハマりそうだ。萌香が楽しんで配信をやっている気持ちが少し分かった気がする。

 

「では、配信を始めましょうか、行きますよ皆さん」

 

「あっ! はい!」

「承知した!」

「……分かった……」

「はぁい! わかりました〜!」

 

 え? 待って? 最後、なんかかわのさんの声が少しおかしかったぞ? 

 え? 女の子の声が聞こえたというか……? え? 

 

 配信の画面に表示されてキャラが一斉に映りだす。

 

 ピンク髪の少女

 銀髪のロリ

 どこぞのイケメン

 おっぱいの大きい女の人

 ショタ

 

 俺は隣にかわのさんがいた事を思い出し、横のキャラを見る。

 

 おっぱいの大きい女の人

 

 そして俺は現実でも恐る恐る横を向いてみると、丁度かわのさんが喋り始めた。

 

「こんにちは! イラストレーターのかわのですっ!」

 

 ・ママッ────! 

 ・ばぶぅ……

 ・母性の塊だよ……

 ・信じられるか? これ中身おっさんなんだぜ……? 

 ・横にいるお兄ちゃん、横見ながら目見開いてて草

 ・お兄ちゃん! 口閉じろ! 

 

 ヘッドホン越しに聞こえる可愛い声と、隣で男の人の声がハウリングする。

 え? なにこれ? 

 




どうでもいいキャラ紹介

アーベントロート・クロア

本名「???」
愛称「クロア」
好きなもの「サメ映画」
ファンネーム「こうもりさん」

常闇ノ響とデキてる

僕のTwitter↓
https://mobile.twitter.com/hasibirokou111

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