妹がいつの間にか人気Vtuberになってて、挙句に俺のお嫁探しを始めた 作:はしびろこう
保護者会配信。
それはトライアングル所属のVtuber達の保護者が一堂に集まる会である。
保護者と言っても、多岐にわたり、仲良くしている他のVtuber達やキャラを描いてくれた絵師、通称ママ……。が参加する予定の配信に何故か俺も参戦していた。
SNSの公式アカウントに参加者名として、秋風幽香の保護者としてお兄ちゃんという文字が書かれており、そのリプ欄はお祭り状態だ。
・お兄ちゃんがガッツリ配信するって?
・有能かよ……運営……
・お兄ちゃんへの質問箱も開設されてんねぇ!
・お兄ちゃんへ、俺と結婚してください。
いや、本当の保護者が参加してどうすんのさ……。とも俺は思ったが、萌香に押し切られ、そのまま配信に参加することに……。
配信会場は会社の設備を使い、その場で集まってするみたいだ。そうやって大岩さんから連絡が来た。
お金も発生するらしく、俺はこの配信の事を仕事だと考えるようにした。お金を貰っている以上半端なことは出来ないので、初心者なりに頑張ろうと思う。
てなわけで、トライアングル本社へ再び足を踏み入れた俺である。勿論、萌香も一緒だ。今日は萌香自身に収録やその他の予定はないらしく、ただ俺を待つことになるらしい。勿論、家にいたら良いんじゃないか? とも言ったが、「お兄ちゃんに何かあったら私が守らなくちゃね!」と言っていた。
まるで、前とは別の立場だな。
ロビーで待っていると、大岩さんが走ってやってきてくれた。
「すみません、お忙しい中参加していただきありがとうございます!」
「いえ、妹に押し切られてしまいまして……迷惑をかけるかもしれませんが……」
「大丈夫です。今回は私が司会を務めさせていただくので、リードしちゃいますね」
大岩さんがサムズアップをし、俺に大丈夫だと告げる。
ならば、大人しくリードされよう。下手に動くよりかは良さそうだ。
そのあと打ち合わせ室に案内され、今回の参加メンバーと顔を合わせた。
筋肉質な男性や背が俺より高い女性など、個性的なメンバーが集まっている。
「おお! 初めまして! お会いしとうございました!」
「初めまして、今日はよろしくお願いします」
俺は筋肉質な男性と握手を交わす。良かった、かなりフレンドリーな人だ。少し緊張がほぐれた。ありがたい。
「わしは、【かわの】という者です! イラストレーターをやっとります! トライアングルのキャラクター制作担当しとります!」
いきなりの大物だった。
かわのさんは自己紹介してもらった通り、トライアングルのキャラクター制作を担当している方であり、そのほかにもラノベやカードゲームなどのイラストも手掛けている超一流イラストレーターだ。
まさか、こんなムキムキの方だったなんて……。
緊張の波がまだ押し寄せてくる。なるほど、妹が度々俺に助けを求めてくる時の感情はこんなのだったのか……?
そう思っていると、横から肩を少し突かれた。
「あの……初めまして…………わたしは……【桜乃まも】……といいます…………」
「え? ああ、初めまして」
「……ふふ、ありがとうございます……」
このゆっくりとした喋りが特徴的な背の高い女性は他企業Vtuberの桜乃まもさんだ。
アバターはピンク髪の少女であり、容姿も落ち着いた雰囲気を漂わせ、リスナーに人気のVtuberだ。他企業と言っても所属しているのは桜乃さんだけで、実質個人だと本人は言っている。リスナーからは『たった一人でトライアングルに立ち向かう女』と称されている。
繋がりは、トライアングル全員とよくコラボしており、特に冬花旭と繋がりが深い。基本的に敬語で話す冬花旭ではあるが、この桜乃さんを前にするとラフな表情が出て、時折甘える姿が見れるという。
「おや、あと一人来ておりませんね」
「ああ、クロアちゃんならさっきお手洗い行っとりましたよ」
「…………待とうか……」
クロアって……ああ、確かてるみんと同じ二期生のアーベントロート・クロアだったか。
「いや〜すまない、待たせたな!」
ドアをバンッと勢いよく開け、中に入ってくる女性。背が小さくて小学生にしか見えない人だった。
「おや! 貴方が噂に聞く幽香先輩のお兄さんか! 我はアーベントロート・クロアじゃ! 今回は響の保護者枠として来た!」
両手を腰に回して、ふんぞり返る少女。
少し、俺は口調とかのギャップで混乱してしまう。
「は、初めまして、えっと……兄です。よろしくお願いします……」
「おや、口調に戸惑ってるようじゃな、これは、こうでもしとかないと、すぐにキャラ崩壊を起こしそうで怖いのでな! 仕事に入る前は必ずこのような口調にしているのじゃ! 許せ!」
と、話す幼女……。ふむ、これはこの配信……一波乱起きそうだぞ……。
「そろそろ、配信を開始しましょう、皆さん準備をしましょうか」
俺はあらかじめ用意されていた、PCの前に座り、大岩さんからスマホを渡される。使い方を説明してもらったら、俺のアバターが特別に用意されているとのことだった。
イケメンのアバターが用意されPCの方でも表示される。
俺の動きに合わせて、アバターが動いたり表情が喜怒哀楽出るので見ていて楽しい。
「おお……」
「はっは! リアクションが新鮮で面白いですなぁ!」
「……初めての……快感は……忘れられなくなる……」
「うむ! 我も初めていじったときは一日中遊んでたのぉ!」
確かに、これは少しハマりそうだ。萌香が楽しんで配信をやっている気持ちが少し分かった気がする。
「では、配信を始めましょうか、行きますよ皆さん」
「あっ! はい!」
「承知した!」
「……分かった……」
「はぁい! わかりました〜!」
え? 待って? 最後、なんかかわのさんの声が少しおかしかったぞ?
え? 女の子の声が聞こえたというか……? え?
配信の画面に表示されてキャラが一斉に映りだす。
ピンク髪の少女
銀髪のロリ
どこぞのイケメン
おっぱいの大きい女の人
ショタ
俺は隣にかわのさんがいた事を思い出し、横のキャラを見る。
おっぱいの大きい女の人
そして俺は現実でも恐る恐る横を向いてみると、丁度かわのさんが喋り始めた。
「こんにちは! イラストレーターのかわのですっ!」
・ママッ────!
・ばぶぅ……
・母性の塊だよ……
・信じられるか? これ中身おっさんなんだぜ……?
・横にいるお兄ちゃん、横見ながら目見開いてて草
・お兄ちゃん! 口閉じろ!
ヘッドホン越しに聞こえる可愛い声と、隣で男の人の声がハウリングする。
え? なにこれ?
どうでもいいキャラ紹介
アーベントロート・クロア
本名「???」
愛称「クロア」
好きなもの「サメ映画」
ファンネーム「こうもりさん」
常闇ノ響とデキてる
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