ラビット・プレイ   作:なすむる

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泣く泣くシルとのデート回はカット。
いつか間話で入れたいと思います。

攻城戦かと思った?
残念! 個人的に好きな戦闘形式に変更です!

なお特に意味はありません。この方が筆が乗るかなと…あとは他作者様の作品との差別化的なのも兼ねて…展開似たり寄ったりは仕方ないと思いますけど、びっくりするくらい被ってしまうのも嫌ですし、把握し切れていないところもあるのでこうします。


64話 戦争告知

ーー5日後、ロキ・ファミリアとアポロン・ファミリアの間で戦争遊戯(ウォーゲーム)が行われると告知されたのは、僕がシルさんと出掛けた次の日の昼過ぎの事だった。

まぁ、5日後とは言っても移動にかなり時間がかかるし、僕とレフィはギルドの要請によりアポロン・ファミリアに先んじて現地に赴いて色々としなきゃいけないことがあるから、もう移動し始めないといけないんだけど…。

 

告知内容が書かれているその紙には各ファミリアから参戦するメンバーも書かれており、ロキ・ファミリアが僕とレフィの2人きりなのに対し、アポロン・ファミリアは三桁を超える人数が記載されている。

 

騒動の場にいた団員、という約束であったはずなのだが…アポロン様曰く、間違いなく私の可愛い子供達はあの場に全員居たとのこと。ロキ様は、まぁ…うちは最初に2人って言うてもうたしな、と諦めた模様。話し合いの場では、()()()()()()()()()()()という内心を悟らせないためにアレコレと文句をつけたようだけど結局はアポロン様の言葉を受け入れたようだ。

 

と、いう事で、僕とレフィはアポロン・ファミリア全団員を相手に挑むことになる。また、選ばれた戦争形式は…アポロン様が提案したという攻城戦、ロキ様が提案した市街戦のうち、くじ引きによって市街戦が選ばれた。

 

これは、今は廃墟となったとある都市に赴き、事前に互いの陣営が都市内部の構造を確認。互いに戦争開始位置を決め、その箇所をギルドに報告し両陣営が配置についてから戦闘を開始する…らしい。

その構造確認と開始位置決定の為に、僕達は戦争開始2日前に現地に行かなくてはならない。アポロン・ファミリアは前日でいいそうだ。

 

戦争期間は最長1週間。勝利条件は互いに相手ファミリアの王を戦闘不能に追い込むこと。ロキ・ファミリアは僕。アポロン・ファミリアはヒュアキントスさん。

 

そして、1週間経っても両方の王が健在だった場合は、ギルドによって判定が行われる。判定は…参加メンバーの健在率。

つまり、レフィが戦闘不能になれば僕はアポロン・ファミリアの団員を最低でも過半数は戦闘不能にしなければいけないと言うことだ。

 

まぁ、僕とレフィが2人とも健在であれば逆に1人戦闘不能にしておけば勝てると言うことなんだけど…都市内で1週間逃げ隠れ続けるのは現実的ではないし、僕達は打って出るつもりだからそんなことにはならないだろうけど。

 

ちなみに、くじを引いたのはヘルメス様という神様だと教えてくれた。

ロキ様曰く、ちょっと信用ならないけど敵ではない神様とのこと。一体、どういった方なんだろうか?

 

ま、どんなやり方でも良かったんやけど、見る側からしたらこういうのも面白いやろ? とのロキ様の談だけど…見る側、ということは色んな人に見られるのかな?

 

そう思っていた僕に、ロキ様は気が付いたのか教えてくれる。

 

「ああ、ベルたんは知らんかったんか。下界ではうちらの『神の力(アルカナム)』は基本的に使用を禁じられとるんやけど…何個かだけ例外があってな? そのうちの一つが『神の鏡』言うて…ま、世界のどこの景色でも映せる魔法の鏡やな。それを、戦争が始まる前にオラリオ中に設置して、街中のみーんなが見れるようにするんや」

「そ、そうなんですか!? そんな凄いものが…」

「凄いやろー? うちらも、ホームでみんなで応援してるから、頑張ってくるんやで? まぁ、うちはバベルにいるんやけどな…くぅ、可愛い子供達と一緒にベルたんとレフィーヤの勇姿を見たかった…!」

 

そんなことを言うロキ様の顔は、本当に悔しそうだった。

 

「あはは…頑張ります」

 

苦笑しながらそんな言葉を返す僕、それに、笑みを返すロキ様。

そこへ、僕を呼ぶ声が掛かる。

 

「ベルーっ! 準備、できましたよー! 行きましょう!」

「あ、はぁい! えっと、じゃあ…行ってきます!」

「おー、行ってらっしゃい。無事に帰ってくるんやでー」

 

そして、僕とレフィはロキ様に挨拶をして廃都へと向かう。

ガネーシャ・ファミリアにギルドとロキ様が交渉して借りたと言う、調教されたモンスター…空を飛ぶ竜に乗って。

 

 

 

そして僕達は、空の上で言い争いをしていた。

 

「ちょ、ちょっとベル、ち、近いですよ!?」

「し、仕方ないじゃないですか!? それより、暴れないでください!? 手綱! 手綱が!?」

 

調教がかなり難しいらしく、人を乗せて飛べる程の飛竜は今は1匹しかいないようで僕とレフィは1つの鞍に2人で座る格好になっていた。

手綱を持つ僕の、腕の中に収まる格好でレフィが座っている。一応、2人乗りが前提なのか僕の座っている位置の方が高くなっており、僕の胸元にレフィの頭がある感じだ。

 

しかし、調教された飛竜と言えどモンスターはモンスター。たまに制御を無視して動いたりもするし、首を思い切り振られることもある。その度に、手綱に引っ張られた僕はレフィに覆い被さるように体勢を崩してしまう。

 

 

 

色々と問題もあったけど丸2日、ギルドからの要請日の前日の夜に、なんとか僕達は廃都へと辿り着くことができた。

 

「ようやく、着きましたね」

「ええ…そうですね。今日はもう、早く寝ましょう」

「そうしましょうか…僕も疲れました」

 

丸2日、飛竜に揺られ続けた僕達は非常に疲れていた。明日は広い都市の中を見て回らないといけないこともあり、疲れを残したままでは明日が辛いだろうと休みを取ることに決めた。手早くテントを2つ立て、それぞれに分かれて睡眠を取る。

 

翌朝には、ギルドの職員もここに辿り着いて、説明が始まるはずだと脳内で整理しながら、眠りについた。

 

 

 

そして、車輪の音が聞こえてきた僕は目を覚ました。

太陽はすっかり姿を表しており、既に辺りは明るくなっていた。レフィも、音を聞き付けたのか起きて外へと出てきたようで、おはようございます、と挨拶をしてくる。それに返して、音の聞こえてきた方を見るとまだ少し距離があるが、2頭引きの馬車か見えた。

 

待つこと少し、僕達の前で止まった馬車から、ギルドの職員が降りてくる。簡単な説明が行われた後、簡易な地図が渡され、今日の夕方迄に都市内の確認と開始位置の決定を行うことを指示される。

 

それを聞いた僕とレフィは、簡単に朝食を取った後に都市へと足を踏み出す。そこにあったのは、蔓や雑草がそこかしこに生え、風化した建物が半ば崩れているような景色。

かつてはオラリオと同等の広さに、数多の人間が暮らしていたと聞いているが…とても、虚しく見える。

 

「…ベル、とりあえずはあちらの方に建物が密集しているようですし、あちらから見て回りましょうか」

「レフィ…はい、そうしましょうか」

 

2人、あちらこちらと見て周り、見つけたのは一軒の家屋。

その周囲は比較的状態を保った建物が多く、そのほぼ中心に位置しており、拠点として使い勝手が良さそうな造りだった。

 

「恐らく、アポロン・ファミリアは街の中央にある石塀に囲まれた巨大な建物を取ることでしょう。これなら、攻城戦でもほとんど変わらなかったかもしれませんね」

「むしろ、その方が楽だったかもしれませんね…」

「まぁ、城を落とさなくてももしかしたら街中に悠然と出てきた相手の団長を倒すだけで済むかもしれませんし…こちらと実際にどっちがいいのかは分かりませんけどね」

 

今回の勝利条件…代表者の戦闘続行不能。それを思い返しながら、僕達は話していた。

 

「うーん…まぁ、結局やることは変わりませんし、気にしないことにしましょう」

「そうですね…じゃあ、今日はこの辺りで終わりましょうか」

「魔法のストックも全部終わってますし…明日もやること、ありませんね」

「開始位置だって、そもそもどこでも良かったですからね。どうせこちらから攻め込むんですから」

 

僕とレフィは、わざわざ1日早く来たことに若干の不満を持ちながらぐちぐちと話す。んー、と2人悩み、レフィは杖を、僕は鞘に収めたままのダガーを手に持つ。

 

「少し身体、動かしておきましょうか」

「それくらいしかすることないですし、そうしましょう」

 

そこから始まるのは、互いに力を抜いての鍛錬。

レフィも、2週間の鍛錬の成果でLv2の前衛とならきっちり打ち合えるくらいの技術は身についている。最も、防げるだけであまり攻撃には活かせていない。いや、後衛なんだからそれで十分ではあるんだけど。

 

「防ぐの、また上手くなりましたね」

「…ティオナさんに殴られると、本当に痛いですからね…それはもう…鍛えられましたよ…」

 

僕がそう褒めると、レフィは少し表情に影を落として言葉を返してくる。

 

実は、元々は僕に体術を教える枠にいたティオナさんだったけど、正式にベートさんが僕に体術を教えることになってしまったのだ。

それに関しては、かなり文句を言われた。あの狼めぇ! ってベートさんにも怒っていたけど、フィンさんに窘められてすごすごと引き下がっていった…本当に申し訳ない気持ちだ。

 

そんなこんなで、手が空いたティオナさんは僕と一緒に鍛錬をしていたレフィに目を付けた。じゃあ、暇になったし折角だから私がレフィーヤの組み手の相手してあげるよ! という、ティオナさんの満面の笑みと共に繰り出された地獄のような言葉は、レフィを真っ青にさせた。

 

リヴェリアさん相手に、苦心しながら並行詠唱の練習をしていたのだ。それが、相手がLvこそ1つ落ちるとは言え前衛職に変わる。間違いなく難易度は上がり、近接攻撃の威力も上がる。

 

それまでは杖の打撲跡くらいだったレフィの身体に、目に見えて傷跡が刻まれていったのはティオナさんの手によってだ。その甲斐あって、レフィの防御技術は飛躍的に成長していった。

 

もっとも、毎日ポーションや治癒魔法で癒されているから傷跡は残っていない綺麗な身体のはずだけど。

 

僕も毎日、ティオネさんのダガーに皮膚を刮がれ、フィンさんの槍に肉を抉られ、ベートさんの蹴りに骨を砕かれ、モンスターに痛めつけられていたけど、今は完全に健康体だ。ポーションってすごい。

 

その後、軽い運動をした僕達は夕食を取り、また別れて休養を取ることにした。明日はどうしようか。




ちなみに原作とのざっっっくりあらすじ比較(?)

原作1巻 ファミリア入団から怪物祭まで
今作   怪物祭なし、シルとは出会う、vs手負いミノタウロス

原作2巻 魔導書使用、リリとの出会い
今作   自前の魔法を覚える、更に魔導書使用、リリとは出会わず

原作3巻 vs強化種ミノタウロス、ランクアップ
今作   vs強化種インファントドラゴン、ランクアップ

原作4巻 ヴェルフとの出会い、中層へ
今作   アナキティ、ラウルと中層へ。アミッドと知り合う

原作5巻 怪物進呈、水浴び覗き、冒険者リンチ、黒ゴラ、温泉
今作   怪物進呈(身内)、宴会、勇者に最短でな(ry 鍛錬鍛錬鍛錬

原作6巻 アポロン・ファミリアとの戦争遊戯
今作   アポロン・ファミリアとの戦争遊戯

こうやって見るとまだまだ未発掘のイベント沢山ありますね!!!!!
え、ていうかようやく(一応)6巻ですかそうですか…ソードオラトリア、ファミリアクロニクルの分のイベントも沢山あるのに…?

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