もう一つの僕の東方作品のキャラが出てきます。
そちらの作品もよろしくお願いいたします(露骨な宣伝)
「これは……確実に異変よ!」
霊夢は叫ぶ。
辺りには、先日突然現れた謎の生命体が沢山いるのである。
「全く……何が起きているのよ」
霊夢は考える。再び誰が起こした異変なのか。誰がこんなことをしたのか。
また再び、妖怪退治に向かおうとしたその時。
「おはよう、霊夢」
「紫……」
声の主は妖怪の賢者・八雲紫だった。
「何用?私はこの異変をどうにかしなくちゃいけないのだけれど」
「焦らなくて大丈夫よ。この子達は外の世界で『ポケモン』と呼ばれる存在。どうやら捕まえて一緒に旅ができるそうよ」
霊夢は首を傾げる。捕まえて一緒に、なんてシステムはよく分からない。無理矢理捕まえたら普通は抵抗する。
「……捕まえるって、どうやって?」
すると紫は、変な紅白のボールを霊夢に渡した。
「このモンスターボールという玉をポケモンに投げることによって捕まえられるらしいわ。」
「そんなシステムがあるのね。」と、感心する霊夢。そのボールとやらに催眠術でもかかっているのかもしれない。
「幻想郷のみんなには既に配布済みよ。」
「え、もう?そういうことするの早いわね」
紫はくすくすと笑う。企みとかはしてなさそうだ。
「あと、捕まえたポケモン同士でバトルなんかもできるそうよ。人里では既に流行っているわ」
「へぇ。なんか面白そうね」
「うふふ。もう暫くはこのままでもいいかもね。…話したいのはそこがメインじゃないけど」
突然紫が話を切り替える。深刻な顔ではないが。
「実は……そのポケモンの中に私たち幻想郷の住人の姿をした人形が混ざっているのよ。意思もあるわ」
「それは………どういう?」
「まあ適当に『コダマ』と名付けたの。それがポケモンに似た性質を持っててね。そこで私は考えたのよ。『ポケモン』と『コダマ』をミックスできないかって。名付けて、『玉霊携帯獣ブーム』を起こそうかと」
「………要するにポケモンとコダマを混ぜたバトルってこと?」
「察しが早いわね」
紫の説明としてはこうだ。みんなに配ったモンスターボールには封印能力の改竄をしたらしい。コダマもボールで捕まえることができるようになったそう。
そして、今回霊夢にポケモンとコダマの話をしたのは……いつか「ポケモンリーグ」というバトル大会に出て欲しいという願いだった。
面倒くさそうな霊夢だったが、このポケモンやコダマという存在には興味があったので、引き受けることにしたのである。
▽
「さて。初めてのポケモン捕獲ね。紫から何個かモンスターボールを貰ったから、これで捕まえて神社のお手伝いにしてやるわ!」
霊夢が探していると、木陰から、ガサガサッと何が音がした。
「そこだーーー!」
霊夢は音の主にボールを投げつける。
「あだぁっ!!」
命中したが、悲鳴以外聞こえてこなかった。
「………え?誰?」
そこにいたのは、白と黒の髪、異形の羽。先日出会った、腐敗と消滅の妖精。名をクシーと言った。
「あんた、なんでこんな所に?」
「あ、霊夢さんこそ、どうしたんですか?」
「あー、私は今………」
▽
「なるほど。ポケモンがこの世界に……」
知ってる素振りで話すクシー。
「え?知ってるの?」
クシーが嬉嬉として答える。
「はい。ボクが住んでいた外の世界では知らぬものはいない存在でした。でも空想の存在でしたが」
そういえば、クシーは元々外の世界の人間だった。霊夢はすっかり忘れていた。
「……それで、あんたはあそこで何してたのよ」
「ボクは紫さんに言われて、コダマという人形を捕まえに……」
なるほど。紫の頼みか。恐らくクシーもリーグとやらに参加してと言われたのだろう。
「とりあえず、お互い頑張りましょう!どうせなら一緒に探しませんか?」
▽
「何、あのポケモン!口気持ち悪い!」
「あれは……忘れちゃいました。ボクも家庭の事情であまりポケモンは知らなかったので…」
「とりあえず、あの虫は無視で!」
「はい!次に行きましょう!」
「あれは何?」
「ポッポですね。たしか。」
「あまり強くなさそうね。」
「スルーですか…」
「あ、あれは?」
「ボーマンダとかそんな名前でした。」
「いいわね!あの強そうなの捕まえるわよ!」
「ちょっと待ってください!あれはちょっと強すぎでは……うわぁ!」
「危ない!一旦退散ね!」
▽
「はぁ……はぁ………」
二人とも疲れていた。何せちょうどいいのが全く見つからないのだ。
「何かそこら辺にいないものか………」
「そこらへん?」
「神社の周りにいいのいたらいいなってさ。」
「いいのってなに?」
「何言ってるのよクシー。とりあえずいいのよ。なにかなんて知らないわ」
「いや、ボク喋ってませんよ」
「………………え?」
二人はハッとして辺りを見回す。そして足元を見ると………
小さい霊夢がちょこんと立っていた。
「……………これが………コダマ?可愛いわね」
「可愛い……」
「かわいい?ありがと」
子供っぽく喋る。その姿はそのまま霊夢を幼く小さくしたようで、とても可愛い生物であった。
クシーは思い立ったように立ち上がって、
「じゃあ、この子をポケモンの代わりに捕まえちゃいましょう!」
そうだ。忘れていたが、このボールはコダマも捕まえられるのだ。
「霊夢さん、早く!」
「よーし、モンスターボール!」
小さい霊夢は抵抗せず、すんなりボールに入った。
うぃん……うぃん………うぃん…………
辺りが静まる。ボールの揺れる音だけが聞こえる。
そして………
ポンッ
音と共にボールの揺れは収まった。
「やった………やりましたよ!捕まえました!」
「………よし!」
二人は笑顔でガッツポーズを決めた。
▽
「この子の名前は私のミニ版だから、ちびれいむね!」
「うん!わたし、ちびれいむ」
とても可愛らしい仲間が増えた霊夢。クシーも、自分の仲間を増やしたいと思っていた。
「やるじゃない。コダマを捕まえたのね」
突然紫が現れる。
「あ、紫。まあ、何とかね。んで、なんの用?」
紫がどこからか赤い機械を取り出した。
「これを渡そうと思って。ポケモン図鑑よ。コダマも私が見た限りは混ぜてあるわ。新種がいたら報告してちょうだい」
と、一方的に話して押し付けた。
「あなたの手に入れたポケモンやコダマがそこに記録されるの。埋められたらいいわね。そしたら報告してちょうだい」
つまりは、埋めて欲しいのだ。
「うーん……それじゃ………霊夢さん、一緒に頑張りましょう!」
「仕方ないけど、わかったわ。やってやるわよ!」
こうして、霊夢とクシーのポケモンやコダマの住む世界での冒険が始まったのである。
描きたいものを書く。
ポケモンは本当に大好きです。玉霊姫も大好きです。
皆さんが読んだり評価してくれれば続きも作ります!
それでは、また!
▽
次回予告
「さあ、ポケモンバトルだぜ!」
「望むところよ!」