無理そうになったら辞めます(無責任野郎)
蒼太に嫌われた。正直なんでとかアタシが何かしたとか全然分からなかったけど蒼太に嫌われたっていうのだけははっきりわかる。
そこで更に謎になったことは香澄が来たことなんだけど、香澄が来ること自体は家が隣らしいから分からなくもない。けどなんで今なの?
香澄「あれ、リサ先輩!どうしたんですか?」
リサ「いやなんでもないよ。アタシ、アタシこれからどうしよ」
香澄「えっと、もしかして蒼くんと何かありました?」
リサ「そ、そうなっちゃうかな。どうしてわかったの?」
香澄「えーっと、言っていいのかな?それは、蒼くんが泣いてたからなんですけど…」
リサ「蒼太が泣いてる?なんで!?アタシ行ってくる!!」
香澄「ダメです、こういう時に声掛けちゃ。蒼くん責任感じゃちゃうから」
リサ「で、でもきっとアタシの所為だから!」
香澄「じゃあ何があったのか聞いてもいいですか?」
リサ「えっとね、蒼太とアタシ、同じコンビニでバイトしてるんだけど知ってる?」
香澄「それは、あっちゃんから聞いた事あります」
リサ「それでさ…蒼太の両親ってなくなっちゃってるじゃん?それで、長い間バイト休んでたんだよね。店長に住所聞いて行ってみたんだ。そしたら鍵はあいてて、中に入ったら泣いてる蒼太がいてね、声かけたんだ。
そしたら蒼太ね、アタシの胸に飛び込んできてさ、それでもずっと泣いてるから頭撫でてあげて、背中さすってあげて。そうしてる内にね、泣き止んできて全部話してくれたんだ。
最初は全然信じられなかった。唯一の味方がいなくなっちゃって、蒼太だけ理不尽だなって。でさ、ご飯食べてなかったみたいだったからそれから毎日作ってあげてさ。そしたらいつの間にかに好きになってた」
香澄「やっぱり蒼くんの優しさって触れると惚れちゃいますよね。そっかぁ、リサ先輩には敵わないや」
リサ「なんで諦めちゃうの?2人で蒼太の事振り向かせよ?」
香澄「無理ですよ。だって、蒼くんとリサ先輩両想いだもん。その中に割って入るような事したくないです」
え、アタシと蒼太が両想いってどういうことなの?そりゃ嬉しいけど、どういうこと?じゃあなんで急に蒼太はアタシを避けたんだろう?ダメだ、想像ができない。
リサ「そのことさ、蒼太は知ってるの?」
香澄「鈍感蒼くんは人のこととか気付けないですよ。そのお陰で10年近く片想いしてたんですけどね」
リサ「じゃあ、って言ってもなんだけど2人で蒼太の部屋に行こ!ほら、着いてきて」
香澄「えっ、り、リサ先輩!多分今はっ!!」
アタシは香澄の手をとって階段を駆け上がる。蒼太の部屋はすぐそこなんだ。あっ、でも寝てるなら騒いじゃダメか。なら静かに開けよう。
リサ「お邪魔しま〜す……っ!なん、で?」
‘あの日’の時のような蒼太がそこにはいた。もうあんな顔させないって決めてたのに。
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