盛大に何も始まらない、なろう風小説   作:それも私だ

16 / 72
ヒロイン枠の意味とは。焼き直し90%、完成度低めでお送りいたします。
 ・後書きの加筆修正、一部訂正など(2024/2/26)。

 キーワード:R-15 冒険者 追放後 成り上がり失敗 ヒロイン不在


胡蝶の夢

「ねえ。元Sランクパーティのあの子、どう思う?」

 

「え? ──ないない! どう考えても()()()()っしょ。あんなの。でもカーミラが男の話するって珍しいね?」

 

「ん、まあね。結構がんばってるみたいだけど、誰も声かけてないから。ちょっと気になっちゃって」

 

「パーティから追放されるくらいだし。絶対何かやってるってウワサだけど知らないの?」

 

「ううん。それは知ってる」

 

「じゃあ、能力(スキル)のほう? そっちもなんで隠していたんだってウワサされてるね。あとから目覚めたにしてもタイミングとかちょっと不自然だし。なんかね」

 

「……だよね。もしも私があの子に近づいてたら、アンタはどうしてた?」

 

「うーん、カーミラとはそこで縁切ってたかな。いくら狩友(かりとも)でも胡散臭(うさんくさ)いのと付き合い始めたら……ね? でもほかの()も近づいてたかもね。あんたほどの美人が側に居るんだからあいつは大丈夫って、変な保証が付いたりしてさ」

 

「うん。私もそれ思った。……けど、私があの子に近づかなかったから、あの子は現在(いま)も低ランク帯で(くすぶ)ってるのかなって思ったら、ちょっとかわいそうに思って」

 

「いやいやいやいや。あんなのに近づくのは変なのしかいないって」

 

「それ、私が変だって言ってない?」

 

「逆々。アレに近づいてないからあんたは変じゃないって言ってるし!」

 

「……あの」

 

「わっ! ……びっくりした」

 

「ごめんなさいね。聞こえてた?」

 

「あ、いえ……その、僕のコトどうしてそう思ったのかなって()きたくて」

 

「あー……、胡散臭(うさんくさ)いって言ったこと?」

 

「そっちも気になりますけど、あなたが僕に近づいていればって、どうしてそう思ったのか気になって……」

 

「ただ、アナタと冒険してる夢を見たからだけど?」

 

「そうですか。じゃあ、僕とパーティを組んでみませんか?」

 

「え。全然知らない人だし。変なウワサも流れてるから、ふつうにイヤだけど」

 

「そ、そうですか……。僕のウワサって、どんなウワサが流れてるんですか?」

 

「あーしから言っていい?」

 

「どうぞ」

 

「そういうところかな」

 

「えっ? どういうところですか?」

 

「体面とか気にしてないのかなって思ったけど、≪気にしてない≫の意味が違うよね」

 

「……? あ、≪気に留めない≫と≪知らない≫の違い?」

 

「そそ。それって自分のことしか考えてないってことにならない? そこが減点1」

 

「そうかな……そうかも」

 

「自分のウワサも知らないとか、ちょっとねー……。何するか分かんなくて、怖い。急に勧誘してきたから減点2」

 

「えっ! 仲間に誘っただけなのに?」

 

「夢で見たなら一緒に冒険しましょうって何? マジ怖いんだけど。スキルも隠してたのか目覚めたのか知らないけど、何か企んでいそうだし減点3」

 

「え、ええっ?」

 

「要するに、アナタには信用が無いってことよ。そうでしょ?」

 

「そそ。男でもチビで童顔なら油断すると思った? あーしたちが女だからってバカにしないでよね」

 

「そんなつもりは……」

 

「あんたに無くても、こっちがどう思うかは別。……あんまり一緒に居ると、あーしたちまで変な目で見られるから、もうあっち行ってくんない?」

 

「……は、はい……」

 

「ちょっと辛辣(しんらつ)すぎない? 肩落として行ったわよ?」

 

「あれくらい言わないと、どうせまた来るよ? あーしはともかくカーミラは美人だし、少し優しくしただけで絶対付け上がるって! だからこれで正解」

 

「……そうかもしれないわね。男とパーティなんか組んで、関係を迫られても困るわ」

 

「にししっ! カーミラにはあーしがいるもんね。目標額まで貯まったら、さっさと引退しよっか。冒険者なんてお金のためにやってるだけで、いつまでも続ける気なんてないしね」

 

 




以下、やっつけ気味で雑な設定(※本作は一次創作です)。

カーミラ:
 冒険者。正体は、物語のヒロインにTS転生した元男(前男→現女)。(存在しない)原作知識あり。何も行動しなければ「主人公の物となる」宿命が気に障り、原作が始まる前から反逆を決意していた。口では主人公君(僕君)の現状を哀れんでいたが、もちろん本気ではない。
 作中の時間軸は原作開始後で、すでに原作ブレイク済み。同じ転生者(後述)に知らぬ然で通していたのは面倒事を嫌ってのこと。NPCになるつもりはなく、ホモでもトランスジェンダーでもないので精神的BLはノーセンキュー(男同士の愛し方として片割れが女性を演じるやり方が存在する。タイツを穿いて局部に丸みを作り出すなどわりと生々しい)。女体に興味はある。
 名前の元ネタは「カーミラ(吸血鬼)」。その生い立ちなど。相方に対しての隠し事は多いが、第二の人生を確りと楽しむつもりでいる。相方が生きた人間であるときちんと認識している。逆に僕君のことはNPC扱いしているようなものだが。

あーし:
 冒険者。(存在しない)原作にかすりもしない現地人。カーミラとペアPTを組んでいるギャル。女性。相方と一生一緒に暮らせる程度の貯金を作るべく、稼ぎのいい冒険者稼業に身を投じている。名誉ある業種というよりは、単なる日雇いのバイト感覚で勤めている。その程度の認識であり、べつに大成する気も有名人にゴマする気もない。ある意味では堅実な現実主義者とも云える人物。ガードも堅い。ナーロッパ世界の完全なるモブ。
 引退後は相方共々適当に子を孕んで産む予定。ナーロッパ世界に精子バンクの概念は存在しないが、子供の作り方は知っているので似たようなことを計画している。父親は未定。男嫌いというよりは、自分たちの人生に男が寄り添う必要性を感じていない。
 モブだけあって名無しキャラだが、後になって「アンタレス(あんたレズ)」という、しょうもない小ネタを閃いたのが悔やまれる。

僕:
 はしごを外された追放系主人公。(存在しない)原作知識ありの転生者。前世も今世も男性。チビで童顔のショタもどき。追放されてチート能力も手にしたが、ヒロインと出会わなかったバタフライ効果でハーレム結成フラグがへし折れ、さらにその影響を受けて世間的な信用度が低くなったりと、知らぬ間に散々な目に遭っている。だいたいギャルに指摘されていたとおりの評判。
 主人公とヒロインの計2人の転生者が同時に存在しているが、その実態はとてもややこしいことになっている。主人公は「自分が居ない原作(骨組みとなるゲーム世界)」を知っていて、ヒロインは「主人公が転生した原作(肉付けされたストーリー)」を知っている。云わば、二次創作と三次創作が重なった状態下にある。主人公がヒロインに執着しなかったのはそのため。ゲーム感覚。成り上がるための必須要素がヒロインの存在だとは、まったく気が付いていない。PTに誘ったのはその場のノリ。あわよくば。
 厳密には彼は世界五分前仮説(空想上)の存在であり、純粋な転生者はヒロインのみとなる。


胡蝶の夢(タイトル):
 バタフライ効果(TS転生者が起こした影響)と、転生者2人の異世界に対する認識等を掛けている。夢のまた夢。


Q.つまりその裏設定はどういうことだってばよ?
A.女のほうが本物の転生者で、男のほうは自分を転生者だと思っている異次元人。
 具体的には、男側によって歴史改変されて確定した過去時間軸にさらに介入したのが女側。

Q.その設定いる? もっとシンプルに僕君は現地人でもええやん。
A.異物感を出したかっただけなの。ゆるして
 転生者が原作改変したら、現代(転生前の世界)にも影響が出る表現、掲示板回など。
 本話ではまともに取り合わないが、あのパラドックスの処理・解釈の仕方次第でやべーことになる。

Q.あーしちゃんの意味は? 対話相手ってだけ?
A.ハーレムに集まるのはネームドだけで、モブ女性は近寄ってこないあの現象の擬人化。
 裏設定はカーミラの元ネタのイメージに合わせた感じ。レズ要員。

Q.カーミラは目的は何なの?
A.特にない。勝手に決められた許婚に反発して家出したようなもん。

Q.僕君が自分のウワサを知らない理由は?
A.なろう系のお約束。甘さ等は指摘されても不自然さは指摘されないやつ。

対話体小説縛りについて

  • このままでいい
  • 地の文もほしい

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。