盛大に何も始まらない、なろう風小説   作:それも私だ

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神様転生を深読みした結果がこちらになります。

 キーワード:神様転生 転移 成り代わり


神様転生系
神様転生


「……う? どこだ、ここ? 地面、壁、天井、全部白いけど病院じゃないよな?」

 

「ここは《神の領域》です」

 

「神の……領域……?」

 

「はい。あなたは死にました」

 

「……は?」

 

「ですから、あなたは死んだのです」

 

「普通に喋れるし、足も付いてるんだが?」

 

「お帰りになられると言うのなら、どうぞご自由に。私は見送りのために後ろから付いていきます」

 

「知らない場所に拉致(らち)っておいて、自分で帰れってか? 出口まで案内しろよ」

 

「出口なんてありませんよ」

 

「ひとの話を聞け」

 

「ですから、出口はありません」

 

「チッ……──ガキがっ、ナメてると殺すぞ?」

 

「できるものなら」

 

「ぐえっ!? か、身体が重いっ……!?」

 

「これで信じてくれますか?」

 

「へ、変な装置を使ったんだろ……ッ!?」

 

「タネも仕掛けもありませんよ。これは私の力の一端です」

 

「減らず口を……!」

 

「──ところで、目覚める前の記憶はありますか?」

 

「き……きお……く?」

 

「ああ、ごめんなさい! そのままでは喋れませんよね。重力負荷を解除します」

 

「……ふう」

 

「それで、ここで目覚める前の記憶はありますか?」

 

「コノヤロウ! よくもやってくれたな!」

 

「学ばない人ですね。少しは空気というものを読んでください。また()いつくばりたいのですか?」

 

「ぐっ……! わかったよ、暴れたりしない。これでいいか?」

 

「はい。それで、何か覚えている事はありますか?」

 

「えーと……たしか……トラックが……、ああっ! トラックに()かれた!!」

 

「そうです。あなたはトラックに()かれて死にました。今あなたが身体を動かせるのは、私が身体を復元……再構築したからです」

 

「生き返させたってなら、そのまま元の場所に帰してくれよ」

 

「それはできません。あなたの身体はマナで再構築したので、マナが存在しない元の世界には戻せないんです。……いえ、本当は戻せるのですが1分も経たずに自壊してしまいます」

 

「……なんで俺を助けた?」

 

「ふふっ、神の気まぐれです。──さて、あなたにはいくつかの選択肢があります。ひとつ、別の世界に転移してそこで余生を過ごす。ふたつ、再び死ぬ」

 

「みっつ、この場に居残る……が抜けてるぞ?」

 

「これまでにも何人かそう言う方もいましたけど、私も一緒とは限りませんよ?」

 

「……」

 

「永遠の時を独りで過ごすか、再び無に返るか、別世界に転移して余生を過ごすか」

 

「ケッ、選択(いみ)のない選択肢だな。実質ほぼ一択だ」

 

「別世界に転移するなら、特別にひとつだけ能力を授けてあげますよ」

 

「なに? どういう魂胆だ?」

 

「私の趣味は人間観察なんです。人々の営みを見ることが好きなんです。あなたがトラックで()かれて、それを助けたのも、たまたま見てしまったからですね」

 

「いい趣味してやがる。──おい、別世界に転移させろ」

 

「どんな能力がほしいですか?」

 

「お前の能力だ。神の力をよこせ」

 

「……っ!」

 

「どうせこれでおさらばなんだろ? だったらべつにいいじゃねえか。あんなにすごい力を見せ付けられて、欲しがらない方が無理ってもんだろ」

 

「そうですね! では、()()()()()()!」

 

「ふぉおおおっ!? 全身に力がみなぎる!! これが神の力! 最高にハイってやつだぁぁぁっ!」

 

「ふう……では、私はこれで失礼しますね」

 

「……? 俺が行く先の世界ってどんな世界なんだ?」

 

「いえ、あなたにはこの領域(せかい)で余生を過ごしてもらうことになりました」

 

「は?」

 

「うっかり、()()()()()から幾千年(いくせんねん)! ついに()()の時がきました! ありがとうございます!」

 

「何を言ってる? 俺にもわかるように話せ」

 

「イヤで──」

 

「消えた……。何がどうなっていやがる? あいつが居なくなった今、自分で考えるしかねえか……。あいつの趣味は人間観察で、あいつは神の力を持っていた。ほかの世界を覗き見たり、人を移動させたりできる。俺に神の力を渡して消えた……──まさかっ!?」

 

 

────────────────

 

 

「え? ここどこ? パパ? ママ?」

 

「おはようさん。ここは《神の領域》で、お前は死んだんだ」

 

「ふぇ? あたし、生きてるよ?」

 

「それは俺が生き返らせてやったからだ。ちゃんと説明してやるから聞けよ? いいか、お前には選択肢がある──」

 

 




Q.神様の正体。
A.死後、神に蘇生された人間。

Q.神様を辞められて喜んでいた理由。
A.《神の領域》から神が出ることはできないから。死ぬことも狂うこともできない。

Q.神様になる条件。
A.後継者を名乗る者が現れたとき、役目を交代できる(口頭契約)。

Q.神様が能力付き異世界転生を勧める理由。
A.「神の力がほしい(神になりたい)」と言うのを待っている。言わなくても、その後の行動を観察して楽しめる(テレビ感覚)。

Q.死因:トラック。
A.神は現代に干渉できる能力も少なからず持っている(死体の回収などをはじめとして)。ベテランの神になるとわざと負い目を作ることで(神様のせいで死んだなど)、違和感なく能力を渡す。実は作中の神様も自作自演だが、相手の精神性を見て隠すことにした。

Q.死体を拾う理由。
A.死体に細工することで、元の世界に戻れないようにしている(仕入れ先に情報を渡さない意味もある)。また、神の力が馴染みやすいようにと。

Q.前の神様はどこに消えた?
A.異世界、消滅、力と共に次の神様に吸収された。お好きなものをどうぞ。

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