艦娘妄言録   作:永沢 喬

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艦娘、お借りします

 風の便りに聞いたのだが、なんとなんと…レンタル艦娘なるものがあるらしい。

 その言葉の通り様々な艦娘をレンタルすることが出来るというものだ。

 このシステムは最近導入されたらしく、艦娘と馴染めない提督や、女性と全く縁のない提督達の為、仮の彼女として楽しませてくれるのだとか…。

 もちろん楽しむだけではなく、艦娘達とどういう風に接すれば良いのかを学ばせてくれるものでもある。

 実に面白い。

 

「けどなあ、最近無駄遣いしすぎてあんまり余裕ないんだよなあ…」

 

 何もしなくても汗が出てくるこの暑い夏とは真逆で、俺の財布は寒々しい。

 夢のような時間を過ごさせてくれるのだ。

 当たり前だがお金がかかる。

 

 どうしたもんかと悩みながらページをスクロールすると、興味深い項目が目についた。

 

「ランダムプラン…」

 

 なるほど、料金は安いが好きな艦娘を選ぶことは出来ないと…。

 え?良いのコレ?

 艦娘とか全員可愛いに決まってるんだからよっぽど目当ての子がいない限り別に選ぶ必要とかないでしょ。

 なにそれ超ラッキー。

 

 それじゃあ早速レンタル艦娘、試していきたいと思いまーす。

 

 

 

 

 

「なんか緊張してきたな…」

 

 30分前に待ち合わせ場所へと着いた俺は、1分おきに腕時計を見るというなんとも落ち着きのない姿を晒していた。

 

 いやいや、なにを緊張する必要がある。

 俺だって一応提督なんだ。自分の艦娘に接するように普段通りやればいい。

 けど、まあ…せっかくお金を払ってるんだからちょっとくらいイチャイチャしてもいいよね?

 ていうかしないと損だよ。

 よし決めた。今日はめちゃくちゃ甘えよう。

 

「お待たせ。

 えっと、ブルーグリーンのサマーニットに黒のスキニー、あなたが……」

 

 おお、やっと来たか。

 それにしても随分と可愛い声だなと思ったと同時に、どこか聞いたことのある声だなとも思った。

 いやまさか知り合いが来るハズないよね。

 そう言い聞かせ、顔を上げると、めちゃくちゃ気まずそうな艦娘がそこにいた。

 

「な、なんでここに提督が⁉︎」

 

 いや、なんでここに先生が⁉︎…みたいな言い方されても困る。

 

「お前こそ何やってるんだよ葛城……」

 

 真っ白なTシャツにマーブル柄のワンピースを重ねたその姿は、当たり前だが普段とは180度違う。

 え、ウソ。葛城の私服とか初めて見たけど破壊力やばすぎない?

 おかしい。普段は脇もお腹も丸出しの葛城が腕以外一切露出していない。

 ワンピースの先から見えるのは足首より下だけ。

 だというのに何故俺はこんなにもドキドキしているんだ…。

 ……サンダル、えっちだなあ。

 

「し、仕方ないじゃない!

 私だってこんなことしたくないわよ!

 でも、かく鎮守府から一隻ずつ参加しないとダメだって大本営から………ってこれ、昨日あなたに言ったわよね?」

 

「へ? そ、そうだっけ…?」

 

「ほんと、人の話聞かないんだから…」

 

 呆れたようにため息を吐いた葛城だが、その表情はどこか嬉しそうにも見えた。

 

「でも、相手があなたで良かったわ!

 変な気つかわないで済むし」

 

 は?こいつ何勘違いしてるんだ?

 俺は金を払っている。つまり今俺は彼氏で葛城は彼女だ。

 

「お前バカだなあ。

 真面目に仕事しないなら大本営に告げ口しちゃうよ?」

 

「どうしてそうなるのよ!

 ……あなただって、私が相手じゃ嫌でしょ?」

 

「何言ってるんだ、むしろ土下座して頼みたいくらいだ。

 今日一日お前は俺だけのものだ」

 

「な………なに真顔で言ってんのよ!」

 

 顔を真っ赤に染めた葛城は、両手を上下に振りらぎらぎしている。

 

 Q:らぎらぎしているってどういう意味?

 A:めちゃくちゃ可愛いの意。

 

「時間は限られてるんだ。早速デートしようじゃないか葛城!」

 

「……デートって言わないでよ!」

 

 

 

 

 

 …いやあ、葛城と手を繋いで街を歩く。

 これだけでもなんと素晴らしいことか。

 すれ違う人が皆こっちを振り返り、羨ましそうに見ている。

 そうだ、羨ましいだろう?

 この美女は今現在俺の彼女なんだからな!

 

「そろそろ歩き疲れたし、休憩するか」

 

「そうね。お昼ご飯でも……って、どこ入ろうとしてんのよ!」

 

 路地を曲がり、先にあるホテルへ入ろうとした俺の腕を引っ張り、顔を真っ赤にして叫んだ。

 こういう初々しいところが正直そそる。

 これもう押し倒して襲っちゃっても問題ないですよね?犯罪ですか?犯罪ですね。

 

「やだな、冗談に決まってるじゃないですか」

 

「目が本気なんだけど…」

 

「でも、今はレンタルだけど…鎮守府に戻ったら、冗談じゃ済まないかもな…」

 

「な、何バカなこと言ってるのよ……」

 

「葛城は、俺とするのは…嫌か?」

 

 真っ直ぐに見据えた俺を、潤んだ瞳で見つめ返す葛城は普段よりも色気がある。

 

「嫌……じゃ、ないけど…」

 

「葛城…」

 

「て、提督……ダメ!こんなところで……んっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

提督「という感じで、レンタル艦娘流行らせたいと思ってます!」

 

葛城「それ 却下デース☆」

 




らぎちゃんの私服見てみたい

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