男性Vがコラボするってよ【完結】   作:TrueLight

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【収益化記念配信】念願のマ〇クラ雑談!【~後輩を添えて~】②

「お、洞窟出たぞ。今が……Y(高さ)20か。もうちょい下れるとこ探したいねー」

「ですね~。あ、チェストの骨もらいます! これでパンが食べられますよっ」

「ありがてーってばよ!」

 

 放送から30分ほどが経ち、俺とユラちゃんは地下に(もぐ)っていた。開始10分くらいはユラちゃんがどれくらいマ〇クラに慣れてるのか分かんなかったから探り探りだったけど、思いのほか上手くてびっくり。

 

 俺が過去に配信したマ〇クラ動画も全部見てくれたというユラちゃんは的確に俺の行動アシストをしてくれて、一人で効率プレイするのとさほど変わらないサクサク具合でダイヤ探しは進んでいる。

 

 今は直下掘り(地上から地下へ真っ直ぐ掘り下ること)して地中の中層に拠点を作り、そこから横に掘り進めて辿り着いた洞窟を探検するところだ。俺が一人でこういうことすると途中で空腹問題にぶち当たるんだけど、それを見越してかユラちゃんはいつの間にやら集めた小麦の種を小さな地下農場で栽培している。

 

 そしてこのゲーム、骨を砕いて骨粉にすれば肥料になる。小麦は一瞬でパンに化けることだろうね。ユラちゃんの言葉はそういう意図だ。ちなみに骨はスケルトンっつーガイコツ弓兵を倒したら落ちる。

 

 実際のとこ30分でこの進捗はあまり速いとは言えないんだけど、ライバーとして雑談したり、リスナーに返事したりもしてるからね! それを考えるとユラちゃんのサポート能力はすさまじい。まったり雑談企画だからそこまで急ぐこともないんだけども。

 

 ところで、チャットコメントの内容はお馴染みのモノである。

 

コメント

    :後輩にパン焼いてもらえるとか絶許

    :そこ代われボッチにゃまだ早いぞ

    :リア充は匠の爆発で死ね

    :死ねはあかんぞ死ねはw

    :そうだな、悪かったよヒビキ くたばれ

 

    :大して変わってなくて草

    :ゲームなのにリア充とはこれいかにw

    :大事なのはそこじゃないぞ

    :ヒビキがライバーとイチャついてるのが腹立つ

    :ほんそれ

    :俺たちのボッチを返せ;;

 

「お? 悔しいのかなぁ? ほら、これがユラちゃんが焼いてくれたパンだぞ。食いたい人ー?」

 

コメント

    :寄越せ

    :くだちい……くだちい……

    :いくら払えば良いですか?

    :言い値で買うぞ。いや買わせてください

 

「バリむしゃバリむしゃバリむしゃァ!! う、うめぇ……! あれれ? 無くなっちゃったなぁ」

 

コメント

    :殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す

    :なんでそんなひどいことができるの?

    :バリムシャてww

 

    :てめぇの血は何色だーー!!

    :お前は俺たちを怒らせた誰か住所特定しろ

    :憎悪にまみれた切り抜き作ってやるからな震えて眠れ

 

「ちょっと待って! 冗談じゃん!! ごめんて!!」

「うふっ。あはははははははっ!」

 

 そらもう民度もクソもないコメントの嵐だが、ユラちゃんのウケが良いのでだーれも自重しない。いや俺もめっちゃ煽ってるけど、こう笑ってくれるとやめられない止まらない。そもそもユラちゃんもリスナーだったんだからお察しか……。

 

「ったく、ユラちゃんが笑ってくれるから許されてんだぞ! 他のライバーに死ねだの殺すだの言ってみろ、モデレーター大活躍やぞ!」

 

コメント

    :どの口が言ってんだ?

    :安心しろ、お前にしか言ってないから

    :ヒビキにだけだよ♡

    :気休めになってないw

    :他のライバーにそんな酷いこと言うわけないやろがい!

 

「君ら外面(そとヅラ)は良いタイプなの? ほんとぉ? どう思うよユラちゃん」

「ヒビキ先輩のリスナーの皆さん、とっても楽しい方たちですからっ。問題になるようなコメントはしないと思います! きっとここが一番リラックスできるんですね!!」

 

コメント

    :これがピュアか ¥490

    :ヤメテ……ヤメテ……

    :おい浄化されちゃうだろw

 

    :違うそうじゃないww

    :ここは俺らを罵倒する流れだろ舐めてんのか ¥10000

    :ツンデレドMニキ!?

 

 うん……そりゃ暴言の応酬はプロレスなんだけどさ! そんな屈託ない声で言われるとムズムズするだろ!! まぁユラちゃんの純粋さにやられてか、ちょっとコメントが落ち着いてきたので。そこからはユラちゃんと本格的に雑談しつつダイヤを探し続ける。

 

 くっちゃべりながらも洞窟内に松明(たいまつ)を設置していき、敵を片付けては下へ下へ。

 

「悪いねユラちゃん、何度も拠点と往復させて」

 つい癖で見かけたレア鉱石を掘ってると、定期的にユラちゃんが回収して拠点に持って行ってくれる。なんとも献身的な彼女にお礼を言おうとしたら。

 

「いえいえっ。配信はヒビキ先輩視点ですし、気にせず探してください! それに私、大好きな(・・・・)先輩のお力になれるのがとっても嬉しいんです!!」

 

 お、おぉ……。ここまでストレートに先手を打たれるとさすがに照れるぜ! 腐らずに配信やってきてよかったで、ホンマ……!

 

「ありがとな、ユラちゃん。俺、ユラちゃんの先輩って立場に恥じないライバーになるよ! 良かったらこれからも仲良くしてくれよな!!」

「そんな……! わ、私だって、後輩としてヒビキ先輩に恥をかかせないよう頑張りますのでっ。何卒よろしくお願いしますっ」

 

コメント

    :なに聞かされてんだ俺らは

    :はぁ~ヒビユラてぇてぇ

    :男女カプ厨ニキちっすちっすw

 

    :ネキだ二度と間違えるな殺すぞ

    :ヒェッ

    :これは厄介カプ厨

 

    :飢えてるのは分かるけどカプの話題はマナーを弁えてな

    :興奮しすぎた。正直すまんかった

    :ネキ素直だなww

 

 おっと……初絡みなのに飛ばし過ぎたせいで、視聴者間でもちょっと揉めてるな。いや他のコメントで収まるレベルだから大人しいもんだけどね。ま、この反応は概ね打ち合わせ通り(・・・・・・・)だから良しとしよう。

 

「うっし! 気を取り直して探索探索ゥ! ユラちゃんは、マ〇クラで最初に見つけたダイヤは何に使うタイプ?」

「ヒビキ先輩はいつもツルハシですよねっ? 私は……クワです!!」

「マジかよ!?」

 

 そんなこんな無駄話に興じつつ、どんどん未踏破ゾーンを開拓していく。あぁ、これが雑談マ〇クラコラボ……! 同じライバー同士、同じゲームを楽しんで、同じ思い出話(俺の配信の内容)に花を咲かせる。それのなんと心地よいことか!

 

 しかし……どんな楽しい時間にも終わりは訪れるもので。

 

「おっ、発見! ダイヤありましたー! 拍手!!」

「わーっ」

 

 地下のマグマ溜まり、その縁に燦然と輝いている(ように見える)水色のドットが散りばめられたブロック。間違いなくダイヤ鉱石である。

 

 俺の声にユラちゃんも応じ、ペチペチペチとあまり音が響かないタイプの拍手を聞かせてくれる。手を合わせて指の先だけで音出してるんだろうなぁ、可愛い後輩やで……。

 

コメント

    :サクサクだったなぁ

    :ヒビキはともかくユラちゃんお上手ね

    :そら同期コラボでは苦労人枠だからな

    :マ〇クラコラボで苦労人とは

 

    :木こる。家建てる。物資集める。同期に配る。同期が死ぬ

    :草

    :もう十分わかったww

    :いくら仲間が全ロスしても笑顔で鉄装備わたすぐう聖やぞ

 

    :体感5分配信やったな

    :もう1時間も経ってたんやなぁ

    :二人とも初コラボとは思えんほど話合ってたし、暇はせんかったね

    :とりあえずユラちゃんがヒビキのファンガチ勢なのは理解した

 

    :ボッチにも可愛くて健気な後輩が出来ると分かって勇気が出ました

    :ひどくて草

    :ユラちゃんのおかげで楽しかったよ!

    :次回のユラちゃんねるも期待してます

 

「いやー最高だった! コラボっていいもんだね……! ほらユラちゃん、視聴者のみんなも楽しかったって……ねぇ、君らは素直に俺の配信を褒められんのかね?」

 

コメント

    :は?

    :は?

    :は?

    :自惚れんなカス

    :ちょっと静かにしててください ¥20000

    :黙らせるために赤スパで草

 

「…………」

 

コメント

    :黙るんかいw

    :所詮ヒビキも札で殴られればこんなもんよ ¥200

    :2コインじゃないすかww

 

「あははっ、えひっ。ふ、ふふふふふ……!」

 

コメント

    :ユラちゃんが楽しそうで何より

    :ほっこり

    :だらしない笑い方いいゾー

    :ほんと誰の枠か分からんコメント欄よ

 

「はい終わるから! みんな来場、及びスパチャ感謝! ユラちゃん、感想告知なんかあればどうぞ!」

 

「あ、はいっ。ヒビキちゃんねるの皆さん、今日はありがとうございました! えと、しつこいようですが、大好きなヒビキ先輩とコラボできて、とっても幸せでしたっ! また機会があればお邪魔したいと思うので、その時はよろしくお願いします! あとあと、明後日(あさって)にヴァーチャルシップ三期生全員でのコラボ配信があるのでっ。よろしければ、配信にお越しくださいー! …………その、い、以上れすっ」

 

コメント

    :ふぁー

    :かわー

    :マナーを弁えた結果ボキャ貧になるネキw

    :三期生四人でか、覗いてみるかね

 

「俺もこの機会にね、後輩たちのことをもっと知れたらと思いますよ。お前らも絶対見に行けよな!! それでは! 初コラボ記念生配信、マ〇クラ雑談でしたー!! ばいばーい!!」

 

「ば、ばいばーいっ!!」

 

コメント

    :おつヒビキって言えや

    :まともなの最初だけだったな

    :タイトル間違えてんだってw

    :絶対またやれ ¥10000

 

 マイクをミュートにしつつ、打ち合わせで決めていた通り、ユラちゃんへ個人チャットで通話から抜けるようメッセージを飛ばし。憎まれ口を叩く視聴者に頬を緩めながら、俺は配信を切り、椅子に深く背中を預けた。

 

 

 はー…………コラボって最高だな!!

 

 


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