男性Vがコラボするってよ【完結】   作:TrueLight

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【絶対勝つ!】マ〇クラG・I【争奪戦!】①

『……戦おう。暁ヒビキ……!』

 

コメント

    :おはきりー

    :あれ、始まった?

    :始まってるっぽい

 

    :急にどうしたのw

    :コラボ相手男ってマジだったのか

    :やる気キリちゃんもかわいい!

 

 お呼ばれした他企業Vtuberさんのコラボ枠。チャットを繋いで向こうが配信を開始したと同時に、そんなことを言われてしまった。俺も向こうの配信画面見てるからコメント欄の困惑具合が伝わってくるんだけど、俺が一番困惑してると思うよ?

 

 ボスから告げられた、マ〇クラG・Iのコラボ配信。先方の強い要望でPVP企画となったらしい。俺もこのゲーム大好きだし否やは無いんだけど……このコラボには、不可解な点があった。

 

 それは、向こうの人と俺は一切打ち合わせをしていないということ。コラボ相手の大島キリさんとだってこれが初会話になるくらいだ。どころかボスともまともにミーティングはしておらず、たった一言『相手に合わせて楽しむように』とだけ言われてるのだ。異常だってばよ……。

 

 俺なりの推論になるけど、今回のコラボはいわば試金石と言ったところじゃないかな? ボスも忙しいだろうし、他事務所のVと問題なくコラボ配信を終えることが出来れば、今後は俺が能動的にコラボしてもいいよ、みたいな。一言くらい報告する必要はあるだろうけど。

 

 念のため下調べさせてもらったが、どうやら大島さんはアイドル路線のライバーっぽいし。ここを切り抜ければボスを安心させられるんじゃないだろうか? 俺一人に(かかずら)ってられるほど、統括マネージャーさんが暇な訳ないしな!

 

 ってことでワケ分からんままだが乗らせてもらうぜ! それにアーカイブを覗いた限り、大島さんも相当のG・Iファンらしいからな……!

 

「ふ……見せてやる大島キリ。ボッチライバーの戦い方をな……!」

 

 原作コミックにこのようなやり取りは無いが、どちらもとあるキャラクターがG・I内で用いたセリフだ。大島さんのキャラクターがにんまりと笑みを浮かべ、どうやら期待に添えたらしいことに安心した。

 

 ところで大島キリさんの動かすキャラクターは、一言でいえばツンデレ系だ。ちょっと吊り上がり気味の大きな瞳、薄桃色のツインテール。声もアニメを連想させるかわいらしい声……というか、ぶっちゃけ某ツンデレの女王みたいだ。

 

 小柄な身体には華々しい袴をしっかりと纏っていて、良いとこのお嬢さん的な設定がありそう。これはガチ恋勢がたくさん居るのも頷けるね!

 

コメント

    :この人も何言ってんのw

    :原作コミックのネタだなどっちも

    :MODの元ネタのやつね

    :そこ繋がりのコラボなのかな?

    :所属違うしそらそうでしょ

 

『はいっ! ということでおはキリー! 今回はマ〇クラG・Iコラボってことで、この方を呼んだよ! どうぞ!!』

「えー、おはキリ! ヴァーチャルシップ所属、二期生の暁ヒビキですー! あ、二期生って言っても僕しかいませーん。よろしく!!」

 

コメント

    :コラボ解禁したんだっけ

    :正直来ないでほしかった

    :なんで今更コラボやねん結局直結か?

    :野郎は一人でゲーム配信しててどうぞ

 

『あ、えっと……』

 

 おや、あからさまに煙たがられてるな。俺的には予想通りというか、ちょっと反応が柔らかいまであるんでホッとしたんだけど。大島さんは、ここまでブーイングが起こるとは思ってなかったらしいな、ちょっとアワアワしてる。……ちっちゃいツンデレ風ツインテ娘が困ってるの、なんか良いですね!

 

 というアホな考えは置いといて、この辺は俺がフォローしたほうが良さそうだ。何せ散々想定してきたシチュエーションだしな! むしろイメトレがやっとこ実践できそうでオラわくわくすっぞ! ……なんか思考がドM染みてる気がするね。

 

「はーっはっはっはぁ!! 大島キリよ、ホームグラウンドでいくら味方を得ようが、本人の力量は変わらないぞ? 俺はその程度のチンケな煽りコメントで動揺したりはしない……こっちのホームで散々叩かれてるからなぁ!!」

 

コメント

    :なんやコイツ

    :草

    :キリちゃんやっちまえー ¥370

    :男は消毒よー! ¥1000

    :負けたら泣いて謝れよおめー ¥4949

 

 お、これはナイスアシスト! 煽りに見せかけて流れをネタに変えていってるコメントは、その多くが見慣れた名前だ。俺のチャンネルのリスナーもこれを予想してくれてたんだろうな、感謝やで……そのスパチャはぜーんぶ大島さんに行くけどね! 今回俺は完全にゲストで、配信してるのは向こうだけだ。

 

「どうした、戦うんだろう? 俺も! お前も!!。まだ一度たりとも呪文(スペル)を使っていないぞ? まさか怖じ気付いたかぁ……?」

『……! ふっ、言うじゃない暁ヒビキ……! 今日アタシは! アンタに勝って証明するっ! アタシがいっちばん、このゲームを愛してるんだって!!』

 

「よくぞ(のたま)ったァ!! では聞かせてもらおうか! お前が俺に叩きつける挑戦状っ! どうやって勝敗を決するのか! 俺はその一切を知らずにコラボを受けた……なぜならっ! どのようなルールであろうとも、勝つのはこの俺! 暁ヒビキ様だからだぁっ!!」

 

『いいわっ、聞きなさい! 戦いの場はマ〇クラG・I! アタシとアンタ、一対一のPVP! とは言っても、直接攻撃は禁止! 呪文(スペル)でのみ交戦すること! 勝敗は、それぞれクリア条件の指定ポケットカードを三種類先に集めること! どちらも未達成なら、配信終了の一時間半時点でより多くの指定ポケットカードを所持していた方の勝ち! どう!?』

 

コメント

    :そういう趣旨ね

    :暑苦しいww

    :豹変しすぎじゃない?

 

    :マ〇クラコラボっても完全に対戦形式なのか

    :男性Vってこんなんだったんか

    :きりちゃん頑張って!!!!

 

    :スペル合戦期待

    :ヒビキの告知から来ました。ヒビキを消し炭にしてやってください ¥10000

    :野郎がMOBにやられてショボ死するの期待してる ¥7676

 

 思惑通り、完全に正義VS悪役の図が出来上がり。チャットからただ企画を叩くだけの迷惑コメントが鳴りを潜めたのを確認して、俺は意気揚々と告げるのだった。

 

「よかろう!! コメントで俺様に呪詛がかけられているが、お前こそ雑魚に殺されたりするなよ? いかに慈悲深い俺様といえど、敵に"大天使の息吹(蘇生アイテム)"は使ってやらんからなぁ?」

 

 原作では不可能だが、このMODにおいての唯一の蘇生手段が"大天使の息吹"である。マルチで他のプレイヤーに死亡地点で使ってもらう必要があるので、ソロだと死んだらそれまで。まぁSSランクカードだから手に入るはずもないけどな!

 

『ふんっ! まぁアタシは? 情けなーくやられちゃったアンタが居たら使ってあげるけどね? そんなの痛くないくらい、大差をつけて勝ってやるんだから!』

「フゥーハハハァ!! どうやら手加減は不要なようだ……では!! いざ尋常にぃっ!!」

 

「『勝負!!』」

 

 こうして俺と大島キリさん、一対一の勝負が始まった!

 


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