VSK-94って言う巨乳美少女になったけど質問ある?   作:FMX

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遅れてしまいましたがあけましておめでとうございます!今年も宜しくお願いします。そしてお待たせしました第5話です。どんな内容なのかはタイトルで察していると思いますw

そして、色々なご感想を下さった皆様、本当にありがとうございます。モチベーション上がりまくりです。そしてお気に入り登録者数も増えていてとても嬉しいです。これからもこの小説を読みに来てくださると嬉しいです。


第5話 面倒事に巻き込まれるのは主人公の特権

基地から出たセダンは予め決めていたルートに沿って街中を走行する。想像していたより都会で活気に満ちている所だ。パッと見は普通に良い街の様に見えるがよく見てみると路地にいかにも悪そうな奴らがたむろしていたり街のあちこちに落書きがあったり道にゴミが散乱していたりとちょっと治安の悪そうな印象がある。

 

セダンを降りた俺とナガンは商業施設などが立ち並び大勢の人で賑わっている繁華街を歩いて巡回していた。因みにAK-47の方はセダンに乗ったまま巡回中だ。見慣れぬ街に俺はキョロキョロと繁華街の様子を見ていたがさっきから気になっていることが一つある。

 

「なんか・・注目浴びてません?」

 

行き交う人達の殆どが俺の方をチラチラと見て来る。流石にこんなに注目されると落ち着かない。

 

「そりゃぁそんなに大きな胸を持った若い美人な娘が居たら注目されるじゃろうな」

 

薄々そうじゃないかと思っていたがやっぱりか。確かによくよくこっちを見てくる人達の視線の先を見てみると俺の胸の方に集中しているように見える。うぅ・・色んな人に胸をジロジロと見られるのは恥ずかしいな。何処かで女は男とかの視線には敏感だと言う話を聞いたことがあったけどそれは本当なのかもな。

 

「お主の気持ちは分かる。わしもこんななりじゃからお主の様に注目を浴びてしまうのでな」

 

確かに俺でも街中でこんな可愛らしい金髪の女の子を見つけたら反射的に見ちゃうな。と言うかこう言う繁華街とかで1人で居る所を見たらもしかして親と逸れて迷子なんじゃ?と思ってしまうかもしれない。

 

「何よりムカつくのが子供扱いしてくることじゃ!」

 

ナガン自身は自分を「お年寄り」と言っていて子供扱いされるのを嫌っているが見た目はただの可愛らしい幼い女の子だ。しかし本人にそのことは言えないから俺は愛想笑いをする。

 

「そう言えば、お主はこの街に来るのは初めてだったか?」

 

「そうですね。初めてです」

 

「じゃぁこの街の基本的なルールを教える。ガラの悪そうな奴らとは目を合わせないことだ。目を合わせたらメンチを切ったと思われてそのまま集団リンチされることになるからのう」

 

「えっと・・・メンチを切るってどう言う意味なんですか?」

 

「あー・・・睨みつけるみたいな意味じゃ」

 

「成る程」

 

目を合わせただけで集団リンチされるとかここに居る奴らはどんだけ好戦的なんだよ。

 

「まぁ、普通にしていれば大丈夫じゃよ」

 

「にしても、結構人が多いですね」

 

ここが繁華街だからと言うか理由もあるだろうが今のご時世でこんなに人が居るのも珍しいんじゃないだろうか?

 

「まぁグリフィンが統治している地区は他と比べると住みやすいからのう」

 

「成る程」

 

今のご時世、政府が直接管理している最重要都市以外はPMCが都市を運営している。が、政府もPMCも管轄していない無法地帯となった都市や街などもいくつもある。寧ろ無法地帯となった場所の方が多いとも言われている。それに比べてここはグリフィンが管理しているここは割と平和な方なのかもしれないな。

 

生前・・と言うか前世と言うか。まぁとにかくまだ俺が人間の男だったら頃は運が良いことにグリフィンが管理している地区で生まれ育ったので特に危険な目にあったりすることもなく平和に過ごせていた。その平和は目の前ナガンやAK-47の様な戦術人形やグリフィンに所属する色んな人達のお蔭だったんだなと今身に染みて実感している。

 

《ナガン!VSK!急いで車に戻って来い!》

 

暫く繁華街をパトロールしていると突然AK-47が人形用無線機を使って話しかけて来た。この直接頭の中に響くよな感じにも結構慣れて来た。

 

「どうした?」

 

「怪しい車を見つけて今尾行しているところだ。繁華街の入り口の方に車を止めるから直ぐに乗ってくれ!」

 

「分かった。行くぞ!」

 

「了解!」

 

おいおい、初任務で早速事件か?運が良いのか悪いのか分かんねぇな。とにかく俺とナガンは繁華街の入り口に向かって人混み避けながら走った。相変わらず大きく揺れ動く胸を邪魔に思いつつ走り続け、俺とナガンは繁華街の入り口に着いた。それから数秒後、曲がり角からAK-47の運転するセダンが現れ目の前で止まり俺達は急いでセダンに乗り込んだ。

 

「どの車なんじゃ?」

 

助手席に座ったナガンがAK-47に聞く。するとAK-47は前を走っている普通乗用車の更に前を走っている薄汚れた白色のバンを指差した。

 

「後ろから数えて3台目のバンだ。荷台に銃らしき物を載せて行っているところを見た」

 

バンの荷台を確認しようとするが全部の窓ガラスがスモークガラスになっていて車内が確認出来ない。

 

「銃?ってことはあのバンは武器商人が?」

 

「まぁその可能性はあるね。密輸された非正規の銃器をギャングとかに売るつもりかも知れない」

 

「指揮官に報告はしたのか?」

 

「した。許可も降りた。バレない様に尾行対象からは一定の距離を置いて慎重に尾行しろって言われた」

 

「だが尾行するにはこの車では少し目立ち過ぎるんじゃないかのう?」

 

それは俺も思っていた。この車の両側にはグリフィンのロゴマークがガッツリ描かれている。それにこの車自体グリフィンの車として知られている可能性が高い。距離を置いてもこの目立つ黒色の車では直ぐに見つかってしまうかもしれない。

 

「そこで提案なんだけどアタシが囮になるから2人であのバンを追ってくれない?」

 

「囮?」

 

AK-47は一体何をするつもりなんだ?

 

「奴らもバカじゃない。この車がグリフィンの車だって言うのは直ぐに気づく筈だ。もしかしたらもう気づいている可能性もある。だがらアタシはある程度付け回した後に見失った様に見せかける。そしたら奴らはアタシ達を撒いたと思って油断するだろ?その油断している隙に別行動していたナガンとVSKが奴らを追いかける」

 

「追いかけるって言ってもまさか徒歩で追いかけろって言うんですか?」

 

AK-47とは別行動をするって言うことは俺達はこのセダンから降りると言うことだ。

 

「そんなのそこら辺でタクシーでも捕まえれば良い話じゃよ。と言うか別行動するならわしらはわざわざこの車に乗る必要は無かったのではないか?」

 

「今考えた作戦だからな!」

 

「お主はもう少し計画的に動いた方が良いと思うぞ?」

 

自信満々に答えるAK-47に対してナガンは呆れ半分にそう言った。でもこの行き当たりばったりで作戦を考えるって言うのは俺の想像していたAK-47だな。

 

「次の交差点で止まるからそこで降りて」

 

「分かった」

 

「了解です」

 

何だか緊張して来たな。でも同時にちょっとワクワクもする。今の俺映画やドラマの主人公みたいなことしてるからな。バンが交差点を通った後に信号が赤にたり俺達の乗ったセダンは停車した。その瞬間ナガンと俺はセダンから降りて横の歩道まで急いで移動した。

 

「よし、タクシーを探すぞ」

 

俺とナガンは追跡する為のタクシーを探して歩道を走った。

 


 

「おい、付けられてるぞ」

 

バンの助手席に座っていた男が運転手の男に報告する。運転手の男は目だけを動かしてバックミラーとサイドミラーで後ろを確認する。すると一台の黒色のセダンが真後ろに居た。

 

「チッ、グリフィンか」

 

「このまま行くのは不味いぞ」

 

「分かってる」

 

そう答えると運転手は右折した。バックミラーで確認するとセダンも同じ様に右折して後を追って来た。運転手は慌てたりせずに速度を保ったまま真っ直ぐバンを走らせる。助手席に座る男はポケットからグロック19を取り出すとスライドを引きチャンバー(薬室)に初弾を装填した。

 

「おい、こんな所で撃つなよ?」

 

「分かってる。念の為だ」

 

運転手は予定のルートから外れて街中を適当に走り回るがグリフィンの車は後ろにぴったりと付いて来ていた。5分ほどこの追いかけっこを続けていたが遂に仕掛けることにした。交差点に差し掛かった瞬間に目の前の信号が赤になった。しかし運転手は止まらず逆にアクセルを踏み込んだ。

 

エンジンの回転数が上がりバンが加速する。信号を無視したバンは左に180度カーブすると反対車線に入った。追いかけて来ていたグリフィンの車もその後を追おうとするが他の車が邪魔になり追うことが出来なくなった。運転手と助手席の男はグリフィンの車に向かって中指を立てながら走り去って行った。

 

グリフィンの車を無事に撒いたバンはまた尾行が居ないか警戒しながら街の郊外まで走った。完全に尾行や監視の目が無いことを確認した運転手は人の姿が全く無い工場跡地に来た。そしてバンをボロボロになった倉庫の中に入れた。倉庫の中には既に別の車が2台止まっておりその前には人が6人立っている。

 

その人達の目の前にバンを止めた運転手はエンジンを止めるとバンから降りた。そして近づいて来た大柄の黒人とお互い笑顔で握手をする。

 

「よぉ元気そうで何よりだ」

 

「そっちもな。どうだ?繁盛してんのか?」

 

「ぼちぼちってところだ」

 

肩を含めながら運転手は言う。2人が話している間に助手席に座っていた男はバンの後ろのドアを開けて荷台に乗せてあったバッグを運んで来ると黒人の男の前に置いた。黒人の男がそのバッグを開けて中を確認してみると大量のAR-15が入っていた。

 

「AR系の方なんだが頼まれていた数を揃えることが出来なかった。だから代わりと言っちゃぁなんだが足りない分としてAKを持って来た。弾も安くしとくよ」

 

黒人の男の前に別のバッグが置かれた。黒人の男が2つ目のバッグを開けるとAK-47に良く似たアサルトライフルが入っていた。黒人の男はその中の1つを手に取りコッキングレバーを引いたりトリガーを引いてみたりして動作を確認する。

 

「そのAKは実を言うと殆どが紛争地域から流れて来た中古のヤツなんだが全部ちゃんと整備しているからジャムったり動作不良を起こしたりすることはまず無いから安心してくれ。それに元々紛争地域でゲリラ兵なんかが使っていた非正規品だから足が付くこともない」

 

「今のご時世正規品の方が少ないけどな」

 

「それもそうだな。で、こっちがイングラムM10、またの名をMAC-10だな。9ミリ使用だ。こっちは簡単に集めることが出来たな。知っているとは思うが連射速度がバカみたいに早いから撃つ時は気をつけろよ」

 

先程と同じ様に黒人の男の前に助手席に座っていた男がバッグを持って来ると目の前に置いた。

 

「にしてもお前、戦争でもおっ始める気か?」

 

運転手の男は大量の銃火器を見て黒人の男に冗談混じりに聞いた。

 

「まぁ戦争とまでは行かないがな」

 

「相手は?」

 

「自分の立場を分かっていない三下どもだよ」

 


 

AK-47がわざと撒かれた後タクシーに乗った俺とナガンはバレない様にかなり距離を置きながら更に時々わざと寄り道をしたりしてバンを尾行した結果郊外にある工場跡地にまで来た。そして倉庫に入るとそこで待っていた奴らと武器の売買を始めた。すこし離れた所から物陰に隠れながら途中から合流したAK-47と共に双眼鏡でその様子を見ていた。距離があるので話し声はギリギリ聞こえるが何と言っているのかは分からない。

 

「アレってAK-47ですよね」

 

黒人の男が持つ銃は余り銃に詳しく無い俺でも知っているアサルトライフル。AK-47だ。あの銃反政府軍とかテロリストとかが持っているイメージが強いよな。

 

「いや、アレはAK-47じゃないね。アレは中国製の56式自動歩槍って名前のAKの派生型だ。ほら、銃口部分に折り畳み式の銃剣が付いてるだろ?アレが特徴だ」

 

流石AK-47。一眼見ただけであのアサルトライフルがAK-47ではなくて中国で作られた派生型だと見抜いた。俺には同じ物にしか見えないがな。

 

「へぇ〜。やっぱりAKの派生は多過ぎて分かりませんね」

 

「ロシアで作られた派生型はそんなに多くは無いんだけどな。海外製の派生型なんかを合わせると星の数だ」

 

「で、わしらはどうするんじゃ?このまま監視し続けるだけで良いのか?」

 

「さっき指揮官にはここの場所は教えたからもう少ししたら応援が来る筈だ。それまであたし達は待機だな」

 

その応援が来てくれるまでは暇なので俺は引き続き武器の売買している様子を見る。銃だけでなく手榴弾まで持って来ていた様で緑色の箱の中から手榴弾を出していた。

 

「ん?アイツら何してんだ?」

 

黒人の男が後ろに居た部下に何が指示するとその部下は後ろに止めていたSUVの後部座席に向かうと後部座席から両手が縛られた男を無理矢理下ろすと黒人の目の前に立たせた。縛られている男の姿をよく見てみると体や顔のあちこちに痣が出来ており酷い状態だ。

 

「・・・・嫌な予感がするのかあたしだけかな?」

 

「わしもじゃよ」

 

黒人の男は武器商人からAK-47・・じゃなくて、56式のマガジンを受け取ると手に持っていた56式に嵌めてコッキングレバーを引いた。そして右側面にあるセーフティーレバーを1番下にまで下げると縛られた男に銃口を向けた。

 

「まさかッ⁉︎」

 

奴らあの男を試し撃ちの的代わりにするつもりか⁉︎そう俺が驚いていると横にいたナガンがホルスターに仕舞っていたM1895を素早く取り出し両手でしっかりとM1895を構えて黒人の男に狙いを定め撃った!こちらから向かうまでの距離は40メートル程はあったが撃ち出された弾は56式を持っていた黒人の男の右手を撃ち抜いた。右手を撃たれた黒人の男は56式を地面に落とし撃たれた手を「ぐあぁ!」と声を上げながら押さえる。他の奴らは突然の発砲音に驚いている様子だ。

 

「・・・すまぬ。つい撃ってしもうた」

 

「謝んな。ナガンが撃たなかったらあたしが撃ってた。っと、伏せろ!」

 

突然AK-47が俺の頭を押さえて無理矢理その場に伏せさせた。すると連続した発砲音と共にこちらに向かって何発もの弾丸が飛んで来た。AK-47はホルスターからGSh-18を取り出し撃ち返す。

 

「指揮官、聞こえるか?こちらAK-47。無抵抗の人間を撃とうとした為止むを得ず武器売買中のチンピラどもに発砲し銃撃戦になった!」

 

俺もAK-47に続きホルスターからMP-446を取り出して56式やらAR-15で撃って来る奴に向かって撃つ!しかしやっぱりスティグマ適応外の銃で撃つと命中精度はクソ雑魚だ。それに対してナガンは既に2人に弾を当てて無力化している。ナガンは今使っているM1895と言う名前のリボルバーがスティグマに適応した銃なのでビシバシ敵に当てている。

 

「あ!あの人撃たれています!」

 

ナガンが助けた縛られた男はどうやら逃げようとしたところを撃たれてしまったらしく地面に倒れていた。

 

「チィ!詰めるぞ!」

 

「ちょ、今前に出たら撃たれません⁉︎」

 

現在進行形でフルオートで撃たれまくっているんだが⁉︎これ今隠れている物陰から出た瞬間撃たれてしまうんじゃないか?

 

「見た感じアイツらは素人だ。素人がフルオートでこの距離を当てるのは難しい。それにあたしが援護してやるから安心しな!よし行け!」

 

「ちょ!まっ⁉︎」

 

AK-47から背中を押され俺はそのまま隠れていた壁から出てしまった。ここで止まったら撃たれるのは確実だ。こうなったら弾が当たらない様に走るしかないッ!

 

「うわあぁぁぁ⁉︎」

 

一心不乱に1番近い所にある遮蔽物へと走る。前を走るナガンは走るのに必死な俺とは違い走りながら敵に向かって撃っている。AK-47は後ろで撃ちまくり俺達を援護してくれている様だ。何とか被弾せずに俺とナガンは放置された廃車に身を隠した。

 

「食らえっ!」

 

AR-15を乱射している男に狙いを定めて3発連続で撃つ。流石にこの距離なら当たるじゃないかと思ったんだが男は元気よく撃ち続けている。嫌になっちまうよ。ナガンが2発連続で発砲し俺が仕留めれなかった男の胴体に2発とも命中させた。可愛い見た目で忘れかけていたが彼女も戦術人形なのだと思い知らされる。今は彼女の背中がとても頼りに見えるよ。

 

「弾切れだ。援護してくれ」

 

「了解です」

 

ナガンの使っている拳銃はリボルバーなので俺が使っているようなオートマチックの拳銃よりリロードに時間がかかる。それにナガンの使っているリボルバーは普通のリボルバーよりも古いタイプだそうで普通のリボルバーよりも時間がかかるそうだ。なのでナガンがリロードしている間は俺が敵に向かって撃ちまくる。だけどアサルトライフルやサブマシンガン相手に拳銃一丁って言うのはなかなかに部が悪い。こっちが1発撃つ間に向こうは10発は撃って来る。更に最悪なのが今俺達が遮蔽物にしている車は防弾性能なんかこれっぽっちもない普通乗用車なので普通に弾が貫通して来るってことだ。一応俺はエンジン部分に隠れているから貫通して来た弾が背中に当たると言うことは起きていないが横を貫通した弾丸が飛んで行くのが凄い怖い。

 

敵が弾切れになったのを見計らって隠れていた車から出てMP-446を両手でしっかりと構えて3発連続で撃った。運良く2発が56式を持っていた敵の腹に命中した。腹を撃たれた男は撃たれた所を押さえながらその場に倒れた。

 

「当たった!」

 

残りは3人!このまま全員無力化してやる!そう思って別の敵を狙って撃つが倉庫の壁に隠れられてしまい弾は当たらなかった。と言うか、俺達に向かっていた3人は倉庫の中へ逃げて行った。何でだ?と疑問に思ったが直ぐに分かった。車のエンジン音が聞こえて来たかと思うと倉庫の中から猛スピードでバンがバックして来た。

 

「逃がすか!」

 

リロードを終えたナガンがM1895を構えてバンの運転席に3発撃ち込み運転手を撃ち殺した。たが助手席に座っていた男が死んだ男を運転席から降ろすと運転を代わりバンを走らせる。バンはバックを止めると前に急発進させる。バンの後ろのドアが開き男がこっちに向かって56式を向けて来た。

 

「やばっ⁉︎」

 

撃とうとしていた俺は咄嗟に伏せた。直後ダダダダダッ!っと連射音を響かせて数十発の弾が飛んで来た。7.62×39ミリ弾が車の車体やドアを普通に貫通して来る。再び俺が顔を出した時にはバンは急発進して走り去ろうとしていた。俺はバンに向かって拳銃を乱射する。弾は何発かが車体に当たったがバンを止めることは出来なかった。

 

「47!お前はこの男の応急処置を頼む!」

 

ナガンは倉庫の中に向かって走って行きながら大声でAK-47に指示を出した。俺もナガンの後を追って走る。AK-47は縛られた男に近づき傷の具合を確認する。

 

倉庫の中に入ったナガンは奴らが乗って来たと思われる赤色のピックアップトラックの運転席に乗り込むとエンジンを掛けた。俺が助手席に乗ると俺がドアを閉めるよりも早くナガンはピックアップトラックを急発進させた。

 

地面の土を巻き上げながらピックアップトラックは走り出して逃げるバンの後を追う。バンはフェンスを突き破って工場跡地から出ると道なりに走って逃げた。ナガンはアクセル全開でその後を追う。向こうのバンよりこっちのピックアップトラックの方が速いようで彼我の距離はどんどん縮んで行く。突然バンの後ろのドアが開き56式を構えた男がこっちに向かって撃って来た!

 

「くっ!」

 

「のわっ⁉︎」

 

ナガンは銃撃を避けようと咄嗟にピックアップトラックを右にカーブさせた。が、完全に銃撃を避けることは出来ず銃弾がボンネットやらフロントガラスやらに次々と命中して行く。恐怖の余りその場に屈む俺の横でナガンはM1895を左手で構えて撃ち返す。運転しながらの片手撃ちだと言うのにナガンは正確な射撃で荷台から撃っていた奴に弾を2発当てた。撃たれた男はその場に倒れた。これで残りは運転手の男だけだ。

 

「ビビっている暇は無いぞ94!撃て!」

 

ナガンに諭された俺は窓から顔を出すとMP-446を構えバンに向かって撃ちまくる。バンの後ろのドアは開きっぱなしだから運転席に座る男に当たることが出来るんじゃないかと思って何発か連続で撃ってみるがガタガタと揺れる車内から正確に運転席に座る男を撃ち抜くなんて無理だった。

 

「殺すなよ?生きた証人が必要なんだからのう」

 

「この状態で殺さないように正確に撃つなんて無理だっての!」

 

ナガンからの無茶な注文に俺は敬語で話すのも忘れて言い返した。と言うか殺さずに撃てって逆に何処に当てれば良いんだよ⁉︎向こうの運転手の方も黙って撃たれている訳ではなく拳銃を片手で構えてこっちに向かって撃ち返して来た!サイドミラーを見ながらの射撃なので正確な射撃では無いが何処に飛んで来るか分からない弾丸が逆に恐ろしい。

 

すかさずナガンが撃ち返すが弾はバンの車体に当たっただけだった。するとナガンは銃口を下の方、バンの後輪に向け撃った。左右の後輪が撃ち抜かれてタイヤがパンクした。それによって目に見えてバンのスピードが落ちて行く。

 

ナガンはピックアップトラックを急加速させてバンの前に出ると突然急ブレーキで減速しバンにぶつけた。進行方向をピックアップに邪魔され、更に後ろのタイヤがパンクしているバンは急激に速度を落として停車した。

 

ナガンはピックアップトラックを止めると降りてM1895を構えながら運転席の方に向かう。俺もMP-446を構えながらナガンの後に続く。ナガンが運転席側のドアを開けようとした瞬間、運転席からバララララッ‼︎っと言うとてもなく早い連射速度の発砲音が聞こえ、何十発もの弾丸がドアを貫通して飛んで来た。ナガンは慎重にドアを開けようとしていたのが幸いしてドアノブに手を掛ける前に撃たれたので被弾することは無かった。

 

「このっ!」

 

すぐさまナガンはM1895を構えて撃ち返した。ナガンはドアを開けてM1895を構えつつ車内を確認する。俺も車内を覗いてみると血まみれの右手を押さえてうめき声を上げている男が居た。そのしたにはMAC-10が落ちている。俺はMAC-10を取り上げると安全の為にマガジンを外してコッキングレバーを前後に動かしてチャンバー(薬室)内にある弾も排莢した。ナガンは運転手から男を引きずり降ろすと撃った右手を応急処置した後に拘束した。

 

その後、基地から応援部隊が駆けつけて来て後の処理はその部隊に任せることになった。捕まえた男を連れて俺達は基地へ帰還したんだが、その後が面倒臭かった。指揮官から大量の非正規品の武器などの売買を阻止したのを褒められるかなと思っていたがそんな事はなく逆に派手な銃撃戦になってしまった事を怒られた。因みに、銃撃戦になったきっかけの殺されそうになっていた男はちゃんと保護された。銃撃戦に巻き込まれて腹に7.62×39ミリ弾を食らっていたが当たりどころが良かったらしく命には別状は無いそうだ。聞いた話だと男は組織を裏切ろうとして捕まってしまったそうだ。その後は無駄に量のある報告書や始末書を書かされることになり全ての作業が終わる頃には深夜になっていた。

 

「はははは!それは災難だったな!」

 

指揮官に始末書と報告書を提出した俺は娯楽室でKS-23に今日の出来事を話していた。

 

「でもその男を助けたお陰でギャングの親玉の居場所が分かったんだろ?なら結果オーライなんじゃね?」

 

KS-23の言う通り俺達が助けた男からの情報でグリフィンと警察で前から追っていたギャングのボスの居場所が分かった。近い内にそのボスを捕まえに行くそうだ。

 

「まぁそうだね」

 

「俺も早く実戦に行きてぇなぁ」

 

「心配しなくても直ぐに行くことになると思うよ」

 

「そりゃ楽しみだ。明日もパトロールに出るのか?」

 

「いや、明日は今まで通り訓練だけだね」

 

「そうなのか。それじゃぁ明日も頑張ろうぜ」

 

「おう」

 

そう言って俺とKS-23は拳同士を軽くぶつけた。初の任務はまさかあんな銃撃戦になるなんて想像だにしていなかったがまぁなんとか無事に終わって良かった。だが今回の戦闘では俺がまだ訓練不足だと言うことが痛感した。これからはあれ以上の戦闘に巻き込まれる可能性は充分にあるんだし死なない為にも訓練をもっと頑張らないとだなぁ。




元の計画だとあんな銃撃戦やらカーチェイスやらする予定はなく、VSK-94が男にウザ絡みされるだけの話にする予定だったんですが最近見たとある洋画の影響で戦闘シーンを書くことにしちゃいました。後悔はない。にしてもまともな戦闘シーンを書いたのは今回が初でしたがやっぱり難しいですね。もっと上手く書けるように精進して行きます。

ご感想お待ちしております。

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