[完結]FIA-F2 WorldChampionship story of speed Final season   作:九嶋輝

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前回の最終戦で遂に念願の王者を獲得して晴れてF2を卒業した俺は再びイタリアのファエンツァへと住処を戻してF1の準備をしていたのだが…


Round13エピローグ

前回の最終戦で、遂に念願の王者を獲得して、晴れてF2を卒業する事になり、ヴィルトゥオーシの皆にも別れを告げて、第3の故郷イタリアへと住処を戻した訳だけど、今回はアルファタウリの本拠地でもある、ファエンツァに拠点を置く事にした。そしてまずアルファタウリのファクトリーへと向かい、改めて皆に自己紹介等をすると、何やらかなり見慣れた人が1人こちらへと向かってきた。そして俺に「今シーズンからここでお世話になるという、噂の日本人ドライバーは君かね?」と尋ねられ、俺は「はい。その噂の日本人ドライバーというのは俺の事ですけど。」と返すと、その人の口からとんでもない名前が飛び出してきた。「私の名前はフランツ・トスト。恐らく君の事だから名前を知らない訳ないよね。1回走ってるんだからさ。」と言われたもんだから、まぁ俺は驚きを隠せなかった。実はフランツ・トストさん、日本のファンからはトストさんやらトスト爺さんやらトス爺やらという渾名で親しまれている。そして俺の場合は、レッドブルジュニアドライバーとしては初の日本人ドライバーとして、このマシンに乗るという事から、メディアからはかなり注目されているが、はっきり言うとあまり注目しないで欲しいくらいである。理由としては、常にこの事ばかり考えてしまい、他の事に集中出来ないからだ。そして待望のマシンお披露目のお時間となった。紺色のベールを脱ぐとそこには俺がヤングドライバーテストで乗る予定の「スクーデリア・アルファタウリ・AT01ホンダ」が現れた。そしてマシンには、あの時初めて鈴鹿で公式セッションデビューした時と同じ位置に、自分の名前「Hikaru Kushima」と日の丸が貼られており、遂に子供の頃からの夢だったF1ドライバーになれたと改めて実感出来た。でも俺自身実は、F1に乗るのはこれが初めてではなくて、実は2年前にまだアルファタウリがトロ・ロッソの時にマシンをテストドライブした事があるけど、その時よりマシンは格段に進化していた。まずはシートの型どりを行い自分に合った最適なシートを作り、ステアリングのレクチャーをしたのだけど、まぁ操作するボタンが多い。F2は必要最低限の物しか備わってなかったけどF1の場合はレース中にエンジンマッピングを変えたりフュエールミクスチャーを変えたりハイブリッドシステムの出力を変えたりと勝つ為に色々求められるのだけどそれ等を冷静にこなす事もこの世界で求められている。だけど最初に見た際俺が言ったのは「2年前とステアリング変わった?」と言うとメカさんの1人が「あぁ変わったよ。利便性と見やすさ向上を目的にね。昨年からだけど。」と言われて俺は「だからレッドブルのマシンのステアリングと酷似していたのか。」と納得してしまった。そしてレースを戦う上で必要不可欠となるのがドリンクシステムだ。このシステム抜きに俺は2時間戦えない。実はこのシステムは標準装備となっている。まぁ一部ドライバーを除いてだけど。そしてもう1つ必要不可欠なアイテムがある。そうパワステである。これ、あると無いとじゃ随分変わる。でもF1のルール上では油圧式オンリーとなっておりこの背景にはかつて電動パワステを使って人外的挙動(カックンコーナリング)でシーズンを征服したというメーカーがいたからという都市伝説じみた事例があるからとの事。そんな文明の利器を持ってしてもハンドルは重いのだ。それと油圧式の方が整備も楽という観点からだろう。実は俺、日本GPのフリー走行2回目で初めてF1レースウィークデビューをしたのだけどこの際トスト爺さんが俺の走りに終始釘付けになっており来季の起用を決めたとか。でも実はこの背景には俺の途方も無い苦労と努力があったからだろう。そしてシートを作り終えてその次にシートベルトの要望を伝えた。俺は「シートベルトのメーカーをタカタにして欲しい」と頼むと1人が「何でだ?」と尋ねて俺は理由を言った。「体にフィットしやすいから。」それだけの事だよ。と。そう話すとメカさんの1人が「こういう事も大切だからね。」というやり取りをしていた。そしてファクトリーでの一通りの準備を終えて俺達御一行はヤングドライバーテストの舞台でもあるアブダビサーキットへと向かうのだった。




ちなみにこの世界線ではタカタがエアバッグゲートを起こしていない世界線というのを理解してもらえると幸いです。

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