第1話
世界とはもしもの数だけ存在する『平行世界』がある
今その数ある平行世界の内の一つで、ある少年の命が終わりを迎えようとしていた
とある山地
今この山地で青年と少年によるこの世界の未来を決める闘いが繰り広げられていた
地面は抉れ、木々は薙ぎ倒され、山は吹き飛び 激しい闘いだった
そして闘いの終わりは当人の意思とは関係なく、無情にも刻一刻と近づいてきていた
少年は身体中傷だらけで血を流し、肩で息をしていた
少年「はぁ・・・はぁ・・くそぉ・・」
相対する青年も傷を負い血を流しているもののまだまだ余裕があり楽しそうに笑みを浮かべていた
青年「アハッ♪」
少年(俺の仲間も家族も皆んなコイツに殺された・・・こんなふざけたヤツに!)
青年「中々粘るねえ 君もいい加減しつこいなぁ ツナヨシくん」
少年の名は沢田綱吉 巨大マフィア組織 ボンゴレファミリーの10代目ボスである
綱吉「俺はお前を絶対に許さない!白蘭!!」
青年の名は白蘭 ボンゴレファミリーをも上回るマフィア組織ジェッソファミリーのボスであり武力による世界征服を為そうとしている
白蘭「かっこいいセリフだけど、僕に1度でも勝てたことがあるかい? 加減して戦ってる今の僕でさえ君はボロボロじゃないか」
綱吉はグローブの炎を逆噴射して白蘭に攻撃を仕掛ける
綱吉「うおおおお!!」
しかし白蘭は避けようともガードしようともせずただ左手の人差し指を前に出し綱吉が来るのを待った
そして綱吉の渾身の一撃とも言える拳を指一本で受け止めたのだ
綱吉「なっ⁉︎」
白蘭「君の全力はこの程度かい・・・なら決して僕に届かないよ」
白蘭は右手の人差し指を綱吉の左肩にそっと当て
白蘭「 白指 」
ドンっと指から圧縮された炎が撃たれ、綱吉の肩を貫いた
綱吉「がっ⁉︎ああああああああ!!」
激痛が走り肩を抑えるも出血は止まらず、ついに片膝をつく状態にまでなってしまった
綱吉「ぐっ・・・うぅ・・・くっ・・」
しかし彼の目は白蘭を睨みつけ、彼の心にはまだ闘志が宿っていた
白蘭「(ふーん あれだけやられたのにまだ勝つ気でいるなんてね さすがはツナヨシくんだね だけど・・・)そろそろ終わりにしようか」
白蘭は右手に炎を出し、炎の輝きがどんどん増していく
綱吉「(終わりに・・・する・・だと ふざけるな)ぐっ・・ごほっげほっ・・はぁ・・はぁ」
脚はガクガクと震え吐血をする しかし彼は立ち上がる 仲間の仇を討つ為に 倒さなければならない相手を倒す為に
白蘭「そのままじっとしてれば良いのに、態々立ち上がるなんてね いや 立ち上がるからこそ君なんだろうね」
綱吉「うおおおお!!」
炎が全身から溢れ出て彼の思いに呼応するように輝きを増し、大きくなっていく
綱吉「白蘭ーーーっ!!」
綱吉は炎を纏ったまま白蘭に突っ込んでいく
白蘭「ここまで血を流したのは初めてだったからね 結構楽しめたよ ツナヨシくん さようなら」
綱吉「っ!?」
凝縮された炎が放出され、綱吉は回避する間もなく飲み込まれてしまった
綱吉「がっ・・・ああ・・・ぁ(ちくしょう・・・ちくしょう・・・アイツを倒すことが出来なかった・・・皆の仇を討てなかった・・・皆・・ごめ・・ん)」
炎に焼かれ薄れゆく意識の中 綱吉の心は己の無力さと仲間たちに対する申し訳なさでいっぱいだった
炎が消えたあとそこには何も残っておらず、ただ地面が焼け焦げた痕しかなかった
今この世界の運命が決まった
神は悪に微笑み勝利を与えた
善は神に見放され敗北し死んだ・・・いや死ぬはずだった
しかし神は善を見捨てず、善は神の戯れを受け平行世界の枠を超え異世界へと旅立たされた
これはもしもの世界 パラレルワールドのもう1人の沢田綱吉の不思議な妖精の世界の物語