失われた希望と新たなる世界    作:サン&ムーン

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第16話

 空中迷宮に入った綱吉達、入るとあちこちに階段や扉、通路があった

 

 綱吉以外のメンバーはどれを選べばいいのか頭を悩ませていたが、綱吉は落ち着いて辺りを見回していた

 

綱吉(・・・見える範囲での正解はあれかな)

 

ラクサス「さて どれを選ぶか、だが」

 

ガジル「んなもん ゴールの方角に向かって進めばいいだろうが」

 

ジュビア「でも あのカボチャのマスコットが『命を落としても』と言ってましたから ただ迷宮を進めばいい訳ではないような」

 

ミラ「そうね 参加者を振るい落とす罠も仕掛けられてるでしょうね」

 

ガジル「つーか てめえも話しに参加しろよっ」

 

 いつまでも会話に加わらず周りをキョロキョロと見回している綱吉に苛立ったのかガジルが怒って来た

 

綱吉「ごめんごめん でも大丈夫だよ まずはあの階段を行けばいいから」

 

 そう言って綱吉は上り階段を指さす

 

ガジル「なんであれが正解って分かんだよ」

 

綱吉「ん〜 勘って言えばいいのかな」

 

ガジル「勘かよっ⁉︎ 」

 

ラクサス「おい ツナ・・・」

 

ジュビア「ツナさん・・・」

 

ミラ「ふざけてる場合じゃないのよ ツナ」

 

 4人は綱吉に呆れて哀れむような目で見てくる

 

綱吉「ち、違うんだって! 俺の勘は一般の人のそれとは違うんだってっ! ほらっ ミラから俺の過去のこと聞いただろう⁉︎」

 

 綱吉は慌てて自分の代々受け継がれてきた力『超直感』を説明した

 

 

ー回想ーー

 それは綱吉がまだボンゴレ10代目を継承する前のこと

 

綱吉「えっ 『超直感』を強化する?」

 

リボーン「そうだ 『超直感』は対人においては無類の強さを誇るが、人ではないものに対しては発動しない だからものに対しても発動できるよう特訓するぞ」

 

綱吉「特訓ってどうやるんだよ」

 

リボーン「そりゃあ もちろん・・・」

 

 そう言ってリボーンはニヤリと笑った

 

綱吉(ああ・・・また危険なことをやらされる訳ね)

 

 次の日

 

リボーン「さて ツナ特訓中は死ぬ気の炎を使うのは無しだからな」

 

綱吉「はあっ⁉︎ 」

 

リボーン「お前の地力を上げる  超直感も強化出来て一石二鳥だろ」

 

綱吉(何が一石二鳥だ〜 お気楽に言いやがって)

 

リボーン「何か言ったか?」

 

綱吉「いや、何も・・・」

 

リボーン「じゃあ始めるか」

 

綱吉「ああ・・・」

 

 綱吉は諦めて覚悟を決めた

 

リボーン「それじゃあ ツナ この三つの道の内の一つ選んで歩いてこい」

 

綱吉「そんだけ?」

 

リボーン「ああ そんだけだぞ」

 

 綱吉はとりあえず左の道を選び歩こうとした時

 

綱吉(いや待て、歩くだけでいい?そんなはずない 絶対何かある)

 

 綱吉は立ち止まって辺りをキョロキョロと見渡す

 

リボーン「おい 何止まってやがる 特訓になんねぇだろ さっさと行けっ」

 

 リボーンに催促されて綱吉は慌てて歩き出す

 

綱吉「わ、分かったって」

 

 そう言って 第一歩を踏み出した瞬間

 

ズボッ!!

 

綱吉「ん?」

 

 ふと足元を見ると地面がなく代わりに穴があった 深い深い穴が

 

綱吉「ええええええぇぇぇぇぇ・・・・・・・」

 

 綱吉は穴に吸い込まれるように落ちていった

 

リボーン「やれやれ おいっツナ ちゃんと登って来いよ」

 

綱吉「・・・分かってるよ〜」

 

 こうしてリボーンによる超直感の強化特訓が始まった

 

 

 ある時はボタン選びで

 

綱吉「じゃあ これで」

 

リボーン「押してみろ」

 

ポチッ 

 

バリバリバリッ!

 

綱吉「ぎゃあああ⁉︎」

 

 電気ショックを受け

 

 

 またある時はロープ引きで

 

綱吉「良しっ これだ!」

 

リボーン「じゃあ 引いてみろ」

 

グイッ

 

ザザァ〜

 

 綱吉「・・・・・」

 

 天井が開き大量の水が落ちてきた

 

 

 そしてある時、夜に別の場所へ移動させられ

 

リボーン「今度はここだ」

 

綱吉「山?」

 

リボーン「そうだ 今までのは準備運動に過ぎねえ これからやるのが本番だ 山の頂上に旗を刺してある ソイツを持って夜明け前までに此処まで戻って来い」

 

綱吉(今までのが準備運動って・・・)

 

リボーン「言っておくが、死ぬ気の炎は」

 

綱吉「使っちゃダメなんだろ」

 

リボーン「分かってんじゃねーか ならさっさと行って来いっ グズグズしてると朝になっちまうぞ」

 

綱吉「やばっ!」

 

 綱吉は慌てて山の頂上を目指し走り出した

 

 

綱吉「ライトも無しに山に入ることになるなんて  わっ⁉︎」

 

 文句を言いながら走っていると何かに引っ掛かり転びそうになってしまった

 

綱吉「ととっ な、何だ?」

 

 よく見るとロープが張られていた

 

綱吉「ロープ? 何でこんなところに・・・ がぁっ⁉︎」

 

 すると背後から強い衝撃を受け吹き飛ばされてしまう

 

綱吉「うう・・・丸太? くそっ リボーンかっ! とにかく早く行かないとっ」

 

 綱吉が再び走り出そう踏み出した時また何かを踏んだ感覚に襲われ、周囲を警戒する

 

綱吉「ッ⁉︎ 次どこからっ!」

 

 すると上から石や太い枝が降ってきた

 

綱吉「ぐっ! ううっ!(ま、まずい まだスタート近くなのにっ)」

 

 石や枝の雨から出て走ろうとすると

 

綱吉「わっ⁉︎  っ痛〜  落とし穴まで・・・あちこちに罠が仕掛けられてる こんなんじゃ夜明け前までなんてとても・・・」

 

 

 

 そして朝日が昇って少し経った頃 漸く綱吉は旗を持ってやって来た その姿はボロボロで服も破れ、あちこち傷だらけであった

 

綱吉「はぁ・・・はぁ・・・持って・・・はぁ・・はぁ・・・来たぞ」

 

リボーン「随分時間が掛かったな」

 

綱吉「はぁ・・はぁ・・山のあちこちに罠があったからなぁ」

 

リボーン「普通の登山とでも思ったのか? これから毎晩これをやるぞ」

 

 リボーンの言葉に驚きの声を上げてしまう

 

綱吉「毎晩っ⁉︎」

 

リボーン「夜に特訓すれば昼間の勉強に影響は無いだろう」

 

綱吉(いや・・・身体を休める時間がないんですけど・・・)

 

リボーン「それとも、やめるか?」

 

綱吉「・・・いや、やめない 俺が途中で何かを投げ出すことを嫌うようになったのは知ってるだろ?」

 

リボーン「フッ だなっ」

 

綱吉「(そうさせたのはお前なんだけどな)次はもっと早く戻ってくるさ」

 

リボーン「ほお ソイツは楽しみだな」

 

 

 常に命の危険がある特訓を続けることにより綱吉の感覚は半ば強制的に鋭敏となり、ついに『超直感』はものに対しても発動できるよう昇華させることに成功した

 

これ以降、沢田綱吉には全て見抜かれると言われるようになった

 

ー回想終了ーー

 

 それはつまりこの迷宮に対しても有効

 

綱吉「ーという訳なんだよっ 分かった?」

 

ラクサス「まあ、な」

 

ジュビア「戦いの時の先読みとかなら聞いたことありますけど、直感でそこまでやれるものなんでしょうか」

 

 皆未だに疑っているようだった

 

ミラ「でも いつまでも此処にいる訳にもいかないわ ツナを信じて行きましょう」

 

ラクサス「そうだな モタモタしてっと予選落ちしちまう そんなダセェことはねぇ」

 

 こうして綱吉の選んだ上り階段を進むことにした

 

ガジル「ハズレだったら承知しねえからなっ」

 

綱吉「大丈夫だって!俺にはどんな嘘も通用しないんだからっ」

 

ラクサス「カッコつけてねえで、さっさと先頭行け」

 

 そう言って綱吉の頭を小突く

 

綱吉「あいてっ  あい」

 

 一番後ろにいたミラは綱吉の言葉に反応して足を止めてしまう

 

 

ミラ(・・・もし本当に嘘を見抜けるんだとしたら、あの時ツナは気づいていながら聞かなかった?)

 

 ミラは昼間のことを思い出していた 

 

ジュビア「ミラさん どうしました?」

 

ミラ「ッ! 何でもないわっ さっ 行きましょ」

 

 ミラ達も綱吉達の後を追いかけた

 

 

ガジル「それで次はどれだ?」

 

綱吉「まだ真っ直ぐだね んっ?(上から何か来る・・・)皆頭上注意ねっ」

 

 皆が上を向くと上の方にあった扉が開き他のギルドの人達が出て来た

 

 「他のギルドの連中だっ!ぶっ潰しちまえっ!」

 

綱吉(喧嘩っ早いな〜)

 

 他のギルドの人達は攻めて来たが、ラクサスとガジルによって瞬殺された

 

ラクサス「ふんっ」

 

ガジル「へっ」

 

 「こ、こんなに強いとは・・・」

 

 

綱吉「おっ あったあった! 次はこれだよ」

 

 綱吉が指差したのは壁だった・・・ それを見た4人はまた呆れたような目をしていた

 

綱吉「本当だってっ! この辺りの壁だけ違うんだよ! きっと何か仕掛けがあるんだって!」

 

 そう言って綱吉は壁や床を触り始めた

 

綱吉「ちょっと 皆も見てないで手伝っ」

 

カチッ

 

グルンッ

 

4人「「「「ッ⁉︎」」」」」

 

 何と壁が180度回転して綱吉が向こう側へ行ってしまった

 

ジュビア「回転扉でしたか」

 

ガジル「凝りすぎだろ」

 

ラクサス「仕方ねえ 俺らもスイッチを探すぞ」

 

 ラクサス達が壁に近づこうとした時、ミラがサタンソウルになって壁にダッシュした

 

ラクサス「っておい⁉︎」

 

ジュビア「ミラさん まさかっ⁉︎」

 

ミラ「スイッチを探している暇はないわっ」

 

 ミラは右腕を振りかぶった

 

 

 ちなみに向こう側へと行った綱吉は

 

綱吉「くっそ〜 回転扉か 何処にスイッチがあるんだ? 適当に触ったから分かん ッ⁉︎ 」

 

 壁から何かを感じとったのか 離れようとしたが時すでに遅く、壁もろとも吹き飛ばされてしまった

 

綱吉「ぎゃあっ⁉︎」

 

 壁を破壊したミラは綱吉を探した

 

ミラ「ツナ〜 何処っ 何処にいるの!」

 

 そして瓦礫に埋もれている綱吉を見つけ、引っ張り出した

 

ミラ「ツナ〜 良かったぁ 無事だったのね!」

 

3人(((いやいやいやいやいや)))

 

綱吉「お、おう(壁を破壊してくるとは驚いたけどな・・・)

 

 

 一行は足を進めていると、綱吉が再び何かを感じとった

 

綱吉「(・・・壁? いやこの迷宮自体か) 皆っ 右側の壁に身体を寄せて!」

 

ガジル「ああんっ なんでそんなことすんだよっ」

 

綱吉「いいからっ」

 

 そう言ってガジルを壁側にやると、迷宮に大きな駆動音が響き渡る

 すると迷宮が横回転をし始めた

 

ラクサス「おおっと こりゃあ」

 

ジュビア「迷宮が回転している?」

 

 回転が止まるとさっきまで壁だった場所が床になっていた

 

ガジル「面倒なことしやがるぜ 全く」

 

ミラ「ツナ 色々変わっちゃたけど大丈夫?」

 

綱吉「うん 問題ないよ ちゃんと分かるから 次はアレ」

 

 そう言って通路を指差した

 

 その後も綱吉の超直感により、正解の道を見つけていきどんどん進んでいった

 

綱吉「これが最後みたいだね」

 

 指差したの見える範囲の中では一番高く遠い向こう側にある通路だった

ミラ「それも直感?」

 

綱吉「ああ」

 

ガジル「あれが正解なのは分かったが、どうやってあそこまで行くんだよ」

 

 そうこの通路に行くためには道が無く、飛んで行くしか方法はなかった

 

ミラ「私とツナなら飛べるけど・・・」

 

ラクサス「俺も飛べねえことはねぇが どうすんだ?」

 

綱吉「大丈夫 ちゃんと階段はあるから」

 

ガジル「何処にもそんなもんねぇだろうが」

 

綱吉「見えてないだけでちゃんとあるんだって あまりにも透明度が高すぎるんだよ」

 

ラクサス「ソイツも直感か?」

 

綱吉「ああ 俺の直感は全て見抜く その人が嘘をついているか この道は安全か ここに何か隠してあるかどうか そういうのが分かるんだよ」

 

ジュビア「便利ですね ツナさんの直感って」

 

ミラ「・・・・・」

 

 ミラは綱吉の言葉を聞いて表情を曇らせていた

 

 

綱吉「それじゃ 行こっか この階段細いから俺の後ろにちゃんとついて来てね でないと落ちるから」

 

ガジル「さらっと怖いこと言ってんじゃねぇよっ」

 

 綱吉を先頭に一例で進んで行く一行

 

ジュビア「な、なんだか足元が見えないのに歩いてるって怖いですね」

 

ガジル「へっ 大したことねぇよ んなもん」

 

 

 階段を上り切り通路を歩いていると、ゴールが見えて先ほど見たカボチャのマスコットがいた

 

「おめでとうございます♪  2位ですので、予選通過です♪」

 

ガジル「くそっ 2位かよっ」

 

ジュビア「スタートするのがちょっと遅かったですからね」

 

綱吉「皆が最初から俺の直感を信じてれば1位だったのに・・・」

 

ラクサス「2位でも充分だろっ ぐちぐち言うな 行くぞ」

 

 ラクサスは綱吉の頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でて先に行った ラクサスに続いて歩こうとした時

 

綱吉「ラクサスめ〜  ん?」

 

 ラクサスのことを追いかけようとした時、ふと左腕が引っ張られる感じになったので振り返るとミラが綱吉の左腕の袖口付近を掴んでいた

 

綱吉「ミラ?」

 

ミラ「あっ えっとその」

 

 ミラはあわてふためいてしまい  ラクサスは2人を見ると

 

ラクサス「・・・先に行ってるぞ」

 

 ラクサスはジュビアとガジルを連れて先に行った

 

綱吉「ああ 分かった  ミラ どうしたんだ?」

 

ミラ「ツナ・・・あのね わ、私・・・」

 

 ミラは不安そうな顔をしながら何かを言おうとしていた 綱吉はミラが何を言おうとしているのか分かり 優しく微笑みながら ただ一言

 

綱吉「大丈夫だよ ミラ」

 

ミラ「えっ」

 

 綱吉は何も聞くつもりはなかった 彼女を悲しませてまで秘密を知るよりも 秘密を知らぬまま今の幸せを守りたいと思ったからだ

 

綱吉「さっ ラクサス達を待たせてるっ 早く行かないと」

 

 綱吉はミラの手を取り本戦会場に向かった

 

 ミラは綱吉の優しさが伝わって胸を痛め、小さな声で謝った

 

ミラ「・・・ツナ ごめんね」

 

 

 こうして少し遅れて綱吉とミラもラクサス達と合流した

 

 『妖精の尻尾』Bチーム 無事本戦出場を決めたのだった

 

 

 


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