失われた希望と新たなる世界    作:サン&ムーン

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第40話

奈落宮

 

 奈落宮へ落とされたナツ達は出口はないかと探して、岩壁の裂け目に通路があることを見つける 

 

ルーシィ「狭い〜」

 

ナツ「だけどここを抜けりゃあ」

 

 狭い通路を何とか通り抜け広場に出ると、そこにはアルカディオスがおり、更にナツ達を待ち伏せしていた部隊と遭遇する

 

アルカディオス「影から王国を支える・・独立部隊・・王国最強の処刑人 餓狼騎士団・・・」

 

 

カマ「餓狼騎士団 一五◯◯ 任務開始」

 

ナツ「処刑人だァ? 出口が向こうからやって来たぞ!」

 

ミラ「そうね 出口を教えてもらうのに丁度良いわ」

 

 ナツの言葉を合図にミラ、ウェンディ、リリーも前に出る

 

カマ「餓狼騎士団に臆さぬとは・・・無知なる罪人め」

 

 ここでナツ達と餓狼騎士団の戦闘が始まる そして

 

カミカ「紙吹雪 紫の舞‼︎」

 

 カミカの放った紫色の紙吹雪がナツ達の身体に貼り付き、身体の動きを封じた

 

ナツ「何だ!?」

 

ミラ「動けない!」

 

 身動きのとれないナツの上空へコスモスが召喚魔法で巨大な食虫植物を出す

 

ナツ「でかーっ!!」

 

リリー「すっ吸い込まれる⁉︎」

 

ハッピー「うわぁあああ」

 

 ナツ達は岩にしがみつき何とか耐える その間にウェンディが身体の拘束を解除した

 

ウェンディ「身体の不自由解除! 状態異常回復魔法 レーゼ‼︎」

 

ナツ「よっしゃ!」

 

ルーシィ「だけどアレ どうすんの!?」

 

ナツ「ぶっ壊す!!」

 

ミラ「OK!」

 

リリー「任せろ!」

 

ナツ「オオオオオオ!」

 

 食虫植物を破壊することに成功したが、爆発の影響で皆バラバラに飛ばされ、分断されてしまったのだった

 

カマ「どうやら先程の衝撃で方々へと散ってしまったようだな だが誰一人として生かして帰さん」

 

 

 

 

クロッカス

 

 シェリアを倒して休む間もなく、バッカスと対峙した綱吉 両者打撃のぶつかり合いで数メートル後退する

 

チャパティ『バッカスが来たーッ! ツナヨシ 休む間もなく連戦になってしまうが大丈夫か!?」

 

バッカス「待ってたぜぇ この時をよお」

 

綱吉「俺は別に待ってませんけど(エルフマンの時のように油断や慢心は消えてるだろうな その方がやり易かったんだが)・・・ふぅ」

 

 綱吉はこの戦いが激戦になることを予感し、小さく溜め息をついた

 

 

 

『妖精の尻尾』応援席

 

ジュビア「ツナさんの次の相手はバッカスさんですか」

 

マカオ「ここで勝ちゃあ一気に5ptだぜ!」

 

メイビス「いえ そう簡単にいかないでしょう」

 

リサーナ「でも あのツナが苦戦するとは思えないけど・・・」

 

ワカバ「エルフマンが二撃で倒した奴だぜ!」

 

 メイビスの言葉に皆疑問に思う

 

メイビス「エルフマンには悪いですが、あの時バッカスは過信、油断があったため実力の半分程度しか出せていませんでした 本来のバッカスの実力はあんなものではないでしょう この勝負どちらが勝ってもただではすまないでしょう・・・」

 

皆「「「・・・」」」

 

 メイビスの言葉に不安を覚える皆だった

 

マカロフ「ロメオ この戦いしかと良く見ておけ」

 

ロメオ「えっ」

 

マカロフ「シェリアの時のように最後の時に本気を出すんではない バッカスもS級魔道士 ツナも始めから本気で行くじゃろ お前がツナに憧れておるのは知っとる ならばしかとその目に焼き付けておけ 自分の憧れる漢の戦いをな」

 

ロメオ「・・・」

 

 マカロフの言葉を聞いてロメオは真剣な顔付きて画面に映るツナを見た

 

 

 

クロッカス

 

綱吉「戦う前に 一つ謝っていただきたいです!」

 

バッカス「あぁ?」

 

綱吉「エルフマンと戦う時、貴方は勝ったらミラとリサーナを一晩貸せと言った!そんな破廉恥なこと許さないし 何よりミラは俺の〝恋人〟だ!そしてリサーナは家族も同然! そんなこと俺が絶対させない!!」

 

 ビシッと指差して文句を言う綱吉 それを聞いていた会場の観客や魔道士は一瞬の静寂の後、悲鳴が広がる

 

チャパティ『なっななななんと! ミラジェーンとツナヨシが恋人関係にあることが宣言されました!! 会場はあまりのことに阿鼻叫喚です!』

 

ヤジマ『悲鳴を上げてるのは男性陣だけどね』

 

 

『妖精の尻尾』応援席

 

カナ「あの馬鹿・・・何もこんなところで言わなくても」

 

リサーナ「ミラ姉がこの場に居なくて良かったって思ってる・・・」

 

エルフマン「うぉおおおお!! 良く言ったぁツナァアア! それでこそ姉ちゃんの漢だぁああ!!」

 

ジュビア「ツナさん あそこまではっきり言えるなんて素敵です!」

 

 

 

クロッカス

 

バッカス「何だよお前っ あの綺麗な姉ちゃんの男なのか!?」

 

綱吉「・・・そうですけど それより謝罪を」

 

バッカス「ああ 悪かったよ」

 

綱吉「もっと誠意を込めて」

 

 バッカスにもっと気持ちを込めての謝罪を求めるも、バッカスは面倒くさそうに頭を掻き

 

バッカス「そうしてもらいてぇなら 俺を負かして見るんだな」

 

綱吉「・・・分かりました 是非そうさせてもらいます(ボコボコにしてやる)」

 

 バッカスは腰に下げてた酒を飲み干し、瓢箪を投げ捨てる

 

バッカス「うぃ〜 さあ 行くぜ〜」

 

綱吉「・・・」

 

 バッカスは構えを取り、綱吉も両手に魔力を集中させる そして

 

綱吉「フレア…」

 

バッカス「遅ぇえ!!」

 

綱吉「!(速っ)」

 

 綱吉が炎魔法をしようとした時、バッカスは一瞬で綱吉の懐に入り魔法の発動を封じ、右肩に強烈な一撃を叩き込んだ

 

 ボゴッ!!

 

綱吉「ッ!」

 

 攻撃を喰らった綱吉は右腕がだらりと下がってしまう その強烈な一撃は肩関節を外し脱臼させたのだ

 

 バッカスは更に第二撃目を叩き込もうとするが、綱吉はバッカスの左の掌底をしゃがみ込みながら前進で躱し、懐に入り込み左手で左腕を掴み、立ち上がりと同時に左手で引っ張るようにして地面に叩きつけた

 

綱吉(舐めるな!!)

 

バッカス「うぉあ!?」

 

 綱吉のやったこれは変形型の柔道の投げ技 肩車である

 

 バッカスを地面に叩きつけた綱吉は追撃せず数歩下がって、左手で右肩付近を掴み外された関節をはめ直した

 

 ゴキンッ!

 

綱吉「〜ッ!(あぁあああ やっぱり痛い!!)」

 

 無理矢理はめ直したことで苦痛で顔を歪ませる綱吉

 

 

綱吉「痛ッ!(痛みはある…が戦闘に支障は無い くそっ やってくれる!)」

 

 綱吉は右腕を動かしたり右手を開いたり閉じたりしてバッカスを睨んでいた

 

 倒れていたバッカスゆっくりと起き上がり、不敵に笑っていた

 

バッカス「へへへ いいねぇ」

 

綱吉(魔法を使いたいところだが、あまりの速さに魔法の発動が追いつかないな 格闘でやるしかないか)

 

 綱吉はボクシングの構えを取り、一気に近づく 両者は互いに拳と掌の打ち合いとなる

 

バッカス「ハァアア!」

 

綱吉「オオオオオ!」

 

 手数では綱吉が勝っている しかし一発一発の重みではバッカスが勝る

 

バッカス「ハァアッ!」

 

 バッカスの攻撃が綱吉の右頬に当たる この時バッカスはある違和感を感じた

 

バッカス「?(何だ コイツまさか・・・)」

 

 綱吉は打ち合いの中間合いを詰める

 

バッカス「何だ また組みつこうってか! 無駄・・ッ!」

 

 組みつこうとした綱吉は寸前でアッパーに切り替えて顎を打つ 更に追撃で左フックで右頬を打つ だがここで綱吉もバッカスに違和感を感じる

 

綱吉(これは・・・)

 

 両者は互いに右頬を打ち、その違和感は正体に気づく

 

バッカス「ぬぅ・・・」

 

綱吉「ぐっ・・・」

 

 2人は後退し、口元から血を流す

 

綱吉「・・・べっ」

 

 綱吉は口の中の血を吐き出し、バッカスは手の甲で口元の血を拭う

 

綱吉・バッカス((間違いない アレは 化頸(流水)だ))

 

 化頸(かけい) それは中国拳法の一つで相手の攻撃を緩和させる ないし接触時に接触面を逸らすことで相手の攻撃の軌道を変化させ、敵の技を無効化させる技である

 

 綱吉は風から中国拳法を教わったので使えるが、バッカスはこれを独自で編み出し〝流水〟と名付けた

 

バッカス(さっきの投げ技と良い まぁアイツなら使えてもおかしくねぇか)

 

綱吉(化頸が使われると打撃でのダメージは期待出来ないな となると打撃以外でやるしかない、か あるいは化頸でも緩和出来ないほどの打をするか、か 全くなんで大〝魔闘〟演舞で格闘戦をしなきゃいけないだよっ)

 

 綱吉は心の中で悪態をつきながら策を練った

 

綱吉(ふっ しかし久しぶりだな 縛りのある戦いは リボーンの特訓で色んな格闘家と戦った時以来か… でもこの感じ、悪くないないんだよな)

 

バッカス(コイツ 笑ってやがる まぁ俺もだがな)

 

 綱吉とバッカスは不敵に笑った

 綱吉は本来戦いを楽しむという事はしない だが格闘家としての綱吉なら少なからずその感情を持っている 格闘技を血の滲むような特訓の末習得し、成長している自分を感じ、強敵と戦いそして勝つ喜びを知った

 

 今前に見えるバッカスもまた自分と同じ魔道士であり、格闘家でもある だからこそ勝ちたいと思ったのだ

 

 

綱吉(さて 魔法を使わない俺の戦い方を見せてやる)

 

 綱吉はボクシングの構えを取り、バッカスの構える

 

バッカス(来るか・・・)

 

 両者は先程のように打のぶつけ合いとなる、壮絶な打ち合いに思われるがバッカスがある違和感を覚える

 

バッカス(コイツ、何で右で当てにこねぇ…?)

 

 遠目からは打ち合っているように見えるが、相手であるバッカスもギリギリ気づくレベルで綱吉は右拳を当てずに空振りさせていた 

 

 そして 左脚を踏み出し、右腕を振りかぶる

 

バッカス「!」

 

綱吉「『神の拳』!!」

 

バッカス「うおっ!?」

 

 綱吉はバッカスの顔面目掛けて必殺の『神の拳』を放つが、バッカスは額の左側を掠らせながらも躱し、額から血が流れる バッカスの後方にあった建物は拳圧によって倒壊する

 

バッカス「っぶね〜(コイツ打ち合いながら溜めやがるとは)チャージしてる最中は動けねぇと思ってたんだがな」

 

綱吉「別に動けないと言った覚えはありません」

 

バッカス「そりゃそうだ(強かなやろうだぜ 全く)」

 

 

『妖精の尻尾』応援席

 

レビィ「あぁ ツナの必殺技が躱されちゃった」

 

カナ「それに動きが早いから造形魔法も使えないし」

 

 綱吉の必殺技が躱されたことで皆が心配するが

 

ロメオ「大丈夫だ 皆! ツナ兄なら勝てる!」

 

 ロメオが皆の不安を吹き飛ばすように声を上げる

 

メイビス「ロメオの言う通りです ツナのあの技は躱されることを見越して打ちました アレは勝つ為の布石です」

 

リサーナ「勝つ為の布石?」

 

メイビス「ええ もうすでにツナの頭の中では戦略が練られていることでしょう」

 

 

クロッカス

 

バッカス(ちっ これで常に奴の右…いや両手を注視してなきゃいけねえ)やりにくいぜ」

 

綱吉「それはこっちの台詞 ですっ」

 

 バッカスは右の掌底を顔面に叩き込もうとするが、綱吉は紙一重で躱し、バッカスの右腕を左手で上着を右手で掴み、背負い投げをした

 

バッカス「がっ!!」

 

 更にそのままバッカスの右腕を掴み、腕ひしぎ十字固めをした

 

バッカス「ぐううっ!!」

 

 

チャパティ『ツナヨシ 今度はバッカスの右腕を捕り これは極めているのか!? バッカス苦しそうだ!!」

 

 普通腕ひしぎを極められた場合外すのはほぼ不可能である 無理矢理外そうとすれば靭帯を切る、最悪骨を折る可能性がある しかし

 

綱吉(嘘だろっ この人・・力づくで外しにかかってる・・・!?)

 

 無理矢理外そうとするバッカスに綱吉も外されまいと両腕に力を込めるが、徐々にバッカスの右腕が上がっていく

 

バッカス「おぉおおおおおおお らぁあっ!!」

 

綱吉「!?」

 

 バッカスは遂に綱吉の両腕から右腕を脱出させ、高々と上げた右手を今度は綱吉の腹部目掛けて裏拳するように振り下ろす

 

バッカス「はあっ!!」

 

綱吉「!」

 

 綱吉はすんでのところで横に転がって回避する、多少離れた綱吉を見てバッカスは右腕をぐるぐると回す これを見るに靭帯や骨は痛めていないようだ

 

 

チャパティ『技は外されてしまいましたが、なんという多才な技の持ち主でしょう! 打、極、締、投、四種四用の複合の攻めをするツナヨシ! それに対して打撃一筋で迎え打つバッカス! これほどの戦いを誰が予想出来たでしょうっ!!』

 

 

 

バッカス「あぁ〜痛ってぇ しっかしお前色んな技出して来んな 戦ってて面白いぜ」

 

綱吉(外しに来るのは予想してたが、力づくとは・・・ しかもアレを見るに痛みはあるが靭帯や骨はヤッてないな シェリアと違って腕をへし折るつもりだったのに エルザと互角だったっていうは伊達じゃないな 半端に技を掛けても外されてしまう 虚をつくしかないな)

 

 僅かな間に両者は呼吸を整え、再び動く 先に動いたのはバッカスだった

 

 バッカスは怒涛の連打を浴びせ、綱吉は両腕でガードに徹する

 

バッカス「オラオラっ!どうしたツナヨシィ! 甲羅に篭った亀みてぇにガード決め込んでねぇでかかってこいやっ!」

 

綱吉「・・・」

 

バッカス「そぉらっ!!」

 

 バッカスは右腕を振りかぶり綱吉の顔面目掛けて掌底を繰り出す が

 

バッカス「!?」

 

綱吉(ここだッ!)

 

 綱吉は掌底を前へ滑り込むように躱し、両手で右腕を掴み、両脚で首を絞める 三角絞めをやった

 

チャパティ『おおっとぉ! ツナヨシ今度はシェリアたんの時とは違う絞め技だぁ! いや、その前にバッカスの攻撃がツナヨシをすり抜けたように見えたのですが・・・目の錯覚でしょうか⁉︎』

 

 チャパティの言うすり抜けたように見えたというものそれは綱吉が中国拳法のある技からヒントへて簡易的編み出した技である 全身を炎で覆い陽炎を起こさせ相手に誤認させ、攻撃をずらさせる 或いは拳、蹴、手刀などの攻撃に使用し相手の躱すタイミング、防御を抜くというものである 綱吉はこの技を『ゴースト』と名づけた

 

 

バッカス(〜ッ! どうなってやがるっ!? 確かなタイミングだったはず っ・・・あの炎か!? アレで僅かに狙いがズレたのか⁉︎)

 

 バッカスが綱吉の技に掛かりパニックになっている時、実は綱吉にも驚きがあった

 

綱吉(まさかっ 完全に虚を付いたはずなのにっ! なんて反射神経!?)

 

 そう技は完全に決まっていなかった 両脚で首を絞める直前、バッカスは左手を首の横に持っていき右脚が掛かるのを防いだ

 

バッカス「ぐっ…こんなもん…」

 

綱吉「させ…るかっ!」

 

 左手で強引に外しにいくバッカス 左手もろとも首を絞めようとする綱吉

 

チャパティ『こっこれは! 動きは少ないがなんとも激しい力の応酬でしょう! 攻める綱吉! 守るバッカス! 果たしてこの攻防を制すのはどちらなのか!?』

 

バッカス「ぬっ…おぉおおおおお」

 

 バッカスは吠えながら左腕でこじ開けていく

 

綱吉(チッ このままじゃ外される! ならば!)

 

バッカス「!?」

 

 綱吉は技を解き、即座にバッカスの背後に回り、両腕でバッカスの首を絞める『裸締め』、メジャーないい方をすれば『スリーパーホールド』をやり更に両脚でバッカスの両腕の肘付近を抑えつけ、完全に上半身をとった形である

 

 『裸締め』『スリーパーホールド』は気管や喉仏を圧迫されれば苦しむことになるが、綺麗に頸動脈を絞めることが出来れば数秒から十数秒で失神、いわゆる〝落ちる〟状態になる  しかし

 

 

バッカス(コイツ…どんだけ技を持ってやがんだッ! おまけに両腕までロックしやがって! だが…)あめえっ!!」

 

 バッカスは後ろへ飛び綱吉を建物の壁に叩きつけた

 

綱吉「がはっ!」

 

バッカス(チッ まだ離さねぇか)

 

綱吉「ぐっ・・がっ・・うぐ・・・」

 

 何度も壁に叩きつけられる綱吉だが、何とか絞めている だが何度目か 遂に綱吉の手が緩んでしまう それをバッカスは見逃さなかった

 

 バッカスは両手で綱吉の両腕を掴み、絞め技を外して、掴んだまま背負い投げのように地面に叩きつけた 更に追い討ちをかけるように綱吉の顔面目掛けて脚で踏みつけようとしてくるが、すんでのところで綱吉は躱す

 

 壁に何度も叩きつけられたせいか背中、後頭部から出血をしていた

 

綱吉「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・」

 

バッカス「ゼェ・・・ゼェ・・・ゼェ・・」

 

 両者息を整えて次の攻防に備える

 

 

チャパティ『何という攻防だぁ!! これほどの格闘戦見たことがありません!!」

 

 次々と色んな技を出してくる綱吉にあくまで打だけで攻めるバッカス まさに柔と剛の戦い そんな戦いに観客も大盛り上がりであった

 

 

『妖精の尻尾』応援席

 

ロメオ「す…すげぇ」

 

リサーナ「これが格闘戦トップクラスの戦い…」

 

マカロフ「ロメオ これがお前の憧れる漢の本気の戦いじゃ」

 

ロメオ「すげぇ! すげぇよツナ兄! こんな戦い初めて見た!」

 

メイビス(しかしあの背中の出血…出血量から見て長期戦になればツナの負けは必至 この戦い 決着までそうかからないでしょう)

 

 

『蛇姫の鱗』応援席

 

シェリー「すごい・・・」

 

ユウカ「アイツがすげぇのはジュラさんとの戦いで分かってたが、魔法だけでなく格闘もここまでやるとは」

 

トビー「凄過ぎだろっアイツ!」

 

ユウカ「キレんなよ」

 

シェリア「・・・(いつか私だって ツナとあんな戦いをして、勝ってみせる)」

 

 

 

クロッカス

 

バッカス「いやぁ 効いた効いた 今の決めに来たよな? 今のが奥の手かい?」

 

綱吉「・・・さあ どうでしょうね?」

 

バッカス「(答えねぇ 当然か)なら俺もそろそろ技を見せようかね」

 

 バッカスは左半身を前にして左手の掌で狙いを定め、右手を後方に水平を保つ あとは綱吉に打ち込みに行くタイミングを待つだけ

 

 僅かな静寂 そしてバッカスが動いた 

 

綱吉「⁉︎」

 

 綱吉にはバッカスが一瞬で間合いを詰められたと思った もちろんバッカスの脚力も凄い だがこれにはもう一つカラクリがあった それは〝瞬き〟相手が目を瞑る 瞬き その瞬間に一気に間合いを詰める 相手はまるで瞬間的に移動したと錯覚する

 

綱吉(くっ…ガードを)

 

 綱吉は両腕で一番狙ってくるであろうボディをガードする しかし左の下から突き上げる掌底でガードを上げる そしてガラ空きとなったボディへ

 

バッカス「劈掛掌 奥義!!  羅刹旋!!!」

 

綱吉「!!」

 

 バッカスの一撃を食らった綱吉はそのまま後方の建物まで吹き飛び激突して、倒壊した建物の下敷きになった

 

バッカス(・・あのガキ)

 

 バッカスは建物の下敷きになっている綱吉を見ながら、今打ち込んだ奥義の違和感を考えていた

 

 バッカスの奥義それは、腕の捻りにある 水平にした時に腕を限界ギリギリまで捻り、打ち込む時の接触時にその捻りを解放する すると衝撃は通常より回転も加わり威力は上がり、内部を突き抜けていく

 

 しかし綱吉はガードを上げられた瞬間、魔力で体表ではなく骨と臓器を魔力を覆い、更に化頸によって威力を緩和させた

 

 

 瓦礫を退けて出て来る綱吉 しかし口元には血を吐いた後が残っていた

 

綱吉「(ああ ホントに嫌になる こっちはあれこれ策を弄してやんなきゃいけないのに、体格に恵まれたパワータイプはその一撃で戦局をひっくり返せるんだから)・・・奥義なだけあって結構ダメージもらいましたよ」

 

バッカス「嘘つけ ピンピンしてやがるくせに」

 

綱吉「これは痩せ我慢ですよ コフッ」

 

 綱吉は服の袖口で口元の血を拭き取る

 

バッカス(しかし痩せ我慢にしても倒れないのは驚きだ アレでやれないとなると・・・もうアレを使うしかねぇ)

 

 バッカスは右手の五本指を立てて胸の中央辺りに持っていく

 

 

『四つ首の仔犬』応援席

 

ゴールドマイン「アイツ! アレは対ジュラ用にとっておけと言ったのに!」

 

 マスターであるゴールドマインはバッカスがこれからすることを理解して焦っていた

 

 

クロッカス

 

バッカス(悪りぃなマスター 優勝は諦めてくれや)全くお前は最高だぜツナヨシ! まさかお前にコイツを使うことになるとはなぁ 行くぜ 『狂戦』」

 

 バッカスが五本指で胸を叩くとバッカスの纏っている雰囲気が変わった 顔つきが変わり、目に隈取が出来、より筋肉質になった 

 

 〝酔いの鷹〟は〝暴の鷹〟へと変貌を遂げる

 

綱吉(これは、憑神…)

 

 

 綱吉の言う『憑神』 それはある武術におけるリミッター外しである 意識的に心拍数を高めることで血流を加速させ、発生した熱量を運動能力に変換しパワーとスピードを上げる技である また『憑神』以外にも中国にいる一族では『鬼魂』(ぐいふん)、日本でもある一族で『外し』と呼ばれている 綱吉は様々な武術の本を読み、その歴史を知り、それらの名前を知ったのだった

 

 またこれらはスポーツ界では『ゾーン』と呼ばれている 極限まで高められた集中している時脳のリミッターが外され、100%力を発揮できると言われている

 

 バッカスはこれを自己流でやって退けたのだ

 

 

 

綱吉(化頸だけでなく、憑神までとは…)

 

バッカス「誇っていいぜ コイツはエルザにもまだ見せたことがねぇからよ」

 

綱吉「それは、嬉しいですね」

 

バッカス「行くぜ」

 

 バッカスが綱吉に突っ込み、綱吉も迎え打つ構えをとるが

 

ドクンッ

 

綱吉(うっ!?)

 

 突如綱吉の胸が苦しくなる そのせいで初動が遅れ、〝拳〟を左頬に喰らってしまう 続けて二撃目をやろうとしたが、綱吉は『ゴースト』で躱し懐に入りこみ、バッカスの腹部に両手を合わせ

 

綱吉(少し止まってろ! 死ぬ気の零地点突破・ファーストエディション!!)

 

バッカス「!?」

 

 バッカスは数瞬で氷に閉じ込められ、綱吉は後方へ跳び片膝をついて呼吸を整える

 

綱吉「ゼェ…ヒュー…ゼェ…ヒュー…(もう少し もう少し頑張ってくれ 俺の身体  ここで倒れたらせっかくの仕掛けが無駄になる)

 

 

ピシッ…ピシッ…バキャアアン!!

 

 バッカスは氷を砕き、出て来た

 

バッカス「休憩は終わりだぜ ツナヨシ  そろそろ終わりにしようや」

 

綱吉「ですね」

 

 両者は互いに突っ込む 

 

  先手は綱吉のボディブロー

 

バッカス「ぐっ」

 

綱吉「!」

 

 腹に重い一撃を喰らい苦悶の表情を浮かべるが、バッカスは大きく右腕を上げて、綱吉の頭目掛け振り下ろした 

 

 その一撃は綱吉の頭を地面にめり込ませ、陥没させた バッカスは倒れ込んでる綱吉の頭を鷲掴みにして持ち上げる

 

綱吉「がっ…」

 

 バッカスはそのまま綱吉の顔面を建物の壁に叩きつけ、そして壁に押し付けながら疾走する

 

 ガリガリガリガリガリッ!

 

バッカス「オラァッ!」

 

 バッカスは前に見える建物に綱吉を思いっきり投げ飛ばし、激突させた 倒れる綱吉だが立ち上がり、右顔面と額から血を流しながらも顔だけ後ろを向き、バッカスを鋭い眼光で睨みつける

 

バッカス「ッ・・・」

 

綱吉「ハァ…ハァ…」

 

 綱吉の眼光に一瞬萎縮したバッカスだったが、切り替えてトドメの一撃を打ちにいく

 

バッカス(これで…終わりだァッ!!!)

 

綱吉「ッ!!」

 

 

 ドパァァン!!

 

 

 

 

バッカス「かっ・・・はっ・・・」

 

 決まり手はバッカス渾身の一撃・・・ではなくこの戦いでまだ一度も使っていなかったムエタイの〝蹴り〟 脚の筋力は腕力の倍以上 必殺の『神の拳』や極め技、絞め技で注意を引きつけ、超至近距離から右脚の蹴りを打ち込んだ 

 

 勝敗を分けたのは戦術の差だった

 

 

 ふらふらとするバッカスに綱吉はトドメの左脚の蹴りを打ち込み、バッカスは倒れた

 

 

 

 倒れたバッカスを見ながら綱吉は先程見せたバッカスの『狂戦』に気が付いていた それはバッカスはまだこの技を使いこなせていないと言うことに この技はパワーやスピードが上がる分、精細さが如何しても低下してしまう だから『憑神』や『外し』を使う者たちも長い時間をかけて技も扱えるよう特訓する

 

 バッカスの最初の一撃で綱吉は気づいた 掌ではなく拳で打ってきたことに 精細な動きが使えないなら付け入る隙は充分ある

 

 

 綱吉も書物から『憑神』や『鬼魂』などのリミッター外しのことを知り、自分も会得したいと リボーンや風に相談したが、身体の出来上がっていない今のお前がやれば間違いないなく身体を破壊し、最悪死ぬ恐れがあるとこっ酷く説教された

 

 

 

 地に倒れたバッカスはそのまま動かず、勝敗がついた

 

チャパティ『決まったァアアッ! 武道対決 激闘を制したのはツナヨシィィィ!!』

 

 チャパティのアナウンスで会場は大いに盛り上がる

 

 

 綱吉は倒れたバッカスへ近づいていき

 

バッカス「負けたぜ まさか『狂戦』まで使って負けちまうとはな」

 

綱吉「いえ 貴方も凄く強かった」

 

バッカス「へっ 勝ち逃げなんてゆるさねぇ また挑んでやるからな」

 

綱吉「望むところです」

 

 綱吉はバッカスへ手を出すと、バッカスは驚くがバッカスも綱吉の手をとる

 

 

チャパティ『おお これは互いの健闘を讃えて握手しています!! 戦いが終われば敵も味方もない! これが友情というモノか! 私感動して涙が出てきましたッ!』

 

 

バッカス(コイツが友情ってモンなのかねぇ)

 

 バッカスが干渉に浸っている中 綱吉は握手していないもう片方の手で大きく上げる

 

バッカス「ん?」

 

 ゴンッ!!

 

綱吉「ミラとリサーナにやろうとした件はコレでチャラにしてあげますよ」

 

バッカス「んがッ トドメ…刺す、の…か、よ…」

 

綱吉「ちゃんと反省して下さいよ」

 

 バッカスは頭に大きなたんこぶを作り、今度こそ失神した 綱吉はそんなバッカスを尻目に手を振りながら去っていく

 

 

 

皆んな((((ええぇぇ〜〜))))

 

 

『妖精の尻尾』応援席

 

レビィ「ツナ…せっかくかっこよかったのに」

 

フリード「最後のは余計だったな」

 

リサーナ「でっでも 何はともあれ勝てたんだしっ 良かったじゃない!」

 

カナ「そうそう バッカスはリーダーだったから5ptも入ったし」

 

 綱吉のトドメの拳骨に皆引いていたが、リサーナやカナがフォローを入れていた

 

 

エルフマン「あの勝負はまさに漢と漢の真剣勝負 それに勝ったツナこそ真の漢だァアアッ!!」

 

ロメオ(魔法に格闘技まで ツナ兄かっけえぇ 強え)

 

 ロメオが画面に映る綱吉に強い眼差しで見ていたのに気づいたカナは

 

カナ「ロメオ アンタそんなにツナに憧れてんなら弟子入りしてみたら?」

 

ロメオ「えっ でも いいのかな?ツナ兄の迷惑になるんじゃ」

 

リサーナ「大丈夫 ツナは迷惑だなんて思わないよ」

 

カナ「ただし覚悟しときなよ〜 ツナは厳しいからね」

 

ロメオ「ああ!」

 

エルフマン「うむ!それでこそ漢になるべき男だ!」

 

マカオ「いや 訳わかんねぇよ」

 

ロメオ(ツナ兄に修行をつけてもらえる そしたら俺もツナ兄みたいに)

 

 皆が綱吉の勝利に盛り上がっている中、メイビスは綱吉を心配そうに見ていた

 

メイビス(バッカスの実力がここまでとは想定外でした そしてそれはツナも同じはず 想定していたより魔力、体力を使い 傷を負ってしまった 病のことも考えると全力で戦えてあと1人…しかしツナの進む先で当たる人物は…)

 

 

 

『蛇姫の鱗』応援席

 

シェリア「オババ…私 強くなるね」

 

オーバ「当たり前だよ まったく」

 

シェリア「今はまだ無理だけど 必ずツナに…ううんううん ジュラさんも超える凄い魔道士になって見せる!」

 

シェリー「シェリア」

 

オーバ「ほぉ 大きく出たね 楽しみが一つ増えたよ だけどなれんのかい?」

 

シェリア「なるんだよ オババ」

 

オーバ「フッ いい答えだ」

 

 

クロッカス

 

綱吉「(バッカスさん めちゃくちゃ強かったな)痛ッ!・・・ミラにこんなボロボロな姿見られなくてよかったな うっ・・・ゴフッ」

 

 

 

綱吉VSバッカス 勝者 綱吉

 

『四つ首の仔犬』バッカス 戦闘不能 『妖精の尻尾』+1 56pt

 

 

ー途中経過ー

 

一位 『妖精の尻尾』56pt 残り・・・5名

 

二位 『剣咬の虎』50t 残り・・・4名

 

三位 『人魚の踵』42pt 残り・・・2名

 

四位 『蛇姫の鱗』39pt 残り・・・2名

 

 ✖︎ 『四つ首の仔犬』   敗退

 

 ✖︎ 『青い天馬』     敗退

 


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