クロスアンジュ 天使と竜の輪舞〜希望を継ぐ転生者達〜   作:終焉を司る者 ZERO

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第0話10年後への希望

平和は突如として崩れ去る。それは、運命か神の気紛れか分からない。

その日は仲のいい4人の親友といつもの様に趣味のガンダム談義に花を咲かせていた。話に夢中になっていたせいか気づかなかったが大型トラックがこちらに突っ込んできた。気づいた時には遅かった。

「ここは?」

「目が覚めたみたいだな。」

いつの間にか目の前に男が立っていた。

「にしても君は不幸なのか幸運なのか分からないな。」

なんか一人でぶつぶつ喋ってた。

辺りを見渡すと一面真っ黒で何も無い。一体此処は何処なんだ?

「現世とあの世の真ん中辺りだ。次いで言うと君は死んでしまった。」

何を言っているのか分からなかったがトラックが突っ込んできた事を思い出した。

「まさか、死んだのか俺。」

そう呟くと男は笑みを浮かべる。

「凄いね君は。普通、自分が死んだと分かった途端に暴れたりおかしくなるんだけどね。」

「君ならあそこに行っても平気か。いや、もっと面白くしてくれるかもしれない。」

また何か言ってる。

正直、死んだとしてもそれが運命なら従うだけと考えていたら男から衝撃的な言葉が出てきた。

「決めた。君には異世界転生してもらおう。」

言葉が出なかった。だが俺の好奇心が語ってきた。何か物凄く面白くなると。

その後は有無を言わせず転生させられた。直前に知ったが他の親友も同じ世界に転生するらしい。それを知った時、俺は嬉しかった。また、あいつらと楽しくやれる。そう思っていた。

だが、現実は甘くなかった。

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体のあちこちが酷く痛む。意識が薄れてきそうだ。今すぐにでもこの苦しみから逃れて楽になりたい。だが、出来ない。逃れてはいけない。

「まだだ、まだ・・・終われない。」

叫ぶ。目の前に浮遊する小型の人型兵器に。

俺は転生した時に特典としてマスターガンダムを手に入れた。ついでにドモン・カッシュの外見も手に入れた。俺の好きなガンダムとキャラクターだ。後は他の親友と合流するだけだったが、此処で重大なミスが分かった。俺だけ10年前の世界に転生していた。しかも、転生先はクロスアンジュの世界だった。親友の一人がファンだったおかげで多少の知識はあった。最初のリベルタス、世界への反逆。それに俺はドモン・カッシュと名乗り参加した。最初はマスターガンダムの力を使っていたおかげで優勢だった。しかし、リベルタスの要たる少女が敵の首魁に捕まった。リベルタスの成功には彼女が必要。全戦力を使い救出作戦を開始した。

救出は成功したが、俺と救出した少女以外の仲間が死んだ。たった一機の人型兵器によって蹂躙された。

正直、勝てる気がしない。少女は右腕をなくし機体も酷い損傷を受けている。マスターガンダムも頭部の右半分が消し飛びバックパックもまともに機能しない。だが、この世界に来て、歪みを知った。この世の歪みを、それを正す為に彼女は必要だ。今回のリベルタスは失敗だが、そんな事は分かっていた。だから、出来る限り10年後に転生する親友達が戦いやすくする為に倒すべき敵を弱体化させるようにしたかったが、難しそうだ。ならば彼女だけでも守り通しあいつらに希望を託す。

「逃げろ、アレクトラ。・・・・此処は危険だ。」

少女、アレクトラが何かを叫んでいる。だが、通信機能が彼女が叫ぶ寸前に壊れてしまった。

目の前の機体から歌が聞こえる。同時に巨大なエネルギーが機体から検出された。

俺は構えた。不思議と恐怖を感じない。心が穏やかだ。

「俺のこの手が真っ赤に燃える。希望を繋げ、未来へ託せと轟き叫ぶ!」

静かに、そして歌うように言葉を繋ぐ。己の全てを賭けて奴にダメージを与える。それだけを考え、力をためる。

自身の体が、マスターガンダムが黄金に光輝いた。身の内から力が溢れてきている。相手が機体から莫大なエネルギーを放つ。あれをまともに受ければチリひとつ残さずに消え去る。直感的に感じた。ならば、マスターガンダムの、否流派東方不敗の最強の技で迎え撃つまで。

「石破ッ!!天驚拳!」

ため込んだ気を一気に放出し敵に放つ最終奥義。

2つのエネルギーがぶつかり合い衝撃が生まれた。周りに倒れていた仲間の体が吹き飛ばされる。徐々に押されていく。だが、負けられない。

後ろにはアレクトラがいる。彼女だけは守りきる。

腕に激痛が走る。思わず腕を押さえようとするがやめる。この機体の操縦方法はモビルトレースシステム。操縦者の動きをそのまま機体にトレースする。今、構えを解けば気の放出が止まりアレクトラ共々死んでしまう。

「まだだ、もっと力を出せ!マスターガンダム!!」

機体のカメラアイが光る。気の放出が一気に増える。その瞬間、ぶつかり合っていたエネルギー同士が爆破した。爆破からアレクトラを守ろうと機体を盾にして爆破の衝撃を正面から受ける。光に呑まれながら俺は口を開きまだ来ぬ友へ言葉を送る。

「みんな、世界を、この世に巣食う歪みを正してくれ。俺には無理だったから、お前らが希望になってくれ。」

そして、俺は意識を手放した。

 

 

 

 

 

10年後、とある海に浮かぶ無人島に4機の巨大な人型兵器と4人の少年達が流れ着いた。それが、この世界に何をもたらすか。まさしく、神のみぞ知る。


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