新たなる赤き獅子 ウルトラマンライガ~休止中~   作:新米くん

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お待たせしまして申し訳ございません。ですが今回、それに見合う出来栄えではなく正直駄目かもしれません。許してくださいm(__)m

宇宙星獣・ギロ 登場


曲名:咆えろ!ウルトラマンライガ!
作詞:???
作曲:???
歌:影〇ヒロノブ

ナレーション「宇宙にきらめくエメラルド・・・地球・・・それを狙う魔の手から赤き若獅子が今吠える!その名は・・・・!」

忘れるな・・・勇気を 忘れるな・・・やさしさを

正しき怒りの咆哮(こえ)上げろ!

咆えろ!ウルトラマンライガ!(ここまでイントロ)

1番

壊しちゃいけないぜ、この星の未来を

誰が行かなきゃ誰がやるんだ

涙だげじゃ何も守れない

一歩づつでも前に行くのさ!!

嵐か起きても絶対あきらめない!

皆のために戦う!ただそれだけさ!

忘れるな!勇気を!忘れるな!やさしさを!

獅子の瞳が今!赤く輝く!

そう!君の番さ!そう!今、戦え!

叫べ!その名を!

行くぜ!ウルトラマンライガ!



第六話 星獣再び、宇宙をかける友情の橋

この日ジンは、凛子と共に梅田夫妻と一翔と明日奈と一緒に遊園地で楽しい休日を過ごしていた。

ジンは凛子と一翔と明日香と共に、アトラクションのティーカップに乗って楽しんでいる。

 

 

「アハハ!」

 

 

「わー!」

 

 

「回るぅ!」

 

 

「フフッ」

 

 

そんな楽しむ彼らを梅田夫妻は和みながら見守っている。このような何ものにも縛られぬ時間はMACに入隊し、緊張した毎日を送っていた彼は今一地球人としてこの平和なひと時を楽しんでいるのである。

幾つかアトラクションを楽しんだジンたちは、アイスクリーム屋に立ち寄ってアイスを買って皆でそれを食べる。

アイスクリームの味を味わいながらこの後はどのアトラクションに乗るかと話していた。

 

 

「いやー、今日はジンくんが休みで良かったなぁ」

 

 

「ほんとね、ねぇ?明日香ちゃん」

 

 

「うん!凛子お姉ちゃんは凄く喜んでたんだよ!」

 

 

「ちょ!///明日香ちゃん!?///」

 

 

「そうなのか?凛子」

 

 

「へ!?///」

 

 

「あー、お姉ちゃんお顔真っ赤だぁー」

 

 

「あ、明日香ちゃん!!///」

 

 

「「「「ハハハハハ!」」」」

 

 

「も、もう!」

 

 

などと何とも見ていて幸せな雰囲気に包まれているジンたち、本当に平和な時間だと誰もが思わせてくれる。だがその中で一翔は何やらある方向をアイスを食べながら見ていた。

一翔が何処か見ていることに気付いたトオルはどうしたのかと問いかける。

 

 

「どうしたのかな?一翔くん」

 

 

「あっちで怪獣ショーやってるよ!」

 

 

「お、なら行ってみるかい?」

 

 

「うん!」

 

 

「浅葱、私は一翔くんと一緒に怪獣ショーを見に行くよ」

 

 

「あら、なら皆で行きましょう」

 

 

「そうですね、ね?ジンさん」

 

 

「うん、そうしよう」

 

 

そうして皆で遊園地内のイベントショーである怪獣軍団ショーを見に行くことに。怪獣ショーには嘗て地球で暴れ歴代のウルトラマンたちに倒された怪獣たちの姿を模した着ぐるみが、人々の前でそれぞれ披露して見せる。

子供たちや大人たちは着ぐるみ怪獣たちの姿に歓声を上げて楽しんでいた。

その中を一翔はアイスを食べながら怪獣ショーの着ぐるみたちを眺めながら楽しんでいた。その時であった、不思議な笑い声が一翔の耳に入る。

一翔はその声がする方へ向くと、見慣れない頭部に二本触覚が生えた見たこともない着ぐるみ怪獣であった。

その着ぐるみ怪獣は一翔を見て無邪気に笑う、この時怪獣の目が光り一翔を見つめる。

その光る目を見た一翔はその着ぐるみ怪獣?に近づき始める。

着ぐるみ怪獣?はそんな彼に手招きして「こっちおいでよ」と誘い、彼の持つアイスクリームを凝視する。

一翔は着ぐるみ怪獣?が自分が持っているアイスクリームを見ていることに気づき、食べたいかと聞く。

 

 

「食べたいの?はい!」

 

 

着ぐるみ怪獣?は一翔の問いに嬉しそうに頷くのであった。一翔は自分のアイスクリームを着ぐるみ怪獣?にそのままあげてやり、アイスクリームを受け取って何と食べたのだ。

美味しそうに食べる着ぐるみ怪獣?に一翔は嬉しそうに語りかける。

 

 

「君なに怪獣なの?ぼくの名前は一翔!君の名前は?」

 

 

 

すると....。

 

 

 

「ギロ!ボクギロ!ハハハ♪」

 

 

何と喋って自分の名前を教える。

 

 

「へぇ、君ギロって言うのか。君そんなアイスクリーム好きなんだね!」

 

 

 

 

一翔がギロと名乗る着ぐるみ怪獣?と接して中、ジンたちはそんな一翔を探していた。

 

 

「一翔どこだ?」

 

 

「ええ、もうあの子は!」

 

 

「あ!ジンお兄ちゃん、お姉ちゃん!いたよほら!」

 

 

「あ!」

 

 

明日香が指さす方に一翔を見つけたジンたち。そのジンたちの後ろからトオルと浅葱が追ってきた。

 

 

「ジンくん、一翔くんは!」

 

 

「いましたよ。ほら」

 

 

「ん?おー!かず...っ!!?」

 

 

トオルは一翔の名を呼ぼうとしたが、彼は驚愕したかのような表情を浮かべる。妻の浅葱はそんな夫の様子を見て、心配になりどうしたのかと呼びかける。

 

 

「あなた?どうしたの?」

 

 

「.....」

 

 

しかしトオルは言葉を失ったかのように黙ってしまっている、そんな様子が可笑しいと思ったジンがトオルを呼びかける。

 

 

「梅田さん!どうしたんですか?!」

 

 

「え?!あ....」

 

 

トオルはようやく意識をハッと取り戻した。今度は凛子も問いかける。

 

 

「大丈夫ですか?」

 

 

「あ、ああ。大丈夫だよ」

 

 

「どうしたんですか?」

 

 

「い、いや...」

 

 

トオルはまだ何か様子が可笑しい。そんなトオルが心配ではあったが明日香は一翔が一緒にいる着ぐるみ怪獣?が可愛いと言い始めた。

 

 

「お兄ちゃんと一緒にいる怪獣さん可愛いよ!」

 

 

「え?あ、そうね!....え?」

 

 

凛子は明日香の言葉に頷きながら着ぐるみ怪獣?を見たが、その際彼女はその着ぐるみ怪獣?に異常な違和感を覚え、隣にいるジンの腕を掴みながら知らせる。

 

 

「じ、ジンさん!あの着ぐるみ怪獣を見て!!」

 

 

「え?」

 

 

ジンは彼女に促され、一翔と一緒にいる着ぐるみ怪獣?を宇宙人としての超能力で、着ぐるみ怪獣?を確かめる。そしてその結果.....。

 

 

 

「怪獣だ!!!」

 

 

「「「っ!?」」」

 

 

ジンが発した言葉に凛子や浅葱、明日香は驚く。ジンと凛子、浅葱は一翔に離れるよう知らせる。

 

 

「一翔くん!!危ないから離れて!!」

 

 

「一翔くん!!お願いよ!!逃げて!!」

 

 

「一翔!!危ないぞ!!そいつから離れろ!!!」

 

 

そんな彼らの言葉を無視して一翔はどうしてか、怪獣・ギロの手を掴んで共に逃げ始めるのだった。怪獣と共に逃げる一翔にジンは呼び止めようと声を荒げる。

 

 

「一翔!!待て!!」

 

 

ジンはこのままでは取り返しが出来ないことになりかねないと、彼は二人の後を追いかけよう走る。ジンが一翔たちを追いかけ始めた後からトオルは事態が急変したのに気づく。

 

 

「っ!?一翔くんは!?」

 

 

「あ、あなた!一翔くんが怪獣に連れてかれて!今ジンくんが追いかけ始めたわ!!」

 

 

「なら私も追いかけよう!!三人はここに居なさい!!いいね!!」

 

 

トオルもジンたちの後を追いかける。トオルが追いかけ始めた頃、ジンは一翔に呼びかける。

 

 

「一翔!!待て!!一翔!!!離れろ!!!」

 

 

「ジンさぁん!!何でもないよぉー!!ギロはいい奴だよぉー!!」

 

 

しかし一翔はそんな呼び止めようとするジンの声を否定するみたく、それを拒否してギロという人間サイズの怪獣を庇って一緒に逃げ続ける。

そのジンたちの後からトオルが追ってきた。

 

 

「一翔くーん!!!待つんだぁ!!」

 

 

「梅田さん!」

 

 

トオルは走るジンの横まで並んで走ってきた。そしてジンにこう言った。

 

 

「ジンくん!!あの怪獣は悪い奴じゃないんだ!!決して攻撃しないでくれ!!」

 

 

「っ!?なにを言ってるんですか!!?」

 

 

トオルの言葉に信じられないといった顔で問いただすジン、しかしトオルは正気を失って言っている訳ではなかった。

 

 

「ギロは害のある奴じゃないんだ!!とてもいい奴なんだ!!」

 

 

「梅田さん!」

 

 

すると彼らは遊園地内の関係者以外の立ち入り禁止エリアに入ってしまい、とうとう逃げ場を失った一翔とギロ。

追い詰めた一翔にジンは呼びかける。

 

 

「一翔、こっちに戻るんだ!」

 

 

「やだ!!」

 

 

しかし一翔は尚も拒否してギロに抱きつき離れない。そんな一翔に抱きつかれているギロにトオルは呼びかけた。

 

 

「ギロ!君なんだろ!」

 

 

「?」

 

 

ギロはトオルに首をかしげる、ギロはトオルを知らないようだがトオルは尚も呼びかける。

 

 

「ぼくだ!トオルだ!覚えてないかい!?」

 

 

「トーオールー?」

 

 

「そうだ!トオルだ!」

 

 

「梅田さん」

 

 

ギロを知っていると思われる態度をしているトオルの姿にジンは目を向ける。ギロはトオルをしばらく見つめるとギロの昔の記憶の中で同じ名前の少年との思い出があったのを思い出す。

思い出したギロは喜びながら、一翔の手を繋いだままトオルに近づいてきた。ジンは戦う構えをするがそれをトオルが手で制止して止める。

 

 

「っ!?梅田さん!?」

 

 

「いいんだ。大丈夫だ、私に任せてくれ」

 

 

「なにを言ってるんですか?!」

 

 

っとジンが大声を上げると、ギロの目つきが険しくなり突如巨大化した。

 

 

 

「っ!?巨大化した!!!」

 

 

巨大化したギロは一翔をその手の中に優しく包み込む。そしてジンを睨みつけて頭部にある二本の触角から泡状の液を噴射した。

ジンはトオルと共に泡状の液から逃げる。巨大化したギロ星獣が現れたことで遊園地内はパニックとなった、アナウンスの呼びかけが遊園地内に響く。

 

 

『園内の全てのお客様!!怪獣が現れました!!スタッフが誘導に従って避難してください!!』

 

 

「怪獣!?」

 

 

「きっとさっきのだわ!!」

 

 

「お兄ちゃん!!」

 

 

その頃、ギロの溶解液から逃げてるジンはトオルに逃げるよう促す。

 

 

 

「梅田さん!避難してください!!」

 

 

「ジンくん!すまない!!だがどうか、一翔くんを!!」

 

 

「はい!!必ず一翔を助けます!!!」

 

 

ジンに促されたトオルは避難することに。彼が避難したのを確認したジンは、赤い宝石を口で加えているライオンの顔が模られた金色のブレスレット型の変身アイテム「ライガブレス」をはめている手ともう片方の手で、胸の位置でクロスしてから天に向かってブレスレットをはめている拳を掲げて叫んだ。

 

 

 

 

ライガアアアァァァァーっ!!!!

 

 

 

そして光が彼を包み込み、大きくスパークした中心から我らがヒーロー・ウルトラマンライガが現る。

ギロはウルトラマンライガの出現とその出で立ちに驚きながらも、それでも敵意を失わずライガに襲い掛かる。

 

 

「デェア!!ダァッ!!」

 

 

ライガは掴みかかってきたギロをローキックで怯ませてから、奴の身体に捕らえられた一翔を助けようとする。しかしそれをさせまいとギロはライガに頭突きをかまして隙を突き投げ飛ばした。

投げ飛ばされたライガに更に追撃をしかけようとギロは攻撃をかけるが、ライガはすぐに起き上がりざまにギロの足を引掛けて転倒させる。

 

 

 

「ドゥアッ!!ジュアぁ!!」

 

 

ライガは倒れたギロの顔面に押さえ面突き、次に胴体に押さえ胴突きを何発もくらわして奴の体力を奪う。だがギロは触角から泡状の液を噴射してライガを攻撃を妨害して距離を離し、立ち上がって怒りを見せる。

 

 

「ジュア!!」

 

 

ライガはギロに距離を縮めて攻撃をしかけようとするが、ギロの身体に囚われている一翔がライガを制止の声を上げる。

 

 

「やめてぇ!!ウルトラマンライガ!!」

 

 

「っ!?」

 

 

ライガは動きを止めてしまう。それをチャンスと見たギロはその姿を忽然と消すのだった。奴はテレポートを使ったのだろう。

 

 

 

「っ!?逃げられた!!」

 

 

 

ライガはギロを逃がしてしまい、そして一翔を取り返すことが出来なかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【赤道軌道上の成層圏・新MAC空中基地母艦・MACベース・司令室】

 

 

 

司令室にて隊長であるゲンは、今回の戦いでのジンに対する行動を 責していた。

 

 

「馬鹿者ぉ!ハッキリとした作戦もなく、無暗に変身することは厳重に禁止してあるはずだ!!」

 

 

実はツルク星人やケンドロスとの戦い以降、ゲンはジンに対してむやみやたらに変身することを禁じたのだ。冷静さを見失ってウルトラマンライガに変身した所で敵の術中にハマって敗れるというジンの不甲斐なさと油断を招きやすい決定的な欠点を無くす為に、ゲンはジンに変身の際には厳重に禁止と命じたのだ。

しかし今回の戦いで彼は何の作戦もなく変身してギロ星獣を怒らせてしまい、結果一翔を誘拐されてしまうという結末になってしまった。

 

だが自分を 責するゲンにジンは今回はどうしても変身しなければ不味かったと弁明する。

 

 

「しかし!!今回一翔の命が...!!」

 

 

「そうだ!一翔くんの命がかかっていた。で、お前は人質を救うことは出来たのか?ん?」

 

 

っと厳しく問いに、ジンは痛い所を突かれぐうの音も出ず返すことが出来なかった。

 

 

「...っ」

 

 

「ジン!俺が変身を禁止していたのは、今までの戦いの反省点を正すこととこう言う事態を恐れてたからだ!!お前が変身してしまえば、怪獣の方も余計に怒りを露にして暴れてしまう!」

 

 

「...っ」

 

 

ジンは顔を俯かせて自分の行いがまたも取り返しができないことになったと猛省する。そんなジンにゲンは言う。

 

 

「ジン。一翔くんが星獣の手によって宇宙に連れてかれると、お前そこまで考えたか?」

 

 

「っ!?」

 

 

思わぬ言葉にジンは一翔が星獣によって宇宙に連れてかれることを想像してしまう。もし一翔が宇宙に連れてかれてしまえば、星獣は宇宙空間での真空に耐えられるであろうが人間である一翔はそうはいかない最悪即死してしまう。

 

 

「とりあえず、今はMAC総出で星獣の捜索を続ける。それにしても....」

 

 

「隊長?」

 

 

ゲンは難しい顔を見せるが直ぐに顔を正してジンに言う。

 

 

「....いや、何でもない」

 

 

気になる反応を見せるゲンが気になったが、ジンは遊園地でギロと遭遇したトオルの反応を思い出し、トオルとは昔馴染みであるゲンならば知っているはずだと彼に話す。

 

 

「隊長、実はなんですが」

 

 

「なんだ」

 

 

「梅田さんがギロ星獣の姿を見て動揺してました」

 

 

「.....」

 

 

「あの星獣、もしかして以前にも....?」

 

 

ジンの問いにゲンは重い口を開いた。

 

 

「そうだ。ギロ星獣は以前にもこの地球に現れたことがあり、私はレオとして戦った」

 

 

ゲンは説明してくれた。嘗てまだゲンがMAC隊員でそしてウルトラマンレオとして地球を守っていた頃、彼が休日の時にまだ子供であったトオルと円盤生物によって殺されたゲンの恋人の百子とトオルの妹のカオルと共に、当時の遊園地内での怪獣着ぐるみショーに紛れ込んでいたギロ星獣が子供であったトオルと接触、トオルはギロ星獣と仲良くなっていたがゲンがギロ星獣を本物の怪獣と見破ってトオルを救うために奮闘し、遂にはギロ星獣を倒した。

だがトオルの懸命な願いに当時のMAC隊長であり、ウルトラセブンでもあったモロボシダンはトオルの願いを聞き入れる。だがその代わりにギロ星獣を地球から永久に追い出すこととするという条件つきでウルトラマンレオにギロ星獣をリライブ光線で復活させる。

 

こうしてギロ星獣はもう二度と地球にくることはなかった。

 

 

「そうだったのですね....」

 

 

「ああ」

 

 

「しかし、何故またギロ星獣は地球に来たのでしょう?」

 

 

「分からん。だが奴には夢のような幻を相手に見せる能力を持っている。奴はその催眠能力で一翔くんを誘拐している」

 

 

「そんな....」

 

 

「当時の私もお前と同じでギロ星獣を倒すことを躊躇ったものだ。とても害があるようには見えなかった、しかしそれでもトオルや大勢の人を守る為にもギロ星獣を倒さないといけなかった。だがそれでもトオルはギロ星獣を信じ、その友情を貫いた。そんなトオルの姿にモロボシダンはわたしにギロ星獣を生き返らせたのだ」

 

 

「.....」

 

 

「だが奴は再びこの地球にやって来た。例えどんな理由があるにしても、一翔くんを誘拐して良い訳がない!」

 

 

「隊長....」

 

 

 

 

 

 

そして今夜もMACは総出で捜索活動を行っていた。ジンはマックロディーを走らせてギロ星獣を探し回る、そこへMACベースからの通信がきた。

 

 

『レーダーが星獣の反応を捉えました!場所はB-105!前回現れた遊園地です!!』

 

 

「了解!!急行します!!」

 

 

ジンはアクセルペダルを力強く踏み、スピードを上げて向かった。現場に駆け付けたジン、彼が駆け付けた時には既にゲンや他の隊員たちが着いていた。

 

 

「大神、遅いわよ」

 

 

「すみません!」

 

 

東雲副隊長に注意されながらもジンは氷室の隣に並ぶ。その氷室は既に芹沢と共に射撃の態勢を取っていた。

 

 

「大神、奴はあそこにいる」

 

 

「あんたの知り合いの男の子もね」

 

 

「え!?」

 

 

2人が指さす方へ見るとそこにはメリーゴーランドでギロ星獣と楽しんでいる一翔の姿が。

 

 

「アハハ!ギロー♪ハハハ」

 

 

「キャハハハ」

 

 

本来もうこの時間帯でのメリーゴーランドは動いていないはずなのに、イルミネーションを点灯して優雅に回転している。

なんとも不可思議な光景である、それを見てからジンはゲンの元へ駆け寄る。

 

 

「隊長、あれは」

 

 

「ギロの世界にいるんだ」

 

 

「あ!MACのみなさーん!そんな所に居ないで一緒に遊びませんかー!」

 

 

MACの面々を見つけた一翔はこちらに誘ってきた。ギロ星獣といる言うのに彼は一切怯えたり怖がったりしていない。

そこでゲンはジンに一翔と近づくように命じた。

 

 

「いけジン」

 

 

「はい」

 

 

ジンを一翔の元へ行かせて他の隊員には別命を下す。

 

 

 

「他の者は円形に散開、私の別命があるまで待機」

 

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

彼らはそれぞれ円形状に散開してマックガンを構えていつでもギロ星獣を狙い撃つ態勢を整えている。

ジンは慎重に歩きながら目を反らさず、ホルスターにしまっているマックガンのグリップに手をかけながら一翔に話しかける。

 

 

「一翔、ぼくだ、ジンだ。俺も仲間に入れてくれないかな?」

 

 

「ジンさんもおいでよぉ!楽しいよぉ、ギロはいい奴なんだよぉ!」

 

 

ジンの混ぜて欲しいと言う要望に一翔は笑顔で手招きする。そんな一翔に気づかれないようにグリップを握ってホルスターからマックガンを静かに取り出した。

いつでも撃てる用意が出来るジンは、一翔にメリーゴーランドの止めるよう頼む。

 

 

「一翔、出来たらでいいんだけど。メリーゴーランドの木馬を止めてほしいんだ」

 

 

「うん、ちょっと待っててー!」

 

 

 

一翔がギロから離れた、その時であった。

 

 

 

「よし!今だ!!」

 

 

「撃てっ!!」

 

 

ゲンの号令で隊員たち全員がマックガンでギロに集中して銃撃する。マックガンの弾丸は全てギロの身体に命中していく、ギロが撃たれていることに気付く一翔が慌てて叫ぶ。

 

 

 

「やめてぇ!!やめてよぉ!!ギロを殺さないでぇ!!!」

 

 

しかしMACの面々は容赦なくギロを狙い撃ち、攻撃を受けたギロ星獣は姿を煙みたく消した。ギロ星獣がいなくなった途端、一翔は意識を失い倒れてしまう。

 

 

「っ!?一翔!!」

 

 

ジンはそんな一翔に駆け寄り抱き上げる。心配するジンやMACの面々の反応とは裏腹に彼は心地よい顔で眠っているのだった。

ゲンの指示により、一翔はMAC関連施設の特別病院へと駆け込まれた。

特別病院に運ばせたゲンは直ぐに梅田家に一翔を見つけ保護したと連絡を入れる、トオルたちは安堵した。

明日香を浅葱に任せて現在トオルがこちらに向かっているようだ。

 

一方、未だに心地よく夢の世界で夢の中のギロ星獣と戯れる。お菓子で出来た家や遊園地、乗り物、それらが全部お菓子で作られ、そのお菓子の遊園地で一翔はギロ星獣と喜び遊んでいる。

 

現実では脳波スキャナーで一翔の脳を調べてギロ星獣から受けた催眠の影響を調べることに。

 

 

「先生、一翔は!?」

 

 

ジンは担当医師に問いかけ、医師は真剣な面持ちで答える。

 

 

「ああ。今のところ脳に異常は見られない、更に脈拍及び血圧も正常だ。今夜ゆっくり休ませていればもう大丈夫だろう」

 

 

「そうですか!!ありがとうございます!!」

 

 

ジンは医師からの説明に安堵する。一先ずこれで一翔のことは助け出せた、あとはあのギロ星獣を何とかすれば事件は解決と言えるだろう。

彼は眠りに居る一翔の元へ近寄り頭を撫でてやることに、その際一翔が寝言を呟く。

 

 

「やめて....ギロを...殺さないで.....ギロはいい奴なんだ....」

 

 

「一翔....」

 

 

寝言でギロはいい奴だ、ギロを殺さないでと希う一翔の瞼の隙間から一筋の涙が流れる。これほどまでにギロ星獣を思う姿を見せられると本当にギロ星獣は害がないのではと考えてしまう。

そういえばとジンは遊園地で梅田が言っていた言葉を思い出す。

 

 

 

『ジンくん!!あの怪獣は悪い奴じゃないんだ!!決して攻撃しないでくれ!!』

 

 

トオルもギロ星獣に害はないと信じている。こんなにもギロ星獣を思い庇う彼や一翔を考えるとギロ星獣を倒すべきなのかと考える。

っとジンが悩む所でトオルがやって来た。

 

 

「ジンくん!一翔くんは!?」

 

 

「医者から異常がないのでもう大丈夫だと」

 

 

「そうか!良かった!!」

 

 

「梅田さん....」

 

 

「ん?」

 

 

「貴方は、まだギロ星獣が敵でないと思いますか?」

 

 

「それは....」

 

 

ジンの問いにトオルは口を噤んでしまう。トオルはギロ星獣のことを忘れたことなど一度もなく、彼をずっと大切な友人だと信じてきた。

それ故に遊園地でジンに攻撃しないでくれと懇願したのもギロ星獣を思ったが故であったのだ、しかしまたギロ星獣はモロボシダンの約束を蔑ろにしてしかも一翔を誘拐してしまったのだ。

ゲンも今ではMACの隊長として地球や人間の生命や安全、そして平和を最優先に行動し敵である存在は誰であれきっと人の為に感情に流されずに戦いギロ星獣の命を奪うだろう。

トオルはそれを思ってジンにもあの時希ったのだ。

しかしジンもまたMACの隊員であり、そしておおとりゲンと同じウルトラマンでもあるのだ。人々の幸福と平和の敵となりかねない存在を黙って見過ごしてはこの先戦って行くことは不可能である。

だがそんな責任と義務を持ちながらも、一方ではギロ星獣と戦うのに躊躇いを持っている自分も居るのもまた事実である。

ジンの問いに思い悩む顔をするトオルは、ようやく口を開いた。

 

 

 

「僕もまだギロを信じている。彼は本当はいい奴なんだと....」

 

 

「しかし、以前にモロボシダン隊長と交わした約束を破ってギロは再び地球に現れた」

 

 

「ああ。だがそれにはきっと理由が...!」

 

 

 

トオルが尚も言葉を紡ごうした時、ゲンが現れた。

 

 

 

「だとしてもトオル、ギロが再び子供を催眠にかけて攻撃されないように人質にしたのは事実だ」

 

 

「おおとりさん....」

 

 

ゲンの言葉にトオルは顔を俯かせる、しかしジンはまだギロ星獣をハッキリした敵と断じるには迷いがあったのでゲンに問いかける。

 

 

「隊長、ギロ星獣は俺が変身や追い詰めなかったら何もしなかったし....それにこの地球に戻って来たのも、何か事情があって!」

 

 

「だが、ギロ星獣が再び子供を攫わないとも限らん。一翔くんだけではなく他の子供にも同じ手口をしかねない」

 

 

「っ!!!」

 

 

ゲンは一切揺るがずジンの言葉を否定した。己の思いを否定されたジンは顔を歪ませて俯く。そんな彼にゲンは新たな使命を与える。

 

 

「ジン!ギロ星獣は頭部にある二本の触角から出す泡を攻略する為に特訓を開始する!」

 

 

「隊長!?」

 

 

ジンに対して有無も言わさず特訓せよと言い渡したゲン、しかしジンはこれに素直に従うことが出来ない。だがジンの意見をゲンは聞く耳を持とうとはしない。

 

 

「直ぐに特訓に入れ」

 

 

「しかし隊長!!」

 

 

「ギロ星獣の被害者が既に居るんだ、相手はまたやってくるぞ。それにだ新しい犠牲者が出た時、お前は指を加えて見ているのか?」

 

 

「そ、それは.....」

 

 

確かにゲンが言っていることは間違ってはいない。一翔には怪我はなく無事ではあったが子供を攫ったという結果は残っている、これは覆すことは出来ない。

それにゲンが言ったように一翔に限らず別の子供がギロ星獣の標的になり、催眠にかけられて人質にされてしまい最悪犠牲者が増えてしまう。

そう思うとジンは否定することが出来なかった。そしてゲンはジンに投げかける。

 

 

 

「ジン!この地球は、お菓子で出来た夢の国ではないんだっ!!」

 

 

「......」

 

 

そう、現実はお菓子のような甘く心地よい物では断じてない。それはL77星で両親を失い、孤独となって生きてきたジンには痛いほど分かっていたことだった。

だがどうしてもジンはギロ星獣を倒すのに躊躇ってしまう。しかしゲンはそれを許さずついてこいと言う。

 

 

「ジン、特訓の為についてこい」

 

 

「はい」

 

 

「ジンくん....」

 

 

トオルは神妙な顔でジンを見る。今回自分の甘い考えで一翔を危険にしてしまったかもと思っているようだ。

 

 

「梅田さん、いってきます」

 

 

「ああ、頼む」

 

 

 

 

 

 

 

 

その一方で病室に移された一翔は未だに眠っていた、その横でトオルが見守って看病している。今回の一件でトオルは自分があの時遊園地でジンに引き止めるような言葉を投げかけなければ、ジンはウルトラマンライガになったあの時にギロ星獣を倒して一翔を助け出せていたかも知れない。

しかしそれはギロ星獣を見殺しにすることに等しい、トオルにはどうしても出来なかった。

だがその結果として自分が我が子として自身の家に引き取った一翔をこのような目にしてしまったと罪悪感を抱いてしまう。

 

 

「一翔くん...すまない」

 

 

トオルは寝ている一翔に詫びた。だが突如一翔は目を覚ましていきなり起き上がった。

 

 

「か、一翔くん!!目が覚めたのか!!」

 

 

「ギロが...ギロが呼んでいる....行かなきゃ」

 

 

「え!?」

 

 

その時であった。病室の窓が開き、そこからギロが現れたのだ。

 

 

「ぎ、ギロ!?」

 

 

ギロ星獣の出現に動揺するトオル、ギロ星獣はそんなトオルを見て喜ぶそぶりで手を振る。本当ならギロに再び会えて嬉しいという感情が沸くがしかし今の自分は一翔くんの親代わりだ、その彼をもう二度と危険な目には逢わしたくないと思ったトオルは嘗ての友情への思いを断ち切り、一翔を守らんとギロの前に阻む。

 

ギロ星獣は不思議そうに首を傾げるが、トオルは表情を強張りながら声を出した。

 

 

「ギロ!本当は僕も君とまた会えて嬉しい!だが!これ以上一翔くんを危険な目に合わすわけにはいかない!!」

 

 

っと嘗ての思い出を封じて子供を守る親として一翔くんを守ろうとする。ギロ星獣はトオルがこのような行動を取ったことに理解出来ず怒りを露にして彼を突き飛ばして壁にぶつける。

 

 

「ぐはっ!!ぎ、ギロぉ...」

 

 

ガクリと意識を失い倒れるトオル、彼を突き飛ばしたギロ星獣は一翔に振り向き彼をそのまま連れ去ってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ゲンに連れてこられたジンが居る場所はとある特殊実験に使われる場所だった。その場所はガラス張りで密閉されていて、天井には噴射ノズルがありそこから泡が噴射され始める。

 

 

「でぇい!!てやぁああああー!!」

 

 

ノズルから泡が大量に噴射されている中、泡まみれになりながらジンはバク転や宙返りなどと身体能力を駆使して特訓に行っていた。

ゲンは厳しい顔で特訓に打ち込むジンを見つめてから助言する。

 

 

「相手は液体だ。それを振り払うスピードで圧倒しろ」

 

 

「スピード...」

 

 

「そうだ。奴の泡の液は一瞬に固まる。そうなっては助からん!!固まる前に弾き返さなければならん」

 

 

「弾き返す....」

 

 

ゲンの助言を聞きながらジンは己の両手を見つめる、っとゲンの助言は更に続く。

 

 

「スピードを上げるには空気の抵抗を出来るだけ少なくすることだ」

 

 

「少なくする...っ!」

 

 

ジンは何かに気づき、身を屈めて身体を丸くする。

 

 

「そうか!身体を...出来るだけ丸くすればいいんですね!」

 

 

「そうだ。円盤のように出来るだけ丸くすることだ。そして全身をバネにして遠心力で弾き返すんだ!!」

 

 

この新たな攻略法はレオが嘗てギロ星獣にやった方法で、これを使って見事にギロ星獣に勝利している。ならば今度もまた同じやり方でギロ星獣を倒しかないとゲンは踏んだのだ。

 

 

「いいか、星獣を倒す時間はほんの一瞬しかない。その一瞬が勝負だ」

 

 

「隊長....」

 

 

やはりもうゲンは嘗てのようにギロ星獣を二度も許しはしないようだ。表情でそれを語っている為にその圧も半端ない。

だがジンはまだゲンに意見する。

 

 

「しかし隊長、そのギロ星獣はまだ破壊活動一切してません」

 

 

「言葉を慎め!!お前は星獣を倒すことだけに集中すればいい!!」

 

 

っがその時であった。一之瀬隊員が慌てて入ってきた。

 

 

「隊長!!大変です!!!一翔くんが病院から居なくなりました!!」

 

 

「なに?!」

 

 

「それと梅田さんが病院で意識を失って倒れてました!!」

 

 

「梅田さんが!?」

 

 

ジンたちは一翔が居た病室へと向かう、そこには意識を失い倒れているトオルがそこに居たが一翔は何処にも居ない。

 

 

「梅田さん!!しっかりしてください!!梅田さん!!」

 

 

ジンはトオルを身体を揺さぶり起こし、トオルは意識がハッキリしてないがジンの肩を必死に掴み懇願する。

 

 

「じ、ジンくん...頼む!!ギロを...ギロを止めてくれぇ!!」

 

 

「梅田さん....」

 

 

「頼む!!」

 

 

トオルの姿にジンは立ち上がり、拳に力を込めて決意を固める。彼が決意を新たにしたその時MACベースから通信がきた。

 

 

『こちらMACベース!!』

 

 

「どうした!!」

 

 

『隊長!レーダーに星獣の反応が!!』

 

 

「場所は!!」

 

 

『場所は再びB-105の遊園地です!!』

 

 

「分かった!!一之瀬!他の隊員たちに連絡しろ!!」

 

 

「了解!!」

 

 

ギロ星獣出現の報を聞いたゲンは一之瀬隊員に他の隊員たちにも連絡しろ命じて部屋を出ていかせ、ジンにも特訓を続けるよう命じた。

 

 

「ジン、お前は特訓を続けろ。いいな?」

 

 

「分かりました!」

 

 

 

 

 

 

 

朝日に照らされた遊園地に再び現れたギロ星獣は巨大化して雄叫びを上げる。そこへMACベースから氷室と伊勢が乗るマッキー二号機と、芹沢と東雲が乗る三号機が駆けつけ更に地上からはゲンと一之瀬が乗るマックロディー現場に到着。

 

 

「よし!攻撃開始!!」

 

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

 

ゲンの号令で巨大化したギロ星獣に集中砲火を浴びせる。そんなMACの攻撃を受けているギロを病院から連れ出された一翔が遊園地園内から見ていた。

 

 

「やめてよぉ!!ギロが何をしたんだぁ!!!」

 

 

しかしそんな一翔の叫びはMACの攻撃による轟音によってかき消され無情にも届かない。そればかりかギロ星獣は完全に怒りで暴走している、一翔は暴れるギロ星獣を落ち着かせようと声を大にして叫ぶ。

 

 

「ギロぉ!!落ち着いてよぉ!!!ギロが暴れなければ攻撃されないよ!!」

 

 

だがそれも届かない。一翔が叫んでいる頃、ジンは未だにギロ星獣攻略の特訓の為に噴射ノズルから出る泡が舞う中で身体を丸くして見事な空中回転する。

 

 

「てやぁああああー!!」

 

 

しかし肝心な所で失敗し、床に倒れこむ。

 

 

「ぐっ、くそ!!もう一度だ!!」

 

 

ジンは意識を集中する。全てはギロ星獣を倒すことに精神を集中する、そして再び彼はジャンプして空中回転する。

その回転は先ほどよりも速くそしてそれをバネに、最後は自分の身体中の泡が全てガラス張りの壁に弾け飛び散ちり見事特訓を完成させる。

 

 

「よし!出来た!!」

 

 

特訓を終わらせたジンはMACの制服に着替えて急ぎ外にでる。

 

 

「今行くぞ!!一翔!!」

 

 

 

ジンは「ライガブレス」をはめている手ともう片方の手で、胸の位置でクロスしてから天に向かってブレスレットをはめている拳を掲げて叫んだ。

 

 

 

 

ライガアアアァァァァーっ!!!!

 

 

 

そして光が彼を包み込み、大きくスパークした中心から我らがヒーロー・ウルトラマンライガがギロ星獣の目の前に飛んでやって来た。

 

 

「ダァッ!!」

 

 

ライガはギロに構えて立ちはだかる。MACの攻撃で怒りを募らせていたギロ星獣はライガの姿を見て更に怒り、ライガに殴りかかる。

ギロの攻撃にライガは冷静に躱しながらカウンターの正拳突きをかまし、次にはローキックでギロ星獣の足を止めてから身体を持ち上げて投げ飛ばす。

 

 

「デェイッ!!!」

 

 

凄まじい力で投げ飛ばされたギロ星獣はひるんでしまう、しかしライガは容赦なく畳み掛ける。手刀でギロ星獣の頭部に何度も手刀を叩きこみ、次に面蹴りをかます。

ギロ星獣がやられる姿を見て一翔はライガに叫んだ。

 

 

「やめてよぉ!!ウルトラマンライガぁ!!!」

 

 

しかし今回のライガはそんな少年の願いを聞こえていないのか、それとも地球や人々を守る為敢えて心を鬼にして無視して戦っているのだろうか、どちらにしろライガはドンドンと攻撃を加えていく。

 

 

「エイヤァ!!ジュアッ!!!」

 

 

胴蹴りを仕掛けてから大きく態勢を崩した所へ股蹴りをくらわして悶絶し倒れた奴のマウントを取るウルトラマンライガ。

しかしギロ星獣は二本の触角から泡の液を噴射させてライガを追撃を妨害する。好機と見たギロ星獣は泡攻撃を続けライガを泡まみれにする

だがそこへ氷室と芹沢が操縦するマッキー二号機、三号機が援護に来る。

 

 

「ウルトラマンライガぁ!!援護するぜぇ!!」

 

 

「ほらほら!!後ろがガラ空きだよ!!」

 

 

二機の攻撃がギロ星獣の注意を取り、奴に隙が生まれる。ライガは自身に纏まりついた泡を回転して全て弾け飛ばして透かさずギロ星獣の背後を蹴りを入れる。

怒るギロ星獣は泡をドンドン噴射する、しかしあろうことか一翔にまで危害が及びそうになる。

 

 

「うわぁ!!」

 

 

ギロ星獣の泡が一翔を襲うとしたが、そこへウルトラマンライガが寸前で身を挺して幼い命を助けてギロにもう一度挑む。

ギロはそんなライガに再び泡攻撃を仕掛けてくるが、ウルトラマンライガは乱れぬ動きで奴の手を掴んでから一本背負投を決める。

 

 

「ジュアぁ!!!」

 

 

立ち上がったギロは今度こそ、っと泡を噴射してくるがそこへ特訓の成果を見せようとライガは素早いスピードで翻弄してからジャンプし、奴の頭上とすれ違うようにダブルチョップで見事二本の触角を斬り落としたのだった。

触角を斬られたギロはそのまま倒れ、切れ目から泡が噴き出して巨大化した体を溶かして息絶えてしまう。

その光景を見てしまった一翔はギロの名を叫んだ。

 

 

 

「っ!?ギロォオオオォォォーー!!」

 

 

泡は段々縮小し、そこから触角を斬られたギロが人間サイズで倒れて死んでいた。ギロの元へ駆け付けた一翔は涙を流してギロの亡骸に縋る。

 

 

「ギロぉ....ギロォオオ....ううっ」

 

 

そんな彼らの周りには変身を解除したジンと、ゲンやMACの皆、更に病院から駆け付けたトオルまでもがやって来た。

 

 

「トオル....」

 

 

トオルはギロの悲しい姿に涙を流す。やはり嘗ての友達の死に姿をまた見てしまうなどキツイのだろう。だがトオルは涙を拭き、一翔の傍らで諭す。

 

 

「一翔くん、泣くのはよせ。君だってMACの隊員の仕事の意味は分かっているはずだ!」

 

 

「わからないよっ!!」

 

 

だが一翔は泣きながらトオルの手を弾いて拒否して、ゲンを睨む。

 

 

「隊長さんはどんな怪獣だってみんな敵だって思ってるんだ!!」

 

 

「....」

 

 

ゲンは一翔に只々見つめるのみであるが、一翔は尚も話を続ける。

 

 

「ギロがこの地球にきたのは...住んでた星が“悪い宇宙人”に壊されたんだ...」

 

 

「悪い宇宙人?」

 

 

「うん....ギロが言うには、片腕がない宇宙人(・・・・・・・・)に、いきなり....」

 

 

「(片腕がない宇宙人?....まさか)」

 

 

ゲンは自分の記憶を辿ってそれに該当する宇宙人を思い出す。そんなゲンとは打って変わって、ジンはギロが住んでた星を追われたと聞いて悲痛な顔を浮かべる。

自分もL77星を失い一人孤独だったので、ギロの気持ちが理解できる。それなのに自分が今回やった行為はギロの星を滅ぼした宇宙人と変わらないではないか。

ジンは己を責める。だがもう既に遅い、事は既にこうなったのだ。

しかし一翔はギロを殺したMACとウルトラマンライガに非を責める。

 

 

「今までギロは街を壊さなかった!攻撃してきたのはいつもMACが先じゃないか!!」

 

 

「そ、そいつは....」

 

 

「う、うん....」

 

 

「ここまで言われると....」

 

 

「そう、ね....」

 

 

「.....」

 

 

 

MACの面々も罪悪感が湧いてくる、子供の心に傷をつけたのかと。泣く一翔にトオルはそれでも語る。

 

 

「一翔くん...君は確かにギロと仲良くできた、そしてこの宇宙にはとても優しい怪獣も居たと皆に伝えようとした...ぼくもね、昔ギロと友達になった。だから君の気持ちは痛いほどわかるんだ。今回でMACの皆もきっと分かってくれる」

 

 

「でも...ギロは....」

 

 

っとそこへゲンが思わぬ提案をする。

 

 

 

「一翔くん....私からのお願いだ。ギロを生き返らせたらMACを許してくれるか?」

 

 

「隊長!?」

 

 

ゲンの発言に東雲やMAC隊員たちは驚愕し信じられない顔をするが、ジンは顔から笑みを溢す。そしてそれはトオルや一翔も同様であった。

 

 

「え!?本当に!?ギロを生き返るの!?」

 

 

「ああ。しかし条件がある、例え生き返っても怪獣を地球に置くことは許されない。ギロには宇宙に帰ってもらう。いいね?」

 

 

「....うん」

 

 

ゲンの条件を聞いて一翔は寂しげに首を縦にふる。本当は嫌だがギロにはやはり宇宙が居場所なのだろうと思い自分に言い聞かせる。

そんなやり取りの中、ジンは誰にも気づかれずに皆から離れた場所に向かい、「ライガブレス」をはめている手ともう片方の手で、胸の位置でクロスしてから天に向かってブレスレットをはめている拳を掲げて叫んだ。

 

 

 

 

ライガアアアァァァァーっ!!!!

 

 

 

 

「あ!ウルトラマンライガ!」

 

 

「デェア」

 

ウルトラマンライガは両腕を頭の位置でクロスさせたから額の菱形のビームランプから生物や物体を再生させ、蘇らせる「レイズレクション光線」をギロの亡骸に放射すると、たちまちギロの触角が再生していく。

そして完全に再生し、ギロは息を吹き返して喜びながら立ち上がる。

 

 

「ギロ!」

 

 

一翔はギロが生き返ったことに喜ぶ。そんな自分の蘇生に喜んでくれてる一翔にギロは最後と言わんばかりに握手を求め、一翔もギロの手を強く握り別れを覚悟する。

 

 

「ギロ....さよなら」

 

 

「バイバイ、カズトくん!」

 

 

そう言ってギロは光となって空へと消えていった。一翔は空へと飛び去ったギロに対して手を振るう。

 

 

「ギロォー!さよならー!!さよならーー!!」

 

 

トオルも呟きながらギロに別れを告げる。

 

 

「ギロ...さよなら」

 

 

宇宙には確かに悪となる怪獣やそうでない怪獣も居る、ジンはこのことを胸に刻みこれからも戦い続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、ウルトラマンライガ

宇宙カマキリ▪ギルマンティス登場!遥か彼方の宇宙から餌を求めて地球にやって来た!

8本足なのが特徴、4本の鎌でどんなものも簡単に引き裂く!

頑張れジン!!頑張れウルトラマンライガ!!

さぁ!皆で見よう!!

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