【悲報】ワイ氏、なんかめっちゃ人がおる きさらぎ駅 に来てしまった模様 作:white river
小説パートに興味無い人は我慢してください(?)(読み飛ばしてもソコソコ大丈夫です)
炭治郎は不思議に思っていた。珠世から頼まれたこの "
炭治郎と彼が出会ったのは数時間前、浅草で無惨と遭遇した時。無惨が炭治郎をその場に留めるために鬼にした男性の、その悲しい行為を止めようとしたのが "村田" 明だった。
「珠世さん、愈史郎くん、炭治郎くん。ちょっとこっちを向いてくれませんか?」
珠世と愈史郎の隠れ家に居た時のことだ。 "村田" 明は手に持った小さな板を炭治郎達に向けてから、あまり耳に馴染みのない音をたてたと思えば満足したようで、「ありがとう、3人とも。」と言って笑った。彼が何をしたのかその時の炭治郎にはわからなかったが、今思えばその板で写真を撮っていたのだろう。色も付いていて、精密で、炭治郎の知っている写真とは大きく異なっているものだったが。
"村田" 明は片時もその小さな板を離さなかったが、なにかを話す時はきちんと目を合わせてくれたので、炭治郎は彼に好感を持った。「その板はなんですか?」炭治郎は覗き込んでから驚いた。板はくるくると様相をかえていて、さながら───炭治郎はそれを街の看板でしかみたことはないけれど───活動写真*1のようだったのだ。
「あっ、そうだ。愈史郎くん、お願いなんですけれど少し俺の肩によってくれませんか。もう少しつめて、そうそう。顎を引いてしっかりスマホのここを見て……」
小さい板はすまほというらしい。すまほ。外国の言葉だろうか。
それと、珠世のことで神経質になっていた愈史郎だったが、洋装にしてはどこか熟れている服装の "村田" 明の独特の雰囲気にのまれたのか、大人しく従うその様子は炭治郎からしても微笑ましいものだった。
「……はーい!ありがとう、愈史郎くん。やっぱり君カッコイイから一緒に撮ると映えますね。あ、撮った写真見ます?」
不思議な言葉遣いをするなあと思った炭治郎だったが、写真が気になったので自分も見せてもらうことにした。「おい "村田" 、これが写真だと?貴様これ血鬼術じゃないのか?違う?本当だな?」愈史郎は驚いていた。珠世も驚いていた。
炭治郎も驚いてはいたが、血鬼術ではないだろうと思っていたので愈史郎ほど取り乱しはしなかった。しかしそれにしても血鬼術でないならば何なのだろうか。考えても答えは出なかったので炭治郎は別のことを考えることにした。
その後、鬼舞辻無惨の手先の鬼が2人襲撃を仕掛けてきたあとも、 "村田" 明は執拗にそのすまほを向けてきたので、炭治郎はますます彼のことがわからなくなった。彼はなんというか、雰囲気や匂いがあまり他所ではみないものなのだ。
「炭治郎くんはこれからどうするんですか?」件の彼はそう聞いて、炭治郎の背負う岩漆と霧雲杉の箱を撫でた。炭治郎の背中で禰豆子が身じろぐのを感じた。禰豆子は "村田" 明によく懐いていた。
「とりあえずは藤の花の家紋の家に行って休みます。俺たち鬼殺隊は無料で寝泊まりできるんですが……。明さんのことも頼んでみます。」
「ありがとうございます。でも幸いですが手持ちはあるので、あまり無理を通さなくても大丈夫ですよ。」 "村田" 明はそう困ったように笑って、「そうそう。」と付け足して言った。
「炭治郎くん。俺は君にお世話になる身なのだから、ぜひ敬語はとってくれませんか。」
炭治郎は振り返って "村田" 明を見た。ふわりと上品な練油の香りが炭治郎の鼻をくすぐる。「なら明さんも敬語をとってくれ。これから一緒に行動するんだ、仲のいい友達への第一歩だ!」
"村田" 明は苦笑を崩さない。
「俺はきっと不思議な言葉遣いをするでしょうけれど、本当に大丈夫ですか?」「大丈夫、なんとなく察していたからそれは今更だ!」
"村田" 明はようやくその顔を崩した。「炭治郎くんマジフレンドリーじゃん。きっと俺たち仲良くなれるよ。」そうして "村田" 明は懐からすまほを取り出すと、「記念に1枚、自撮りどう?」と言って炭治郎の向こう側の肩を掴んだ。
「はい、チーズ!」
ふれんどりい、とは何だろう。ふれんど、という友達という意味の英語を炭治郎は知っていたので、それと似たようなものかもしれないと推測した。ちーずも知っている、外国の食べ物だ。
しかしなぜだろう。人柄というか、なんというか。
炭治郎は、この不思議な新しい鬼殺の同行人のことが、短い間に結構好きになっていた。
とりあえず短めを一本投げてみる
主人公の名前がここで判明。明です。よろしく。
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