死んだ筈の戦友が戦術人形になって帰って来たんだが?(連載休止)   作:SUPER64

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大変長らくお待たせ致しました!第6話です!色々と小説のアイディアは浮かぶんですがなかなか書く暇が無く遅くなってしまいました。すいません。


第6話 カーチェイスとその後


 

ACR達が乗っていたハンヴィー1号車の代わりに今はオレ達のなるハンヴィー2号車が先頭になってオレ達は道を走っていた。

 

「ACR達は後続の敵を壊滅させたそうだ。ACRとAEKが狙撃されて負傷したらしいが全員無事だそうだ」

 

アランからの報告を聞いた相棒がケネスがそうオレ達に教えてくれた。ACRとAEKが狙撃されて負傷したって言うのは少し心配になるが報告によると無事らしいし今は目の前のことに集中するか。

 

「さて、後は後ろの連中だけだな」

 

そう言ってヘイルは後ろを見た。彼女達が追ってを食い止めたお陰で今オレ達は一切敵の攻撃を受けずに逃げることが出来ていたんだがやはり別働隊がいた様だ。ピックアップトラックが3台、こっちに向かって土煙を上げながら接近して来ていた。

 

「後ろの連中、ピースマークの旗を掲げているぞ」

 

「PKFの連中か」

 

Peace keeping Force(平和維持軍)略してPKF。軍とか謳っているがその正体は過激派のテロリストと殆ど変わらない。元々はよくある反戦団体だったんだが何をトチ狂ったのか武力をもって平和を成すと言う考えの元、PMCの基地とかを襲撃したり、兵器の備蓄庫を爆破してみたり、他のテログループに喧嘩売ったりと色々やっている。前にはグリフィンにもちょっかいを出して逆に痛い目に遭ったりもしていた。今回連中が襲って来た理由は武器商人とロボット人権協会による武器の売買をやめさせる為。または今回オレ達が守っている武器商人、オットー・マイヤーの殺害か。またはその両方か。まぁ相手が誰であろうとオレ達PMCは依頼をこなすまでだ。

 

「アラン、撃って良いよな?」

 

《あぁ。暴れろ》

 

「よし来た。マイク!車を後ろにやれ!」

 

「分かってるよ!」

 

マイクはハンヴィーを減速させてマイヤーの乗ったSUVとバンを先に行かせて先頭から1番後ろへ移動した。この車は窓ガラスが防弾なのは良いんだがそのせいで窓を開けることが出来ない。だからオレはCM901を持って天井のハッチを開けて銃座に着き後ろから接近してくるピックアップトラックの一台に照準を合わせフルオートで撃った。相手の車との距離は20メール程あったが弾は殆ど全弾ボンネットとフロントガラスに命中した。揺れる車内からこの距離の車にフルオートで当てれるのはやはりこの身体のお陰だ。オレ自身にはそんな腕は無いからな。銃撃を受けたピンクアップトラックは速度を落としてこちらとの距離を開けた。

 

続けてオレはピックアップトラックのフロントガラスに向かって撃ちまくる。フロントガラスに無数の穴が次々と開き血が飛び散りフロントガラスの内側に付着した。運転手を殺せたか?と思ったが車が走り続けているのを見ると恐らく助手席に座っていた奴を殺ったのだろう。フルオートで撃ちまくったせいで既にマガジンが空になってしまったので一度車内に戻りマガジンを新しいのに交換する。

 

「惜しいな。スカートだったらお前が撃っている時の覗き込むことが出来たんだが」

 

こんな状況でもいつもの様に変態発言をするスコットはある意味精神が強いなと俺は呆れを通り越して感心してしまう。

 

「だがそのスパッツも充分素晴らしい。それに下乳も良いねぇ」

 

だがオレに向かってスパッツが素晴らしいだの下乳が良いだのと言われるオレはどう言う反応すれば良いのか分からなくなる。想像してみてくれ、他の男からスパッツが良いだの下乳が素晴らしいだのと言われるのだ。男のオレはどう反応すれば良いんだ?女みたいに変態!とか言えば良いんだろうか?

 

「黙れ変態野郎。そんなこと言う余裕があるんならお前があいつら撃て」

 

「良いぜ~。丁度暇だなと思ってたんだ」

 

冗談半分で言ったんだがどうやらスコットは乗り気の様で愛銃のM16A4を手に取ると俺の代わりに銃座に立ち再び接近しつつあったピックアップトラックに向かってセミオートで撃ちまくる。フロントガラスを狙った俺とは違いスコットはピックアップトラックの前輪を撃ち抜いた。前輪が左右どちらもパンクしピックアップトラックは速度を急速に落とした。

 

「左だ!」

 

左側の窓から外を見ていたヘイルがそう叫ぶ。オレ達もその方向を見ると道を外れた一台のピックアップトラックが左側の荒地から先頭を走るVIPの乗るSUVに向かって突進して行っていた。スコットはそのピックアップトラックに向かって撃つが被弾も構わずピックアップトラックはSUVの左側面にぶつけた。SUVの車体が少し傾きぶつけられたドアやボディーが凹むがSUVは問題無く走行を続けている。

 

ピックアップトラックの窓が開くとそこからMAC-10を持った手が出て来て至近距離でSUVの窓ガラスに向かってフルオートで撃った。毎分1000発以上の発射速度で9ミリパラペラム弾が発射されるがSUVの防弾ガラスはそれを全て防いだ。

 

「次を撃たせるな!」

 

「わーかってるよ」

 

スコットはM16A4に装備されたACOGサイトを覗き込むと再装填を終えて再び窓を撃とうとしている男のMAC-10を持つ右腕の付け根当たりに5.56ミリ弾を2発お見舞いした。撃たれた男はMAC-10を地面に落としてしまった。スコットが引き続きSUVに向かって撃っているとSUVの助手席の窓が開きヤンがか顔を出すとCZ 805を構えフルオートで撃ち助手席と運転席をまとめて蜂の巣にした。運転手を失ったピックアップトラックは再び道を外れて荒地に入ると小さな岩に乗り上げそのまま横倒しになった。

 

「すまねぇ。助かった」

 

《VIPを襲わせてどうする。何の為の護衛だ。護衛はぶつけてでもVIPを守れ》

 

スコットが無線機でヤンにお礼を言うと厳しい返事が返って来た。

 

「だってよ。マイク」

 

「りょーかい。じゃぁその通りに」

 

「おいおいマジでやるのかよ⁉︎」

 

オレの驚く声も他所にスコットとヤンのやり取りを聞いていた運転手のマイクはバックミラーで真後ろに最後の一台が居るのを確認するといきなりブレーキを踏み込んだ。ハンヴィーは土煙を上げながら急減速し全速力で追いかけて来ていたピックアップトラックはその急減速に対応出来ずに回避行動も何も出来ずにハンヴィーとぶつかってしまった。ピックアップトラックは若干前のめりになりながら停止した。

 

直ぐ様ハンヴィーから降りたオレ達はピックアップトラックをお互いの射線に気をつけながら囲み一斉に撃った。ぶつかった衝撃で動くのが遅れていた敵はピックアップトラックから降りたり撃ち返したりする暇も無く全員撃ち殺された。

 

「こちらマイク。オールクリアーだ」

 

車内を確認し全員死んだのを確認したマイクが隊長のアランに報告した。

 

「了解した。このままVIPを予定通りの場所に送り届ける」

 

「了解。お前らさっさと乗れ。行くぞ〜」

 

「へいへい。にしても無茶するなお前」

 

オレの記憶だとマイクの戦い方はこんな無茶苦茶な戦い方をすることは殆ど無かったんだけどな。

 

「確かにな」

 

「やっぱり何だかんだ言ってお前ケネスが帰って来たからテンション上がってはしゃいでいるだろ」

 

スコットそう言われるがマイクは表情を変えないまま「そんなことねぇよ」と言ってハンヴィーに乗った。実際はどうなんだろうか?まぁオレが帰って来たことを嫌がっている訳では無いのは確かだが。だがオレと初めて会った時のアイツは思っていたよりあっさりとした感じでオレを受け入れてくれた。まぁ今のオレがこんなナリだから信じられなかって言うこともあるだろうがオレ的にはもう少し喜んでくれるかなと思っていたんだがまぁ素直に喜ぶのが恥ずかしかったのかもな。そうこうして再び俺達はハンヴィーに乗るとアラン達の乗ると先に行っているSUVに追い付く為にすぐ様発進した。

 

また別の追手が来るかと思い街に入るまで周囲を警戒していた結構あれ以降敵の増援が来ることは無かった。ACR達の倒した分も合わせると追手のピックアップトラックを合計5台も無力化したので流石に相手側も戦力を失い過ぎたんだろう。まぁ戦わないで済むならそれに越したことはない。

 

結局、街に入ってからも襲撃や追っ手が来ることはなく無事にハンス・マイヤーを目的にまで送り届けることが出来た。敵の襲撃を受けて銃撃戦に遭ったと言うのにマイヤーは別れ際に「今日は楽しかったよ。また宜しく頼むよ」と笑顔で言った。やっぱり武器商人は取り扱っている物が物だから肝が座っているな。

 

まぁ取り敢えず、オレの戦術人形としての初の任務は仲間に負傷者を出したものの武器の売買は出来たし何とかVIPは傷付けずに済んだので成功と言って良いだろう。

 


 

超久しぶりの相棒との任務は第三勢力からの襲撃を受けその第三勢力との銃撃戦によって戦術人形のACRとAEK-999が負傷し、装甲強化型のM114ハンヴィーが中破すると言う被害を出したが、任務自体は見事に達成した。だがぶっちゃけたことを言うと今回の任務は俺にとっては成功しようが失敗しようがどちらでも良かった。またこうして相棒と一緒に任務をこなせるのが、一緒に戦えるのが何よりも嬉しかった。

 

無事任務を終えた俺達はそのまま基地に帰投した。俺達が基地に着いてから少してから驚いたことにACR達が自力で帰って来た。敵の使っていたピックアップトラックを拝借した様で弾痕だらけのピックアップトラックが来た時は驚いたよ。敵の残党が攻めて来たのか⁉︎ってね。走行不能となったハンヴィーの方もレッカー車で回収して来た。何十発もの弾丸を食いボロボロになったハンヴィーを見た美人の整備士アメリアちゃん曰く「う〜ん・・・また走れる様にするだけだったら1週間くらいかな」とのこと。まぁM114タイプのハンヴィーは後3台あるし問題は無い。その内の1台は今日俺が乗ってたやつでコレも弾痕だらけだけどな。まぁぶっ壊れて動かなくなっている訳では無いから実質無傷だ。

 

そんなこんなで今は午後の7時。任務も終わり後片付けも終了した俺達は各々好きに時間を潰していた。俺はと言うと相棒を探していた。部屋には居なかったしタバコでも吸ってるのかと思い屋上を見てみたがそこにも居なかった。食堂、娯楽室、射撃場など相棒の居そうな場所を見て回るが姿が見えない。特に相棒に用事がある訳でもなかったし、俺は相棒を見つけ出すのをやめて今日の戦闘で負傷したACRとAEK-999の様子を見に行くことにした。

 

彼女達は戦術人形だから普通の人間より死に難いってことは知っているが撃たれたと聞くと心配になる。ウチの会社が戦術人形を取り入れるのに合わせて作られた人形治療室へと俺は向かった。

 

人形治療室と書かれたプレートの貼ってあるドアの前に来た。戦術人形を採用してもその戦術人形を整備したり負傷した時に治療する設備が無いとダメだと言うことで倉庫代わりに使っていた空きスペースに作られたここには最新式ではないものの戦術人形の整備や治療に使う必要最低限の設備が整っている。この設備の総額はなかなかの値段となったが社長は「初期投資こそ高いが一々戦術人形をI.O.Pに修理や整備に出すよりは安上がりだ」と言っていた。

 

ドアを開けて中に入るとそこは真っ白な部屋だ。色々と訳の分からない機械が置いてある。そして部屋の1番奥には人1人が入る程の大きさの円柱形のカプセルみたいなのが4つ立ててある。今はその2つが使われており水色の液体に満たされたカプセルの中にACRとAEK-999が入れられていてワーム型のロボットアームが忙しなく動いていた。カプセルは半分が透明になっており中に入っていた2人の姿が見えたが服などを着ておらず全裸の状態だったので俺は咄嗟に目を逸らした。

 

目の逸らした先に白衣を着た金髪ショートのメガネを掛けた女性、戦術人形の治療などを担当する女性技術者のリオ二ー・フェンが居て彼女と目と合った。

 

「よぉ。リアニーさん」

 

「気安く名前で呼ばないでくれる?と言うか何しに来たの?」

 

どうやらコーヒーを飲んでいたらしい彼女はマグカップを手に持ったまま淡い赤色の目を少し睨むようにして俺の方に向けて来た。

 

「仲間の心配をしちゃいけないってのか?」

 

「彼女達なら大丈夫よ。ACRは右足の太ももを14.5x114ミリ弾で撃たれてAEK-999は左足の脛からふくらはぎを同じく14.5x114ミリ弾で撃ち抜かれていたけどね」

 

「弾は貫通して抜けてたんだろ?何で14.5x114ミリ弾だって分かったんだ?」

 

「撃たれた部位ごと消し飛ばす威力の銃なんて50口径以上の対物ライフルくらいよ。それに彼女達の乗っていたハンヴィーから弾も見つかったしね」

 

そう言ってフェンはビニールの小さな袋に入れられた金属塊を机に置いた。それを手に取ってよく見てみる。先端が潰れたりしているが間違いなく大口径の弾丸だ。

 

「もし生身の人間が撃たれていたら例え足に当たったとしても死んでいたわ。良かったわね。撃たれたのが彼女達(戦術人形)で」

 

「おい、その言い方はどうなんだ?」

 

世の中には人形達を奴隷以下の存在と見なして酷い扱いをしている奴らがいて、戦術人形も人殺しの殺人マシーンとして一部の奴らから嫌われている。俺はそう言う奴らが大っ嫌いだ。例え作られた命だったとしても彼女達は生きている。そう俺は考えている。相棒のこともあるしな。

 

「事実を言ったまでよ。彼女達なら人間だったら致命傷、又は再生不可能なレベルの破損をしても修理すれば傷痕も、後遺症も残らずに元通りになる。腹に直径5.56ミリの鉛玉を1発食らっただけで死んでしまう脆い人間とは違わ」

 

「じゃぁアイツらを盾や捨て駒に使えってのかよ?」

 

「別にそこまでは言ってないわ。でも彼女達を守ろうとして人間が死んでしまったら意味がないわ。脆い人間の代わりに危険な戦場で戦ってくれるのが戦術人形なのに。彼女達を捨て駒に使えとは言わないけど情を入れ過ぎない方が良いと私は思うわ」

 

「ご忠告どうも。だが人間だろうが人形だろうが関係なく仲間を大切にするのが俺のモットーなんでな」

 

「あっそう。ま、そう言う考えは人それぞれだから私はその考えにとやかく言うつもりはないわ」

 

フェンはそう言って再びコーヒーを静かに啜った。

 

「でも修理する側からすると5.56ミリ弾とかで撃たれるよりはこう言った大口径弾で撃ち抜かれている方がやり易いわね。その壊れた部分ごと変えれば良いんだからね」

 

「じゃぁあの2人は足を丸ごと交換するのか?」

 

「ACRの方はさっきも言った通り太ももを撃たれて太ももから下を吹き飛んでいるから右足は丸ごと交換ね。AEK-999の方は膝から下だけ交換するわ」

 

「時間はかかるのか?」

 

「ただ破損した部位を外して新しいパーツを付けるだけだから1日か2日で終わるわ」

 

「それでも1日か2日はかかるんだな」

 

「他にも破損箇所が無いかとか新しく付けたパーツとの互換性は大丈夫かとか新しいパーツとの接続は問題ないかとか色々と確認したらしなきゃいけないからね。面倒だけど大切な作業よ」

 

「成る程ねぇ。あ、そう言えば相棒見なかったか?」

 

「相棒・・・?あぁ!あの新しく来た娘ね!俄には信じられない話だがとても興味があるわね。特に彼女・・いえ、あの話を信じるなら彼と言った方が良いのかしら?まぁとにかく彼のメンタルモデルがどうなっているのか是非とも調べてみたいわ。今度時間のある時に連れて来てくれないかしら?」

 

何だか興奮した様子で目を輝かせながら話すフェン。やはり技術者としては気になるか。まぁそりゃそうだろうな。だが大人しくコイツに相棒を渡したら何をされるか分かったもんじゃねぇ。最悪色々と研究の実験台にされた挙句バラバラに分解されるかもしれねぇ。

 

「悪いが相棒をアンタのモルモットにするつもりはねぇぞ」

 

「別にモルモットにするつもりは無いわ。勿論、何がどうなっているのか色々と気になるから彼を様々まで調べるけどそれも彼の為よ」

 

「相棒の?」

 

「えぇ。もし彼が戦闘とかで破損した時に修理しようと思っても何もデータが無かったら修理は出来ないわ。人形ごとに腕や足の長さや太さ、肌の色、胴の太さ、長さ、形、骨格とかは全部違うわ。事前に身体を調べとかないと修理した時に規格が全部バラバラのフランケンシュタインみたいなのが出来上がるわよ。それに1番気になるのは彼のメンタルモデルよ。普通の戦術人形とかならデータのバックアップを取っておけば例え破壊されても新しい身体さえ用意すればそれにデータを移植して復活させることが出来るけど、彼はそれが出来るのかどうかも分からないわ。それに、もしコレを解明することが出来れば凄い発見に繋がるかも知れないしね。まぁ兎に角、彼の為にも一度彼をここに連れて来てちょうだい」

 

「分かった。今度暇な時に連れて来る」

 

彼女も相棒の居場所は知らない様だしこれ以上俺がここに長居する意味も無いから俺は部屋から出ようとドアの方へ向かおうとしたが、フェンに呼び止められた。

 

「ちょっと待って。最後に意地悪な質問をしても良いかしら?」

 

「・・・何だよ?」

 

俺がフェンの方を振り返って聞く。フェンは座っていた椅子を回転させてこっちに向くと静かに言った。

 

「彼は、何だと思う?どっかのマッドサイエンストが作った緻密にプログラミングされた彼そっくりのただの人形なのか、それとも神の悪戯で魂を人形の身体に移植された人間なのか・・・どっちだと思う?」

 

「・・・俺は相棒を信じる。相棒は初めて会った時に「オレはケネス・サクソンだ」と言った。だから俺はアイツがケネス本人だと信じている」

 

「それは君のエゴなんじゃないの?相棒の死を受け止めることが出来ない君の」

 

「・・・・」

 

「あははははwごめんごめん。意地悪なことを言ってしまったわね。今の質問に答えはないわ。だから今貴方の言ったのも間違いではないわ」

 

「・・お前はどっちだと思うんだよ」

 

フェンはニヤリと笑ってから答えた。

 

「それを今から調べようとしてるんじゃない」

 

「それもそうだな。この質問は相棒にはするなよ。絶対に気にしちまうからな」

 

「分かっているわよ。私もそんな悪魔じゃないからね」

 

「どうだか」

 

俺は部屋から出ようとドアを開けた時また呼び止められた。

 

「最初の話に戻るけど、彼は少し前にここに来たみたいよ。ちょうど私が席を外していた時にね。2人をお見舞いに来たって一緒に来ていたSV-98が言ってたわ。まぁその後どこに行ったかは知らないけど」

 

「そうか情報どうも」

 

そう言って俺は部屋から出るとドアを閉めた。アイツ、見た目は美人なんだが少し苦手だ。俺とは違って戦術人形をただのロボットとして見ている様な感じだし。にしても相棒もここに来ていたのか。仲間を心配するのはアイツらしいな。SV-98を探してみるか?もしかしたら相棒の行き先を知っているかも知れねぇし。だがSV-98が何処にあるかも分からねぇし。やっぱり探すのは諦めるか。

 

「あ、そう言えば酒を奢るってことになってたな」

 

この任務が終わったら俺が相棒達に酒を奢るって言う話になっていたんだった。金あったけなぁ。と言うか結局誰が行くのか俺知らねぇんだけどもしかしてサヴェージチーム全員が来るとか言わないだろうな?それだと確定で俺の金が消し飛ぶぞ。俺は確認の為にポケットからスマホを取り出すと相棒にメールを打つ。元々この酒の話をしだしたのは相棒だからな。俺がメールを送信してから1分もしない内に返信が来た。

 

『スコットとヘイルは確定でヤンはもしかしたら来るそうだ。隊長(アラン)は仕事だとかがあるからパスだそうだ。因みに店はいつもの所だってよ。現地集合で集合時間は9時』

 

俺も合わせると4人プラマイ1か。スコットもだがそれよりヘイルが酒は大量に飲みがちだから注意しなきゃだな。店は行きつけのあそこか。まぁあそこは特段酒が高いって訳でもないし大丈夫だな。ヘイルも明日が休日って訳でもねぇしそんなに飲まないだろ。と言うか俺の知らないところで場所や時間を決めてしまうのやめてくれないか?俺は相棒に『分かった』と返信するついでに『そっちは今何処にいるんだ?』と聞いてみた。

 

『自分の部屋に居る」

 

あれぇ?さっき見に行った時は居なかったんだけどな。入れ違ったか。俺はスマホをしまうと相棒の部屋に向かった。

 

相棒の部屋の前に来た俺は「入るぞー」と言ってから部屋の中に入った。部屋の中に居た相棒は白色のパーカーを着ていた。下の方は黒色の長ズボンを履いている。まぁ当たり前だが可愛らしさとか女の子らしさとかは一切考えてない服装だ。もしこれで相棒が女の子らしいフリフリした可愛らしい服を着ていたら凄い驚いて混乱しただろうな。まぁ昔から相棒はパーカーをよく着ていたし予想は出来てた。

 

女らしさのない服装ではあるがパーカーが胸によって押し上げられておりそのせいで胸の大きさが強調されている。今朝俺が転けて相棒の胸を掴んでしまった時も思ったが結構胸が大きい。自然と俺の視線は相棒の膨らみの方に向いてしまう。

 

「おーい。何処見てんだよ」

 

気づかれない様にチラチラと見ていたつもりだったが気づかれた様だ。ニヤニヤと俺の方を見ている。

 

「悪い。つい気になって」

 

「そんなに気になるなら朝の時みたいに触らせてやっても良いぜ?」

 

「痴女じゃあるまいしあんまりそう言うこと言わない方が良いぞ。自分の体は大切にしろ」

 

「お前はオレの母親か。心配しなくても誰にでもこんなこと言っている訳じゃねぇ」

 

「いや俺にも言うなよ」

 

中身が相棒、男だと分かっていても見た目が美少女だからああ言った発言や動作をされるとドキッとしてしまう。多分相棒のことだからあんまりそう言うことは気にしていないんだろうな。

 

「そっちの準備は出来てるのか?」

 

「あぁ。金は用意できてる」

 

そう言いながら俺は財布の入っている右ポケットを叩いて見せた。財布の中に入っている分で多分大丈夫だろ。

 

「なら行こうぜ。そろそろ時間だ」

 

「俺の車か?」

 

「当たり前だろ。俺は車持ってねーし」

 

「それもそうか」

 

「にしてもこんなナリでBARに行って大丈夫かね?」

 

部屋を出て廊下を歩いていると相棒が突然そうなことを言った。

 

「ん?どう言うことだ?」

 

「ほら、今の俺はこんな見た目だからもしかしたら未成年と思われて出て行けって言われるかも知れないだろ?」

 

「うーむ・・・・・」

 

改めて相棒の姿を朝から頭まで全部見る。確かに今の相棒は身長が男だった時よりもだいぶ低くなって今は168センチくらいだ。確かにパッと見は未成年に見えなくもないかも?だが20歳ですと言っても怪しまれないんじゃないだろうか。

 

「まぁ大丈夫だろ」

 

そもそも今の世の中未成年でも酒を飲んでいる奴らはそこら中にいるしな。そんなかんじで何気ない会話をしながら俺達は俺の車の停めている駐車場へ向かった。俺の愛車、シェルビーマスタングGT500に乗って街の繁華街の一角にある小さなBARへ向かった。少し離れた所にある駐車場に車を止めてから少し歩きBARの店内に入ると既にヘイルとスコットがいて酒を飲んでいた。

 

「よぉ遅かったな。2人でイチャイチャしてたのかー?」

 

俺達が来たことに気がついたスコットが冷やかして来るが無視する。こう言うのは反応したら負けだ。俺がヘイルの横に座ると相棒は俺の横に座った。俺は店員に「ジャックダニエル ブラックを」と頼むと相棒も「同じのを」と言った。俺も相棒とそこまで凝った酒は飲まない。と言うか酒にそこまで強いこだわりがない。店員は慣れた手つきでガラスに酒を注ぎ俺達の方に出して来た。相棒はガラスを手に取り一口飲んだ。

 

「・・良かった。旨い。こんな体だから酒が飲めなくなっていたらどうしようかと思っていたんだが大丈夫みたいだな。安心したよ」

 

俺にしか聞こえない様な音量でそう言うケネス。あーそうか。女に、それも戦術人形のなったから酒が飲めなくなっているかもって心配してたのか。

 

「そりゃ良かったよ。また一緒に酒が飲める」

 

「だな」

 

そう言って俺と相棒はお互いのガラスを軽くぶつけた。

 

 

その後、久しぶりに相棒と酒が飲めたことに気を良くした俺はいつもよりハイペースに飲んでしまい早々に酔い潰れてしまうのだった。




貴方でしたらカプセルの中に入れられている裸の戦術人形が居たら見ますか?それともマイクと同じ様に目を逸らしますか?私は見ちゃうと思いますね。

そして新キャラのリアニー・フェン登場です。ドイツ人です。私個人の考えですが白衣を着た女性って凄く魅力的だと思います。更に私メガネを掛けたキャラも好きなので技術者や研究者と言ったらメガネ。と言う安直な発想からフェンにもメガネを付けました。恐らく今後の登場回数は少ないと思いますw

それでは、次回もお楽しみに!

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