セイバーオルタRPガチ勢が行く   作:サレナルード

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 えっ、オバロ二次でほぼ同時期にセイバーオルタ(ロールプレイ)を主人公にして投稿してる人がいる?····あああああああネタ被ったあああああ!!!
 だ、大丈夫だ。私はナザリック勢にいるセイバーオルタを書いているからセーフのはず!

 まぁそれよりもっと前からオバロにセイバーオルタ登場させてる人いるんですけど。
 だがそれもナザリック勢じゃないからノーカウント!ノーカウントなんだ!

 おい、まじかよ、夢なら覚め


第二話 転移

「これは····どういうことだ」

 

 声が聞こえた。先程まで聞こえていた声と同一人物によるものだったが、それはマイクを通したような声ではなくよりクリアでよく通る声だった。

 

「なん、で」

 

 終わると同時に閉じた視界を開くと、そこには変わらず王座の間が広がっており目の前にはプレアデスとアルベドが跪き、隣には彼女がいた。

 

「モモンガ」

 

 彼女が名前を呼ぶ。その声は終わり際に見せた優しいものではなく普段通り冷徹なものであったが、少なからず動揺を含んでいるようだった。

 

「は、はい」

「コンソールを開けるか」

 

 彼女に言われ試してみるが、ダメ。

 虚空をつつくだけで反応はない。それに今気付いたが、視界の端に表示されるはずの自身のHPやMP、時間などといったUIが軒並み表示されなくなっている。

 まるで“現実世界の視界”のように。

 

「····ダメ、ですね」

「私もだ。GMコールやチャット、挙げ句に強制終了すら出来ない」

「サイバージャック····でしょうか」

「可能性としてはな。だが、よく見てみろ。これは最早、サイバージャックというレベルではない」

「え?なにを····ッ!」

 

 原因不明の事態に動揺して目がいかなかったが、彼女をよく見ると、彼女が声を発する度に“口が合わせて動いている”ことに気が付いた。

 

「外部からゲームにハッキングして、機能を制限しているのならまだ分かる。だが、元々無かった機能を瞬時に搭載させることは不可能だ」

 

 ユグドラシルはフルダイブ型のゲームではあるが、サービス開始から既に長い時を過ぎている。

 それ故に最新型のゲームと比べて技術が劣る部分が多くあり、中でも表情や口の動きのリアルタイム反映は、多くのアップデートを重ねてきたユグドラシルでも不可能だった。

 

 文字通り、唖然。

 サイバージャックだろうとアップデートでの退去もなくそんな機能を実装するのは、今の現代技術では考えられない。

 

「それに、気付いているか?」

「····え?」

 

 訳が分からない事態の連続に混乱している中に、彼女が更にぶちこんできたのは、もはや自分の脳では処理しきれないものだった。

 

「····面を上げろ、()()()()

 

 

 

 

 

 

「はい、セイバーオルタ様」

 

 

 

 

 

「―――ッ!」

「やはり、な」

 

 どういうことだ。彼女がアルベドに命令すると、アルベドが顔を上げた。

 だが問題はそこではない。ボイスコマンドによってそういう行動をするようにマクロを組むことは出来る。

 だが表情を変え、口を動かし、命令した人間に返事をするなどNPCに出来るはずがない。

 

「アルベド、GMコールがきかないようだ。何故だか分かるか?」

「····お許しを。無知な私ではGMコール、というものに関してお答えすることが出来ません。ご期待にお応えできない私に、この失態を払拭する機会をいただけるのであれば、これに勝る喜びはございません。何とぞ、何なりとご命令を」

 

 間違いない。“会話”している。

 

「ふむ····いい、下がれ」

「はっ」

 

 彼女の命令にアルベドは一歩下がると、先程のように跪いた。『ひれ伏せ』などとは言っていないはずなのに。まるで、自分で考えて判断したようにも思える。

 いや、まるで、ではない。これは····。

 

「モモンガ、私が考えていること····分かるな?」

「····はい、おそらく私も考えていることは同じでしょう」

 

『これは、ゲームではなく現実である』

 

 ◇◆◇◆◇

 

「――ではセバス、アルベド。頼んだぞ」

「はっ、承知いたしました。我らが主よ」

「畏まりました。全ては至高の御方々の御心のままに」

 

 私とモモンガがそう判断してからは早かった。

 まずはモモンガがナザリック周辺の調査及び防衛のため、セバスと一部プレアデスを動員。

 次に現状確認のため、防衛に回す者以外の階層守護者を第六階層の円形闘技場(コロッセウム)に集結させるようアルベドに命令した。

 

 やはりモモンガは頭の回転が早い。私が助言するよりも早くNPCが動きだし我々に忠誠を誓っていることを察して、あえて支配者然とした威圧的な態度で命令した。

 所々考えなしの時もあるが、それをもって有り余る機転の良さ。

 企業で揉まれたお陰でもあるだろうが、小卒でこれなのだからまともな教育を受けていればどうなっていたことか。

 そうだったら()()()()にスカウトしていたのだが。

 

「オルタさん。とりあえずはこれで大丈夫でしょう」

「そうだな。なかなか様になっていたではないか」

「はは、オルタさんほどじゃないですよ」

 

 そう言ってモモンガは立ち上がり、手を伸ばしては握ったり振ったり、自分の身体を確かめるように見た。

 

「うわぁ····完全に骨になってますよ。これ、どうやって動いてるんでしょうね」

「大方魔力で動いているのではないのか」

 

 どうやら現実になったことで骸骨のアバターから本物の骸骨になったことに、ショックを感じているらしい。どうやって動いているのかなどと好奇心はあるらしいが、それも遠い目をしながらでは現実逃避にしか見えない。目は無いが。

 

「なるほど····あ」

「む、どうかしたか?」

「あー、いや····何でもないです····」

「そ、そうか」

 

 何でもないというわりには、なにか“とても大切にしていた相棒”を無くしたかのような落ち込み具合だった。

 なんとなく触れてはいけない気がしたので、深くは追及しないことにした。

 

「····コロッセウムに行きましょうか。スキルとか魔法とか、どうなっているか気になりますし」

「大丈夫か?」

「大丈夫じゃないですけど大丈夫です····」

 

 そう言ってモモンガは、後悔を断ち切るように転移したので、私も後を追うようにRoAOGで転移する。

 

 ふむ、なんだったのだろうな?

 

 ◇◆◇◆◇

 

「戻れ、レメゲトンの悪魔たちよ」

 

 コロッセウムについて早速、モモンガは防衛設備の数々を試していた。

 先程元の持ち場に戻ったのは、超希少金属を用いて作り出されたゴーレムたち。いかにも屈強な体躯の割には、軽やかな動きでタックルやストレートを繰り出していた。

 

「ゴーレムも問題無いようだな」

「ええ。今のところ確認できたところで、アイテムボックス、スキル、魔法に加えて、ゴーレムも問題なく機能していますね」

 

 コロッセウムで試せる範囲ではあるが、大体はゲームの頃と変わらず使用できた。

 だが、変わっている所も少なくない。

 

「しかしスキルや魔法の発動がイメージとは。ちょっとワクワクしますね」

 

 そう、今まではアイコンをクリックして発動していたスキルや魔法が、イメージひとつで使用出来るようになっていた。

 もちろん習得しているものしか使用出来ないが、それでも今までクリックして発動させていたものが手放しで使えるというのは、もはや革命と言ってもいい。

 それだけ隙が無くなるのだから。

 

「たしかモモンガは魔法を700以上習得していなかったか?」

「正確には718ですね。いやー、暗記しといてよかったです」

 

 718。

 これは一般的な魔法詠唱者の習得数の倍以上で、無駄に凝った名称や効果のせいで一般プレイヤーは50暗記するだけでも大変だというのに、モモンガは習得している魔法全てを暗記している。

 私も暗記や学習することは得意な方だが、700以上の魔法を暗記しろと言われれば馬鹿を言うなとしか返せない。

 こう言ってはなんだが異常だ。

 

「でも、同士討ち(フレンドリーファイア)は痛いですね····特にオルタさん」

「むぅ····仕方あるまい」

 

 良くなったところもあれば、悪くなったところもある。それが同士討ちが有効になったことだ。

 今までは味方にはダメージが入らないことをいいことに、バカスカ『剣』を振るっていたが、これからはキチンと射線を確保しなければならない。

 

「っとー!遅れて申し訳ありません!モモンガ様!セイバーオルタ様!」

 

 と、モモンガと話しているとコロッセウムの貴賓席から飛び降りてきた人影が。

 誰だと思い振り返ると、そこには第六階層守護者、双子の姉の方『アウラ・ベラ・フィオーラ』が跪いていた。

 

「アウラか。マーレはどうした?」

「ああっ!申し訳ありません!ほらっ、マーレ!早く降りてきなさい!至高の御方々をお待たせする気!?」

 

 モモンガがアウラに訪ねると、アウラは未だに貴賓席から降りられない第六階層守護者、双子の妹の方····ではない。“弟”の方『マーレ・ベロ・フィオーレ』に叫んだ。

 

「うぅ····無理だよお姉ちゃん····」

 

 マーレは杖を手に、地面を見つめて青ざめていた。

 貴賓席と地面の距離を見れば、それなりに高いため怖がるのも無理はない。

 

「すいません、あの子ちょっと臆病なので····決してわざとこのような失礼な態度をとってるわけじゃないんです」

「無論、了解しているともアウラ。私はお前たちの忠誠を――」

 

 

「ほう、ならばさっさと連れてくるがいい。それとも私が手を貸してやらねばならんか?」

「――ッ!いっ、いえ!すぐに連れてきます!」

 

 私が『剣』を片手に威圧的に言うと、アウラはマーレの下へ脱兎の如く飛んでいった。

 

「ちょ、オルタさん。そんなに強く言わなくても····」

「甘いなモモンガ。たしかに貴様の接し方でもいいだろうが、まだNPCの忠誠が真実であるとは分からないのだ。表面上だけの可能性もある。多少、恐怖で縛るのも支配者というものだろう」

「それは····そうですが」

 

 実際は、彼女らが裏切ることは無いだろうと思っている。王座でのアルベドやセバスたちプレアデス、そして先程までいたアウラなどのNPCの視線や表情から伝わるのは、嘘偽りない忠誠心だ。

 

 裏切る者はすぐに分かる。リアルでそういった産業スパイや裏社会の人間を、()()()イヤと言うほど見てきたからだ。

 

 だが、万が一に備えて恐怖を与えるというのは悪くないだろう。もしかしたら、こちらへの忠誠心が“強さ”という所に依るところがあるかもしれないからだ。

 下手な所を見せて忠誠を無くされては困る。

 

「なに、貴様はそのままでいいだろう。無理に演じる必要もあるまい」

 

 演じようとしてボロを見せるよりは、モモンガには元来の性格通りにしていてもらった方がいい。

 汚れ役、などと格好つける訳ではないが、そのほうが明確に役割が分かれてやりやすい。

 

 それに、無駄に優しいセイバーオルタなど演じたくもない。

 

「そら、アウラとマーレが来るぞ。そんな顔をするな」

 

 前方からアウラがマーレを担いで走ってきていた。

 

「モモンガ様ー!セイバーオルタ様ー!お待たせしましたぁー!!」

「う、うわぁ!降ろしてよお姉ちゃん~!」

 

 

 姉に振り回される弟という光景に、少し『ぶくぶく茶釜』と『ペロロンチーノ』を幻視した―――

 

 

 

 

「オルタさん····」

 

 

 

 

 ―――モモンガの複雑な思いを込めた呟きに、聞こえなかったふりをして。




 二人だったから検証は原作よりさくさく終わったということで。
 まだまだ試すことはあるけど、それは次回以降。

 あと書いてから気付く。
 レメゲトンの悪魔(ゴーレム)は、コロッセウムにいたわけではないと。

 どんどん投稿したいけど時間ががが

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