今気づいたので再投稿しました。
(まさか助けた子が桜だったなんて。てっ今はそんなことより)
「投影開始」
桜から目線を外し、赤い外套を投影してすぐに桜に突き出した。
「?」
桜は不思議そうに首を傾げる。
「これを着てくれ。頼むから。」
恥ずかしそうに士郎は言う。
「あっ」
桜は今になって自分の状態に気づき顔を赤面させた。
二人の間に流れる思い空気。その空気を断ち切ったのは士郎であった。
「あのさ、そのさっきの奴らって君のことを追っていたのか?」
「はい」
桜は暗い雰囲気で返事をした。
「そっか」
士郎もまたやはり聞くべきではなかった。そう後悔していた。
またもや重い雰囲気になっきた。この雰囲気を断ち切ったのは士郎ではなく桜であった。
「あの、どうして私を助けてくれたんですか?」
桜はずっと疑問に思っていたこと聞いた。
それに対して士郎は
「別にただ目の前の人が襲われていたから俺は助けただけだぞ」
あっけらかんと普通の人には出来ないことを、さもありなんといったふうに返答するのであった。
そのことに桜は驚きその少年の異常性に気づくのであった。
そしてまた自身が彼に心惹かれていることにも気づいてしまった。
しかし桜は
(ダメ。私がこの人を好きになったら助けを求めちゃう。きっと彼は私の為に命がけで助けに来る。そんな事になったら叔父さんに気付かれ、殺されてしまう。そうしたら私は今度こそ私が私じゃなくなっちゃう。)
そう悩んでいる桜の横で士郎もまた考えごとをしていた。
(桜とこんなに早く会うのは予想外だぞ。本当だったらセイバーか他に協力してくれそうな英霊と協力して桜の助けを求めようと思っていたのに。どうする?今の俺には間桐臓硯を倒せる力何てないぞ。さっきの蟲達だって運良く奇襲が通じたから勝てたが、もし失敗してたら乱戦になり桜を救えなかったかもしれないのに。けど、だからと言って見捨てて良いなんて理由にはならない。それに俺は何のためにここへ来たんだ。そうだ、俺は皆を助けるためにここに来たんだ。そして今すべきことは…)
「桜ちゃん。この話は出来るだけしたくなかったんだけど、しなくちゃいけないんだ」
その言葉に桜は不思議そうに反応する。
「何ですか?」
「君の体、つまり君の中に植え付けられている『刻印虫』の事について何だ」
桜に動揺が走る。
間桐の家の人間しか知らない事を間桐とは関係のない人間、自分とそこまで歳の変わらない少年に言われた事に動揺したのだ。
その瞬間無意識に彼を警戒してしまった事に後悔した。
何故なら彼は桜の無意識でしてしまった警戒に気づき、悲しみに溢れている気持ちを桜のことを思い、耐え、必死になっていったのだ。
「ごめんな、こんな話になって。」
その言葉を聞いた桜は桜自身への憤りを感じた。
「それでさ、俺がこのことを知っている理由なんだけど。その赤い外套を渡したときに癖で桜ちゃんのことを解析しちゃったんだ」
「っ」
桜は自身が彼を無意識でも疑った事に恥ずかしく思った。
それをまるで心を読んだかのように士郎が
「別に俺は初めて会って、いきなり自分の秘密を知っているのなら俺だって警戒する。だからさ、桜さっきのことは気にすんな」
本当は自分が一番傷ついているはずなのに自分のことを気にかけてくれる。そんな彼にますます惚れてしまっている桜は気づけなかった。
あってまもないしかも自身の秘密を知ってしまった少年が何故、少しは感情を出す様になったばかりの少女のしかも彼女さえ無意識の警戒に気付き、あそこまで悲しそうな顔をしていたのかお。
「まあ、何だ俺には君を助けられる技がある」
「っ」
桜はびっくりしていた。自身の状態を見抜き、さらに助けられると言うのだから。
「しかし」と少年は言った。
「条件がある」
「条件?」
「ああ条件だ」
「条件って、いったい何なんですか?」
「何簡単さ、条件っていうのはな」
「条件ていうのは?」
ごくりと唾を飲む。
「俺を『信じる』かだ」
「へ?」
ぽかんと思わず間抜けな声が出た。
「はっきり言うがこれは冗談じゃなく本気だ」
士郎の目は真剣そのもので一切桜を謀るつもりはなかった。
そして桜もそれを理解し、頷いた。
「さてと、じゃあ早速桜の中にいる『刻印虫』の位置を把握するか。じゃあ行くぞ」
「はい」
「ーーー同調、開始」
「ーーー基本骨子、解明」
「ーーー構成材質、解明」
「見つけた!さて、ここからが本番だ。準備はいいな?」
「はい」
「ーーー投影、開始」
「ーーー創造理念、鑑定」
「ーーー基本骨子、想定」
「ーーー仮定完了。是、即無他」
「こい、『破戒すべき全ての符』」
現れたのは『裏切りの魔女』が使う武器。歪な形をしたナイフで桜に向け、問いかける。
「どうする、やめるか?」
桜は意を決したように首を振る。
「わかった。いくぞ。」
ブスッ。桜に『破戒すべき全ての符』が刺さる。そこから「クシャァァー」と蟲の断末魔が聞こえ、そして消えた。
「これで終わりだ、お疲れ様。桜」
そう言って桜の頭を優しく撫でる。
桜は恥ずかしそうにでも嬉しそうに反応した。
そして士郎は桜の頭から手を外し桜の前に手を出し言う。
「これで俺もお前も臓硯に追われる身だ。だからさ桜俺と一緒に逃げないか?」
桜は頭から手を外された事に名残惜しさを感じるも、士郎の言葉を聞いて内心笑顔でしかし上手く笑えず歪な笑顔で、
「はい」
そう答えた。
そんな笑顔を見た士郎は
(守りたいこの笑顔。)と少しロリコンの可能性を見せつつ、
「ああ」
と答えた。
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