音楽好きとスクールアイドル。Zero to One   作:はくたか

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田野アサミさん結婚おめでとうございます!


第25話 見せつける

「…ふぅ。」

 

 

地区大会当日を迎え、鹿角家の三兄妹は楽屋にいた。律は缶コーヒーを飲みながらスマホを見ている。

 

 

「…ん、Aqoursが会場に着いたってよ。迎えいってくる。」

 

「わかりました。寒いのでお気をつけて。」

 

 

律は立ち上がり…イヤホンをしている理亞の頬に缶をピタッとつけた。

 

 

「あっつ!!何するの兄様!」

 

 

そしてイヤホンを外し、耳元でそっと呟いた。

 

 

「大丈夫。今までやってきた事を信じて。私もいる。」

 

「兄様…」

 

「ごめんな邪魔して。ちょっと出てくる。」

 

「うん!」

 

 

楽屋の外に出ると理亞からメッセージが。

 

 

[兄様、緊張ほぐしてくれてありがとう!]

 

 

律は缶コーヒーを飲み干し、Aqoursのもとへ向かった。

 

 

「大丈夫だよな、きっと…」

 

 

 

 

 

 

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その頃Aqoursメンバーは、律が来るのを待っていた。

 

 

「律くん、もうすぐ来るって。」

 

「寒いずら…」

 

「あっ、来たよ!」

 

 

律が走ってやってきた。

 

 

「皆、久しぶり!」

 

「久しぶり!元気そうで安心したよ。」

 

「おかげさまでね。ささ、案内しますよ。」

 

「え、どこにずら…?」

 

「会いたくない?Saint Snowに。」

 

 

律に案内され、Aqoursのメンバーは楽屋の前までやってきた。

 

 

「聖良?Aqoursの皆を連れてきた。」

 

「ありがとうございます。入ってください。」

 

「失礼しま〜す…」

 

「お久しぶりです。」

 

「ごめんなさい、本番前に…。」

 

「いいえ、今日は楽しんでいってくださいね。皆さんと決勝で戦うのは、まだ先ですから。」

 

「はい。そのつもりです。」

 

「もう決勝に進んだ気でいるの?」

 

「ものすごい自信ずら。と、ものすごい差し入れずら…。」

 

「お2人とも、去年の地区大会も圧倒的な差で勝ち上がってこられたし…。」

 

「もしかしてまた見せつけようとしてるんじゃないの?自分たちの実力を。」

 

「果南ちゃん…その発言、取り消して。」

 

「え?」

 

「発言を取り消せって言ったんだよ!」

 

 

律は果南の胸倉を掴んで睨みつけた。

 

 

「実力を見せつけて何が悪い?私達は生半可な気持ちでやってない!もちろん、Aqoursの皆もそうだと思うけど、スクールアイドルは遊びじゃないんだよ!」

 

「律!落ち着いてください!」

 

「ご、ごめん。取り消すよ…。」

 

「…こっちこそごめん。カッとなってしまった。」

 

「…Aqoursは格段にレベルアップしました。今は紛れもない優勝候補ですから。」

 

「優勝候補…」

 

「あの時は失礼な事を言いました。お詫びします。次に決勝で会う時は…Aqoursと一緒に、歴史に残る大会にしましょう!」

 

「はい!」

 

 

千歌と聖良は固く握手を交わした。

 

 

「じゃあ私はこれで失礼するよ。」

 

「律くんどこ行くの?」

 

「帰る。」

 

「え、ちょっと…」

 

 

言葉を遮るように、律はドアを閉めた。

 

 

「…すみません、うちの兄が…。」

 

「律くんがあんなに怒るところ、初めて見たずら。」

 

「果南さん、あなたも言い方を考えてください。」

 

「ごめん…。」

 

「じゃあそろそろ本番ですので、私達は席に行きましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…もしもし。どうしたルビィちゃん?…え?ごめん、もう1回言ってくれる?…優勝はSugar wing?わかった、教えてくれてありがとう。」

 

 

ルビィからの電話が切れたと同時に扉の開く音がした。

 

 

「兄様!!ごめんなさい!!私のせいで…私のせいで…!」

 

「理亞!」

 

 

律は理亞を思い切り抱きしめた。

 

 

「私がミスしたせいで…全部台無しにした…!!」

 

「…理亞はよく頑張ったよ。今は泣いていいから。」

 

「うん…ごめんなさい…!!」

 

「謝らなくていいよ。よく頑張ったね。」

 

 

理亞が泣き疲れて眠るまで、律は慰め続けた。

 

 

「何か出来ないかな…。」

 

 

律は考えた。理亞のために何か出来ないか。しかし、何も浮かばず、そのうち彼も眠りについた。

 

 

 

 

 

 

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数日後

 

 

 

「ライブ!?」

 

『兄様声大きい!』

 

「すまん。」

 

『それで、律さんに協力して欲しいんです!』

 

「ルビィちゃん!?」

 

『声大きいってば!音割れてる!』

 

「ごめん。」

 

『兄様、協力してくれる?』

 

「もちろんだよ。喜んで。」

 

『ありがとう!』

 

『よろしくお願いします!』

 

 

 

 

 


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