昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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#90 スナイパー・ユニ

「ユニ様は行かないんですか?」

 

 

 ファミ通は動き出さないユニに質問をする。

 

 

「ここから狙撃するわ」

 

 

 ユニがそう言うと、その手にライフルが現れる。

 

彼女は銃器の扱いに長けており、長距離からの射撃が主な攻撃手段だ。

 

その為、ユニの携帯倉庫のポケットの中には、銃器の類と弾丸が大量に収められている。

 

射撃攻撃は単純な威力は近接攻撃に劣るが、弱点をピンポイントで狙った攻撃は、時に近接攻撃よりダメージが出る。

 

このライフルはネプギアの改造により、モード変換で長距離狙撃、機関銃、散弾、ビーム射撃がこなせるハイスペック銃である。

 

 

「ええっ! この距離から? 敵なんて影も形も見えませんよ?」

 

 

 

 驚くファミ通に、「ユニ様の狙撃は超一流よ。見てなさい」とアイエフが、「百発百中です~」とコンパが自信満々に言う。

 

 

「でも、見えない敵をどうやって狙撃するの?」

 

 

 ファミ通の疑問に、「これよ」とユニは銃に大型のスコープを取り付ける。

 

 

「そのスコープはプラネテューヌ製ですね」

 

 

 イストワールは、ユニの取り付けたスコープがプラネテューヌ製であることに気付く。

 

 

「はい、ネプギアに誕生日プレゼントで貰ったんです。悔しいですけど、照準器の性能はプラネテューヌが一歩上ですね」

 

 

 ユニは目上の者には礼儀正しい。

 

女神であるユニにとって、イストワールは目上と言うわけではないが、人生の先輩である。

 

尊敬する姉も、イストワールの政治手腕を高く評価しているので、尊敬の念を持って接している。

 

 

「例によって改造済みですか?」

 

 

 イストワールは、ネプギアの魔改造を子供のイタズラのように苦笑交じりに言う。

 

 

「ええ、私に合わせてかなり細かい調整してくれたんですよ」

 

 

 ユニはイストワールと話しながら、スコープとゲーム機をコードで繋げる。

 

 

「ユニちゃん、今EWAC【イーワック】で、そこから6キロ先に敵を確認したよ」

 

 

 ユニのゲーム機から、ネプギアの声がする。

 

彼女達が持っている携帯ゲーム機には、ハンズフリーで使用者の声を拾って通話できる機能が備わっている。その為、ケースやポシェットに収納した状態でも会話が可能なのだ。

 

 

「オッケー」

 

 

 ユニがそれに答えると同時に、ゲーム画面がレーダー画面になり、無数の赤い点が三十個以上表示される。

 

 

「この数……恐らく、フェンリルの手下ね」

 

 

 ユニの言う通り、レーダーの端にモンスターの姿がCGで描かれていた。

 

その姿は、先程イストワールが見せたフェンリルの小型版と言ったところであった。

 

 

「ファミ通、このスコープ覗いてみて」

 

 

 ユニがそう言うと、ファミ通が銃のスコープを覗く。

 

 

「おおっ、敵の姿が見える。どうして? 敵は6キロメートルも先ですよね?」

 

 

 スコープの中には小型の狼の姿がバッチリ捉えられていた。

 

CGではあるが、リアルタイムで動くその狼の姿にファミ通は驚きを隠せない。

 

 

「ネプギアが前衛で敵の細かい位置を確認して、そのデータをスコープとリンクさせて敵の姿をCGで映してるのよ。細かい計算とかはネプギアが作った機械が全部やってくれるわ」

 

 

 ユニは、驚くファミ通にイタズラっぽくウインクすると、簡単な説明をする。

 

ネプギアンダムが空から大まかな偵察をした後に、ネプギアが実際に接近して詳細なデータを入手するのだ。

 

 

「なるほどなるほど。ネプギア様の偵察のおかげでユニ様の射程が伸びるんですね」

 

 

 ファミ通は、例によって取材のメモを取る。

 

 

「ええ、アタシはお姉ちゃんともクエストに行くんだけど、その時はお姉ちゃんをサポートするのが精一杯だけど、ネプギアと一緒の時は自分の実力以上の力を出せる気がするわ」

 

 

 ユニは、嬉しそうにネプギアとの連携の凄さを、ファミ通に伝える。

 

 

「まぁ、単にお姉ちゃんが凄すぎて、いいところ全部持ってかれちゃうだけなんだけど」

 

 

 そして最後に自分の姉のアピールを忘れない。

 

 

「さて……地形データからすると狙撃ポイントはここね」

 

 

 ユニは携帯ゲーム機を見ながら移動する。

 

ネプギアンダムから得られた地形データと、敵の配置を考慮して最適な狙撃場所を選んだようだ。

 

次に伏せ撃ちの態勢を取り、銃を銃身に付いた二脚のバイポッドで安定させると、その横にゲーム機を置く。

 

そして、スコープを覗き込みレティクル動かして、CGで描かれた狼の一匹を照準の中央に入れる。

 

 

「ターゲットロックオン」

 

 

 敵影を完全に捉えたユニは自信満々にそう言うと、「ネプギア、敵を捉えたわ。アタシはいつでもいいわよ」とゲーム機の通信機能でネプギアに伝える。

 

 

「ちょっと待って、今ロムちゃんとラムちゃんが準備してるから」

 

 

 ネプギアがユニに応答すると、「ネプギアさん、みなさんにも戦況を伝えたいので、私にもリンクしていただけますか」とイストワールがユニのゲーム機に向かってネプギアに話しかける。

 

 

「わかりました」

 

 

 ネプギアがそう言うと、イストワールがキーボードを叩く。

 

いつものようにホログラム画像が出ると、ユニのゲーム機と同じようにレーダーとモンスターの情報が出て来た。

 

ネプギアのNギアとリンクしたデータをホログラムで映し出したのだ。

 

 

「おおー、これで取材が捗ります」

 

 

 状況が分かりやすくなって嬉しそうなファミ通。

 

 

「ところで、いーわっくってなんですか?」

 

 

 コンパは先程ネプギア言った、EWAC【イーワック】のことが分からず首を傾げる。

 

 

「イーワックとは、Early Warning And Control【アーリー、ワーニング、アンド、コントロール】)の略です」

 

「あーりーわーにんぐ……?」

 

 

 イストワールの説明に首を傾げるコンパ。

 

流石にこれだけでは理解できないようだ。

 

 

「早期警戒管制と呼ばれ、周囲の敵を探知・分析して味方にその情報を与えるシステムです。簡単に言うと、高性能な全周囲レーダーですね」

 

 

 続けて説明するイストワールに、「何となくわかりましたー」とコンパは答える。彼女でも少し理解できたようだ。

 

ただ、あんみつは首を傾げながら、「よくわかりませんが、機械というのは便利なものですね」と答える。

 

 

「主な効果ですが、EWACで敵を捕捉することで、味方の命中、回避に補正を与えることができます。又、今回のネプギアさんとユニさんのように連携すれば後方射撃の射程を伸ばすことも可能です」

 

 

 イストワールが説明すると、「ネプギアのNギアに付いてるのよね多分。どこまで高性能なのアレ……」とアイエフがNギアの高性能さに溜息を出す。

 

 

「このデータはネプギア様が偵察をされた効果ってことですね」

 

 

 ファミ通がデータの解釈をすると、「さっきも見せたけど、このスコープにもリンクしてるから、この距離でも丸見えよ」とユニがスコープを覗きながらそれに追加をするように言う。

 

 

「ユニちゃん、こっちの準備はできたよ」

 

「ばっちり(びしっ)」

 

 

 ユニのゲーム機から今度はロムとラムの声が聞こえてくる。

 

 

「了解。15秒後に射撃を開始するわ」

 

 

 ユニはそれに答えるとスコープ内で照準を確認する。

 

 

「わかった、お願いね」

 

 

 ネプギアがそう言うと通信が切れる。

 

 

「ふんふん……敵の群れに対して、最前線にネプギア様とプラエちゃん、その後ろにロム様とラム様、そしてその後ろにユニ様って配置だね」

 

 

 ファミ通はレーダーと、ドローンから送られる画像を見ながら敵味方の配置を確認する。

 

 

「敵の数が大分多いけど大丈夫かな?」

 

 

 少し不安そうに言うファミ通に、「心配無用よ。この程度なら十分もあればカタがつくわ」と自信満々で言い切るアイエフ。

 

 

「前のマークツーストライクみたいな大技があるの?」

 

 

 ファミ通の質問に、「ないこともないですけど、使うまでもないですー」コンパが、「この子たちの連携は私やコンパより上よ。刮目してなさい」とアイエフが答える。

 

すると、「あいちゃん、ねぷねぷみたいです~」とコンパが微笑む。

 

二人の女神候補生達への信頼は厚いようだ。

 

 

「そろそろ時間です。静かにして下さい」

 

 

 イストワールの言葉で全員が静まり返る。

 

その数秒後のユニの人差し指が銃のトリガーを引く。

 

 

ズキューン!

 

 

 ネプギアとの通信から、きっちり15秒後に銃声が鳴り響く。

 

 

「どう……なったの?」

 

 

 銃声だけでは何も理解でなかったファミ通が声を出す。

 

 

「画面を見て下さい」

 

 

 そんなファミ通にイストワールがホログラム画面を指差す。

 

画面の端のCGで描かれた狼型のモンスターが射撃の衝撃で吹き飛んでる姿が映っていた。

 

ダメージも表示されており、904もの大ダメージを与えていた。

 

 

「すごい! この距離で当てるなんて!」

 

 

 興奮しながらメモを取るファミ通。

 

 

「しかもヘッドショットよ」

 

 

 ユニが自信満々に付け加える。

 

ヘッドショットとは名前の通り頭に弾を当てることで、大抵の相手に大ダメージを出すことが出来る。

 

射撃攻撃はただ対象に当てるだけではなく、ヘッドショットなどの弱点に命中させるのが重要なのだ。

 

今回は長距離狙撃によるハイドアタックとヘッドショットの組み合わせで大ダメージが出たのだ。

 

 

「赤い点が一個消えたですー」

 

 

 敵の倒したことでレーダーの敵反応が一つ消える。

 

コンパは嬉しそうにそれを解説する。

 

 

「流石はユニ様」

 

 

 腕組みして感心するアイエフ。

 

 

「どんどん行くわよ!」

 

 

 ユニは銃を動かすと、次のターゲットに狙いを定める。

 

長距離狙撃な上に、前衛にはネプギア達がいるので、敵の接近を心配せずに済むので狙撃場所を移動することは無い。

 

 

ズキューン!

 

 

 再びユニの銃が火を噴く。

 

 

「また当たった……」

 

 

 レーダーの赤い点の消滅で命中を確認して驚くファミ通。

 

先程と同じく、ヘッドショットとハイドアタックを組み合わせた905の大ダメージで狼が一体戦闘不能になる。

 

 

「そろそろ、向こうも動くかしらね」

 

 

 ユニの言う通り、レーダの赤い点がこちらに向かって来ていた。

 

狙撃に気付いた狼の群れが、弾の飛んで来る方向と音を聞き分けて、襲い掛かって来たのである。

 

 

「わわっ! 速いです~」

 

 

 そのスピードの驚くコンパ。

 

 

「大丈夫、ネプギア達がいるわ」

 

 

 それに対して冷静に構えるアイエフ

 

 

「ファミ通は、取材の為にネプギア達の後を追った方がいいわよ」

 

 

ズキューン

 

 

 ユニも慌てる様子もなく、狙撃を続ける。

 

その狙いは正確で、こちらに向かって走っている狼にも問題なくヘッドショットで命中をしていた。

 

気付かれたのでハイドアタックはなくなったが、それでも506の大ダメージが出ていた。

 

 

ズキューン

 

 

 更にもう一発弾を放つユニ。

 

先程と同じ狼にヘッドショットを当てて、489のダメージを与え戦闘不能にする。

 

 

「うん、そうするよ」

 

 

 ファミ通はユニの言う通り、ユニ用のドローンを一体その場に残すと、ネプギア達の居る方向に走り出す。


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