昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
ビービービー!
ネプギアの右太ももに付いた、ホルスターに入っているNギアから警報音が鳴り響く。
「ネプギアンダムから緊急警報! エリア内に巨大反応接近! パターン赤。ターゲットのモンスターだよ」
ネプギアは、Nギアからブレイン・マシン・インターフェイスを通じて伝達された情報を全員に伝える。
上空のネプギアンダムがボスの接近を捉えたのだ。
「速い!?」
レーダーで敵の動きを追っていたユニは、敵の速度に驚きの声を上げる。
その言葉通り、今までの小型モンスターの倍の速度で迫っていた。
「大丈夫、私が食い止めるから!」
ネプギアは、Nギアから聞こえてきたユニの驚きの声にそう答えると、フェンリルに向かって駆け出す。
「ワォォォォォン!」
ネプギアの視界に、全長3メートルはあるフェンリルの巨体がもの凄い勢いで迫って来る。
「あなたの相手は私です」
ネプギアはビームソードの剣先をフェンリルに向けて構える。
「グオオオオオン!」
フェンリルは走る勢いを落とさずに、ネプギアに飛び掛かってくる。
フェンリルの右手の爪がネプギアに襲い掛かる。
「くっ!」
すかさず刀身でフェンリルの爪を受け止めるネプギア。
カキーーンッ!
ズザザザザ!
ネプギアの体が後方に押し込まれる。
ビームソードで防御をしていたが、それでも450のダメージを受けて、HPゲージが四分の一ほど減少してしまう。
そのまま鍔迫り合いに持ち込むが、フェンリルの力に押し負けそうになる。
「ぐぅぅぅ……強い……」
ネプギアは足に力を籠めて踏ん張る。
ズキューン!
「ガウッ!?」
フェンリルの頭に弾丸が命中する。
ユニの狙撃である。
「捉えたわ! そこっ!」
後方のユニは、巨大なフェンリルに対して姿勢を立ち撃ちに変えて狙撃をしていた。
ズキューン! ズキューン!
ネプギアが攻撃を受け止めたことにより、動きが止まったフェンリルに対して、ユニは二発目三発目と連続で撃ち込む。
その弾は見事にフェンリルの頭に当たり、400以上のダメージが三回、合計1,200以上のダメージが当たる。
「グルルル!」
たまらず後ろに飛び退くフェンリル。
「流石はユニちゃん」
ネプギアは態勢を立て直すと、ユニの精密な射撃に感嘆する。
「ネプギアちゃん、頑張って!」
「ネプギア頑張れー!」
ネプギアを追いかけて来た、ロムとラムが声援を送る。
「今回もカッコイイところ見せて下さいね」
ファミ通もその後について来ていた。
「ネプギアお姉さん、プラエが牽制するから!」
プラエがそう叫ぶと、プラエの両指から12本の鎖が伸びる。
その一本一本がフェンリルを追う。
フェンリルは俊敏な動きで鎖を避けていく。
「とびでるよ!」
ロムがネプギアに向けて援護魔法を使う。
【とびでるよ】は、ロム専用の攻撃力アップの魔法。
それに合わせてネプギアのビームソードの刃が太くなる。
「捉まえた! そこです!」
プラエの牽制で、フェンリルの動きを読んだネプギアが一気にフェンリルとの距離を詰める。
そして、プラエの牽制を避けきったと思っていたフェンリルの着地と同時に、「フォーミュラーエッジ!」とネプギアが斬りかかる。
「グオオオオオン!」
ネプギアの連続斬りがフェンリルを切り裂き、合計で781のダメージが当たる。
ロムの補助魔法の効果も抜群だ。
ズキューン!
更に立て続けにユニの援護射撃がファンリルの頭に命中し更に437ダメージで合計1,000以上ダメージが当たる。
ネプギアとユニ、距離は離れているが息の合った連続攻撃である。
「ワォォォォォン!」
しかし、ボスモンスターはこれぐらいでは怯まない。
前足を振りかざして反撃をしてくる。
「……っ!」
ネプギアは素早く左手に防御の魔方陣を張ってフェンリルの攻撃を受け止める。
ガキンッ!!
「くうっ!」
苦悶の表情を浮かべるネプギア。
フェンリルのパワーは凄まじく、防御の魔方陣でガードをしても350ダメージ受けてしまい、今まで蓄積したダメージと合わせてネプギアのHPゲージが半分以下まで下がってしまう。
フェンリルは、そのままネプギアを切り裂こうと前足に力を込める。
「うぅぅぅ……」
ネプギアの左手が徐々に下がり、フェンリルの爪が魔法陣に食い込んでいく。
このまま押し切られて切り裂かれたら、追加ダメージを受けてしまい瀕死の重症は免れない。
ズキューン!
「ネプギアお姉さんから離れて!」
ユニの援護射撃とプラエの援護攻撃がフェンリルに命中する。
「ガオオオオン!」
フェンリルは合計で1,000近いダメージを受けるが、先程のように引き下がる気は無いようだ。
その間にも爪は魔方陣に食い込んで行き、魔方陣に亀裂が入り始める。
「まもってあげる!」
すかさず、ロムがネプギアに援護魔法使う。
【まもってあげる】はロム専用の防御力アップの魔法。
ネプギアの左手の防御の魔方陣が大きくなり、亀裂も修復される。
「はあああ!」
援護を受けたネプギアはフェンリルの前足を押し戻す。
拮抗するネプギアとフェンリル。
防御の魔方陣とフェンリルの爪がぶつかり合い火花を散らす。
「不意討ちっ!」
そこに、いつの間にかフェンリルの真横に忍び寄ったラムが飛び出してくる。
「アイスハンマー!」
ラムがそう言うと、彼女の持つ杖の先が氷に覆われて、巨大な氷のハンマーのようになる。
ラムはそれを両手で振り上げて、フェンリルの頭めがけて振り下ろす。
スピードSのラムによる一連の流れは、フェンリルといえども反応ができなかったようだ。
ガンッ!!!!
ハンマーがフェンリルの頭に命中すると鈍い音がする。
不意を突かれた上に頭部を強打されたフェンリルは一撃で1,000近いダメージを受けて、「ガアッ!」と悲鳴を上げながら後ろに飛び退く。
【アイスハンマー】はラムの杖の先端に魔法で作りだした氷を装着して、思いっきり叩きつける打属性の攻撃。
「大成功ブイッ!」
ラムはネプギア達に向けてVサインを送る。
「ありがとう、ラムちゃん」
「流石はラムちゃん(ぶいっ)」
ネプギアとロムもVサインを返す。
「グゥゥゥ……」
フェンリルがおぼつかない足取りでフラフラしている。
強烈な打撃属性の攻撃を頭部に当たると、脳震盪を起こして短時間だが隙が生まれる。
ズキューン! ズキューン!
すかさずユニがフェンリルの頭を狙撃する。
「ハンマーチャーーンス!」
ラムも大きく振りかぶって再度アイスハンマーで攻撃をする。
「わたしも攻撃するよ(どかん)」
ロムもファイアーの魔法でフェンリルを攻撃。
「ヒール!」
ネプギアは減少したHPを回復する為に回復魔法を使う。
更に、「ネプギアお姉さん、ヒールドリンクだよ!」とプラエが鎖で回復アイテムをネプギアに渡すと、ネプギアはそれを飲む。
ユニ達はフェンリルに2,000以上のダメージを与え、ネプギアもHPを最大まで回復して体勢を立て直していた。
「ラムちゃん、隠れて!」
ネプギアがそう言うと、フェンリルは頭を振るわせて意識を覚醒しようとしていた。
脳震盪が回復しようとしている兆候だ。
「うん」
ラムは素直にネプギアの後ろに隠れる。
ラムはHPと防御力が低いので、このまま前衛に留まるのは危険な為である。
「ガルルルル!」
怒り心頭の表情でラムを睨むフェンリル。
ラムのアイスハンマーが相当頭に来たようだ。
「ふーんだ! ネプギアが守ってくれるから、アンタなんて怖くないわよ!」
負けずに、あっかんべーをするラム。
「グオオオオオン!」
ラムに攻撃しようと近づくフェンリル。
「ラムちゃんは私が守ります!」
だが、ネプギアがそれをさせまいと立ち塞がる。
ネプギアの体から闘気が放たれ、フェンリルの体に絡みつく。
「ウゥゥゥ……」
ラムに襲い掛かろうとしていたフェンリルは、ネプギアの目の前で止まってしまう。
「たあっ!」
ネプギアはビームソードでフェンリルに斬りかかる。
キン! カキーーン!
フェンリルも前足の爪で応戦し、ネプギアと打ち合いを始める。
ラムに近づこうとするフェンリルの動きを妨害するネプギアに、「さすが、ゴックね! 何ともないわ」と感嘆の声を上げるラム。
しかし、「ラムちゃん、私が使ってるのゾック【ZOC】だから……」と言葉に間違いがあったのでネプギアに訂正される。
流石に振り向く訳には行かないので声だけである。
「そうだっけ?」
首を傾げるラム。
「うん、Zone of Control【ゾーン、オブ、コントロール】でゾック【ZOC】ね」
戦闘中にも関わらず丁寧に説明するネプギア。
「やーい! やーい! 近づいてみせなさいよー! ネプギアのゾックがあるから近づけないでしょ~!」
フェンリルを挑発するラム。
「グルルルル!」
悔しそうに唸り声を上げるフェンリル。
ゲイムギョウ界にはZOCという能力がある。
この能力を持つ者は、周囲の敵の移動を制限する。
その為、フェンリルはネプギアの横をすり抜けて後列のロムやラムに接近できない。
後衛の仲間を敵の接近から守るのに有効な手段で、ネプギアもタンク役を学んでいく内に身に着けた能力だ。
ズキューン!
「ギャイン!」
銃声が鳴りフェンリルの頭に銃弾が命中する。
「遊んでないで攻撃しなさい!」
ユニが通信でラムを叱る。
「もー! アンタの所為でユニちゃんに怒られちゃったじゃない!」
フェンリルを指差し怒るラム。
「ラムちゃん……それ凄い責任転嫁かも……」
ズキューン!
再び銃弾がフェンリルの頭に直撃する。
「アンタもよ。ツッコミを入れてる暇があったら戦いなさい! 次遊んだら当てるわよ」
ユニは、今度はネプギアを叱る。
とっさに、「わわっ! ごめん!」と謝るネプギア。
「ユニちゃん怖い(ぶるぶる)」
ユニを怖がるロムに、「ユニお姉さん、怒ると怖いかも……」とプラエもユニが怖かったようだ。