昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
「プラネテューヌとラステイションは新技術の3Dゲームを主力に応酬を繰り返します」
ネプギアが絵本のページをめくるとローポリゴンで描かれた様々な物が本一面に描かれていた。
「巨大な3Dフィールドをロボットが駆け抜けるゲームや飛行機が3Dの大空を飛び回るゲーム。リアルな建物でゾンビや殺人鬼から逃げるゲームや敵を罠に嵌めるゲーム」
ネプギアが絵本を読み続ける。
「3Dになるとゲームの広さが一気に広がるわよね。ラステイションでもロボットのウサギが凄い高さまでジャンプするゲームとか出してたらしいし」
ユニはあごに右手を当てながら感心するように言う。
ネプギアも同じく感心するように頷くと、「無双系とか狩りゲーも3Dの広さがあってのものだからね」とユニに答える。
無双系とはプレイヤーが百人から千人近い敵を薙ぎ倒して行くゲームで、その一騎当千を演じる爽快感は並外れたものだった。
狩りゲーとは多彩な攻撃をしてくる強力で巨大なモンスターと広いフィールドで戦うというもので、その迫力と緊張感で人気を博している。
どちらも3Dだからこそ出来たゲームと言える。
ちなみに、技術力の関係で無双系も狩りゲーも発売されるのは次の世代になるが、3Dゲームの基礎はこの世代で培われている。
「今までの2Dのゲームに比べて広大なスケールで展開される3Dゲームは人々を驚かせ魅了し、人々はこぞってプラネテューヌとラステイションのゲームを楽しみました」
ネプギアの話を大人しく聞いてるロムとラムだが、「……なんかルウィーが置いてけぼり……(しゅん)」とロムが寂しそうに言う。
ラムが慌てて、「き、きっとすぐに活躍するわよ」とそれを慰める。
現在のロムとラムの言うように、この時期のルウィーは出遅れた感があった。
携帯ゲームは独占していたが、据え置き型ではあっという間に時代遅れになりつつあった。
前の世代交代はグラフィックやサウンドの強化が主だったが、今回は3D化という大きな変化があった。
それにより、人々の関心や信仰はあっという間にプラネテューヌとラステイションに移ってしまったのだ。
「プラネテューヌと拮抗するラステイションに好機が訪れます。ラステイションで発売された【ときめきメモリーR】から発生した三つ目の革命、【美少女ゲーム革命】です」
ネプギアがそこまで読むと、ラムが腕を組んで、「ギャルゲーってルウィーにはないよね」と言うとロムは首を傾げながら、「規制が厳しいからってミナちゃんが言ってた」と答える。
ギャルゲーというのは主に魅力的な女性が登場することを売り物とするゲーム。
育成ゲームやノベルタイプのアドベンチャーゲームなど美少女と疑似的なコミュニケーションするギャルゲーは沢山の男性を魅了した。
また美少女だけではなく、逆に主人公が女性で美少年や美青年とコミュニケーションを取る、乙女ゲームというジャンルも同時に生まれた。
これによりゲイムギョウ界にも女性ユーザーが増え始めた。
伝統を重んじ性教育に厳しいルウィーでは、当時ギャルゲーはふしだらと規制されてしまいこの革命の波に乗らず独自の道を行った。
今は多少緩くなってはいるが、それでも他の国に比べれば遥かに厳しい。
この美少女ゲーム革命により、今までは男性キャラクターが中心だったゲイムギョウ界に可愛らしい女性キャラクターが急増する。
更に今まであったRPGなどにも、ヒロインとの恋愛要素が付きストーリーにも恋愛要素が深く絡むようになってくる。
格闘ゲームと同じく長いブームの後に育成やノベルタイプのギャルゲーは衰退するが、先述の通り様々なジャンルのゲームに魅力的な女性が多く出演するようになる。
この時代では3Dの技術力が足りず2Dのイラストが主だが、二世代後からは技術も上がり美しい3Dの美男美女が現れる。
その美形キャラが華麗に戦ったり歌ったり踊ったりなどしてプレイヤーの目を楽しませている。
また、この革命はゲイムギョウ界だけに留まらず萌えという文化となり様々な世界に大きな影響を与えることになる。
「ときめきメモリーRは、元々はエディンで発売したものだったのですが、革命が起きたのはラステイションでした」
当時はエディンがゲームによる萌えの文化の先駆け者であったが、先述のようにたくさんのメーカーの協力を得たラステイションはその技術を巧みに吸収してしまう。
「その為、エディンのギャルゲーのシェアはラステイションに取られてしまい、エディンの女神様はラステイションの女神様に負けてしまいました」
ネプギアが本の続きを読むと、ユニは右手をあごに当てながら、「ギャルゲーはラステイションとプラネテューヌの二国の争いよね」と言う。
ネプギアも、「そうだね。本にもそう書いてあるよ」と頷いて絵本の続きを読む。
「これによりラステイションがプラネテューヌに追い抜きましたが、プラネテューヌも負けじとギャルゲーを取り入れて後を追いかけます」
ネプギアが本を読み続けると、「もーーー! プラネテューヌとラステイションばっかりー! ルウィーは?」とラムが両手を上げて不満そうに頬を膨らませる。
先程はロムを慰めていたが、あまり気の長くないラムは堪忍袋の緒が切れてしまったようだ。
ネプギアが優しい声で、「もうちょっと待ってね」と上手くラムをあやす。
ユニも少し優し気な声で、「この時期は時代の流れが早すぎて、流石のルウィーも時代の波に乗り遅れていたのよ」と慰めるように言う。
「他の国はこの二国の勢いには及びませんでした」
ネプギアがページをめくると挫折したような姿の女神達が描かれていた。
「カルディアは新しい女神様を迎えて再興しましたがすぐに滅びてしまい、ネオジェネシスは格闘ゲームの衰退と同時に勢いを失い、ルウィーも国を守るだけで精一杯でした」
ラムは少し悲しそうな声で、「うぅ~、ユニちゃんの言う通りだ……ルウィーが苦戦しているー……」と呟く。
続けてロムが、「どんどん国が少なくなっていくね。もう半分しか残ってないよ」と言う。
ラムは気を取り直して、「こーゆーの【ジンギスカンな戦い】って言うのよね」と得意げに答える。
それを聞いたユニは、「それは【仁義なき戦い】よ」と呆れながら訂正を加える。
更にネプギアが、「【仁義】って言うのは思いやりとか情けとかの道徳的な意味だから、仁義なき戦いって言うのはそれを無視したルール無用の争いのこと言うんだよ」と説明をする。
「凄くて怖い戦いのこと言うんじゃないの?」
ラムが質問すると、「ヤクザとか怖い人の戦いの映画でよく使われるキャッチコピーだから、そういうイメージがあるのかもね」とネプギアが答える。
そこにロムが、「わたし達も仁義なき戦いになったりする? (おろおろ)」と不安そうに質問する。
ユニは落ち着いた声で、「アタシやお姉ちゃん達はちゃんとルールとか道徳を守って競ってるから、そんなことにはならないわよ」と答える。
ロムが、「よかった(ほっ)」と安心したのを見てネプギアが本の続きを読む。