昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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#98 ウラヌス

 神次元から帰還した翌日。

 

G.C.2019年4月29日 月曜日。

 

ネプギアとイストワールは、ウラヌスのお参りにギャザリング城を訪れていた。

 

過去に犯罪神を倒すアドバイスを貰った時のギャザリング城はボロボロだったが、ネプギアとイストワールの意向で今は綺麗に掃除をされている。

 

駐在の職員に挨拶をし、ギャザリング城の奥に向かって行くネプギアとイストワール。

 

二人が足を止めたのは大きな広間で、その中心には簡素な墓石が置かれていた。

 

 

「こんにちは」

 

 

 ネプギアが挨拶をしながら墓石に、持っていた花を供えると、「お久しぶりです」とイストワールが頭を下げる。

 

 

「また来たのか? プラネテューヌの方は大丈夫なのか?」

 

 

 何もない場所から、やや年配と思われる女性の呆れた声が聞こえてくる。

 

この声の主こそがウラヌスであり、意識だけの存在になった彼女はここから動くことも出来ずにここに居る。

 

 

「大丈夫です。最近はお仕事が順調なんですよ」

 

 

 ネプギアは明るい声で言うと、「ファミ通さんと言うゲイム記者の方が取材を始めてから、シェアが右肩上がりなんです」と言って微笑む。

 

 

「そうか……おぬしの自己主張が弱いところは、わしも心配しておったが、上手い解決法を思いついたなイストワール」

 

 

 ウラヌスの言葉にイストワールは首を横に振ると、「いいえ、私の案ではありません。先方から取材させて欲しいと依頼があったのです」と答える。

 

 

「ほほう、お主の地道な活動をちゃんと見ている者が居たのだな」

 

 

 ウラヌスがそう言うと、「はい、ありがたいことです」とネプギアが素直に頷く。

 

 

「して、ネプテューヌの方はどうじゃ?」

 

 

 ウラヌスの質問にイストワールは、今度は疲れたように首を横に振って、「いつも通りです……」と言って肩を落とす。

 

 

「すまんのぉ。わしが犯罪神との戦いで命を落とさねば、彼の物も正しく指導してやれたのだが」

 

 

 ウラヌスが少し残念そうに言うと、「いいえ、ウラヌスさんの所為ではありません。現にラステイションの後を継いだノワールさんも、ルウィーの後を継いだブランさんも立派にお役目を果たしていますから、私の力不足です」とイストワールが答える。

 

 

「そう自分を責めるな。あの者はあの者なりに考えがあるやもしれぬ」

 

 

 ウラヌスが優しい声でイストワールを慰めると、「そうですね。そう思いましょう」とイストワールが答える。

 

 

「それに、ネプギアの方は良く育っているようではないか。会うたびに頼もしくなっているようじゃ」

 

 

 ウラヌスの誉め言葉にネプギアは顔を赤くして、「そ、そんなことないですよ……」と恥ずかしそうに謙遜する。

 

 

「謙遜することではないぞ。最初は若いなと思っていたが、どんどん顔つきが良くなっていくわ」

 

 

 ウラヌスが嬉しそうに言うと、「この十年近く地獄を見て来たんです。面構えが違います」とネプギアが突然ドヤ顔になる。

 

 

「また、ネプテューヌさんが変なことを教えたのですね……」

 

 

 イストワールが右手で額を抑えながら頭を抱えると、「姉を見習うのもほどほどにしておくのだぞ」とウラヌスも呆れた声を出す。

 

 

「しかし、確かにこの十年近くで良い経験をしてきたようじゃな」

 

 

 ウラヌスが改めて言うと、ネプギアは真面目な顔に戻り嬉しそうに、「はい」と頷く。

 

 

「私、昔はお姉ちゃんの後を付いて行くだけの何も出来ない弱虫でした。けど、女神候補生のみんなや他の仲間達と出会うことで、周りにも頑張っている人達がいるんだって勇気をもらって、そしてみんなで協力し高め合う仲間の素晴らしさを知りました」

 

 

 ネプギアはそう力説すると、「次に、神次元で自分の未熟さと愚かさと傲りを知りました」と少し反省をしたように顔を落とす。

 

 

「そして、この前の戦で、仲間と国を守る為に命を掛けて戦う、うずめさんの姿に女神のお手本を見た気がしました。おかげで最近になってようやく自分が女神として何を成すべきなのか見えて来た気がします」

 

 

 ネプギアは再び顔を上げてそう言うと、「そうか。素直に他人を尊敬し重んじ、そして自らの過ちに気付く……良いことだな。期待しておるぞ」とウラヌスが優しい声で言う。

 

 

「ありがとうございます。頑張ります」

 

 

 ネプギアは嬉しそうに答えると丁寧に一礼をする。


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