昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
「わー。いっぱいいるわね」
ラムが左手を額にかざして眺めるポーズで、ゴーストボーイとゴーストガールの群れを見ている。
その数はファミ通を取り囲んでいた小規模な群れとは違い百匹近い数が群れていた。
女神化すると視力も良くなり、視力12.0以上になるので、空からでも裸眼で地上の敵がハッキリと見えるのだ。
マサイ族もビックリである。
「あの大きなカメがボスかな?」
ロムが錫杖の先でモンスターの群れに居る6メートル近い一際大きなカメを指す。
モリガメである。
名前の通り亀なのだが、巨大な甲羅の上には何故か一本のヤシの木が生えている。
「あんなの一瞬でやっつけてあげるわ」
「うん、楽勝」
ラムは腕を組んで強気にそう言うと、ロムも自信満々の声で言う。
女神は変身すると性格が変わる。
姉である守護女神は変化が大きいが、女神候補生は少し強気になるぐらいだ。
しかし、そもそも元から強気のラムは恐れを知らない性格になる。
ロムはおどおどした様子が無くなり、特徴的な擬音を言わなくなる。
ユニも元々強気なので、それに拍車が掛かる。先日にアノネデスを圧倒した時にも証明済みだ。
ネプギアは殆ど変わらないが、それでも少し強気になって積極的に敵と戦うようになる。
「強気なのもいいけど、レベルの方は大丈夫なの?」
ユニが戦闘前にお互いのレベルを確認すると、「大丈夫よ。昨日20になったんだから」とラムが言い、「負けないよ」とロムが小さくガッツポーズをする。
「ふふん、いいじゃない。アタシも20。ネプギアは?」
ユニは二人の意気込みに微笑むと今度はネプギアにレベルを確認する。
ネプギアは笑顔で、「私も20だよ。みんな同じだね」と言った。
「戦力は問題なし。後はどう攻める?」
ユニはレベルを確認して自分達の戦力に問題ないことに満足すると、ネプギアに作戦を質問する。
「私が切り込むから、みんな援護して。ボスモンスターは堅いけど動きが鈍いと思うからコンボを稼いで倒そう」
ネプギアはすぐさま、ユニの質問に答える。
迷いなくハッキリした口調なのは変身しているからであろう。
「オッケー任せて」
「ザコはわたしが一網打尽にしてあげるわ」
「ちゃんと援護するから安心して切り込んでね」
ユニ、ラム、ロムの順に頷いて了解の意思を示す。
「うん!」
ネプギアは仲間達の了解の返事に頷くと、敵の群れ目掛けて急降下する。
「がんばってね!」
ロムのスピードアップの魔法でネプギアの降下速度が倍になる。
「援護するわよ」
ユニはネプギアが接近しやすいように援護射撃を行う。
ズキューン! ズキューン! ズキューン!
援護射撃とは言え一撃で2,000以上のダメージが当たり、ゴーストボーイ達が次々に戦闘不能になっていく。
ユニの射撃で敵襲に気付いたゴーストボーイ達がユニ達の方向に向かって上昇してくる。
「M.P.E.Mアイスモード!」
ラムがそう言うと手に持った杖が変形をする。
これがM.P.E.Mの属性最適化機能で、特定の属性の魔法の威力を高めることが出来る。
「凍りつきなさい! アイスコフィン!」
ラムは広範囲を凍りつかせて、近づいてくるモンスターの群れを攻撃する。
【アイスコフィン】はロムとラムが得意とする氷属性の魔法で、広範囲を凍りつかせる攻撃である。
広範囲ゆえにダメージは2,000に届かないが、それでも威力は十分で次々にゴーストボーイ達が戦闘不能になっていく。
「わたしも! アイフコフィン!」
ロムもラムに続いて、別の群れにアイフコフィンを唱えると1,500前後のダメージが当たり、ゴーストボーイ達が戦闘不能になっていく。
攻撃魔法においては、ロムはラムより威力は下がるが、ザコモンスターを蹴散らすには十分過ぎる威力があった。
「落ちろ落ちろ落ちろ!」
ロムとラムの範囲攻撃から逃れたモンスターは次々にユニに撃ち落されていく。
「覚悟して下さい!」
ネプギアはモリガメ目掛けて急降下を続ける。
三人の仲間の援護で百匹近いザコモンスターは全て戦闘不能になり、残るはモリガメのみとなっていた。
「とびでるよ!」
更に攻撃が当たる寸前にロムの攻撃力アップの魔法が加わる。
「はあっ!」
ネプギアは硬い甲羅は避けて、首根っこにM.P.B.Lを突き刺す。
「ギャオオオオン!」
モリガメに4,351ダメージ当たる。
「やっぱりタフですね。けど、負けません!」
ネプギアは再びモリガメに斬りかかる。
「ガオオオン!」
しかし、モリガメは怒りの咆哮を上げて口から水流を吐く。
「当たりません」
avoid、ネプギアは華麗に身を翻して初見にも関わらずモリガメの攻撃を避けて見せる。
「今度はこちらの番です!」
ズキューン!
M.P.B.Lのビームがモリガメに向かう。
「グゥゥゥゥ!」
しかし、モリガメは首と手足を甲羅に引っ込めて防御をする。
強烈な筈のビーム攻撃もダメージが二桁になってしまう。
「ウォォォォン!」
モリガメは甲羅に籠ったまま回転をすると滑るようにネプギア向けて突撃してくる。
「くっ!」
ネプギアは回避が間に合わず、左手に防御の魔法陣を張る。
「きゃあっ!」
しかし、それでも弾き飛ばされてしまい、820ダメージを受けてHPゲージが三割ほど減少する。
「これぐらいっ!」
ネプギアはそれでも怯まずM.P.B.Lの射撃を繰り返すが全て硬い甲羅に弾かれてしまう。
「ウォォォォン!」
モリガメが再び甲羅に籠りながら突撃してくる。
「二度も当たりません!」
avoid、素早い横ステップで回避するネプギア。
それでもしつこく回転攻撃でネプギアを追い回すモリガメ、諦めずにM.P.B.Lのビーム攻撃をするネプギア。
ネプギアの回避も100%ではなく、何回か当たりそうになるが左手の防御の魔法陣で上手く捌いてダメージを最低限に抑える。
ダメージが与えられないネプギアがジリジリと追い詰められて劣勢に見える。
「ロム、ラム、ヒット数を稼ぐわよ」
「「了解っ!」」
しかし、ネプギアはモリガメの注意を自分に引き付けているのだ。
ネプギアが敵を引き付けている間に、ユニはロムとラムに攻撃を指示すると二人は素直に頷く。
同時にユニはエクスマルチブラスターをマシンガンモードに切り替えて、マシンガンが届く射程まで急接近すると銃を乱射する。
ズガガガガガ!
一発一発はダメージ一桁だが、そのヒット数は尋常じゃない。
あっという間にヒット数が三桁になる。
「「クルクルフルフリーザーフローズン……」」
ロムとラムはユニと並ぶよう移動すると声を揃えて魔法の詠唱を始める。
「「アイシクルスピア」」
ロムとラムの周囲に無数の氷の槍が現れると、モリガメに向かって飛んでいく。
これも一発のダメージが一桁程度だが、圧倒的な弾幕でユニの攻撃と合わせてヒット数が四桁に届きそうになる。
【アイシクルスピア】氷属性の攻撃魔法。威力より数で攻める攻撃だ。
「M.P.B.Lラピッドモード!」
更にネプギアもM.P.B.Lを速射モードに切り替えてヒット数稼ぎに加わる。
「グゥゥ……」
モリガメは凄まじい弾幕の前に動きを止めてしまう。
「これは凄い! コンボ数があっという間に1,000超えるんじゃないか?」
女神候補生達が周りのザコモンスターを倒したことで比較的近くで取材が出来るようになったファミ通が、女神候補生達の猛攻に驚きの声を上げる。
【コンボ】とは攻撃を絶えずヒットさせて連鎖させること。
この数が多ければ多いほどダメージに倍率が掛かる。
「いくら硬いカメ型モンスターでも、1,000コンボからの強烈な締めの一撃は耐えれないぞ」
コンボを稼げる攻撃は威力が弱く、締めに力を込めた強烈な一撃を入れるのが基本である。
「グルルル……」
モリガメは外の様子を伺うように甲羅から頭を出す。
「チャンス! 覚悟して下さい!」
ネプギアは頭を出したモリガメにM.P.B.Lのブレード斬りかかる。
強烈な締めの一撃を加えようというのだ。
「シャーーー」
しかし、モリガメはニヤリと笑うと素早く頭を引っ込めて攻撃を回避する。
コンボの締めの攻撃を誘発させようと隙を晒したのだ。
締めの攻撃を出した時点で、当たる当たらないに関わらずコンボが終わってしまう。
モリガメはそこを狙ったのだ。
「ごめんなさい! フェイントです!」
しかし、ネプギアの攻撃はコンボの締めの強烈な一撃ではなくコンボ稼ぎの連続攻撃だった。
M.P.B.Lのブレード部分による素早い突きがモリガメの甲羅を連続で突いて二桁のダメージが無数に当たりコンボ数が上がって行く。
「本命はこっち。エクスマルチブラスター最大出力!」
その間にユニがモリガメの真上でエクスマルチブラスターを構えていた。
その銃口に巨大なエネルギーの塊が溜まっている。
モリガメがネプギアに気を取られている間に上空に移動してエネルギーチャージをしたのだ。
「とびでるよ!」
そこにロムの攻撃力アップの魔法が加わる。
攻撃準備万端になったユニは目に映るレティクルを慎重に動かし照準の真ん中にモリガメを捉える。
射撃攻撃をする彼女もネプギアと同じように変身後はFCSを使うことができるのだ。
ピー!
警告音と共に【Lock on】と赤い文字が点滅する。
「くらえぇぇぇぇ!」
ズギューーーーーーン
エクスマルチブラスターの極太ビームがモリガメに襲い掛かる。
「ギャアアアアアアス!」
ビームは硬い甲羅に何の抵抗もなく風穴を開けると6万以上のダメージが出る。
モリガメはそのまま消滅してしまう。
元々、頭を出した隙を狙うものではなく、力押しで甲羅ごと破壊する作戦だったのだ。
流石のモリガメも自慢の甲羅を貫かれるとは思わなかったらしい。
「コンボを稼いだとは言え、カメ型モンスターの甲羅にあれだけ大きな穴を空けるなんて……流石は女神様」
ファミ通は女神の力に感嘆しながらメモを取る。
「流石はユニちゃん」
「アンタのフェイントもなかなか様になってたわよ」
ネプギアはユニの元に飛んで行くと、お互いにグータッチを交わす。
「ネプギアちゃん大丈夫? 回復するよ」
ロムがネプギアの側に飛んでくると、ヒールの魔法を使ってくれた。
「ありがとう」
ネプギアのHPはモリガメとの競り合いで五割ほど減っていたが、全回復する。
「じゃあ、次行こう次」
「早くお祭り行きたいな」
ロムとラムに急かされて、女神候補生達は次のターゲットに向かって飛んでいく。
「わわっ! 待ってー!」
急いで追いかけるファミ通。