昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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#121 ピーシェと射的

 ロムとラムとピーシェが射的の屋台に行くと、昨日とは別の店主がいた。

 

女の子二人の店主で片方は小さな翼と天使の輪が付いた子で、もう片方がウサギのような長い耳の生えた少女だ。

 

 

「わー! この屋台カレーの匂いがするわ」

 

 

 ラムの言う通り屋台に入るとスパイシーなカレーの匂いがした。

 

 

「カレーのお鍋がある(ぐつぐつ)」

 

 

 ロムが屋台にある寸胴鍋を指差しながら言う。

 

 

「おかしいわね? 射的の屋台に入った筈なのに?」

 

 

 ラムが不思議そうに腕を組んで首を傾げると、プラエと手を繋いだネプギアが屋台に入ってくる。

 

 

「あれ? ふらぷらさんに初代コンパさんじゃないですか」

 

 

 ネプギアが驚いたように口に手を当てると、「こんなところで何やってるの?」と続けて入って来たユニが尋ねる。

 

 

「見ての通り、射的カレー屋さんだよ」

 

 

 ウサギのような耳の生えた少女がドヤ顔で答えるが、「あのー、初代コンパさん、確かに見てのとおりかもしれませんけど、普通はそんな屋台ありませんよ」とネプギアがツッコミをする。

 

 

「そうですよね……」

 

 

 もう一人の小さな翼を生やした少女が困った顔で答える。

 

 

「ふらぷらが一人じゃ不安だって言うから手伝ってあげてるのに~」

 

 

 初代コンパと呼ばれた少女が不満げに答えると、「やっぱり私達商才がないんじゃないかな」とふらぷらと呼ばれた少女が答える。

 

この二人は命を落としそうになったところをネプギアがプラネテューヌで保護した人物だ。

 

元々はイストワールと同じように超次元で似た人物がおり、それが何かの理由で命を落としてしまったようなのだ。

 

そこで、ネプギアは神次元では命を落とさないようにプラネテューヌで保護をし、そのおかげで二人とも命の危機を逃れ生き延びたのだ。

 

 

「とりあえず、どんな店なの?」

 

 

 ユニが気を取り直して二人に尋ねると、「射的のサービスにカレーが付くんだよ」と初代コンパが胸を張って答える。

 

 

「思ってたより普通ね。てっきり射的でカレーを落とすのだと思ったわ」

 

 

 ユニがそう答えると、「落ちたカレーなんて誰も食べたくないと思うよ……」とネプギアが困った声でツッコミをする。

 

 

「それはそうだけど、初代コンパならそれぐらい斜め上を行きそうだし」

 

 

 ユニの言葉に、「最初はその予定だったんだけど、ふらぷらが止めるからさ」と初代コンパが答える。

 

一連の話を聞いていたプラエは、「ネプギアお姉さんの知り合いは変わった人が多いんだね」と不思議そうに首を傾げながら答える。

 

 

「ところで、皆さんは射的しに来てくれたんですか?」

 

 

 ふらぷらがそう尋ねると、「そうだった。ロムちゃん、ラムちゃん」とロムとラムに声を掛ける。

 

 

「三人分おねがいします(ちゃりん)」

 

 

 ロムがふらぷらにお金を払うと、「まいどありー」と言いながら初代コンパが紙皿に三人分のカレーをよそりロム達に差し出す。

 

それを見たユニは、「普通とは言ってたけど、射的しながらカレー食べるって意味不明なサービスよね」と首を傾げる。

 

 

「わたしが鉄砲と弾を選んであげるわ」

 

 

 ラムは三人分の鉄砲と弾を選んでロムとピーシェに渡す。

 

 

「撃ち方なんだけどね、こうやって構えて……」

 

 

 ロムはユニに教わった構えをして、ピーシェに教えてあげようとする。

 

 

「あー! ダメダメダメ。そんな甘っちょろい撃ち方じゃ当たらないよ」

 

「え?」

 

 

 しかし、突如ネプテューヌが口を挟んでくる。

 

水を差されたロムはポカンとしてしまう。

 

 

「お姉ちゃん、子供達が楽しそうにやってるんだから口を挟まなくても……」

 

 

 ネプギアが遠慮気味にネプテューヌに言う。

 

 

「いや、射的の帝王としてココは黙っておけないよ」

 

「お姉ちゃんは女の子だから女帝なんじゃないかな?」

 

「ツッコミどころはそこじゃないでしょアンタ……」

 

 

 自信満々にドヤ顔を決めるネプテューヌにネプギアがツッコミを入れるが、そのツッコミに呆れるユニ。

 

 

「射的の撃ち方はこうだよ。貸してピー子」

 

 

 ネプテューヌはピーシェから銃を受け取ると、銃を片手で持ってテーブルに身を乗り出し景品に銃口を近付ける。

 

 

「……うわ……いい年した大人がその撃ち方ってどうなんですか?」

 

 

 ユニは白けた目でネプテューヌを見る。

 

 

「えーと、零距離射撃って思えばカッコいい……かも?」

 

 

ネプギアはやや苦しいフォローする。

 

 

ピピーーツ!

 

 

 初代コンパがが笛を鳴らす。

 

 

「ネプテューヌさん、その撃ち方はダメだよ」

 

 

 初代コンパは厳しい口調でネプテューヌを注意する。

 

 

「え? 反則? うそーー! わたしの地方じゃOKだったよ」

 

 

 抗議をするネプテューヌ。

 

どうやらこの店ではテーブルから身を乗り出すのは禁止らしい。

 

 

「ネプテューヌちゃん反則!」

 

「ズルは駄目……(ばってん)」

 

 

 ロムとラムがネプテューヌを非難する。

 

 

「もー! これだから田舎のローカルルールは嫌だね」

 

 

 ネプテューヌは負け惜しみを言いがらピーシェに銃を返す。

 

 

「それ以前に、あの撃ち方は華麗じゃないですよ」

 

 

 ユニがそう言って非難すると、ラムが、「華麗じゃないわ」とそれに続き、ロムも、「華麗じゃない」と更に続き、最後にピーシェが、「ねぷてぬ、カレー抜き」と紙皿に盛られたカレーをネプテューヌから遠ざける。

 

 

「うわーん、ネプギアぁぁ~! わたしはただ射的へのハングリー精神を示しただけなのに~」

 

 

 非難の四連コンボに堪えたネプテューヌはネプギアに泣きつく。

 

 

「よしよし……お姉ちゃんは悪くないよー」

 

 

 ネプギアはネプテューヌを抱きしめ頭を撫でながら慰める。

 

 

「ねぷちゃ~ん、あたしがお店の人にルール変えるよう頼んであげようか~?」

 

 

 プルルートが微笑みながら言うと、「流石にそれはお店の人に迷惑が掛かるんじゃ……」とネプギアが言う。

すると、「……ぎあちゃんには聞いてないんだけど~?」とプルルートが不機嫌そうに言う。

 

 

「あ、いいっていいって、わたし気にしてないから」

 

 

 ネプテューヌはネプギアから離れると、プルルートの隣に行く。

 

すると、不機嫌そうだったプルルートの顔が元に戻り、「そっか~。ならいいや~」と言ってネプテューヌの手を握る。

 

ネプギアはプルルート行動を不思議に思いつつも、ユニ達との話の輪に戻る。

 

 

「射的の撃ち方はこうよ」

 

 

 今度はラムがユニに教わった構えをする。

 

 

「こう?」

 

 

 ラムの真似をするピーシェ。

 

 

「少し違うかな? ここはこう」

 

 

 ロムはピーシェの後ろに回って姿勢を整える。

 

 

「うん、これでよし」

 

 

 ロムはピーシェの姿勢が定まったのを確認すると手を離す。

 

 

「あとは狙いを定めて撃つのよ! 撃つべし撃つべし!」

 

 

 ラムが元気よく景品の棚を指差すと、ピーシェは真剣な顔で銃の引き金を引く。

 

 

「えい!」

 

 

パン

 

 

 ピーシェが撃った弾は小さなぬいぐるみ当たり、パタリと倒れて落ちる。

 

 

「きゃははは! できたー!」

 

 

 見事命中したピーシェはジャンプして喜びを表現する。

 

 

「おめでとうピーシェちゃん(ぱちぱち)」

 

 

 ロムが小さく拍手してピーシェを祝福する。

 

 

「凄いでしょ。ユニ撃ち」

 

 

 ラムが自信満々にピーシェにそう言うと、ユニが、「ユニ撃ち?」と首を傾げる。

 

 

「ユニちゃんから教わったからユニ撃ちよ」

 

 

 ラムは名前の由来をそう説明すると、ユニは、「……まぁ、悪い気はしないわね」と少し恥ずかしそうに頬を掻く。

 

 

「それじゃ、わたし達もやろう」

 

 

 ラムはそう言って銃を構えると、ロムも、「うん、ピーシェちゃんも一緒にね」とそれに続く。

 

 

「うてーーー」

 

 

 ピーシェがそう叫ぶと三人同時に弾を発射して、景品が次々に落ちていく。


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